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白泉社の「花LaLa online」というサイトに関する記事を、以前書きました。
この記事は、2016年に『パタリロ』がウェブ連載に移行したら、私の想像以上に現在の『パタリロ』は不人気だったという話なのですが……。
その時期の「花LaLa online」の作品で、わりと人気だったのが『俺様×妄想 創作中!』という漫画でした。
↑ 当時の「花LaLa online」
『俺様×妄想 創作中!』は、ゆりせれい先生のデビュー作となる短期連載。
電子版だけですが、単行本化もされています。
(当時の「花LaLa online」の新人作品だと、基本的に、紙の単行本まで出してもらうのは無理な感じでした)
私はこの漫画が好きなので、少し紹介させていただきます。
『俺様×妄想 創作中!』
『俺様×妄想 創作中!』の主人公は、エッチな妄想が得意な女子高生。
ある日、大企業御曹司で成績学年トップでエロ絵を上手に描けるイケメンと出会って、コンビを組んでエッチな漫画を作ることになります。
つまり、『バクマン』のエロ少女漫画バージョンでしょうか。
……と、エロ絵を描くイケメンに心ときめく女子高生でした。
しかし、このイケメン、「俺、エロい事しないとエロ絵描けないからな」などと言い出します。
さすがイケメン、こんな最低の台詞にキラキラのトーンが貼られています。
そうして女子高生は、イケメンにエロ漫画の作画をしてもらうために、触られたり脱がされたり舐めさせられたり……。
※舐めているのはアイスです
こんな感じで、女子高生がエロいことをしてイケメンの創作リビドーを刺激し、ふたりの作品を作っていくという少女漫画でした。
……と、完徹でエロいことをして、
朝チュンでエロ漫画が完成しているというのが、感動の最終回でした。
『囚の囚』
ランキングを見る限り、「花LaLa online」にて、エロい作品の数字が良いのは確かでした。
2006年春の新作としては『俺様×妄想 創作中!』に次ぐ位置だった『囚の囚』という漫画も、
主人公の女子高生が、脚フェチの殺し屋に脚を舐められたり脚を撫でられたりしながら、だんだんと殺し屋に惹かれていくというストーリーでした。
(キャッチコピーは「這い上がるフェチズム♡アクションラブ」)
この漫画のエロ要素は足を舐め回すだけで、それほどエッチな内容ではありません。
ポテンシャルは感じるのですが、この後、作者のもりとりと先生は、特に目立った活動をしておられないと思います。
『シスターとヴァンパイア』
そして、「花LaLa online」のオリジナル連載でトップクラスの人気だったのが、『シスターとヴァンパイア』という漫画でした。
「ずっ…」は挿入した音ではなく、ヴァンパイアさんが血を吸っている音のようです。
そんな感じで、耽美な吸血シーンが延々と続く感じの内容。
シスターさんの乳首も、普通にネット掲載されていました。
※血を吸っているだけです
ティーンズラブっぽいところもありますが、当時の「花LaLa online」では普通に少女漫画あつかいされており、単行本も普通の「花とゆめコミックス」として出ております。
エロ少女漫画は、00年代前半ごろの小学館に多かった(参考記事)のですが、その時期でも、白泉社の『花とゆめ』や『LaLa』には少なかったです。
なので、『花とゆめ』や『LaLa』の読者層には、あまり露骨なエロ漫画は好まれないイメージもあったのですが……。
実際の「花LaLa online」のランキングでは、『シスターとヴァンパイア』はかなり上位。
たとえ白泉社系だろうと、女性向けエロの需要は普通に強かったのでした。
(よく分かりませんが、「エッチな漫画を紙の本で買うのはムリだけど、アプリや電子書籍なら」という方も多いみたいで、ネットの方が正直な需要が出ている気もします)
『絶頂島の姫』
……というのが、2016年ごろの話でした。
2017年になると、「花LaLa online」は「マンガPark」というアプリに統合されました。
