昔のちゆニュース
◇「漫画」関係◇
平成13年03月12日:DVD−ROMの「手塚治虫漫画大全集」発売 平成13年03月20日:リイドコミックが「爆」にリニューアル 平成13年04月24日:荒木飛呂彦がタイ・カッブを描く 平成13年05月22日:変人偏屈列伝エピソード1が読める! 平成13年05月23日:「金田一少年」の作者が新連載 平成13年06月12日:BOSSを飲んで漫画を読もう 平成13年06月13日:「ボブ&キース」単行本発売! 平成13年06月16日:「はだしのゲン」ロシア語版が完成 平成13年06月20日:2号で休刊したコミックリベル編集者の消息 平成13年06月23日:「野望の王国」復活! 平成13年06月26日:高校球児に人気の野球漫画 平成13年07月09日:「ケンペーくん」復活! 平成13年11月03日:「ラブひな」が最終回 平成14年02月26日:「AVない奴ら」出荷停止の理由 平成14年05月10日:「全日本妹選手権!!」第2巻 平成14年10月21日:「ホーリーランド」重刷&巻頭カラー 平成14年10月28日:強い奴から倒すか、弱い奴から倒すか 平成17年01月24日:漫画雑誌の発行部数 平成17年06月20日:さよなら絶望先生と板垣恵介先生のルーツ 平成18年03月29日:「MMR」の石垣ゆうき先生のマジック漫画が完結 平成20年03月04日:「なんだってー!」と「なんですってー!」の使い分け 平成20年03月30日:「巨人の星」の左門の妹は年をとらない 平成20年04月13日:講談社漫画賞をドラゴンボールが受賞できなかった理由 平成22年02月14日:菊池としをまとめ 【1】 蓮華伝説アスラ 平成22年03月06日:菊池としをまとめ 【2】 明王伝レイ 平成22年03月08日:菊池としをまとめ 【3】 YOH〜光の抄〜 平成22年03月12日:菊池としをまとめ 【4】 天空の門 平成22年03月13日:菊池としを先生の近況 |
平成13年3月12日 | DVD−ROMの「手塚治虫漫画大全集」発売 |
春の新番アニメの情報もおおよそ出揃ったようです。 とりあえずの注目は、「X」や「CCさくら」で子どもから大きいお兄さん・お姉さんまで大人気の少女漫画家CLAMPが少年漫画に挑戦した「機動天使エンジェレイックレイヤー」のアニメ化です。 CLAMPといえば、コミックス第一巻に通常版とマウスパッド付きの限定版があったヤングマガジン連載の新作「ちょびっツ」も大好評ですが、30日からの東京ゲームショウではアクセサリー”ちぃの耳”が先行発売されるそうです(3800円)。 また、水野良原作の「魔法剣士リウイ」や水野良総監修の「ギャラクシーエンジェル」など水野良の名前がやけに目につきますが、もうSNEは要らないですエセファンタジーだし。 なお、女の子さえ可愛ければ他はどうでもいいという方には「鋼鉄天使くるみ2式」「花右京メイド隊」「こみっくパーティー」あたりがオススメです。 ところで、深夜枠・衛星などの開拓によって、5〜6年前に比べるとテレビアニメの総本数は格段に増え、漫画・ゲームのアニメ化の機会も多くなりました。 そこで「アニメ化して欲しいと思う漫画は何か?」という話題で盛り上がったりするのですが、ちゆはその問いに「火の鳥」と答えたいです。メイド服の美少女とかは飽和状態ですし。 ご存知の通り、「火の鳥」は巨匠・手塚治虫先生のライフワークにして最高傑作、日本漫画界の至宝です。 しかし、アニメになったのは「鳳凰編」「宇宙編」「ヤマト編」の三作だけです(オリジナルストーリーの「火の鳥2772/愛のコスモゾーン」、実写映画「黎明編」の間にちょこちょこ入るアニメもありますが)。 ちゆが特に好きな「生命編」や圧倒的に壮大なスケールで描かれる感動作「未来編」が見事にアニメ化されたりしたら、すごいだろうなぁと思います。でなければ、「鳳凰編」を出崎監督がリメイクとか。 さて。やたら長い前置きの末に、ようやく今日のニュースにたどり着きました。 