昔のちゆニュース


「小説」関係

平成13年03月27日:「星界の戦旗」最新刊が発売
平成13年04月10日:あずまんがエロ小説
平成13年05月17日:ポルノ小説のヒロインは声優・林原優子
平成13年06月04日:「ジハードIX」発売
平成16年12月31日:2004年3大ニュース
平成17年02月21日:「ソーサリー」の新訳版が完結


平成13年3月27日 「星界の戦旗」最新刊が発売

 ちゆと「星界の紋章」との出会いは五年前。いつものように、用もないのに本屋さんをブラブラしていた時のことでした。

 当時、ちゆの頭の中には「ハヤカワ文庫=硬派」というイメージがありました。硬派という点では岩波文庫にも匹敵するのがハヤカワさんだという信仰です。
 それだけに、プリンセスメーカーの赤井孝美先生が描く美少女がポーズをキメた表紙をはじめて見たときには、自分がどこの異世界に紛れ込んでしまったのかと思いました。
 言うなれば、岩波文庫の表紙をデ・ジ・キャラットが飾っているのを見てしまったような衝撃です。

 すかさずレジに持っていこうとしましたが、そこをグッと抑えます。ちゆの頭の中の天使さんが、ささやきかけてくれたのです。
 「ちゆちゃん、冷静になりなさい。早川書房が何を血迷ったのかは分かりませんが、これはきっとバカなアニオタ、表紙でだましてボロ儲けという姦計に違いありません。真のSFファンを志すならば、乗せられてはいけません。第一、最近の日本人が書いたSFが面白いわけがないでしょう

 危ない危ない。ただでさえ少ないお小遣いを衝動買いで無駄にしてしまうところでした。ありがとう天使さん
 …そうして手ぶらでお店を出てから数ヵ月後。お友だちに薦められて半信半疑で読んでみて、激しく後悔することになります。天使さんのバカ

 そんなわけで、SF冬の時代にさっそうと登場した希望の星、硬派なSFマニアと萌え系アニオタさんを同時にフォローする希代のハイブリッド小説が星界シリーズです。
 その待望の最新刊「星界の戦旗III 家族の食卓」が発売されました。
 …と、3月中旬発売の本を今さら紹介させて頂いておりますが、すべては1冊も置かなかった近所の本屋さんの責任ですのでご了承ください。

 ところで「星界の紋章」は、原稿が既に出来上がっているものを三冊に分けて出版するという形でした。そのため、一ヶ月ペースで確実に出版され、ちゆは森岡先生は筆が早いという誤ったイメージを抱いてしまいました。
 以下、発行日を順に見てみますと…

 ●「星界の紋章I」平成8年4月15日
 ●「星界の紋章II」平成8年5月15日(前作から1ヶ月後)
 ●「星界の紋章III」平成8年6月15日(前作から1ヶ月後)
 ●「星界の戦旗I」平成8年12月10日(前作から半年後
 ●「星界の戦旗II」平成10年8月20日(前作から1年半後
 ●「星界の戦旗III」平成13年3月10日(前作から2年半後

 はい、順調に遅れております
 初期のハイペースも今となっては何かの間違いのようですが、順調にいけば次巻は3年半後、平成16年の夏あたりの発売でしょうか。今から楽しみです

 以上、実はアニメ版のメカニック原案の方がこのサイトに出入りしておられますので、迂闊なことを書けないと思いながらの今日のニュースでした。
 それにしても、3年以上ご無沙汰している「メガブレイド」の最新刊はいつ出るのでしょうか。そして、さらに田中芳樹先生に関しても言及したいところなのですが、話が永遠に終わらなくなりますのでやめておきます。


平成13年4月10日 あずまんがエロ小説

 ネタ元はJ-oの日記様のBBSとsawadaspecial.com様なのですが、マドンナメイト文庫の「美少女発情 秘密の快感実習」というポルノ小説があずまんが大王ネタらしいと聞きました。

