昔のちゆニュース
◇平成17年2月◇
02月04日:バトルウォッチャー・哭きの竜さんの12年 02月06日:「しがない記者日記」騒動 02月11日:雑誌と単行本の違い 02月14日:ちゆ16歳 02月17日:魔法戦隊マジレンジャーがスタート 02月21日:「ソーサリー」の新訳版が完結 02月26日:マジマザー、死す |
平成17年2月4日 | バトルウォッチャー・哭きの竜さんの12年 |
先月の16日に、ネットウォッチ系のサイト「ザ・バトルウォッチャー」さんが閉鎖されました。 管理人さんは、インターネットが普及するよりも前からネットバトルをウォッチし続けてきた凄い人。そのサイト内容には、歴史的・資料的な価値があると思います。 そこで、バトルウォッチャーさんのことをよく知らない方向けに、そのあらすじをまとめてみたのですが、異様に長くなってしまったので、別のページに分けました。 続き→「バトルウォッチャー・哭きの竜さんの12年」 |
平成17年2月6日 | 「しがない記者日記」騒動 | |||||||
朝日新聞の1月19日の夕刊に、「ブログっておもしろい!」という記事が載っていました。 それによると、ブログは「新しいホームページの形として注目され、簡単に作成・更新できると人気」で、「尻込みせず、自分のブログを作ったら世界が広がりそう」とのこと。 また、ブログを楽しむポイントは、「ブログをコミュニケーションの道具としてとらえ、ネット上の人間関係においても互いを尊重することが重要」だそうです。 さて。 最近、現役の新聞記者の方のブログも増えましたが、その中の1つが「しがない記者日記」です。 管理人は朝日新聞の記者の方で、ブログ内では自分の勤めている社名を伏せて、「NHKと朝日新聞がやりあっている。というより、明らかにNHKがひどい」と擁護したりしていました。 1月29日。そんなブログに寄せられたトラックバックに対し、記者さんは「右翼大好きミーハーサイト」と題して次のように述べます。
「レッテルをはって議論をごまかす」ことを否定しながら、「右翼大好きミーハーサイトだ」というレッテル貼りから始まるのが素晴らしいです。 「おもろい」以下のくだりも、なかなか相手を尊重した文章ですね。そこまでコキおろしながら、論理がどう破綻しているのかなど具体的に触れないのは、「向こうは『右翼』なんだから説明するまでもない」という意識でしょうか。 当然、たくさんの反論コメントが付きますが、それを受けた2月4日の更新は……。
相手を「おもろい珍獣」あつかいして優位に立とうとするスタンスは、前の文章と変わりませんでした。 その時点で、本当に問題だったのは何か分かっていないと思われます。 その6時間後の更新では、従軍慰安婦について何点か述べた上で……。
記者さんのオススメ文献は吉見義明教授の「従軍慰安婦」でした。 のちに否定された記述も多く、少なくとも、このデリケートな歴史の問題に対して「これ1冊でOK!」なんて本ではないのですが……。 そもそも、そんな有名すぎる文献は読んだ上で反論している人がほとんどだと思いますが、記者さんの頭の中の「右翼」はよほど不勉強みたいです。 またもコメント欄にたくさんの反論が寄せられ、2月5日、記者さんは「新記録」という文章を更新します。
……記者さん、こわれちゃった。 この後、「プライバシーを暴くようなコメントが掲載され、知人より『ちゃんと管理するべきだ』と強いご批判をいただきました」ということで、思い切って自分の書いた文章ごと全部削除。 新たに、「ページはやめませんよ」という文章をアップロードします。
……ああ、記者さんはまだ「右翼」と戦っておられたのですね。 単に面白そうだから「みんなで観察してみよう」と寄ってきただけの人も多いのですが、記者さんには全員「右翼」に見えている様子。せっかく自分のブログを作ったのに、なかなか世界が広がりませんね。 そうして、読んだ人がコメントを付けるのも不可能な設定になり、トラックバックはビシバシ削除されていき……。ブログはコミュニケーションの道具ではなく、単にホームページを簡単に作成・更新できるツールと化しました。 結局、「ページはやめませんよ」以外には、「今朝のウンコも絶好調だった」みたいなどーでもいい料理の話だけが残ります。 そして、2月6日、次の文章がアップロードされました。
