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存在をなかったことにされている「90年代前半のエロゲ妹」たちを知れーッ!

先日、こんな動画を投稿しました。

シスプリを知らない方にはシスプリを知るきっかけに、シスプリを知る方には懐かしい動画になればいいな…と思って作りました。

そのニコニコにUPしたほうで、

なぜコレをチョイスした!?

……というコメントをいただきました。

せっかくなので、このコメ返しをしてみたいと思います。


そもそも、個人的に、90年代前半のゲーム妹が、世間から軽視されている気がする……という不満がありました。

たとえば、『メガストア』2009年8月号の「エロゲー人の基礎知識」を見ると、

いもうとゲー年表

……と、「いもうとゲー年表」なるものが載っていますが、この年表、『同級生2』からスタートしています。


確かに、90年代の「いもうとゲー」の歴史において、『同級生2』の鳴沢唯はもっとも偉大です。

同級生2

鳴沢唯の影響で、どれだけの妹が増えたか。エロゲでの「妹」のポジションが定まったか。

(彼女は「義妹でもない妹的存在」ですが、その人気や影響の大きさは否定しようもありません)

『GON!』2002年2月号の「いもうとゲー大考察」という記事でも、

GON! 2002年2月号

全てのいもうとゲーは鳴沢唯から始まったと断言。

『同級生2』が発売された1995年。おそらくこの年を、妹ゲー元年と呼ぶべきであろう。

……1995年を妹ゲームのスタートと見ています。


と、鳴沢唯が規格外のレジェンドであることは間違いありません。

しかし、それでも、彼女の前にもエロゲ妹はいました。

ざっと挙げてみると……。

・妹とのエッチがあるエロゲは、1990年の『ルージュ』、1991年の『沙織』、1992年の『プレゼント2』、1993年の『IF』『禁断の血族』、1994年の『アラベスク』『ツーショットダイヤリー』『夢現』『横浜エレジィ』『マスカレード』『雑音領域』など(あと、同人の妹ゲーとしては『S.A.』が有名でした)。

・微妙なところで、1985年の『天使たちの午後』、1992年の『煩悩予備校3』、1993年の『マージナル・ストーリーズ』『NOVA 魅入られた肢体』、1994年の『沙也香~義母~』なども、妹のアレが少しあるような、ないような……。

・アレなシーンはないけど妹が登場するエロゲなら、『NOLTIA』『恭子のいぢわる!!』『虹色電飾娘』『不揃いのレモン』『GOKKO2』などなど。妹的年下から「お兄ちゃん」と呼ばれるゲームなら『カスタムメイト』や『突撃!ばっこんストリート』……。メディアミックスもので『亜美・風立ちぬ』もいちおう……。

と、1994年までにも、細々とエロゲ妹はいたのですよ。

ただ、『「妹ゲーム」大全』と謳った本でさえ、彼女たちのことは全然のっていません

「妹ゲーム」大全
この本。94年以前の妹ゲームはなかったことに

……確かに、歴史として語る際、重要性からいえば、90年代前半は全部スルーして、『同級生2』からスタートすれば十分なのかも知れませんが……。

「いもうとゲー年表」だの「いもうとキャラ変遷史」だの「妹ゲーム大全」から、完全に無視されるのって、あんまりじゃないですか?


そんな感じで、個人的には、彼女たちの存在を無視したくないという偏った思い入れがありました。

なので、先日の動画で、シスプリが登場するまでの「歴史の流れ」をごく簡単に語るところ、

なぜコレをチョイスした!?

そういう思い入れから、3秒だけ、90年代前半ゲーム妹をひいきしました。

(正直、本来なら90年代前半は省略すべきだろうという、色々と端折りまくった語りなのですが……)

ちなみに、下のスクショは、93年の『禁断の血族』の、美雪という妹キャラです。

禁断の血族

彼女は、正直、鳴沢唯のように優良な妹ではありません。

養子縁組で急に義妹になっただけのほぼ他人で、セックス以外に何の交流もないですし、性格もけっして良いとは言えません。

しかし、兄を好いてくれているのは本当で、最後は、自分を犠牲にして兄を助けて「美雪のこと、忘れないでね!!」と言い残して死にました。

動画に『禁断の血族』のスクショを選んだのは、彼女の「忘れないでね」に対して、「四半世紀が経ったけど、忘れてないよ」と言いたかったからです。


……という前置きを経て、ようやく、「何故コレをしょいすした」という話です。

何故コレをチョイスした!?