 「あずまんが大王」は、コミック電撃大王で連載の四コマ漫画。キャラクターの魅力と独特のセンス、ほのかな色気でブレイク中です。
 あずまんがバスが街を走ったり、インターネットで放送されたアニメ版のあまりにもアレな画質に暴動が起こりかけたり、どこかのバーチャルネットアイドルの外観が影響を受けていたりと、多方面に影響を与えています。

 ところで、マドンナ社と言えば「発情期 ブルマ検査」というエヴァンゲリオンネタのポルノ小説を発売した前科があります。
 こちらは小六のカップルがパコパコやりまくるお話なのですが、驚嘆すべきは女の子が恐ろしく濃いアニメファンだという設定です。
 それも単にコスプレ好きといったレベルではなく、綾波のコスプレで彼氏とアレしながらエヴァンゲリオンのストーリーについて熱く語るようなキャラなので強烈です。

 「多くの人間を犠牲にして、踏みにじってまで推進しなけりゃいけない計画って何? 『絶望的な状況にある我々に残された最後の希望』? 多くの人間を……、人生を……、踏みにじってまで『補完』しなきゃいけない人類なんてとっとと死滅してしまえばいいのよ。サード・インパクトでもなんでも起こってしまえばいいんだわ……ッ!!」

 ポルノ小説で男とナニしながら言う台詞だとは思えません。ついでにエヴァンゲリオンを知らない読者は置いてけぼりです。
 なお、この作者様はさらに以前にも「セーラー服下半身解剖」というセーラームーンネタのポルノ小説を書いておられます。

 さて。
 そして今度はあずまんがネタだそうです。登場人物の名前や性格をパロっただけで「発情期 ブルマ検査」ほどの極悪なインパクトはないようですが、やはり気になります。

 さっそく、購入してみました

 ちよちゃんと大阪を足して2で割って少しリアルにしたような微妙な美少女の表紙が目印。
 女子校の初等部に赴任した新米教師が、好奇心旺盛な教え子たちに脅迫されて秘密の勉強会をする、というストーリーです。エロゲーで言うと「H研究会」と「蕾」を足して2で割ったようなイメージでしょうか。

 それでは、どの辺りが「あずまんが大王」なのでしょうか。登場人物をチェックしてみます。

 ●浜千代美
 ブルジョアのお嬢様。頭が良い。やや舌足らずな話しぶり。幼児体系。

 ●坂木亮子
 巨乳でロングヘア。性格はおとなしいが、体格があって力は強い。

 ●高野智
 少年のように活発で元気が良い。髪型は短いボブ。よく語尾に「!」がつく

 ●水原このみ
 長い髪をなびかせて優雅に立ち振る舞う。眼鏡っ子との記述はない

 以上の4人のメインキャラクターが、「あずまんが大王」の登場人物、美浜ちよ・榊さん・滝野智・水原暦にそれぞれ対応している模様です。
 ほかに影山ひとみという女教師も出てくるのですが、ちょっと元ネタが分かりませんでした。少なくとも性格はゆかり先生ともにゃもとも違います。モデルが影山ヒロノブだったりしたら面白いのですが、たぶんオリジナルだと思います。

 劇中では、これらのキャラクターが「秘密の勉強会」を行うわけです。
 たとえば、ちよちゃん(モドキ)が榊さん(モドキ)に手コキのやり方をコーチしたりします。
 ちよちゃん(モドキ)曰く、「わかる? …これって中に丸くて硬いのが二つ入ってて、もう少しでイキそうになるとこんな風に縮んでいくんだよ」

 そして、原作の設定を無理矢理エッチ描写の中に取り入れようとする努力も見られます。
 たとえば例の白い液体の味に関して、ともちゃん(モドキ)は「苦くって、全然おいしくないよぉ!」と評しますが、よみ(モドキ)は次のように述べます。
 「おいしい! ……すごくおいしいよ!! だいぶ生臭いけど……甘くって、おいしい!!」
 味覚がおかしいという原作の設定を上手く生かし、ポルノ小説のキャラクターとして個性を出しています。感心。

