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先日、少年マガジンで、久米田康治先生の新連載「さよなら絶望先生」がスタートしました。

漫画で「さよなら○○先生」といえば、思い出されるのは、むかし少年チャンピオンで連載していた「さよなら!!岸壁先生」です。

第1巻の書影


主人公の名前は、岸壁(がんぺき)先生。

とある財団によって作られた、教師用サイボーグです。

彼の存在によって生じる混乱を恐れた文部省は、岸壁先生を抹殺するために総理大臣付きのSPを派遣します。

そのSPは、初登場シーンからベンチプレスの真っ最中という、腹筋の割れまくった女でした。

腹筋の割れた女性
たぶんサービスカット

初対面の岸壁先生が「キミはすごいガタイしてるねえ!」と褒めるくらい、別の意味でナイスバディな彼女。

しかし、その次の日には岸壁先生の男らしさに惚れて、結婚の約束をすることになります。

……そう、実は彼女が、この物語のヒロインだったのです。

第2巻の書影


という感じで、この漫画は小池一夫先生の作品。

岸壁先生の教育理念も、小池流マッチョ思想に染まっています。

たとえば、岸壁先生は校長先生に対して、次のように説教します。

なにかと言えば生徒たちのためによかれと思いすることだと!! そういうものの考え方がダメなんですよッ

たとえばですね! 女生徒のスカートをパッとめくってみる!!

ああ! キミのパンティは今日は真ッ白で眼にしみるようにあざやかですねえ てなことをやるわけです

説教する岸壁先生
(※説教前の戦闘で眼球をくりぬいたので流血してます)

その女生徒は怒るでしょ! 泣くかもしれません でも心の中ではぐッと親近感を持つはずです

あの先生は私に気があるんだわと思うわけです ハハハハハハ

大事なことは親近感なのです

……そんなの単なる変態教師だと思いますが、それが小池ワールドでは素晴らしい教師なのです。


そんなこんなで、岸壁先生はあらゆる問題を授業と説教で解決していきます。

たとえば、文部省から派遣されたSP(正体は戦闘用サイボーグ)に襲われたとき……。

岸壁先生はこう提案します。

教育でお前と勝負がしたいッ

おれの授業を受けておもしろくなかったら おれの負けだッ 無抵抗で殺されてやろう

そうして、水と空気でロケットを飛ばす授業を行なう岸壁先生。

戦闘用サイボーグは感動して泣き崩れ、SPを辞めて高校生に戻る決心をするのでした。

板垣恵介先生のペンネームの由来

というわけで、「さよなら絶望先生」のタイトルは、この漫画から来ていると思われます。

もちろん、それ以外にも、小池一夫細胞は漫画界の様々なところに侵食しています。


たとえば、小池一夫公式サイトのインタビューによると、「グラップラー刃牙」の作者・板垣恵介先生のペンネームの由来は、小池漫画の主人公・茨城圭介なのだそうです。

茨城圭介は、「傷追い人」 という作品の主人公。

白髪鬼(ホワイト・ヘアード・デビル)というあだ名の持ち主です。

小池漫画の主人公らしく、知力・体力・気力を兼ね備えた完璧超人で、ことあるごとに「くわッ」と目を見開き、意味もなく服を脱ぎます

もちろん、女にもモテまくりのヤリまくりです。

セックスシーン
「おおッ ホワイトーッ ああ~~ッ ヘアード!! デビ――ル!!」

以下、白髪鬼がいかにスゴい男か、状況別に見ていくと……。


■ケース(1) 戦闘中、血で視界が悪くなった場合

仲間の女性に、「血で眼が見えン!! 小便をひっかけてくれ!!」と要求。

女性が躊躇していると、「早くしろ――ッ!! 小便だ――ッ!!」と怒鳴ります。

そして、放尿を顔面で受け止めると、なぜか妙にサッパリした表情を見せてから、巨大な倒木を抱えて敵にタックル。見事に敵をぶッ殺しました。


■ケース(2) ナイフで刺された場合

白髪鬼が力を込めると、腹に刺さったナイフが筋肉に押し返されて「ポン!」と飛び出します。もちろんほぼ無傷でした。

説教する岸壁先生
ポン!

また、腕を刺された時も、同じように「ポン!」を披露してから、「ガキの力じゃア、男は殺せねえのさ」と言って、「くわッ」とキメていました。


■ケース(3) 好きでもない女に言い寄られた場合

おもむろにズボンを脱ぐと、言い寄ってきた女にフェラチオさせる白髪鬼。

しかし、女がいくら頑張っても、まったく勃起(エレクチオン)しません。

「なぜエレクチオンしないのよ――ッ!! 私のような美い女がしてるっていうのに――ッ」

絶叫する女に、白髪鬼は斜め45度の角度で「愛してないからさ」と告げるのでした。

ちなみに、男がエレクチオンせずに女が怒るのは小池ワールドでは非常にありふれた光景で、小池一夫ファンサイト・道中陣さんでは「どうしてエレクチオンしないの~ッ!一覧表」を作っておられます。


そんなこんなで、板垣恵介先生をして、

『傷追い人』という作品の中に“茨城圭介”という主人公が登場するんですが、カッコよかったんだ~これが

……と言わしめ、ペンネームの由来になった白髪鬼。

もちろん、「スラムダンク」の安西先生の若い頃のあだ名が白髪鬼(ホワイト・ヘアード・デビル)だったのも、小池一夫リスペクトでしょう。

絶望先生、板垣先生、安西先生……。その他、言い出したらキリがないほど漫画界のあちこちで尊敬されまくっている小池一夫先生。

70歳近い今なお現役で、齢を重ねてますますイカした小池漫画を作り続けている、偉大なお方です。

ネットアイドルちゆは小池一夫先生を応援しています。

『岸壁先生』に関する補足

どうして岸壁なのか

いちおう、本人は次のように述べています。

いつも断がい絶壁に立っているような気持ちでギリギリまではあきらめねえ──ッ!! だから岸壁先生なのよ──ッ

当時の少年を興奮させたエロシーン

『岸壁先生』には、女教師が電球をくわえさせられるシーンがあります。

不良に襲われる佐々木先生

楽しそうな不良たち

この後、女教師が脱がされてオシッコをもらしたところで、岸壁先生が登場。

岸壁先生はみずから電球をくわえてセルフビンタで叩き割り、「こんなもン 食っても食わせてもしょうがねえだろ!!」と叫ぶのでした。