本文

「ゲームブック」というものをご存知でしょうか。

適当なゲームブックの書影
こういうやつ


たとえば、『妖怪の館 魔王からの招待状』というゲームブックを読んでみると……。

豪華なごちそうを出されて、「毒など入ってないから、腹いっぱい食べてくれ」と言われる場面で、選択肢が登場します。

「さあ、キミは食べるか?」

食べるなら21ページへ、食べないなら23ページへ。

そして、「せっかくだから俺はごちそうを食べるぜ」と、21ページに進むと……。

ごちそうはとてもおいしかったが、それには毒が入っていたのだ…! ムシャムシャ食べていた3人のからだは、だんだんにふくらんでいって、やがて風船のようにパーンと破裂して死んでしまった。

「風船のようにパーンと破裂して死んでしまった」


ゲームオーバーになったので、最初からやり直しです。

今度はごちそうをスルーしたら、もっと先に進めました。

しかし、途中で出題されたなぞなぞに間違えると……。

「正解は(C)のプロレスラーじゃ。どうしてかって? いちばん重い病人は、プロレスラーに決まってるじゃないか」「ひきょうだぞ、魔女。インチキをするな!」「イヒヒヒヒヒ、問答無用!」 えーいと魔女が杖をふるうと、ふたりは小さなウジ虫になってしまった。

「オマエたちはウジ虫だぁー!」

背景の生ゴミが、かれらの今後のウジ虫としての生活を示唆しているようでエグいです。


そんな感じで、「××なら○○にすすめ」というろくに手がかりのない選択肢によるシュールな死を繰り返しながらハッピーエンドを目指すのが、ゲームブックです。

性質上、何度もゲームオーバーを見ることになるので、死に方の凝り具合も大切な要素になります。

補記 : 『妖怪の館』のその他のバッドエンドについて (※微妙にグロい画像が含まれます)

『妖怪の館』の見所のひとつが、主人公である桑田君のキレッキレの死に芸です。

ドラキュラとまちがえたな!

桑田君、いい顔してます


この「ドラキュラとまちがえたな!」とか、「キミを待っていたものは死だ!」みたいなノリが、ゲームブックらしくて好きです。

キミを待っていたものは死だ!

翌日、死体で発見される

みどりはペッチャンコ!

ズキューンズキューンと合計3発

「ズキューンズキューンと合計3発。3人はみけんをぶちぬかれて死んでしまった」という、この文体がたまらんです。


あと、それぞれの死に方に魔王の感想が付いてくるわけですが、魔王のどこかトボけたコメントがいい味を出しています。

首で首をしめるなんて、どうだちょっとすごいだろう。

「首で首をしめるなんて、どうだチョットすごいだろう」

確かに。


そして、やっぱり一番インパクトがあったのはコレです。

2人はゲジゲジに変身した。

ゲジゲジと化した少年が口から何か吐いてるのがイヤすぎます。そしてこの桑田君の絶望した顔

私はこれでゲジゲジがトラウマになりました。


なお、前述したウジ虫エンドについては、わざわざ別パターンまで用意されていました。

ふたりのからだはたちまち縮んで、ウジ虫に変わってしまうのだった。

「ウジ虫とゲジゲジと、オマエはどっちが良かったかな?」には、当時、わりと真剣に悩んだ記憶があります。

2005年2月21日

『ソーサリー』の新訳版が完結

さて。

そんなゲームブックの中で、もっとも有名な作品のひとつが『ソーサリー』

剣と魔法の異世界を旅する体験を堪能できる、素晴らしいゲームです。


目をつむれば思い出す、あの冒険の日々……。

体力の少ないときに森を歩いていたら、ドングリに当たって死んだこと

宿屋に泊まってふと目が覚めたら、実は変態だった宿屋の親父によってギロチンにかけられていたこと

黒板消しの要領で仕掛けられたハゲ薬に引っかかり、ツルッパゲになったこと(数値的には特に意味のない精神的イヤがらせ)。

アリのミートボールというのを食べたところ、よく見たらアリ(ant)ではなくミュータント(mutant)のミートボールで、腕がもう1本生えたこと

時を操る能力を持つ敵に、何をされたのかすら理解できないうちに突然殺されていたこと

……いや、こういうのは『ソーサリー』の魅力のほんの一部に過ぎないのですが、ゲームブックに関しては、どうもあっさり死んだときの思い出が印象深くてごめんなさい。


それから、『ソーサリー』といえば、挿し絵がイカしています。

たとえば、こちらの方が「若い女、それもとびきりの美女」です。

アリアンナさん

善良な農夫の皆さんも、ひとりひとりが非常に個性的な人相です。

酒場のみなさん

人間以外の名状しがたい生き物も多く、センス・オブ・ワンダーが半端ないです。

鞭叩きさん

いや、この絵はマジですごいですよ。


と、そんな『ソーサリー』は長いあいだ絶版になっていたのですが、最近、装丁などを新しくした新訳版が出版されました。

その完結巻が来月発売で、めでたく、新訳版で最後までプレイできるようになります。

旧版には翻訳ミスで回避方法がわからなくなっているデストラップもありましたが、その辺も新訳版では大丈夫。

とにかく、ファンタジーが好きな人には、ぜひプレイして欲しい名作です。

ネットアイドルちゆは、ゲームブックに力を入れている創土社を応援しています。

追記

ソーサリーの感想を書くよー!

この記事の追記として、「『ソーサリー』雑感」を書きました。

(多くのネタバレを含む、すでにクリア済みの方向けの雑文になります)

ソーサリーの動画を紹介するよー!

もしも、『ソーサリー』を未プレイで『アイドルマスター』に抵抗がなければ、こちらの動画がオススメです。

独特の魔法システム、選択肢を選ぶときの緊張感やワクワク感など、私の文章ではお伝えできない『ソーサリー』の魅力がうまく表現されていると思います。


それから、もしも『ソーサリー』をプレイ済みで『アイドルマスター』に抵抗がなければ、こちらがオススメです(特にジャンが好きな方に)。

鞭叩きさん
アイドルたちの『ソーサリー!』 (mylist/22562868)

この動画については、「『ソーサリー』雑感」の「カントパーニのショッピング」という項目の最後に、少し感想を書きました。


そうそう、後者の動画には、「アリアンナは貧乳だったはず」とのコメントが投稿されていました。

言われてみれば、アリアンナのおっぱいについてはあまり深く考えたことがなかったのですが……。

アリアンナさん
「とびきりの美女」の
アリアンナさん

豊かな胸の女
「豊かな胸の女」と
思われるモブの方

見たところ、「豊かな胸の女」と比べても見劣りしない気がするので、ちゆとしてはアリアンナ巨乳説を推したいです。