 なお、上気4名以外のモドキは登場しません。かおりんファンの方が期待して買われても、残念ながら出てきません。もっとも、彼女は原作でも出番ないですけど。
 個人的には、大阪が出ていないことが悔やまれます。キャラクターの魅力もさることながら、名前がいいですよね、大阪

 気になるお値段は税込み520円
 お近くの書店で入手できますし、マドンナ社のホームページから通信販売も可能です。
 この種の本は絶版になるのも早く、古書店で探すのも一苦労ですので、興味のある方はお早めにどうぞ。

 ネットアイドルちゆはマドンナ社を応援しています。


平成13年5月17日 ポルノ小説のヒロインは声優・林原優子

 4月10日のニュースで、登場人物の名前をあずまんが大王から拝借したポルノ小説についてご紹介しました。その出版元のマドンナ社は、以前にもエヴァネタの超カルトなポルノ小説を出したことで知られます。
 そんなマドンナメイト文庫が、またまたやってくれました

 「アイドル声優 僕の童貞喪失」

 表紙はマドンナ社のホームページでご確認いただけます。GKさん、掲示板での情報ありがとうございました。

 作者の睦月影郎先生は、マドンナメイト文庫やグリーンドア文庫で100冊以上も書いておられる人気ポルノ作家。
 現代に蘇った憲兵大尉がコギャル・ヤンママなどの堕落した現代人を軍刀で斬り殺して歩く漫画、「ケンペーくん」の作者としても知られる方です。

 さて。
 これほど痛いタイトルのポルノ小説も珍しいですが、中身は更に激痛です。冒頭の文章を引用してみましょう。


 (うわ! あ、あれは……!)

 卓郎は目を見張った。
 彼の住むアパートのはすむかいにある、新築の豪邸に越してきた美少女を見て、卓郎の人生は一変してしまった。

 (世の中に、あんなに可愛らしく透き通ったように清らかな少女がいるなんて……)

 それは、彼のこれまでの考え方を改めさせるに充分なインパクトを持つ子だった。
 卓郎はさっそく双眼鏡を取り出し、ボロアパートの二階の窓から少女を眺め、素早くオナニーを開始した
 まだ中学生ぐらいの少女は(中略)

 「に、人間の女の子でオナニーするなんて、いったい何年ぶりだろう」


 最初1ページで充分なインパクトです。
 主人公の卓郎くん体重90キロの無職童貞25歳。これまで「理想の異性はアニメの中にしかいなかった」そうです。


 何しろ、現実の女の子たちといったら、チャパツに染めて平気でタバコをふかし、言葉遣いも下品で、バカで臭くて何の魅力も感じられない連中ばかりだと思っていた。
 あんなコギャルなどでオナニーしてやるものか。そこへいくとアニメ美少女は清らかで優しくて強くて、何よりも恥じらいと慎みがある


 要するに、「実体を持った女性よりも空想の美少女が好きだ!という二次元コンプレックスな方」を地で行く人ですね。

 痛っ

 さらに、冒頭で溢れんばかりのロリコンっぷりを見せつけておきながら、彼は同時に熟女フェチでもあります。


 コギャルは嫌いだが、もともと卓郎は人妻や熟女は好みで、優しい年上のおばさまにセックスの手ほどきを受けたいと思っていたのだ。もっとも彼の理想の熟女は、バカボンのママなのであるが。


 おばさまがいいのか中学生がいいのかハッキリしてください。とりあえず、コギャルとオタクが天敵同士なのはよく分かりましたけど。

 ともあれ、亜耶ちゃん(14)に一目惚れすることで、そんな彼も二次専を脱出。さっそく、亜耶ちゃん(14)のストーキングを開始します。
 ところがそんな尾行の最中、車にひかれそうになった亜耶ちゃんをとっさにかばい、卓郎くんは骨折で入院します。