「悪いのは向こうであって、本当に正しいのは俺なんだ」と言わんばかりです。こんな偉そうな敗北宣言、見たことがありません。 それから、「小林よしのりファンにおすすめ」という記事が更新されました。
……記者さん、なぜか敵は「小林よしのりファン」と認識した様子。そして、再びオススメ文献攻撃です(しかも本のセレクトがナンセンス)。 この記事はコメントが許可されていたので、さっそく反論が寄せられます。 >残念ながら、小林氏はもうネットでそれほど支持されていません >ネタが古すぎ。あんた本当に新聞記者? >物凄いズレップリですね それからまもなく、ページの中身がすべて削除されました。 そんなこんなで、記者ブログが燃え上がる事件が多いですが、今回の件は、その定番ルートを1週間ちょっとで駆け抜けたコンパクトなケースという感じでした。 ……「ブログっておもしろい!」ですね。 |
平成17年2月11日 | 雑誌と単行本の違い | |||||||||||||||||||
この世で最も休載が多い漫画は、たぶん「ハンター×ハンター」です。 昨年はついに休載率が50%を超えたそうで、「載ってなくてガッカリすることが多い漫画」から「たまに載ってると得した気分になれる漫画」へと進化。 掲載される時も未完成原稿のまま載ることがほとんどで、The 男爵ディーノさんは、一般人の妹から「なんでハンターハンターあんなことになっとん。友達は最近精神がおかしくなっとるからだってよーた」というメールをもらったそうです(今年1号の感想より)。 先日、そんな「ハンター×ハンター」の第21巻が発売されました。 さすがに精神の異常を心配されるほどの絵をそのまま載せられないのか、単行本では色々と直されます。 たとえば、ジャンプでは背中から生えた白いモワモワだったものが、単行本を読むと蝶みたいなデザインの羽だったと分かります。また、心電図みたいな折れ線が1本かいてあるだけだったコマも、ちゃんと街並みの描写に修正されています。ついでに、頭を半分ほどかじられた人間が白目をむく場面には、目玉が回転する擬音「ぐるん」が描き足されていました。 その他、「やはり白痴だぞ」という台詞が「やはり阿呆だぞ」になったり、ジャンプでは戦後の教科書のような黒塗りが入っていた首チョンパシーンが単行本では無修正になったり……。単なる手直しとは別次元の修正も多数でした。 ところで、ゴルゴ31さんの1月31日に、次の記述がありました。
今日は少し、この件について述べさせて頂きたいと思います。 結論から言うと、ジャンプでも単行本と雑誌の細かい違いは多いです。 たとえば「デスノート」の作画は、雑誌に載った時点で十分完成されていますが、それでも単行本で微妙な変化があります。
作画以外にも、台詞の改行位置が変わったり、「5日」が「五日」になったり……。 そのレベルの変化ならほとんどの漫画で見つけることができます。たとえば、いま適当に開いたジャンプの「ジョジョの奇妙な冒険」を単行本と見比べてみても、
……変更の意図は不明ですが、単行本の方がよりジャパニーズな発音になっていました。 もう少し大きな変化としては、「テニスの王子様」では、初登場の時点では名もない真空系の魔術だった技が、単行本では最初から「かまいたち」と呼ばれています。
