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平成17年2月21日 「ソーサリー」の新訳版が完結

 「ゲームブック」というものをご存知でしょうか。

 たとえば、「妖怪の館 魔王からの招待状」を読んでみると……。
 豪華なごちそうが並んでいて、不気味な悪魔に「毒など入ってないから、腹いっぱい食べてくれ…」と言われる場面で、選択肢が登場。

 「さあ、キミは食べるか?」

 食べるなら21ページへ、食べないなら23ページへ。
 「せっかくだから俺はごちそうを食べるぜ」と、21ページに進むと……。

ごちそうはとてもおいしかったが、それには毒が入っていたのだ…! ムシャムシャ食べていた3人のからだは、だんだんにふくらんでいって、やがて風船のようにパーンと破裂して死んでしまった。

 「風船のようにパーンと破裂して死んでしまった」。ゲームオーバー。

 仕方なく、最初からやり直しです。今度はごちそうを食べないように気をつけて進みますが、途中で出題されたなぞなぞに間違えると……。

「正解は(C)のプロレスラーじゃ。どうしてかって? いちばん重い病人は、プロレスラーに決まってるじゃないか」「ひきょうだぞ、魔女。インチキをするな!」「イヒヒヒヒヒ、問答無用!」 えーいと魔女が杖をふるうと、ふたりは小さなウジ虫になってしまった。

 「オマエたちはウジ虫だぁー!」 ふたりは小さなウジ虫になってしまった。ゲームオーバー。

 ……魚の骨やリンゴの芯が、彼らの今後のウジ虫ライフを象徴しているようでエグいです。
 あと、なぞなぞに間違えて「ひきょうだぞ、インチキをするな!」と逆ギレする主人公も見逃せません。

 さらにもう一度やり直すと、今度はゲジゲジになってジ・エンド
 挿し絵(ちょっぴりキモいので注意)で、ゲジゲジと化した少年が口から何か吐いてるのがイヤすぎます。

 そんな感じで、「××なら○○にすすめ」など、ほとんど手がかりのない分かれ道の選択ミスによるシュールで悲惨な死に方を繰り返しながら、ハッピーエンドを目指すのが「ゲームブック」です。
 性質上、何度もゲームオーバーを見るので、死に方の凝り具合も大切な要素になります。

 さて。

 そんなゲームブックの中で、もっとも有名な作品の1つが「ソーサリー」です。
 総項目数2265というアホみたいな分量を誇りながら、ゲーム的な完成度は非常に高く、物語もグレイト。極上にイカしたグロテスク系の挿し絵まで付いていて、剣と魔法のファンタジー世界を冒険する醍醐味が堪能できます。

 体力の少ないときに丸一日なにも食べなかったら栄養失調で死んだり、扉の上に黒板消しの要領で仕掛けられたハゲ薬に引っかかってツルッパゲになったり。
 首狩り族につかまって気絶すると、「あなたが目ざめることはもう二度とない。あなたは今夜首狩り族に新鮮な肉のごちそうをふるまうのだ……」とゲームオーバーです。

 宿屋に泊まって目が覚めれば、実は変態だった宿屋の親父によって首の上にギロチンの刃がセッティングされており、そこで2択を間違えると、「ギロチンの刃が落ちて、あなたの首をすぱっと切り落とした」と即死します。

 もうたまりません。ゲームブック万歳!

 さて、そんな「ソーサリー」は長いあいだ絶版になっていたのですが、最近、装丁などを新しくした新訳版が出版されました。
 創土社のホームページによると、その完結巻が来月発売されるそうで、めでたく新訳版で最後までプレイできるようになります。

 ところで、旧版の2巻には、普通なら120分の119くらいの確率で即死、手がかりを入手していても24分の23くらいの確率で即死という、悪質極まりないデス・トラップがありました。
 これには、実は日本語に訳される時にヒントが省略されていたという真相があって、新訳版ではちゃんと直されたのですが、ちゆにはもう旧版の理不尽っぷりの方が愛おしいです

 そんなわけで、かれこれ20年近く遊んでいる旧版は、ちゆにとってもはや全肯定の対象
 新訳版では、旧版で「カーレ」だった街が「カレー」になったり、「時の蛇」が「時大蛇」になったりしましたが、それにも抵抗があります。

 もちろん、その辺はちゆが旧版を偏愛しているだけで、これから初めてプレイする人には新訳版の方がオススメだと思いますけど。
 まあ、その新訳版も、昔からのファン向けの懐かしアイテムという感じで、これから新しいファンを獲得したりするのは難しいのかも知れませんが……。ファンタジーが好きな人には、ぜひプレイして欲しい名作です。

 ネットアイドルちゆは、ゲームブックに力を入れている創土社を応援しています。

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