 その車を運転していたのは、卓郎くんの大好きなアニメ「セーラールナ」のヒロインを演じる声優さんでした。

 その名も、林原優子

 「二十一歳。デビュー二年目で、CDも出しており、人気があった。ショートカットで、ぽっちゃり型。案外バストも大きくて美人だが、むしろ教育番組のお姉さんのように無垢で澄み切った印象があった」とのこと。
 どうやら、読者の好みで林原めぐみか宮村優子か三石琴乃を勝手に想像すればいいみたいです。

 こうして、亜耶ちゃん(14)林原優子(21)亜耶ちゃんの母(30代)という三人の美女と親しくなった卓郎くん。あとは、エロゲーのようにハーレムライクな入院生活に突入します。

 声優の林原優子さんは事故を起こした負い目から、色々なお願いを聞いてくれます。
 「僕としゃべるときは敬語をやめて、声も性格もルナにして
 「僕はオシッコしたいんだ。させてくれるかい?
 「ねえ、お乳吸いたい……

 あげくの果てに、声を演じるキャラクターのコスプレ姿で、自分の顔に放尿させます。
 「セ、セーラールナにオシッコをかけられているんだ。こんな体験のできる幸せ者は、この宇宙に僕一人だけなんだ……!」

 しかも、命の恩人ということで感謝している亜耶ちゃん(14)やそのお母さん(30代)にまで手を出す卓郎くん。
 「こ、こんなとびきり美少女のファーストキスを、こんなダサい俺が奪うのだ……!」
 もう、やりたい放題です。

 最後に何かしっぺ返しでもあるのかと思いきや、体型や性格も改善され、定職と嫁さんと中学生の愛人までゲットして幸せ一直線の薔薇色人生、進研ゼミか視力回復セミナーの広告の漫画みたいな展開でした。

 もうギャグです

 まさか親父向けの話だとは思えませんから、メインターゲットはオタク層だと思われます。
 これが実際にウケるのか激しく疑問ですが、睦月先生に届くファンレターの半数以上は20〜30代の童貞男からだそうですし、意外と卓郎くんに共感できる方は大勢おられるのかも知れません。

 ともあれ、新境地を開拓しようという熱いチャレンジャー魂は確かに伝わって参りました。
 ネットアイドルちゆはマドンナ社を応援しています。


平成13年6月4日 「ジハードIX」発売

 定金伸治先生の小説「ジハード」最新刊が発売されました。

 これは、十字軍の遠征を「三国志」以上「西遊記」未満の架空度で描く歴史もの。同時代の英雄ロビン・フッド源義経も、史実から逸脱して活躍します。
 普通の人間だったはずの登場人物がいつのまにか後ろ向きで馬より速く走る能力を身に付けていたり、話が進むうちに主人公がキリスト化していったりする物語ですが、実は一番の見どころは挿し絵です。

 この小説のヒロインは、エルシード姫


 「なんで姫はそんなに胸がないの?」
 「……!」
 瞬時に顔を真っ赤に染めて、エルシードは怒りの瞳を緋色に燃やした。


 といった描写があるように、エルシード姫は自他ともに認める幼児体型で、外見は少年のようだという設定。
 ところが、少年ジャンプで14週で打ち切られた「超弩級戦士ジャスティス」の作者・山根和俊先生が描く挿し絵では、エルシード姫は次のように描かれます。

エルシード姫(山根画)、「ジハードIII」表紙

 …彼女が幼児体型なら、ちゆは胎児未満になってしまいます。
 作中の設定を全て無視して「俺はナイスバディの姉ちゃんが好きなんだ」という趣味を貫き通した、挿し絵描きの山根先生はです。

 しかし、作者の定金先生は、エルシード姫に「恋愛感情と言える」ほどの愛着を感じているとまで表明しておられます。こんな絵をつけられて内心ハラワタ煮えくりかえっているのではないかと、読んでいる方が心配してしまいます
 ですが、あとがきでは「山根さーん、毎回素晴らしいイラスト付けてくださって、どうもありがとーございまーす(感謝の程を表すために、大声で言っているのだ)!」などと発言。挿し絵を嫌がっているような素振りは、まったく見せませんでした。