一方、「BASTARD!!」では、雑誌掲載時に「ビホルダー」という名前だった怪物が、単行本では「鈴木土下座ェ門」という名前になりました。 これは、ビホルダーが「D&D」のオリジナルモンスターだと知らずに出してしまったのでクレームが付き、担当編集者の鈴木さんが土下座してあやまったからだと言われています。 しかし、土下座と修正だけで許してもらえればラッキーです。「燃える!お兄さん」の用務員さんを「ただの働くおっさん」呼ばわりした回のように、雑誌に載ったエピソードが1話まるごと単行本に収録されないこともあります。 少年マガジンの「MMR」でも、松本サリン事件を超国家組織「300人委員会」の陰謀だと推理した話がありましたが、のちに犯人はオウムだと判明したため、なかったことになりました。 さらに竹書房あたりになると、そもそも単行本化される漫画の方が珍しく、最終回を収録する前に単行本が途中で打ち切られるのもしょっちゅうです。 たとえば、「『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰先生大絶賛!!」という鳴り物入りで登場した「おうどうもん」の単行本は2巻で打ち切り。雑誌ではもっと続くのですが、単行本派の読者には「主人公の父親がロシアン・ルーレット麻雀に負けて脳ミソをぶちまけて死に、主人公が『おやじーっ』と絶叫したところで突然終わる変な漫画」となってしまいました。 ……えっと、もう少し書きたい話があったのですが、画像の量などの都合で別ページにしました。興味のある方はお読み頂けますと嬉しいです。 続き1→「スパイラル〜推理の絆〜」のネコ耳の修正(単行本10巻のネタバレあり) 続き2→「BASTARD!!」の単行本の版による、乳首などの違い ネットアイドルちゆは、仕事よりも家族を優先する漫画家・冨樫義博先生を応援しています。 |
平成17年2月14日 | ちゆ16歳 | ||||||||
平成13年の2月14日に開設した「ちゆ12歳」も、今日で4周年になりました。 ……ということは、ちゆも16歳。4月から高校2年生になるのですね。チョベリグー。 そこで今日は、立派な女子高生になるため、45万部も印刷されている人気雑誌「セブンティーン」を読んでお勉強することにしました。 とりあえず目に付いたのは、メールの書き方講座。 「ナイスなメールテクを紹介するよ」とのことで、たとえば年始のあけおメールなら、次のように書けばいいそうです。
解説によると、「しりとりは読みごたえがあって、楽しい」とのこと。……コレで「読みごたえがある」って、いったい普段何を読んでいるのでしょうか。 もうひとつ例を見ると……。
最近の女子高生の間では、下ネタの連発で縦読みを作るのがオシャレのようです。 また、写メールのテクニック特集でも、大口を開けた自分の顔写真にウンコのイラストを貼り付け、「ウ○コをパクッ」みたくするのが良ネタとして紹介されていました。 ……ウンコで喜ぶのは小学生だけだと思っていましたが、女子高生もかなりのウンコ好きみたいです。男性の皆さん、合コンの話題は「世界各地で冷凍ウンコの落下事故が相次いでるんだってYO〜」でモテモテ王国ですよ。 →結論(1):女子高生はウンコネタを好む。 続いて、女の子が好きなものと言えばおまじないです。 「セブンティーン」によると、たとえば、席替えでカレの隣の席になるには、カレの背中に向けて気功砲のポーズを取り、「コ〜ア〜ラ〜」と唱えればよいそうです。 不思議なのは、この常軌を逸した説の根拠が、「おまじないだから」の一言で片付けられてしまう点。 女子高生の輪の中で「コアラと席替えの因果関係が不明だ」などと口走ろうものなら、たちまちおジャ魔女どれみショーに紛れ込んだ渋谷系イケメンのような立場になり、トゥシューズに画鋲を入れられてしまいます。 そんなわけで、おまじない特集をチェキしてみると……。 「告白が成功するおまじない → 2週間、毎日カレの観察日記をつける」 ……あなたの好きな男は自由研究のひまわりですか。 「いい男と出会えるおまじない → 玄関に塩をまいて13回足踏みする」 ……それはいい男以外の何かを召喚する儀式かと。 「恋のライバルを消すおまじない → ニンジンにコンパスの針でカレの名前を彫り、切り刻んで全部食べる」 ……実行しているところを想像すると人としてどうかと。 →結論(2):女子高生はおまじないと称して奇行に走る。 最後に、「みんなのまわりの大事件」というテーマの投稿ページを見てみました。 例によって、「学校のトイレにう○こをつまらせた。(高3)」などのうんこネタが幅を利かせていますが……。
