平成18年5月4日 | 「テニスの王子様」のヒロインの顔が変わった? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
昨年3月12日のニュースでも触れましたが、週刊少年ジャンプに連載中の「テニスの王子様」は、とてもCOOLな漫画です。 たとえば、「皇帝」と呼ばれる中学生が、相手選手に向かって「絶望と共に散るがいい!」と凄みながら「究極奥義『風林火山』」なるテニス技を放ったり、「殺し屋」と呼ばれる中学生が、怒りと共に全身から凄まじいオーラを放出させた相手選手に「そのチンケなオーラで何を見せてくれるのかな?」と言い放ったり、試合中に突然日本刀を持ったサムライの幻覚が見えたり……。 そんな「テニスの王子様」の作者・許斐剛先生が、昨年末に全治6か月のケガをされてしまったそうです。 それでも「気力で描きました」と、ページ数を減らしたりしながらも連載を続けてくれていた許斐先生ですが、やっぱり無理があったのか、先日から1か月の休載となりました。 そうして、1か月ぶりに再開した「テニスの王子様」を読んだところ、物語のヒロインである桜乃ちゃん(12歳)の顔に、なんとなく違和感を覚えました。
7年ほどの連載で作中では5か月しか進んでいないのですが、こうして変化を見ると、最新号ではずいぶん 一方、主人公・越前くん(名前の由来は大岡越前)の最大のライバルである遠山金太郎くんも久しぶりに登場しましたが、こちらはあまりにも変わらなさ過ぎるのが気になります。
一瞬コピーかと思ったのですが、2枚を重ねてみたところ、目・鼻・口・輪郭のカーブは大体一致しますが、線の強弱には差があり、髪の毛も違いました。 正直、それが何を意味するのかはよく分かりませんが、ケガでペンを握れる時間に限界のある先生の代わりに このコマの作画を任されたアシスタントの方が、先生の描くキャラクターの美しい目鼻立ちを崩すわけにはいかず、苦悩の末に過去の絵を忠実になぞった……という妄想ができなくもありません。 あと今回、ドロボーにテニスボールを叩き込んで倒す場面がありましたが、そのドロボーが6年前に登場したドロボーと同じ奴です。
しかし、前にドロボーが現れたのは春でしたが、今回は夏ということで、長袖を半袖にする配慮を忘れないのは流石です。 以前と同じドロボーが同じオバサンから同じカバンを奪っているのはOKだけど、夏に長袖を着ているのは不自然だから直すという判断基準が素晴らしくCOOLです。 また、6年前は「どけどけー!!」「うわっ」「ギャ!!」という普通の日本語を使っていたドロボーが、今回は「どけどけー!!」「ひゃっひゃっひゃ!」「げひぃぃ!!」など、COOLなボキャブラリーの持ち主に成長。 これだけで、この漫画が6年間でどのような進化を果たしたのかを知ることができます。 さて、金太郎くんの顔が同じなのは諸々の事情、ドロボーが同じ人なのはCOOLなギャグだとして、気になるのは、桜乃ちゃんの顔の変化です。 そういえば、桜野みねね先生の「まもって守護月天!再逢」でも、キャラの顔が急に別人になったことがありました。
これについては、ひねくれ市民球場さんの情報を読む限りでは、途中から桜野みねね先生ご本人ではない、別の方が作画をされていたようです。 理由は、みねね先生が「不安定」で漫画を描けなくなっていたということのようですが、そんな風に漫画家が漫画を描けなくなるのは、わりとよくあることです。 たとえば「消えたマンガ家」によると、鴨川つばめ先生は「マカロニほうれん荘」の連載後、机の1メートル以内に近づくことすらできない状態が何年も続いたそうですし、冨樫義博先生は「幽遊白書」の連載中、「原稿に向かうと、ハキ気がする位 漫画を描きたくなくなった」そうです。 もちろん、ジャンプで長期連載中の許斐先生にも、肉体的・精神的に相当な負荷がかかっているのは確実で、たとえ「テニスの王子様」が突然「青学はウソのようにボロ負けした」と最終回を迎えたとしても、不思議には思いません。 ただ、許斐先生は、新人漫画賞の審査員になった際、「煮詰まった時の気分転換の方法は?」という問いに、「煮詰まっているようではプロになれません。煮詰まるな!」と答えたほどの猛者。 近況欄を見ても、冨樫先生が「頭痛がします」「特記すべきことはないです」などのダウナー発言を連発するのに対して、許斐先生は、「凍えるような夜に玄関先で蚊を発見! 無茶だなぁ。また暖かくなってから戦おうぜ」と、さわやかに昆虫に語りかけます。 少なくとも読者に見える範囲では創作意欲の衰えを感じさせず、ケガをされる直前にも、「イラスト集『30.5』の描き下ろしを描きまくってます! 1点でも多く描くからね」と宣言。 週刊連載の合間に40点の描きおろしイラストを執筆というファンサービスっぷりでした。(それだけ頑張ってもアマゾンのレビューには「新しいイラストがもっと欲しかったです」といった声が寄せられてしまうあたり、漫画家というのは本当に大変な職業です) そんな感じで、漫画が描けない状態よりは、ケガの激痛に耐えながら「COOL! COOL! COOL! COOL!」と絶叫してペンを走らせる姿の方が容易に想像できる許斐先生。 そこで、改めて冷静に桜乃ちゃんの変化を追ってみますと……。
……すみません、もっと唐突に老けた印象だったのですが、最近の絵を加えて並べてみると、思ったより自然な変化でした。 実は、桜乃ちゃんがヒロインらしく扱われていたのは連載2年目までで、連載3年目は本編に一度も登場していません。 さすがにマズイと思ったのか、4年目には3話に分散して合計12コマほど出演しますが、5年目はまた出番が減って顔が米粒くらいの大きさの1コマだけの登場でした。
しかし、6年目には、1話だけの出演ですがなんと21コマも登場し、彼女の平常時4年分に匹敵する圧倒的な存在感を見せつけます。 ただ、その反動は大きかったらしく、それから1年半に渡って出番がなくなり、今回の登場は、平成16年10月6日以来の生存確認となりました。 そんなわけで、ちゆが感じた違和感は、桜乃ちゃんが急に変わったというよりは、許斐先生の絵柄の変化に桜乃ちゃんの出番が追いついていないだけのようです。なんだか余計な心配だったようで、失礼いたしました。 ネットアイドルちゆは許斐剛先生を応援しています。 |