 時は流れ、山根先生が少年ジャンプでの新連載「JOKER」を始めるため、挿し絵を続けることができなってしまいました。そこで、イラストレーター交代です。
 (結局「JOKER」は15週で打ち切られたので、その気になれば山根先生の続投も可能だったはずですが)。

 白羽の矢が立ったのは坂本眞一先生。同じく少年ジャンプで12週で打ち切られた「モートゥル・コマンドーGUY」の作者です。打ち切り漫画家ばかり起用されるのは、「ジャンプノベル」の編集方針なので仕方のないところ。
 ですが、この坂本先生も1回だけで降板が決定します。理由は不明ですが、ちょっとそれまでのイメージとかけ離れた絵を描いてしまったのが原因ではないかと思います。

ア・デイル(山根画)、「ジハードIII」178頁 ア・デイル(坂本画)、「ジャンプノベル」Vol.13
山根画 坂本画

 上の二人は同一人物です。坂本先生、自分の世界に入り過ぎ

 そんなわけで二人の挿し絵描きが降板してしまいましたが、そこに救世主が現われます。
 作者の定金先生がネットサーフィンしていたところ、偶然出会ったファンのアニメーターが描いたジハードのイラストに一目惚れ。そのまま定金先生自らが集英社に推薦して、あっさりOK。新・挿し絵描きが誕生したのです。

 かくて、それまでの「超弩級戦士ジャスティス」「モートゥル・コマンドーGUY」のような雄度の高い絵柄から一転、挿し絵はお耽美系女性向け同人風イラストへと路線変更を遂げました。

芝美奈子画、「ジハードVI」ピンナップ
こんな感じ

 作者の定金先生は大満足。あとがきで、こうコメントされています。


 今回から、イラストを描いていただく方が変更になりました。(略)そのイラストがどれだけ素晴らしいかは、ぼくがあれこれ言葉で説明する必要はないでしょう。挿し絵やカバー、ピンナップ(注:上のイラスト)を見ていただければ、一目瞭然ですからね。

 姫さまは姫さまの姿をぼく達に見せて下さってますし、その他のキャラもすべてまさにぼくのイメージ通りで、ぼくは今本当に幸せな気分に浸っています。
 小説のイラストが変更になると前を懐かしんで嘆く人がよくいるそうですが、これを見て嘆く人は絶対いないでしょう!


 嬉しい気持ちはよく伝わってきますが、喜びのあまり、前のイラストレーターへの配慮は絶無です。やっぱり、山根先生が描くボディコンな姫には、「こんなのぼくの姫さまじゃない!」という気分だったようです。
 ちゆは山根先生のイラストを懐かしんで嘆いているのですが、本来は絶対いないはずの変わり者だということでしょうか。

 …以上、8年間も挿し絵を描き続け、漫画版まで手がけた山根先生の扱いがあまりにもあまりだと感じましたので、思わず弁護に回ってしまったちゆでした。
 ネットアイドルちゆは山根和俊先生を応援しています。


平成16年12月31日 2004年3大ニュース

 年末手抜き特別企画〜。今年ちゆがビックリしたニュースのトップ3です。


 【第3位】 3年9ヶ月ぶりに「星界シリーズ」の新刊が発売


 小説「星界の戦旗」の3巻が発売されたとき、当時のちゆニュースに、次のように書きました。


 発行日を順に見てみますと…

 ●「星界の紋章I」平成8年4月15日
 ●「星界の紋章II」平成8年5月15日(前作から1ヶ月後)
 ●「星界の紋章III」平成8年6月15日(前作から1ヶ月後)
 ●「星界の戦旗I」平成8年12月10日(前作から半年後
 ●「星界の戦旗II」平成10年8月20日(前作から1年半後
 ●「星界の戦旗III」平成13年3月10日(前作から2年半後

