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平成13年8月21日 幼女誘拐事件のあらすじ

 8月14日、栃木県の小学2年生・美穂ちゃん(7歳)が誘拐されました。

 犯人は、藤田竜一(22歳)田中邦彦(21歳)の無職コンビ。4歳の妹と路上で水遊びしていた美穂ちゃんを車で連れ去って、24時間ほどアパートに監禁しました。

 犯人の2人は、小学校からの同級生。
 ゲームやアニメが好きな仲間ということで仲良くなりましたが、いじめられっこの田中くん藤田くんが助けることもあったそうです。やおい的には攻(掘る側)は藤田くん、受(掘られる側)は田中くんでしょうか。

 藤田くんは中学校の卒業文集で、次のように記しています。

 ●将来の夢:風になる!
 ●自分の前世:なんと魔王ルシファー様だ
 ●宇宙人はいると思いますか:悪魔ならいるゾ
 ●一度だけ魔法が使えるとしたら:とーめー人間になってイタズラ人生さ

 そして、好きなテレビ番組は「魔法のエンジェル・スイートミント」「花の魔法使い・マリーベル」「魔法のプリンセス・ミンキーモモ」「メイプルタウン物語」「ママは小学4年生」「きんぎょ注意報」などなど。

 そんなこんなで2人そろって不登校になりながら、どうにか中学を卒業。それぞれ定時制高校を卒業したり数ヶ月で辞めたりした後、仕事を転々としていました。
 そして、藤田くんは夜ノ森一輝(よのもりかずき)のペンネームで同人活動を開始。ホームページでイラストを公開したり、コミケで同人誌を売ったりしていました。

 そのミラーサイトや別館のミラーサイトを見ると、LeafKeyエロゲーが好きだったようです。
 また、ホモ系にも興味を持っていたらしく、本当に藤田×田中な関係だった可能性も垣間見えます。

 「いずれは今風に言うと『カリスマ同人コスプレサークル』と言う長い肩書き的な称号を得て、笑って楽しく踊って活躍したいです」。
 そんな頭の悪い抱負を語る彼の日記は、次のような感じでした。


 5/31

 同人ショップあきばお〜こくにて。
 おんぷちゃん抱き枕を発見。
 無償に欲しくなった。
 セリオとおんぷちゃんで両手に花状態で寝ってるなームフフな感じだにゃー
 しかしタダでさえ金欠だってのに、あんな高いもの買ったら死ねる。


 そして、気になる「同人誌は面白かったのか」という点ですが、Tentative Name.さんによると、「柴田亜美でKanonというか何と言うか。コメントに困る出来です」とのこと。

 そんなこんなで昨年の7月、ディスカウントストアに勤めていた藤田くんは無断欠勤でクビに。その際、「家族とトラブルがあり、彼女にもふられた。何もかもいやになった」と述べたそうです。
 「ふられた」というのはまがりなりにも現実の彼女がいたのか、エロゲーのキャラクターのことなのか気になります。

 ともあれ、家族関係・恋人関係(?)で色々あって失業した藤田くん。
 自分のホームページの掲示板に、「死にたい」「自分には才能がない」「何もないほうが……良いよ。記憶なんて……無ければいいのに……」などと書き込みます。

 また、日記にも次のように書いていました。


 7月雨の日

 自分にどれだけの価値があるのか・・・?
 存在意義、つまりは引き止める理由。

 いや、なんだかんだ言ってやっぱさすがに
 簡単には立ち直れませんわ。

 これだけ日を経ても、まだそういうことを言っているのは
 さすがにやばいかも。そして自己嫌悪。

 誰か、助けてください・・・



 7月雨の日2

 雨の日は好き・・・
 だって嫌な気持ちを打ち消してくれるみたいだから・・・
 嫌い、嫌い。
 一番嫌いなのは・・・僕。
 僕なんて・・・


 藤田くんの文章、エロゲーの影響受けすぎです。

 ともあれ今年の春、藤田くんはニセ履歴書を出して印刷会社に再就職。試用期間を経て、7月から正社員になりました。
 これでまっとうな社会人になる…かと思いきや、藤田くんは会社から3ヶ月分の定期代2万円を貰っておいて同僚の車に便乗して通勤。セコく儲けていました

 それがバレて、8月6日には退社。ふたたび無職に舞い戻った藤田くん&田中くんは、中古ソフトを売ったりしながらの貧乏生活に突入します。

 そんな頃、全身を黒で固めたオタクファッションの田中くんが、小学校の前をウロウロして女児を物色している姿が目撃されました。
 さらに数日後には、藤田くんが友人に「犯罪者になっても友だちでいてくれ」などと話しました。

 すでにこの頃には、近所の女子小学生に声をかけたりしていたようです。

 そして、8月14日の昼。
 コミケに行こうと出かけながらお金がなくて引き返してきた2人は、路上で水遊びをしている4歳児7歳児を見かけました。

 「かわいかったので、とっさに手元に置いておきたくなった」。…その時の心境を、藤田くんはそう振り返ります。
 そして、4歳児は無視して7歳児を車に押し込み、そのままアパートに連れて行きました。

 しかし、その日の夜には弱気になる2人

 田中くん「今なら自分たちの犯行であることはわからない。解放して身軽になろう
 藤田くん「…いや、それは」
 田中くん「美穂ちゃん、僕たちのことは絶対に話してはだめだよ」
 美穂ちゃん「わかった!
 田中くん「この子も約束してくれたから、帰そう」