『シスターとヴァンパイア』の連載も「マンガPark」に引き継がれて、2020年まで続きました。
(2020年7月に、シスターさんとヴァンパイアさんが本番セックスして最終回。2023年現在は、続編『シスターとヴァンパイア grace』が『いちゃLaLa』で連載中です)
そして、あの『俺様×妄想 創作中!』の作者・ゆりせれい先生も、「マンガPark」で新作『絶頂島の姫』を連載しています。
主人公の女子高生は、8人のイケメン犯罪者たちと一緒に無人島に閉じ込められております。
その島には謎のルールがあって……。
・主人公が付けられた首輪からは、1日2回媚薬が注射される。
・媚薬が入ると主人公は発情して、イクまでおさまらない。
・イカずに我慢していると、発情しすぎて死ぬ。
・主人公には、最終的に自分と一緒に救助されるイケメンを1人だけ選ぶ権利がある。
だいたいこんな感じで、要するに「1日2回イケメンにイカされないと死ぬ逆ハーレム島に無理矢理閉じ込められてしまったシチュ」です。
公式の宣伝文句は、「結衣の体は定期的に発情し、彼らにイかせてもらわないと死に至る仕掛けが!! 話題沸騰! 連続発情クライムサスペンス!」でした。
てことで、イケメン犯罪者たちが代わる代わる主人公をイカせる感じで、エロシーンはわりと過激なのですが……。
これが連続発情クライムサスペンスです。
それから、8人のイケメン犯罪者どうしの争いもあって、男が男を調教したり……。
無人島には、なんか謎の化け物も住んでおります。
※作中でも「謎の化け物です」と説明されていました
この辺、まとまりは良くない気がしますが、イケメン・エッチ・デスゲーム・BL・怪物パニックなど、とにかく女の子の好きなものを詰め込んでみました感はあります。
(待てば無料で読めるタイプなので、もしも興味があれば「マンガPark」でお読みください)
あと、「マンガPark」内では声優コンテンツも販売されており、
こちらは、「発情発作を起こしたあなたにイケメンがささやいてくれる音声」みたいな内容です。
(「私は聖童貞…」というイケボから始まるドラマが冒頭5分ほどは無料)
なお、「マンガPark」の漫画は次のように分類できるのですが、
・白泉社の雑誌で連載中の漫画
・過去の作品
・マンガPark用に描かれたオリジナル作品(2021年1月時点で、完結作を含めて110作ちょい)
その「マンガParkオリジナル」110作品くらいの中で、『絶頂島の姫』はトップ3に入る人気を誇っております。
(人気の高さから、紙の単行本を出すことも許されました)
※この記事は、2021年1月にnoteに書いたら削除された記事のリサイクルで、数字は2年前のものとなります。
お気に入り登録数の比較
「マンガParkのオリジナル漫画」に分類される作品について、「お気に入り登録数」を比較してみると……。(2021年1月時点)
『恋と心臓』:42万
『ミントチョコレート』:35万
『絶頂島の姫』:31万(エロ)
『全部教えて、先生。』:30万(エロ)
『虐殺ハッピーエンド』:27万
『今夜は誰に抱かれたい?』:22万(エロ)
『トナリはなにを食う人ぞ ほろよい』:21万
『シスターとヴァンパイア』:21万(エロ)
『JKくのいちは全てを捧げたい』:21万(微エロ)
『早瀬、先にイクッてよ』:17万(エロ)
『アウトブライド-異系婚姻-』:15万(エロ)
『フルーツバスケット another』:14万
というのが、上位12作。
ざっくり、上位の半分はエロ系という感じでしょうか。
それに続くのは、だいたい次のような分布(?)になります。
6作品:12~9万
8作品:7~6万(『新人漫画家、風俗嬢になる』など)
10作品:5万台
10作品:4万台
6作品:3万台
15作品:2万台(『人魚姫オーバーキル』など)
18作品:1万台
11作品:1万未満・パタリロより上
『パタリロ!』:7500
18作品:パタリロ未満
これがけっこう厳しい世界で、7万クラスでも、3巻くらいで打ち切られて紙の単行本を出してもらえないのが珍しくありません。
(5万クラスだと2巻打ち切りが普通にあるレベル。2万クラスだと電子単行本すら出してもらえないケースも多くなります)
