今月の16日、プレイステーション用ゲーム「キャプテン翼~新たなる伝説・序章~」がコナミから発売されます。

序章というからには、今後も続編が発売され、最終的には「ロード」全13章のようになるのでしょうか。


さて、「キャプテン翼」のゲームと言えば、テクモが作ったファミコン版「1」「2」、スーファミ版「3」「4」「5」が有名です。

ディフェンダー全員とキーパーをドリブルでかわして無人のゴールにシュート

●ドライブシュートの撃ち過ぎでバテた翼くんが回復するまで、他のザコメンバーで持ちこたえる

●強引なドリブルで中央突破し、ディフェンダーを4~5人吹き飛ばすタイガーショットで得点

三角飛び、あびせ蹴り、手刀パンチングなどを駆使してゴールを死守する空手キーパー

●あらゆる殺人シュートを顔面でブロックする石崎くん

オフサイドはないのにオフサイドトラップがある(GB版)

そんな感じの異次元変態サッカーを、原作に忠実に楽しめます。


「2」以降は、原作「キャプテン翼」の続編となるオリジナルストーリーで、燃えるシチュエーションの連続です。

翼くんがブラジルのチームを率いて全日本と戦ったり、石崎くんが必殺シュート・ヤマザルバスターを会得したり、超絶進化を遂げた新田くんがラスボスとして現れたり……。

また、ゲームオリジナルの登場人物たちも輝いていました。

ライン際で抜群の能力を発揮するカペロマン。カールルイスよりも速くグラウンドを駆け抜け、消えるシュートで得点するスーパーストライカー・コインブラ。ゴール前に異次元空間を発生させて姿を消し、再び現れた時にはボールをキャッチしている謎のキーパー・ゲルティス。人智を超えたドリブル速度を持つ、その名もマッハ―くん……。

ちなみに、「4」「5」の若林くんはSGGK(スーパーグレートゴールキーパー)機能を搭載し、ペナルティエリア外からのシュートをほぼ確実に止めます。

一方で、「そう何度も抜かれてたまるか~」と叫びながらザコにゴールを割られてしまう森崎くんの姿は哀れでした。


なお、翼くんの彼女・早苗ちゃんの顔は、ゲームごとに別人のように変化します。

早苗ver1
1(FC)

早苗ver2
2(FC)

早苗ver3
3(SFC)

早苗ver4
4(SFC)

早苗ver5
5(SFC)

「4」の早苗ちゃんは何か悪いものでも食べたのか、明らかに「3」より退化しています。一番原作に忠実なのは「5」ですが、ドット絵フェチの方にはむしろ「1」の方がツボかも知れません。

一方、チームメイトに「ポストの方がまだマシだぜ」と言われた経験を持つ”ブラジルの森崎”ことレナ―トくんは、「4」の時が一番の美形。

レナートver1
2(FC)

レナートver3
4(SFC)

もっとも、ルックスが良くなった割にキーパーとしての性能は落ちているのですが。


そうそう。試合前には、監督が相手チームの情報を教えてくれます。

たとえば、中国戦のアドバイスは、「4000年の歴史がある国だ。どんな相手がいても不思議ではない。敵の動きに気をつけろ」。

また、別の試合では、「CF・ザガロにはダブルイールというキーパー殺しのシュートがある。ちなみにイールとはウナギのことだ。カバヤキにするとうまいぞ」。

そして、「5」のエンディングは……。

早苗ちゃんと翼くん

お姫様だっこですよ! 殺し文句も倒置法ですよ!

でも、ボールは恋人・グラウンドが愛人という感じでサッカーボールでオナニーしていそうな翼くんが、なにゆえ人間の女性と恋愛などするのかは永遠の謎です。


ともあれ、そんな感じで原作の続編をつづってきたゲーム版。そこに異変が起こります。

原作者の高橋陽一先生が自ら、正統な続編「キャプテン翼 ワールドユース編」の連載を始めたのです。

「ワールドユース編」のストーリーはゲーム版とは違い、ゲーム版のオリジナルキャラクターも出てきません(劣化コピーらしき奴は何体かいますが)。

そして、人気キャラクターのシュナイダーがブラジルやスウェーデンのかませ犬&引き立て役にされるわ、「葵新伍(青い信号)」「赤井止也」という狂ったネーミングセンスのキャラが出てくるわ……。

最後は打ち切りの憂き目にあい、ずっと前から伏線を張っていた因縁のオランダ戦は省略されて見開き2ページで終了打ち切り進行の中で行なわれた決勝戦も、盛り上がる盛り上がらないという以前の問題でした。

一部ファンの間では、「ワールドユース編」は陽一先生が作った同人誌として扱われ、ゲーム版のストーリーが「正史」だということになっています。


ともあれ、そうしてゲーム版オリジナルストーリーの立場が厳しくなったところで、版権はテクモからバンダイへ案の定クソゲーが作られ、ファンの間では「黒歴史」と呼ばれて存在しなかったことにされています

その後、さらに権利はコナミに。先日は実在Jリーグ選手が雷獣シュートを撃つゲームボーイアドバンス版が発売されました。

そんな経緯で登場する、新作「新たなる伝説・序章」

発売前の情報では、かつてのテクモ版に近いシステムだそうです。もうテクモのキャプテン翼は帰ってこないというあきらめと、それでももしかしたらという期待に、ファンの心は揺れます。

ワールドカップ特需で「出せば売れる」と適当に作られたゲームでなければよいのですが……。

ネットアイドルちゆは「キャプテン翼」を応援しています。