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「少年ガンガン」などの漫画雑誌を出しているエニックスが、「コミックバウンド」という青年誌を作ったことがあります。

●表紙:水着のグラビアアイドル

●キャッチコピー:「バカに目覚めるオトコのコミック」

●目玉連載:漫☆画太郎「虐殺!ハートフルカンパニー」

……一体どっちに向かって弾んでんだという感じで、わずか5号(2ヶ月)で潰れました


それから4年、いま、エニックスが再び青年誌に挑戦しています。

その名は「ヤングガンガン」

表紙はドラクエかFFで、目玉連載は、かつて「少年ガンガン」の主力だった「ロトの紋章」の続編。

子供のころ「ガンガン」を読んでいた層や、ゲーム大好きのアダルトなチルドレンを狙っているようです。

とりあえず、「少年ガンガン」に比べると乳首が出まくるあたりがヤング

あと、読むとインクで手が真っ黒になるという「ガンガン」の特徴を忠実に引き継ぎました


ところで、ちゆにとって「ガンガン」が一番面白かったのは、創刊まもないころ。

矢追純一監修の宇宙人漫画とか、盲目っ娘萌えの格闘漫画(4つの鈴を集める話だったがもちろん全部集まる前に打ち切り)とか、雑誌の方向性が定まらずに油っこい漫画が乱立していました。

そんなガンガン黎明期を支えた作品の1つが「激闘!!一番」です。

ストーリーは、教室にリングのある高校に入学した主人公が、いろいろな格闘家と戦っていくというもの。

上級生のシゴキでタイヤのトンカツを食べさせられたりします。

『激闘!一番』 第2巻164頁

第1話の敵が青銅会館(たぶん正道会館がモデル)を名乗るなど、いちおうマジメな異種格闘漫画っぽいのですが、マーシャルアーツ使いがベトナムホイップを出したり、中国拳法家が秘孔をついてきたり、どこまでマジなのかよく分かりません。

ちなみに、当時「ダッダーン! ボヨヨンボヨヨン」というCMが流行っていましたが、この漫画のヒロインは、保健のダッダン先生

『激闘!一番』 第2巻140頁


そして、この漫画で最もイカれていたのは大玄寺くんです。

『激闘!一番』 第3巻188頁

初登場シーンからヤンキーに絡まれていますが、その理由は、「てめえ俺のダチ公に何をしたっ。てめえがやってるなんとかセミナーに行きだしてから、タバコはやめるわ 酒はやめるわ すっかりマジメになっちまったぜっ

そんなわけで、学校中に超神秘力発掘セミナーを布教している大玄寺くん。

「正しい心!」と念じるほどパワーアップするので、試合中も、彼のクラスメート(セミナーの会員)たちが、「正しい心!正しい心!」と応援していました。

しかし、主人公の必殺技・胴首閃斬(要するにキン肉ドライバー)で倒され、大玄寺くんは忘れていた記憶を取り戻します。

彼は、苦労して買ったドラクエを自室で今まさにやらんとしている時、突然窓から入ってきた謎の男たちに誘拐され、改造手術を受けさせられたのです。

「私は……私は……」

『激闘!一番』 第4巻77~78頁

「ドラクエをやりたかったんだあ――――っ!!」 魂の叫びをあげると、大玄寺くんの姿が……。

『激闘!一番』 第4巻80頁

「な なんだあ あれは――っ!?」

「だ 大玄寺が変身した――っ」

と、ドラクエやりたさのあまり虎に変身したのかと思いきや、校長先生が叫びます。

「しまった 奴に埋め込んだ虎の強化細胞が暴走しおったか――っ」 ……犯人はお前か。

その後、ダッダン先生の正体は警視庁の秘密特捜刑事だったとか、校長が動く便器に乗って逃亡とか、死ぬほどどうでもいい展開が続いた後、主人公がライオンになって大玄寺くんを倒して終わるのでした。


そんなわけで、「ヤングガンガン」にも、こういう昔の「ガンガン」を彷彿とさせるような漫画があると個人的には嬉しいです。

ネットアイドルちゆは「ヤングガンガン」を応援しています。