「オニイチャン……」のスクショは、93年の『NOVA 魅入られた肢体』というエロゲのものです。

これを選んだのは、ビジュアル的に面白いから……というのもありますが、それだけではありません。

数ある90年代前半エロゲの中で、ちゆが「妹もの」としてもっとも好きなのが、『NOVA 魅入られた肢体』だからです。

NOVA

当時のエロゲ界は、淫靡で退廃的な世界観を持つ、ストーリー性重視のマルチシナリオなアドベンチャーが流行したころ。

『NOVA』もまた、妖艶なエロさと可変ストーリーを売りにしたゲームでした。(以下ネタバレ)


物語は、映画『エイリアン』みたいな感じで、8人の男女が乗った宇宙船が、謎の怪物に襲われる話です。

主人公は、実妹のユカといっしょに船に乗っていますが、ゲームの進行によっては、怪物の正体は主人公自身だったという展開になります。

そして、主人公が死ぬ寸前。化け物の姿に変わり果てた兄に、ユカが「お兄ちゃん………!」と呼びかけると、

NOVA

NOVA

「………ユカ。お家に帰ろう………。ほら………あの暖かい家に………。あぁぁ………。眠い………。お兄ちゃん………とても………眠いよ。眠いんだ………。とても………。眠い……んだ………。とて………も………」

と、主人公が絶命してエンドでした。


また、違うルートでは、怪物の正体はユカだったという展開になり、かわいかった妹が、化け物に変貌します。

NOVA

そうして、心まで怪物になった妹が、触手で女の子を犯しながら、「クククッ………人間のメスの味わいは最高だ」「自分から求めてきておるわ」と喜びます。

そんな姿を目の当たりにした主人公は、「それでも………あれはユカなんだよ。僕の………僕の妹なんだ」。

そして、ユカが死ぬ寸前、主人公が「ほらっ、僕だよ、お兄ちゃんだよ!」と呼びかけたりすると、

NOVA

「オニイチャン………。サヨウナラ………。………サヨウナラ………オニイチャン………」と妹は絶命。

「変わり果てた姿になっても、ユカは僕の事を覚えていてくれた。僕の事を、最後までお兄ちゃんと呼んでくれたのだ………」という主人公の独白で終わりました。

NOVA

NOVA

NOVA

NOVA

NOVA

NOVA


そんな感じで、物悲しさが印象深かったこの物語。

兄と妹の間に恋愛感情はないわけですが、なにが起ころうと変わらなかった兄妹の絆、お兄ちゃんと呼んでくれることの感動をポイントにした、兄妹のつながりの描写が秀逸でした。

エロゲの都合上、純粋な「兄妹愛もの」の良作というのは珍しく、それがこんな早い時期にあったことは、妹ゲーム史におけるひとつの小さな出来事として語り継ぎたいです。

という気持ちで、『NOVA』をチョイスしました。

もちろん、古いゲームですし、いまの感覚で見ると微妙かも知れませんし、思い出補正がガッツリ入っています。


と、90年代前半のエロゲ妹の中から、『禁断の血族』と『NOVA』に代表してもらう形で動画に含めました。

ですが、もちろん、ほかのエロゲ妹たちも、思い出深いです。

たとえば、『横浜エレジィ』の義妹・恵子に5万円借りたたこととか、クッソ情けなくて印象深いです。

横浜エレジィ
やさしい!

また、『GOKKO2』の妹・由伊奈も、(当時の基準で)かわいかったですよね。

GOKKO2

『パソコンパラダイス』1993年12月号では、こう嘆かれていました。

『パソコンパラダイス』1993年12月号

まだ『ときメモ』すら発売されていない時期の、「攻略できない妹への不満」の記述です。


それから、個人的な好みでは、1992年の『煩悩予備校3』の妹とか好きでした。

煩悩予備校3

煩悩予備校3

……やおい好きで夢は同人作家と、エロゲでは最古の腐女子妹かと存じます。

最古といえば、妹を妊娠させる最古のエロゲは、1993年の『マージナル・ストーリーズ』でしょうか。

マージナル・ストーリーズ

これはホラーなので、兄の指先から放出された謎の液状生物が妹の股間から侵入したことで、妹がなんだかよくわからないものを妊娠したのですけど……。


あと、妹といろいろあるゲームとしては、1994年の『雑音領域』がすごくて、実妹を殺したり、実妹に殺されたり、実妹と手を重ね合いながらいっしょに殺されたり、妹的存在に無理心中をキメられたり、実妹の義妹に殺されたり、実妹の尻からホイップクリームを浣腸したり、シチュ山盛りでした。(そんだけあって、実妹と恋愛関係になるルートはナシ)

雑音領域

雑音領域
ゲーム開始10分でフロントガラ死する妹的存在

そんな感じで、『同級生2』の鳴沢唯以前にも、エロゲ界には、妹たちがいたのでした。

後世では、彼女たちの存在を無視して、まるで1995年から始まったかのように歴史が語られることが多いのですが……。

いもうとゲー年表
美雪のこと、忘れないでね!!

ネットアイドルちゆは、90年代前半エロゲ妹たちを応援しています。