イケメンにあらずんば人にあらずと言わんばかりですが、他人を顔で判断するのは、女子高生に限らず人間の自然な感情ですよね。 ほかの投稿と総合すると、肥えた男性を見て「ドランクドラゴンの塚地みたいー」と笑えるようになれば一人前みたいです。 →結論(3):女子高生はキモメンを見下す。 それでは、以上を踏まえて16歳らしい日記を書いてみましょう。
ちゆのリサーチが正しければ、これで「セブンティーン」読者の女子高生の方がゲラゲラ笑ってくれるハズです。 そんなこんなで、いつも当「ちゆ12歳」を読んでくださっている方、本当にありがとうございます。 |
平成17年2月17日 | 魔法戦隊マジレンジャーがスタート | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
新番組「魔法戦隊マジレンジャー」が始まりました。 戦隊のエネルギー源が「魔法」なのは、「激走戦隊カーレンジャー」のクルマジックパワー以来でしょうか。 「気! 気! オーラパワー」とか「6億年前の超古代文明のパワー・超力」とか、得体の知れないものを動力にする戦隊も多いのですが、今回は「魔法」ということで、とても分かりやすいハリー・ポッターですね。 さて。 かつて、「オーレンジャー」は戦隊シリーズ20周年記念作品とされ、「戦隊シリーズ20周年記念」のCDでも、東映のプロデューサーが「『秘密戦隊ゴレンジャー』からスタートした戦隊シリーズも、今年の『超力戦隊オーレンジャー』で20年を迎える」と発言しました。 ところが6年後、その数え方なら26周年になるハズの「ガオレンジャー」が、なぜか「戦隊シリーズ25周年記念作品」とされました。 そんなわけで、戦隊シリーズが今年で何年目かという数え方には、「オーレンジャー暦」と「ガオレンジャー暦」があります。
ですから今年の戦隊は、「ガオレンジャー暦」では29周年、「オーレンジャー暦」では30周年となります。 なお、「オーレンジャー」という番組は、20周年ということで王道回帰を目指したものの、人気が伸びず途中からあらぬ方向に軌道修正。 しょうもない新ロボが次々と登場したり、真面目なレッドがヤンキーのコスプレをして「全開バリバリだぜぇ〜!!」と叫んだり、敵のボスが2人の拳が真っ赤に燃える必殺技「ラブラブ・ペア・アタック」を放ったり……。気が付けばヘッポコお笑い戦隊と化していました。 そのせいか、どうも「オーレンジャー」には黒歴史なイメージがあり、「スーパー戦隊大集合」でも、「オーレンジャー」の紹介時間は全戦隊で最短の22秒でした(平均は37秒)。 東映も本当は「オーレンジャー」の存在そのものを抹消したいのだけど、さすがに無理だから、せめて「戦隊20周年」という地位だけでも剥奪しようと「ガオレンジャー」でカウント法を変えたのだという陰謀論もあります。 そんなこんなで、たぶん東映的には戦隊シリーズ29周年の「魔法戦隊マジレンジャー」。その第1話を見てみました。 まずは、主人公である兄弟と、その母親が食事をしている場面です。 長男は、自然を愛する男。「ジャンジャジャーン! 産地直送、とれたて兄貴サラダ」と言いつつ、野菜を自分の顔の形に並べたサラダを嬉しそうに他の兄弟に振る舞います。 次男は、ちょっぴり冷めた男。そのサラダに「食欲なくすぜ」と正直なツッコミを入れますが、兄貴は「土いじりはいいぞ、お前もやれ」とズレた返事です。……意識的にスルーしたのか、単に脳の構造が幸せなのか、よく分かりません。 一方、お母さんはおっとりした人で、娘と次のような会話をしていました。 娘「ね〜え、お母さんは魔法って信じる?」 母「なに子どもみたいなこと言ってるのよ。そんなもの信じてるわけないでしょ」 娘「も〜う、お母さんったら、夢がないんだから〜」 ところが、そんなお母さんと兄弟たちが外に出ると、巨大なトロルが出現。 