 順調にいけば次巻は3年半後、平成16年の夏あたりの発売でしょうか。


 実際の発売は、平成16年の冬でした。
 予想よりも3ヶ月しか遅れていないということで、もはやスピード発売と言って良いでしょう。

 これについては、完結前に作者が死ぬ可能性もそんなに高くありませんし、じっくり納得いくものを書いてほしいです。


 【第2位】 6年ぶりに「ガラスの仮面」の新刊が発売


 一方、いずれ作者が死んで未完になると思われるのが「ガラスの仮面」。作者が存命のうちにあと何歩進むのか見守る漫画と化しています。
 以前、41巻発売から3年後くらいのちゆニュースで、「たぶんあと数年待てば42巻も出ると思います」と書きましたが、結局、それから3年ちょっとで無事に発売されました。予想可能な範囲内ということで、「ガラスの仮面」にしては良心的です。

 さて、雑誌に載った原稿が、単行本収録の際に手直されることは多いです。
 たとえば、「HUNTER×HUNTER」の「唯一無二の青で輝く宝石」の絵は、少年ジャンプ掲載時にはなんだかグジュグジュしたマルでしたが、単行本ではちゃんとスクリーントーンが貼ってあります

『週刊少年ジャンプ』 2003年28号200頁
『HUNTER×HUNTER』 第18巻152頁

 しかし、「ガラスの仮面」の修正はこの比ではなく、蛇のように執念深く、何から何まで全部描き直します

 平均余命通りなら、美内すずえ先生が亡くなるまであと30年ちょっと。生涯現役で6年に1冊続刊を出し続けると仮定しても、あと5冊(47巻まで)しか発売されません。
 おおざっぱに計算したところ、現在の進行ペースを維持すると、すでに存在する雑誌連載8年分に追いつくだけで132歳まで生きなければなりません。もちろん、万が一そこまで描けてもなお未完。先は長いです。


 【第1位】 7年ぶりに「メガブレイド」の新刊が発売


 「メガブレイド」は、女性キャラが登場するたびに必ず何カップなのか言及する小説です。
 挿し絵は「勇者王ガオガイガー」の木村貴宏先生。ガオガイガーが流行った頃は、日本中のダメな人が「プログラムどりゃーぶ」と叫びながら「メガブレイド」を買いました。

 さて、平成9年の秋に出た4巻の「あとがき」では、5巻の発売時期を次のように告知しています。


 今回も断言しちゃうぞっ!? 発売は! ズバリ!
 来年の夏ごろ
 ……なんか、めちゃくちゃ弱気になってるオレ。でもがんばるっス。


 結局、5巻が実際に発売されたのは、その「来年の夏」が過ぎて、その次の夏も過ぎ、そのまた次の夏も過ぎて、さらにその次の夏も過ぎて、もひとつ次の夏も過ぎて、ついでにその次の夏も過ぎて、さらにその次の夏を過ぎた秋でした。

 ちなみに、4巻の最後の場面は、誘拐された女の子が全裸で吊るされたところ。それから彼女が7年間全裸で吊るされ続けていたと思うと、なんかもう感慨深いです。



 そんなこんなで、今年10月からオリンピックよりも珍しい新刊が立て続けに発売されて、正直この世の終わりかと思ったちゆでした。


平成17年2月21日 「ソーサリー」の新訳版が完結

 「ゲームブック」というものをご存知でしょうか。

 たとえば、「妖怪の館 魔王からの招待状」を読んでみると……。
 豪華なごちそうが並んでいて、不気味な悪魔に「毒など入ってないから、腹いっぱい食べてくれ…」と言われる場面で、選択肢が登場。

 「さあ、キミは食べるか?」

 食べるなら21ページへ、食べないなら23ページへ。
 「せっかくだから俺はごちそうを食べるぜ」と、21ページに進むと……。

ごちそうはとてもおいしかったが、それには毒が入っていたのだ…! ムシャムシャ食べていた3人のからだは、だんだんにふくらんでいって、やがて風船のようにパーンと破裂して死んでしまった。

