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戦隊ヒーローは基本的に、カラフルな全身タイツの5人組です。

ところが、平成4年の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」では、初めて6人目の戦士が登場しました。

その名は、ドラゴンレンジャー・ブライ

最初は敵として登場、設定はレッドの兄、演じるのは「電撃戦隊チェンジマン」でブルー役だった和泉史郎さんと、ファンの心をくすぐるキャラクターでした。

味方になったブライはあと30時間の命だと宣告されて、時の停止した部屋で過ごすことになります。ところが、他の仲間が危機になるたびに、彼は命を削って助けに駆けつけるのです。

結局、命を使い切ったブライはレッドに想いを託して絶命。その様子は、第40話「ブライ死の出発」、第41話「燃えよブライ!」、第42話「ブライ死す…」ブライ3部作でじっくりと描かれました。


その後の戦隊シリーズでも、しばしば6人目の戦士が中盤から登場。似たり寄ったりの仲良し5人組とは一味違ったスタンスの戦士として、番組を盛り上げてくれました。

たとえば、「未来戦隊タイムレンジャー」のメンバーは次の5人です。

タイムイエロー 有名な格闘技選手だったが、あるハプニングで永久追放されて地位と栄光を失う。
タイムピンク 幼いころ犯罪者に母・父・妹の家族を皆殺しにされて、その復讐のために生きる。
タイムグリーン 滅亡した惑星のただ1人の生き残りで、物心がついた時から研究所に隔離され、実験対象にされながら孤独に暮らしてきた
タイムブルー レーサーを目指していたが、「1年以内に突然発症して問答無用に死ぬ」という不治の病にかかる。
タイムレッド 大金持ちの権力者の息子で何の苦労もなくエリートコースを歩んできたが、「親に決められた通りの人生はイヤだ」と駄々をこねて家出

基本的な物語は、上の不幸な4人ワガママ坊ちゃんのレッドに感化されていくというもの。

ただ、妙に未来がない奴ばかり集まった未来戦隊の設定はあまりにも暗すぎて、子供向け番組では生かし切れていませんでした。

そこに登場したのは、6人目の戦士・タイムファイヤー

貧乏な出身から来るハングリー精神の持ち主で、実力で出世街道を駆け上って行く野心家。迷わないクールな性格は、どこかイジけた主役5人組よりも遥かに爽快でした。

この6人目の戦士はいい意味で物語のスパイスとなり、彼が登場する前と後では違う番組に思えるほどのテコ入れに成功しました(やや誇張)。

ついでに彼が操る巨大ロボットは子どもに人気が出やすい恐竜型だったため、バンダイも潤いました

ともあれ、タイムファイヤーは最終回の直前、子どもをかばって重症を負ったところをザコ戦闘員に狙撃されて死亡

「6人目の命は軽い」という俗説の信憑性を高めてくれました。


そんなこんなで、今週放送された「百獣戦隊ガオレンジャー」は第23話「狼鬼、死す!?」

最初は敵として登場するタイプの6人目の戦士・ロウキが、仲間になる話でした。

ロウキの正体は、ガオレンジャーの仲間。

強力な怪人を倒すために自ら邪気を取り込んでパワーアップしたものの、その呪いで自分が怪人になってしまったのでした。

そして、呪いを解くにはロウキを倒せばいいというお約束の展開です。奇跡のパワーで月食を起こすガオゴッドの助けも借りて、ついにロウキに勝つガオレンジャー。

見事に呪いは解けて、ロウキは人間に戻りました。


…そんなわけで、今週はシリアスな展開ばかりで書くことがありませんでしたが、来週からはロウキがガオシルバーに変身して大活躍する模様です。

ネットアイドルちゆは、いずれロウキが見事な死に様を見せてくれることを期待しています。