本文
最近の『刃牙』に、「奥手な主人公に積極的な女の子がアプローチしてきてベッドイン」という場面がありました。
そこで今日は、本当に『刃牙』が恋愛漫画化しているのかを検証。
恋愛漫画の傑作『電影少女』における同様のシチュエーションと比較してみようと思います。
女の子のキャラクター
まず、相手の女の子のキャラクターを比べると……。
~電影少女の場合~
伸子ちゃん
女子高生。前向きで明るく、主人公を一途に慕ってくる可愛い女の子です。
「こんな彼女が欲しい」と思う男性読者も多かったでしょう。
~刃牙の場合~
梢江ちゃん
水商売のお姉ちゃんにしか見えませんが、いちおう女子高生。
気に入らないことがあれば、たとえ相手が身長190cmのヤクザの組長でも蹴りかかっていく危ない性格の持ち主です。
「こんな彼女が欲しい」と思う男性読者は頭がおかしいと思います。
女の子のアプローチ方法
~電影少女の場合~
枕を持ってウロウロ
せっかくのお泊りなのに、主人公は手も出してこずにとっとと寝てしまいます。
そのヘタレさに業を煮やして、思い切って主人公の寝室までやって来る伸子ちゃん。
しかし、さすがに「いっしょに寝よう」とは言い出せなくて固まってしまうのでした。
~刃牙の場合~
いきなり下着姿
主人公の部屋に勝手に上がりこんで勝手にシャワーを浴びて服を脱ぐと、主人公が寝ている布団に一方的に潜り込んできます。
とても処女の行動とは思えません。
女の子の気持ち
~電影少女の場合~
どきどきどきどきどき
いっしょのベッドに入って、いよいよ緊張。主人公の方を向くこともできず、丸くなっています。
~刃牙の場合~
筋肉の分析
主人公の体にペタペタ触って、筋肉の柔らかさを観察。
その後、「あなたはわたしのもの」と勝手に決め付けながら、後ろから抱きしめます。
男の子の気持ち
~電影少女の場合~
「伸子ちゃん…いとおしい」
この後、がっついて胸に手を伸ばして「先にキスしてくれなきゃイヤ」とたしなめられる、ありがちな展開も。
~刃牙の場合~
「ヤッてやるさ……ッッ」「何を!?」「セックス」
普段から「まるで歯痛のように……なにをしていても梢江が消えない」などと、愛情を虫歯にたとえて表現する主人公。
「ヤッてやるさ……ッッ」と決意した後も、まるでドッペルゲンガーでも見たかのような凄い表情で見つめ合います。
オチ
~電影少女の場合~
いきなりの電話
せっかくいい雰囲気になっても、なかなか本番は難しいのが少年誌。
いよいよというところで、電話に邪魔されてしまいました。
~刃牙の場合~
いきなりの親父
いつのまにか部屋に忍び込んでいた主人公の父親。
この状況の息子に向かって、「強くなりたくば喰らえ!!! 朝も昼も夜もなく喰らえッッッッ 食前食後にその肉を喰らえッッ 飽くまで喰らえッッ 飽き果てるまで喰らえッッ 喰らって喰らって喰らい尽くせッッ」とアドバイスしてくれます。
さらに、息子の恋人であるところの梢江ちゃんに対しても、「飽き果てるまで喰らわせつつも『足りぬ』雌であれ!!!」と助言。
それから「祝福するぜ」と言い残して立ち去りますが、さすがに萎えた2人は「次に会ったときに」と約束して別れるのでした。
そんなこんなで、男女の感情の機微を繊細に描写する『電影少女』に対して、濡れ場も格闘センスで描いてしまう『刃牙』。
やはり、『刃牙』は恋愛漫画とは違う何かでした。