 「風船のようにパーンと破裂して死んでしまった」。ゲームオーバー。

 仕方なく、最初からやり直しです。今度はごちそうを食べないように気をつけて進みますが、途中で出題されたなぞなぞに間違えると……。

「正解は(C)のプロレスラーじゃ。どうしてかって? いちばん重い病人は、プロレスラーに決まってるじゃないか」「ひきょうだぞ、魔女。インチキをするな!」「イヒヒヒヒヒ、問答無用!」 えーいと魔女が杖をふるうと、ふたりは小さなウジ虫になってしまった。

 「オマエたちはウジ虫だぁー!」 ふたりは小さなウジ虫になってしまった。ゲームオーバー。

 ……魚の骨やリンゴの芯が、彼らの今後のウジ虫ライフを象徴しているようでエグいです。
 あと、なぞなぞに間違えて「ひきょうだぞ、インチキをするな!」と逆ギレする主人公も見逃せません。

 さらにもう一度やり直すと、今度はゲジゲジになってジ・エンド
 挿し絵(ちょっぴりキモいので注意)で、ゲジゲジと化した少年が口から何か吐いてるのがイヤすぎます。

 そんな感じで、「××なら○○にすすめ」など、ほとんど手がかりのない分かれ道の選択ミスによるシュールで悲惨な死に方を繰り返しながら、ハッピーエンドを目指すのが「ゲームブック」です。
 性質上、何度もゲームオーバーを見るので、死に方の凝り具合も大切な要素になります。

 さて。

 そんなゲームブックの中で、もっとも有名な作品の1つが「ソーサリー」です。
 総項目数2265というアホみたいな分量を誇りながら、ゲーム的な完成度は非常に高く、物語もグレイト。極上にイカしたグロテスク系の挿し絵まで付いていて、剣と魔法のファンタジー世界を冒険する醍醐味が堪能できます。

 体力の少ないときに丸一日なにも食べなかったら栄養失調で死んだり、扉の上に黒板消しの要領で仕掛けられたハゲ薬に引っかかってツルッパゲになったり。
 首狩り族につかまって気絶すると、「あなたが目ざめることはもう二度とない。あなたは今夜首狩り族に新鮮な肉のごちそうをふるまうのだ……」とゲームオーバーです。

 宿屋に泊まって目が覚めれば、実は変態だった宿屋の親父によって首の上にギロチンの刃がセッティングされており、そこで2択を間違えると、「ギロチンの刃が落ちて、あなたの首をすぱっと切り落とした」と即死します。

 もうたまりません。ゲームブック万歳!

 さて、そんな「ソーサリー」は長いあいだ絶版になっていたのですが、最近、装丁などを新しくした新訳版が出版されました。
 創土社のホームページによると、その完結巻が来月発売されるそうで、めでたく新訳版で最後までプレイできるようになります。

 ところで、旧版の2巻には、普通なら120分の119くらいの確率で即死、手がかりを入手していても24分の23くらいの確率で即死という、悪質極まりないデス・トラップがありました。
 これには、実は日本語に訳される時にヒントが省略されていたという真相があって、新訳版ではちゃんと直されたのですが、ちゆにはもう旧版の理不尽っぷりの方が愛おしいです

 そんなわけで、かれこれ20年近く遊んでいる旧版は、ちゆにとってもはや全肯定の対象
 新訳版では、旧版で「カーレ」だった街が「カレー」になったり、「時の蛇」が「時大蛇」になったりしましたが、それにも抵抗があります。

 もちろん、その辺はちゆが旧版を偏愛しているだけで、これから初めてプレイする人には新訳版の方がオススメだと思いますけど。
 まあ、その新訳版も、昔からのファン向けの懐かしアイテムという感じで、これから新しいファンを獲得したりするのは難しいのかも知れませんが……。ファンタジーが好きな人には、ぜひプレイして欲しい名作です。

 ネットアイドルちゆは、ゲームブックに力を入れている創土社を応援しています。



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