白乱のニュース惑星というサイトに、宗左近先生が作詞した歌詞の一覧が作られています。
たとえば、福島県立清陵情報高等学校の校歌を見ると、導入部はこんな感じ。
ここ 曙の湧きでる丘 清陵 目をあげて
意味もなく壮大な風景描写から始まる、ごく普通の校歌です。
ところが……。
きみとぼく きみとぼく 光と光 涙のなかからも
きらめかねばならない 若い稲妻 ゆんゆん
ああ 何のために人間はいるのか
唐突に謎のワード「ゆんゆん」が登場したかと思うと、話題は哲学に飛躍。
曲は盛り上がり、クライマックスへと畳み掛けます。
発信しよう 激しい愛を
青さのむこう 昼の空の星にまで
発信 ゆんゆん 発信 ゆんゆん 発信 ゆんゆん 光と光
はい、完全にぶっ壊れました。
歌詞の意味は全く理解できませんが、かろうじて宇宙人に電波を送っているものだと推測できます。
ゆんゆんと発信した激しい愛が宇宙人さんに届くのかは分かりませんが、宗先生が何かを受信しておられるのは間違いないと思います。
続く2番では、「ここ、そよ風の生まれでる丘、清陵」というオーソドックスな序盤で少しは病状が回復したかと見せかけますが、すぐさま「若い竜巻、よんよん」と謎の電波が混入。
「ああ、何のために世界はあるのか」と哲学した後は、「受信しよう、熱い祈りを」「受信 よんよん 受信 よんよん 受信 よんよん」とロケットでつきぬけてしまいます。
この1曲に限らず、歌わされる学生に同情したくなる校歌を、宗先生は数多く作詞しておられます。
たとえば、習志野台第二小学校の校歌は、次のような感じ。
まぶしいロケット噴射だよ 発進地 ここは習志野台 タンタン 第二小学校
最後は
用意! 用意! シュウシュウシュウシュウシュウシュウシュウシュウシュウ
と、ついにあふれる情念を日本語では表現できなくなった模様です。
さらに、東京電機大学中学高等学校の校歌でも、「電子の愛は踊るのだ」「陽子の祈りは歌うのだ」などと宗ワールドを展開。
最後は
いつまでも 百歳までも タントンタターンタントンタン ルンランルラーンルンランルン ルンラン ルンラーン
と締められて、まさに向こう岸まで逝ってしまった感があります。
また、宗先生の仕事は校歌に限らず、「次の世紀へ歌いつがれる市川市民の歌」として作られた市川賛歌も作詞。
市川は富士山が見える場所なのですが、宗先生は、
少女の乳首の尖きに富士とがり(1番)
尖り始める少女の乳首の富士(3番)
などと、少女の乳首への異常な執着を見せつけてくれました。
そんな宗先生は、1919年福岡生まれ。東大哲学科を卒業。詩人にして評論家にして仏文学者という多才な方です。
「宗左近」というペンネームは、戦争中に死線をさまよった際に、「そうさ、こん畜生」という捨てぜりふから思いついたとのこと。
シビれます。
ネットアイドルちゆは、宗左近先生を応援しています。