それを見たお母さん、「……ついにこの日が来てしまった」とつぶやき、「魔法変身! マ〜ジマジマジ〜ロ!」とポーズを決めて、一瞬で全身タイツに変身します。 実は、お母さんは「マジマザー」だったのです。 そして、「闇の亡者よ、消え去れ!」と、魔法一発でトロルをブッ殺すマジマザー。 その夢ありすぎな姿を見て、兄弟は驚愕。「すげぇ〜!」「母さん!」「母さん!」と興奮して母親を取り囲みます。子どもたちにダッシュで逃げられてもおかしくない場面でしたが、ものすごい家族の絆です。 それからマジマザーは、携帯電話型の変身アイテム・マージフォンを兄弟に配布。「あなたたちは、それで空の上に住む天空聖者から魔法の力を授かり、魔法戦隊マジレンジャーとなるのよ!」 そして、より強力な敵と戦うために魔法力を蓄えると言い、「スクリーム」みたいな黒装束を着て、棒を組み立てたピラミッドの中に正座するお母さん。 今日の敵はたぶんザコだからお前ら兄弟だけで戦ってこい(要約)と命じます。 娘「急に言われたって、できないよ〜」 母「大丈夫っ! あなたたち兄弟なら……できるわ!」 情感たっぷりに断言されて、長男は「分かったよ母さん!」とノリノリ。「みんな、魔法変身だ!」と、すっかりリーダー気取りです。 そして、注目の変身シーンは……。 長男「うなる大地のエレメント! 緑の魔法使い! マジグリーン!!」 (中略) 次女「たゆたう水のエレメント! 青の魔法使い! マジブルー!!」 ……マジブルー。名前の響きは絶望マンと大差ありません。 ともあれ、長男はもうゴキゲン。「魔法のパワーだあ〜っ!!」とハイテンションで叫びながら、敵の戦闘員をバッサバッサ倒していきます。 長女も、魔法で自分の体をピンク色の扇風機に変え、その爆風で敵を吹き飛ばしました。 そして、「俺はマジだぜぇ〜〜〜っ!」と変身した末っ子がレッド。 敵の1人を魔法でサッカーボール状に折り畳むと、そいつを蹴っとばして他の戦闘員にぶつけることで攻撃します。ボールにされた戦闘員は何度も何度も蹴られてぶつかりまた蹴られ、とてもかわいそうでした。 そうして敵の戦闘員を片付けて、「やったぜぇ〜! 魔法ってスゲぇ〜!」と大はしゃぎの兄弟。 しかし、そこで敵の幹部が巨大化。さあ、どうする! ……というところで、次回に続きます。 ちなみに、次回予告ではマジマザーが巨大化して戦っていました。 そんなこんなで、まだまだ第1話。これからどうなるのか分かりませんが、ネットアイドルちゆは「魔法戦隊マジレンジャー」を応援しています。 |
平成17年2月21日 | 「ソーサリー」の新訳版が完結 | ||
「ゲームブック」というものをご存知でしょうか。 たとえば、「妖怪の館 魔王からの招待状」を読んでみると……。 豪華なごちそうが並んでいて、不気味な悪魔に「毒など入ってないから、腹いっぱい食べてくれ…」と言われる場面で、選択肢が登場。 「さあ、キミは食べるか?」 食べるなら21ページへ、食べないなら23ページへ。 「せっかくだから俺はごちそうを食べるぜ」と、21ページに進むと……。 「風船のようにパーンと破裂して死んでしまった」。ゲームオーバー。 仕方なく、最初からやり直しです。今度はごちそうを食べないように気をつけて進みますが、途中で出題されたなぞなぞに間違えると……。 「オマエたちはウジ虫だぁー!」 ふたりは小さなウジ虫になってしまった。ゲームオーバー。 ……魚の骨やリンゴの芯が、彼らの今後のウジ虫ライフを象徴しているようでエグいです。 あと、なぞなぞに間違えて「ひきょうだぞ、インチキをするな!」と逆ギレする主人公も見逃せません。 さらにもう一度やり直すと、今度はゲジゲジになってジ・エンド。 挿し絵(ちょっぴりキモいので注意)で、ゲジゲジと化した少年が口から何か吐いてるのがイヤすぎます。 そんな感じで、「××なら○○にすすめ」など、ほとんど手がかりのない分かれ道の選択ミスによるシュールで悲惨な死に方を繰り返しながら、ハッピーエンドを目指すのが「ゲームブック」です。 