平成13年6月23日 | 「野望の王国」復活! | ||||
6月15日にご紹介させて頂いた「電脳警察サイバーコップ」オフィシャル本ですが、ファンの方々の熱意と作者様のご厚意によって、無事に出版されることになったそうです。 単行本化されなかった漫画版「サイバーコップ」が、10年以上の時を経て再びよみがえる。素晴らしい出来事だと思います。 さて。 読みたいのに単行本が出版されていない、あるいはとてつもなく入手困難だという漫画はたくさんあります。 ちゆにとって、その1つが「野望の王国」でした。 「野望の王国」は、20年ほど昔に「週刊漫画ゴラク」に連載されていた狂気的な迫力を誇る悶絶バイオレンス劇画。 作画(当時風に言うと劇画)担当は由起賢二先生。ストーリー担当は雁屋哲先生、今は「美味しんぼ」の原作をしておられる方です。 「美味しんぼ」の雁屋先生とバイオレンス劇画が結びつかない方がおられるかも知れませんが、そもそも雁屋先生は「男組」をはじめとする暴力満載・反権力劇画の原作を数多く手がけたお方です。 「奴隷としてしか使い道のない劣等生に学問を教えるなどムダなこと。このような二流、三流校はいったん破壊して、劣等生に対する職業訓練所に建て直すのだ」(男組より) そう、雁屋漫画としては、実は「美味しんぼ」の方が異色なのです。権力者と友だちのように馴れ合う山岡は雁屋漫画の主人公失格だと思われます。 そんなこんなで、「野望の王国」という「漂流教室」や「愛と誠」に匹敵する物凄い劇画があり、「サルでも描けるまんが教室」の元ネタにもなっているという噂を聞いてはいたのですが、単行本はとうの昔に絶版。 古本屋での巡り会いに期待する以外ありませんが、その価格相場も全28巻セットで17000〜18000円と小学生には厳しく、なかなか縁がありませんでした。 ところが、NINETEEN!@さんに紹介されていた変ドラさんのコンテンツ「あらかじめ雑記その4」に、その狂った世界が猛烈に面白そうに紹介されていました。 そのあまりの凄まじさに脳髄を打たれて、ちゆは「野望の王国、読みたい、読みたい、でも何処を探しても売ってない」状態に陥ってしまいました。 ちょうどそんな時、コンビニで売っている昔の漫画の廉価版みたいなやつで、「野望の王国」が再び出版されるとの朗報が。 日本文芸社最高! そして心待ちにした発売日。「ザ・シェフ」と「ジ・ゴ・ロ」はどこにでも置いてあるのに「野望の王国」は全く置かれていなく、コンビニ5軒まわってようやく手に入れました。
「これはまさに、”究極のド迫力劇画”だッ!!」「権力への野望に取り憑かれた男達の、壮絶なる暗闘!!」。言葉の意味はよく分かりませんが、とにかくすごい気合いです。 それでは、簡単に「野望の王国」の内容を紹介させて頂きます。 主人公はフットボールの大スターにして東大法学部主席を争う二人の超エリート、橘征五郎と片岡仁。 コイツらが、第1話の冒頭で教授に進路を尋ねられて、いきなりこんな台詞を吐いてくれます。
なぜそんな表情でそんな台詞なのか、なぜ発光しているのかまるで分かりませんが、すかさず周囲の人間がツッコミを入れます。 教授「き、君たち気でも狂ったのか……」 学生「勉強しすぎて頭がおかしくなったんだ……」 しかし、微塵もひるまずあらぬ方角を向いて叫ぶ二人。 橘「誇大妄想と思うなら思って下さい。我々は自分たちの知力と体力を信じているんです!」 片岡「この世は荒野だ!唯一野望を実行に移す者のみが、この荒野を制することができるのだ!!」 以降、この二人の学生が権力への野望の道を突っ走る物語が展開されます。 上の1コマだけでこの漫画の凄さはお分かり頂けたことと思いますが、以下要約しますと。 橘「片岡、おれたちは互いの野望のために身も心も捧げると誓い合ったな!」 片岡「いかにも……」 片岡「この世を支配するのは暴力だ。それ以外の何ものでもない」 橘「それが政治というものです!大衆に必要なのは絶対的真実ではない。彼らの下衆な期待を満たしてやるということなのです!!」 橘「東大法学部の先輩はみんな大きな力をふるえる場所にいる。どいつもこいつもこの社会を汚している張本人だが、利用する分には便利だぜ」 片岡「全くだ。連中をうまく使いこなすと仲々役に立つ。ただそれだけの価値しかない連中だが……」 この台詞をコイツらがどんなツラで喋っているのか、ぜひ実際の漫画でお確かめになるといいと思います。すぐにまた入手困難になる可能性も高いので、コンビニで手軽に買える今の機会に入手されることが野望への第一歩でしょう。 ネットアイドルちゆは野望を応援しています。 ≪平成17年2月14日・追記≫ このコンビニ本のリリースは途中で止まりましたが、そのかわりに、平成14年の9月から「野望の王国 完全版」が発売され、誰でも「野望の王国」を全話読めるようになりました。 |