少女漫画なのか、TLなのか
先ほど述べたような感じで、「マンガPark」オリジナル作品では、12傑のうち6タイトルほどがエッチな漫画です。
そのうち2作品(『全部教えて、先生。』『早瀬、先にイクッてよ』)が、『Love Jossie』で連載しているので、ティーンズラブ寄りかと存じます。
(ただ、『Love Jossie』の触れ込みが「ラブ女子のためのちょっとオトナな少女漫画ウェブマガジン」だったりするので、少女漫画でもあるのかも知れません。
そもそも『Love Jossie』の連載が「マンガParkオリジナル」扱いになる理屈も私にはよく分かりません)
その2作以外は、「マンガPark」アプリ上ではティーンズラブのタグが付いていますが、単行本は「花とゆめコミックス」で出ているという感じです。
『シスターとヴァンパイア』『アウトブライド-異系婚姻-』『今夜は誰に抱かれたい?』は、「花とゆめコミックス」。
『絶頂島の姫』は、「花とゆめコミックススペシャル」。
そんなこんなで、この辺の作品は、少女漫画なのかティーンズラブなのかフワッとしている印象です。
(なお、『JKくのいちは全てを捧げたい』も少しエッチで、第1話で最後までしちゃって「痛いよぉ…」とか言うのですけど、ティーンズラブタグも付いていなくて、完全に少女漫画あつかいのようです)
『アウトブライド-異系婚姻-』
少女漫画なのかティーンズラブなのか微妙なタイトルのひとつが、『アウトブライド-異系婚姻-』です。
花とゆめコミックス
主人公の女子高生が、交通事故から目覚めると、そこは2000年後というストーリー。
すでに人類は滅亡しており、主人公は世界でひとりだけの純血の人間ということで、人外のイケメンたちに子作りを求められるという感じです。
2000年後の世界では、人間に有害な元素が漂っているため、主人公は定期的にイケメンの体液を摂取しないと死にます。
主人公が自分の意思で逆ハーを作るとアレなのか、『アウトブライド-異系婚姻-』や『絶頂島の姫』では、「イケメンだらけの世界に強制移住させられた主人公が、セックスしないと死ぬ設定」を採用しています。
てことで、この漫画、イケメンにエッチなことをされるシーンが多いです。
序盤は、あんまり脱がないけどクンニ多めという印象です。
そして、『花とゆめ』本誌の2020年18号を見ると……。
と、『アウトブライド-異系婚姻-』の番外編を掲載。
その中で、「“人間の女性”という理由でイケメンから子作りを迫られるえげつない逆ハーです」と、『花とゆめ』読者に向かって宣伝していました。
この辺、白泉社は『アウトブライド-異系婚姻-』を、『花とゆめ』の年齢層に向けた少女漫画と認識しているようです。
おしまい
そんなこんなで、白泉社のウェブ媒体(花LaLa online → マンガPark)で、エロ少女漫画の人気は高いという話でした。
(紙媒体の『花とゆめ』『LaLa』は、基本あまりエロくありません)
ネットアイドルちゆは、『絶頂島の姫』『アウトブライド-異系婚姻-』を応援しています。
おまけ:『フラレガール』について
紙媒体の『花とゆめ』だと、近年では『フラレガール』の主人公カップルが、そこそこエッチなことをしていました。
と、彼女の服を脱がす緊張に耐えられなくて、しりとりを始めてしまう童貞。
これは個人的にはなんとなく、「ティーンズラブ」的なものというよりは「少女漫画」的なイメージです。
メモ:白泉社のウェブ展開の歴史
白泉社のウェブ展開の歴史は、なんとなくこんな感じでした。
2012年4月:「ヤングアニマルDensi」「花とゆめONLINE」を開始
2013年11月:「LaLaメロディonline」を開始
2015年4月:「花とゆめONLINE」「LaLaメロディonline」を「花LaLa online」に統合
2017年8月:「ヤングアニマルDensi」「花LaLa online」を「マンガPark」に統合
最初は雑誌ごとにサイトを作って、なんやかんやあって、「マンガPark」というアプリに統合されたのでした。