性質上、何度もゲームオーバーを見るので、死に方の凝り具合も大切な要素になります。 さて。 そんなゲームブックの中で、もっとも有名な作品の1つが「ソーサリー」です。 総項目数2265というアホみたいな分量を誇りながら、ゲーム的な完成度は非常に高く、物語もグレイト。極上にイカしたグロテスク系の挿し絵まで付いていて、剣と魔法のファンタジー世界を冒険する醍醐味が堪能できます。 体力の少ないときに丸一日なにも食べなかったら栄養失調で死んだり、扉の上に黒板消しの要領で仕掛けられたハゲ薬に引っかかってツルッパゲになったり。 首狩り族につかまって気絶すると、「あなたが目ざめることはもう二度とない。あなたは今夜首狩り族に新鮮な肉のごちそうをふるまうのだ……」とゲームオーバーです。 宿屋に泊まって目が覚めれば、実は変態だった宿屋の親父によって首の上にギロチンの刃がセッティングされており、そこで2択を間違えると、「ギロチンの刃が落ちて、あなたの首をすぱっと切り落とした」と即死します。 もうたまりません。ゲームブック万歳! さて、そんな「ソーサリー」は長いあいだ絶版になっていたのですが、最近、装丁などを新しくした新訳版が出版されました。 創土社のホームページによると、その完結巻が来月発売されるそうで、めでたく新訳版で最後までプレイできるようになります。 ところで、旧版の2巻には、普通なら120分の119くらいの確率で即死、手がかりを入手していても24分の23くらいの確率で即死という、悪質極まりないデス・トラップがありました。 これには、実は日本語に訳される時にヒントが省略されていたという真相があって、新訳版ではちゃんと直されたのですが、ちゆにはもう旧版の理不尽っぷりの方が愛おしいです。 そんなわけで、かれこれ20年近く遊んでいる旧版は、ちゆにとってもはや全肯定の対象。 新訳版では、旧版で「カーレ」だった街が「カレー」になったり、「時の蛇」が「時大蛇」になったりしましたが、それにも抵抗があります。 もちろん、その辺はちゆが旧版を偏愛しているだけで、これから初めてプレイする人には新訳版の方がオススメだと思いますけど。 まあ、その新訳版も、昔からのファン向けの懐かしアイテムという感じで、これから新しいファンを獲得したりするのは難しいのかも知れませんが……。ファンタジーが好きな人には、ぜひプレイして欲しい名作です。 ネットアイドルちゆは、ゲームブックに力を入れている創土社を応援しています。 |
平成17年2月26日 | マジマザー、死す |
先日、新番組「魔法戦隊マジレンジャー」が始まりました。 ≪第1話のあらすじ≫ 主人公の5人兄弟は、お母さんの正体がマジマザーだったので、魔法戦隊になって戦うことに。そしたら、敵が巨大化したよ。 それを受けて第2話「勇気を出して 〜マージ・マジ・マジカ〜」が放送されました。 巨大化した敵にビビる5人兄弟ですが、そこにマジマザーが助けにきました。「あとはお母さんにまかせて!」と言い、巨大化して1人で敵に挑みます。 ところが、戦闘開始から約60秒で、敵の攻撃を受けたマジマザーはクルクルと回転しながら爆死。 兄弟のところにも母親の破片が飛んできました。あっけない母親の戦死に、泣き崩れる5人。マジブルーもマジブルーです。 お母さんを殺した敵は一時撤退してくれましたが、まもなく、別の敵が街で暴れているという情報が入ります。 長男「みんな行こう、母さんのかたき討ちだ」 次男「行ったって殺られるだけだ!」 長男「勝てる見込みがなくても、戦わなくちゃいけない時があるんじゃないのか」 最大の戦力だったマジマザーが約1分で戦死したのですから、わざわざ死にに行くのもどうかと思いますけど。 とにかく、先週の放送で「無謀と勇気は違う」と学習したハズの三男を含めた3人が街に向かいます。 その街では、2匹の厚化粧の女が大暴れ中。口から何か吐いて建物を破壊してケラケラ笑ったり、妙ちくりんなポーズを決めながら意味もなく窓ガラスを割ったり……。空想上の「頭悪い女」をイメージ通りに実体化させたような、見事なキチガイっぷりです。 