 そして翌日の昼、美穂ちゃんを解放。

 しかし、食事やトイレのとき以外はガムテープで目隠しをされていた美穂ちゃんでしたが、犯人の顔や部屋の様子は目ざとくチェックしていました。

 …監禁された部屋は、ユニットバスとミニキッチン付きのワンルーム。テレビや本棚。夜には花火の音。外付けの階段。駐車場。近くに赤い建物。車は白のセダンで、車内のミラーには猫のマスコット人形。

 それだけバラしまくって犯人の似顔絵まで書いてしまう美穂ちゃん(7歳)。
 その情報を元に、藤田くんと田中くんの身元はあっさり特定全国に指名手配されてしまいました。

 そうして藤田くんは1週間の逃亡の末、実家に。21日の昼には母親が署に電話して、その夜に逮捕されました。
 一方、所持金は1万円程度と思われる田中くんは現在も逃亡中です。

 さて。

 「エロゲーと犯罪行為に因果関係があるのか」も一部で話題になっているようですが、少なくとも、人の行動の原因なんてそう簡単に特定できないことは確かです。

 もしも仮に「エロゲーユーザーに性犯罪者が多い」という統計資料があるとしても、「もともと幼女を誘拐するような可能性が十分にある変態さんがその変態人生の一貫としてエロゲーをやる」のか、それとも「幼女に興味を示すはずがない真人間がエロゲーのせいで幼女を誘拐する変態になる」のか分かりません。

 ましてや1つの特異な事例だけから、一般的な結論を導き出すことはできないでしょう。

 まあ、産まれた時からダメ人間の遺伝子を持っていたのか親が育て方を間違えたのか学校や友人が悪かったのか知りませんが、この世にエロゲーがなかったら彼らは自立した人間として社会に貢献できていたかと言うと、やっぱりダメな奴はダメだろうなあとは思います。

 以上、2人の男性の人生が終わるまでの顛末でした。


平成13年8月27日 続報 : 藤田くん、女性週刊誌に載る

 8月21日のニュースで、7歳の少女を誘拐した犯人・藤田竜一くん(22歳)についてご紹介しました。
 藤田くんは「Kanon」というエロゲーが大好きで、同人誌も作っていたオタク君。そして、「Kanon」のキャラクターでは月宮あゆご執心だった模様です。

 さて。
 メールで教えて頂いたのですが、今週号の「週刊女性」にて、「衝撃スクープ、『小2女児連れ去り犯』が描いた”ロリコン漫画”は美穂ちゃんそっくり!」という記事が掲載されました。

「週刊女性」9月11日号39頁

 左が藤田くんの描いたあゆあゆ、右が誘拐された美穂ちゃんです。
 22歳が真剣に描いてこの画力でしたら「カリスマ同人コスプレサークル」の夢は絶望的だと思いますが、それはさて置き、「週刊女性」では次のように述べられていました。


 肩までのロングヘアとつぶらな瞳顎の形、そして、髪にさしたカチューシャに至るまで。この面影は、誰かに酷似してはいないだろうか…。

 そう、見れば見るほど、被害に遭った秋元美穂ちゃんに生き写しなのである


 髪型とアクセサリはともかく、美穂ちゃんの瞳は普通の三次元人のそれですし、別に顎も尖っていないと思いますが。

 ともあれ、「週刊女性」は藤田くんが描いた「Kanon」同人漫画を掲載。

 ≪あらすじ≫ タイヤキを盗んで逃げてきたあゆを、祐一が説教。警官に見つかって、あゆは祐一に罪をきせる。捕まった祐一は心の中で秋子さんに助けを求めるが、そのころ秋子さんは謎ジャム作りに夢中だった。完。

 祐一・あゆ・秋子さんは「Kanon」の登場人物。藤田くんはそのキャラクターを拝借して、ほのぼの系ギャグ漫画(たぶん)を描いたと思われます。
 ところが、「週刊女性」は次のように考察。


 ラストに唐突に登場する女性についても一切の伏線も説明もなく、ジャンルとしては、不条理系のギャグ漫画に分類される作品といえるのかもしれない。


 それは元ネタを知らないから理解できないだけで、別に藤田くんは「ボボボーボ・ボーボボ」みたいな漫画を目指したわけではないのですが…。

 しかし、「週刊女性」の暴走は止まりません。続いて、「登場する男性の名前も見逃してはならない」と主張。


 この青年の名前は”裕一”
 そして、藤田容疑者の名前は”竜一”
 この青年が藤田容疑者の分身であるということは、誰の目にも明らかであろう


 それはたまたま「Kanon」の主人公の名前が祐一だっただけであって、仮に藤田くんの本名がコンバット藤田だったとしても、やっぱり祐一は祐一だったハズですけれど。

 ともあれ、その偶然の一致を根拠に分析してみたり、精神科医の話を聞いてみたりと、以降も延々と見当違いの考察が続きます。
 結局、「週刊女性」は最後まで「Kanon」は藤田くんのオリジナル作品だと勘違いしたまま、


 カノンは音楽用語では繰り返しを意味するが、藤田・田中両容疑者には、このような過ちは2度と繰り返さないで欲しい。


 と記事を締めくくるのでした。

 ネットアイドルちゆは、女性向け週刊誌があまり好きではありません。

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