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「恐竜戦隊ジュウレンジャー」以降、戦隊シリーズでは6人目の戦士が途中から仲間に加わる形が普通になりました。
「6人目」を上手に使えば、マンネリしていた物語を活性化させたり、6人目専用武器やロボの玩具でバンダイを儲けさせたりできます。
しかし一方で、主役5人組が6人目に食われて白けてしまうケースもあります。
その典型例が「超力戦隊オーレンジャー」でした。
オーレンジャーの6人目は、6億年後に出現する悪の組織を予見して、それと戦うためにウラシマ効果を利用して6億年後まで生きていたという少年戦士・キングレンジャー。
初登場時のサブタイトルも第26話「6億歳少年戦士」と、6億歳なのか少年なのか分からない素晴らしさでした。
問題は、オーレンジャーの5人全員が束になるよりもキング1人の方が強いという設定です。
これによって、キングレンジャー様と5人の戦闘員という構図が誕生してしまいました。
また、キングレンジャー専用の巨大ロボットはキングピラミッダー。
外見は単なるピラミッドなのですが、巨大化した怪人が通常サイズに見えるほどの大きさで、やられている怪人がかわいそうに見えてくる凶悪な兵器でした。
その超合金の定価も14800円。オーレンジャーロボ(7980円)の2倍近くしました。
そして、オーレンジャーロボとキングピラミッダーは合体するのですが、その方法は、バラバラに分解したオーレンジャーロボがキングピラミッダーの内部に格納されるというもの。
つまり、合体しても外見はキングピラミッダーのまま。オーレンジャーロボは内蔵砲台の1つという扱いでした。
さて。
先週の「百獣戦隊ガオレンジャー」で、敵の怪人・ロウキの正体が実は6人目の戦士だったと判明。ロウキは怪人から人間に戻りました。
それを受けて、今週のエピソードは第24話「銀狼、閃く!!」です。
人間に戻った元ロウキに、さっそく握手を求めるガオレッド。
「先輩、俺たちに教えてください。いろんなことを」。…これが同人誌だったら、ケツを掘られそうな発言です。
ガオイエローも「今までのことは水に流して仲良くやろうぜ」と歓迎しますが、元ロウキは「駄目だ、俺はお前達を倒そうとした男だ」と言って逃げ出してしまいます。
「何だよあの態度は!人がせっかく下手に出てやったのに!」。マジギレするガオイエロー。
元ロウキは、「姿は人間に戻ったが俺の心は今でも怪人の仲間だ」という苦しい嘘をついて、たった1人で敵の大幹部の元に乗り込もうと画策します。
「仲間って言っても、ツノがないしなぁ」と不安がるザコ怪人を説得して、大幹部がいる場所まで案内させることに成功しました。
さっそく、大幹部に「また俺を幹部にしてください」と頼みながら不意打ちをかける元ロウキですが、「貴様の考えなどお見通しでおじゃる」と、かわされてしまいます。
今週の怪人・キマイラオルグまで登場して、元ロウキは絶体絶命です。
そこに駆けつける、ガオレンジャーの5人。しかし、キマイラオルグには必殺技も通用せず、あっという間に大ピンチに陥ってしまいます。
白「うっ、ううううううっ」
黄「うわああーぐわあー」
赤「ううわああああああああ」
青「うぐわああー」
黒「ぐうう、うわああー」
そこで、元ロウキが変身。
「閃烈の銀狼・ガオシルバー!」と名乗りをあげるや、バックに流れ出すガオシルバーのテーマソング。
ガオレンジャーの仲間の証・四つんばい走法を披露すると、キマイラオルグを1人で瞬殺してしまいました。
黄「あんびりーばぼー」
黒「横綱級の、強さだぜ」
赤「5人でもかなわなかったキマイラオルグを、たった1人で!」
黙っていればいいのに、ご丁寧に自分たちの弱さを解説するガオレッド。
この瞬間、「元ロウキ>ガオレンジャー5人全員」が番組公式設定として確定しました。
続いて、敵の大幹部までも1人で秒殺してしまう元ロウキ。5人が何のために助けに来たのか、もうサッパリ分かりません。
そして場面は、意味もなく波がザブンザブンいっている海岸に。5人の仲間に見送られて、元ロウキは何処ともなく歩き去ります。
レッド「どこに行く?」
元ロウキ「さぁな…。風に聞いてくれ」
ナレーション「どこへ行くのか一匹狼。この続きは、また次のお話です」
パワーバランスが崩れるので「これっきり戻ってこない」か「強いのは初登場時だけ」が無難だと思いますが、次回予告を見る限りでは来週も大活躍しそうです。
元ロウキがキングレンジャーの二の舞にならないか、ネットアイドルちゆは少しだけ心配しています。