公式ホームページによると、片方が「ゴスロリ系ファッション」で片方が「パンク系ファッション」らしいのですが、この人たちはゴスロリとかパンクとか言う以前の違う何かだと思います。 ともあれ、マジレンジャーの好戦派3人組は、このゴスロリに一瞬で捕獲されてしまい、巨大な怪物のエサとして食べられてしまいました。 ……元々「勝てる見込みがない」と本人たちも自覚していたとはいえ、本当に無策で突っ込んで速攻で負けるのはどうかと思います。 その頃、戦いに行かずにお家に帰っていた残りの2人は、自宅の隠し部屋を発見。そこに、お母さんの立体映像が現われました。 母「あなたたちがこれを見ているということは、おそらく、私はもうこの世にはいない」 ……そこまで先読みできていたなら瞬殺されないで欲しいですが、とにかくお母さんによると、実は5人兄弟のお父さんは天空聖者だったのだそうです。 娘「えっ! お父さんって、探検家じゃなかったの!? 南極で遭難して亡くなったって!」 子「あれ全部ウソだったのか!」 母「復活したインフェルシアと戦えるのは、勇敢な戦士だったお父さんの子供の、あなたたち兄弟しかいない!!」 ……立体映像なので、都合の悪いツッコミは華麗にスルーします。 それから「お前たちの武器は勇気だ」みたいなことを語る母親ですが、あなたの子ども3人はいらん勇気を発揮したおかげで腹の中ですよ。 とにかく、「さあ行きなさい! 魔法戦隊マジレンジャー!!」と、お母さんはわが子を死地に送り出します。 素直に遺言に従うことにした2人は、空飛ぶ高速マシーン・スカイホーキーに乗って移動を開始。 とりあえず、魔法ケータイで他の兄弟と連絡を取ります。 次男「おい、俺だ。いまどこにいる?」 三男「今ごろおせーよ! 俺たち、怪物に飲み込まれちまったんだよ」 怪物の腹の中で緑色の体液に溺れながら電話する三男。さすが魔法ケータイです。 しかし、あっさり食べられたり、お母さんの遺言を聞き逃したり、勇気を持っていた3人にはロクなことがありません。 ともあれ、ピンクが魔法で巨大なコショウに変身。怪物にクシャミをさせると、食べられていた3人はゲロのように吐き出されます。 漫画的な脱出方法ですが、吐き出された三男の全身には気持ち悪い白いドロドロがこびりついていました。……そんなリアリティだけ追求しないでください。 それから、「魔法大変身!」と叫んだ5人は、みずから巨大化してマジマジンに姿を変えます。今回はロボットに乗り込むのではなく、ロボットと一体型の「忍者戦隊カクレンジャー」方式が採用されたようです。 5人「マジマジ・オンステージ!」 そこで「マジ、マジ、マ〜ジレンジャ〜♪」とオープニング主題歌が流れ出し、視聴者にマジレンジャー優勢を伝えます。 長男「みんなの力を、合わせろッ!」 まず、ピンクが魔法で巨大なサッカーボールに変身。そのボール(注:ピンク)をグリーンが野球のバッティングの要領でカッ飛ばし、ブルーが蹴りを加えてから、イエローがブン投げます。 そして、「5人のパワーを食らえ!」と叫んで、レッドがピンクをオーバーヘッドキック! 飛ばされたボール(注:ピンク)は炎をあげながら怪物に激突して、見事に敵を爆死させました。 戦隊に古くから伝わるボール系の必殺技ですが、女の子の体を飛び道具として使用するのはどうかと思います。 しかし、ピンクはボール状態から元に戻りながら、のんきに「やっほー♪」などと喜んでおり、自分の人権にはあまり関心がない様子でした。 そんなこんなで家に帰ると、1人だけ高校生の三男が、他の兄弟に心配されます。 次男「成績下がったら、マジレンジャーから外すからな」 長男「よし! 明日は頭のよくなる兄貴サラダだー!!」(←今週のオチらしい) しかし、視聴者にとっては、その三男よりも、20歳前後なのに学生ではなく、働いてるわけでもないらしい他の4兄弟の方が心配です。 せめて彼らが誰の収入で食べているのかだけでも、早く説明して欲しいです。 ネットアイドルちゆは、ひきこもりと無職を応援しています。 |