そんなこんなで世界の漫画家ナンバー1の手塚治虫先生の作品をほぼ完全に収録した講談社の全集(全400巻)を底本にしたDVD−ROM8枚組の「手塚治虫漫画大全集」が3月30日に発売されます。 これを購入すれば、手塚先生のほぼ全作品がパソコン上から高画質で読めるというわけです。紙のような劣化はありませんから保存に最適。これがたったの12万円とお買い得です。 ただし、予約販売だけでお店では買えません。申し込み締め切りは4月末日。3月15日までに入金すれば発売日に入手できるそうです。 予約は公式ホームページから行なえるということで、さっそく見に行ってみました……けれど、ブラウザに何も表示されません。 いえ、よく見ると画面の下の方に小さ〜い字で何か書いてありました。「FLASHプレーヤをインストールするとムービーをお楽しみいただけます」。 インストールしてない人が見るとトップページが真っ白になるという事実をホームページ製作者はどのように考えておられるのでしょうか。これが噂のデジタル・デバイド? とりあえず下の方に小さ〜い字で「SKIP THE MOVIE」と書いたボタンがありますのでそれを押せば先に進めますが、インパクじゃあるまいし、Flash至上主義はどうにかして欲しいと思います。 ちなみに、わざわざトップに置く動画がどのようなものか気になったので、飛ばされた英語のページから688KBのプラグインをダウンロードして見てみました。……感想は、何かに八つ当たりしたくなりましたとだけ言っておきます。 まあ、モノが12万円の手塚治虫全集ですから細い回線で時間を気にしながら接続している貧乏ユーザーなど眼中に無いということなのでしょう。 何はともあれ、公式サイトのデザインごときで手塚先生の作品の素晴らしさが貶められるわけではありません。 春から社会人で、「初めて貰った給料で買った思い出の品」が欲しいというような方は、初任給をつぎ込んでみられてはどうでしょうか。 |
平成13年3月20日 | リイドコミックが「爆」にリニューアル |
「ゴルゴ13を知らない」という方はおそらく日本人ではないと思います。 そう言い切れるほどメジャーで、高倉健の映画やファミコンソフト、出崎演出全開の劇場アニメにまでなったさいとう・たかを先生の大ヒット作が「ゴルゴ13」です。 昨年12月には単行本119巻が発売され、ゴルゴがダライ・ラマの依頼を受けたり、ゴルゴのニセ者が現れたりと絶好調です。ゴルゴ13新世紀セット(さいとう・たかを先生直筆サイン入りカラー複製原画付きの単行本101〜120巻のセット)の予約受付も4月5日からですので要チェックです。 試みに「ゴルゴ13」で幸せ検索したところ、「ゴルゴ13の館?」というサイトがヒットしました。 しかし、トップページに「本家本元のゴルゴ13とは全く関係がありません。はやりの『出会い系HP』です」とか書いてあって萎え萎えです。 それにしても、「インターネットで素敵な恋の始まりを」と甘い夢を見ているお兄さんお姉さんが、「この『ゴルゴの館』でガンバって理想のカレを見つけてやるわ!」とか思われるのでしょうか。ちゆは12年間、ゴルゴのメイン読者層は中年男性だと信じてきたのですが、もしかして本当はナウなヤングにバカウケのトレンディー・コミックだったのでしょうか。 まあ、更新状況・アクセス数・掲示板のログを見る限りではやはりゴルゴでは客が寄り付かないようです。よかった。 さて。そんな素敵なゴルゴ13の出版元がリイド社です。リイド社の刊行物には月刊の「おとこの遊艶地」や「漢字ワンダーランド」などがありますが、やはり筆頭は「月刊リイドコミック」(毎月27日発売)でしょう。 その「リイドコミック」が、来月号から完全リニューアルで生まれ変わります。 その名も、「リイドコミック爆」。 編集会議において、誰がどんな理由で主張して、どのような過程を経て受け入れられたのかかなり気になるナイス・ネーミングです。 コンセプトは”熱いコミック誌”で、沖縄琉球空手を題材にしたアクション漫画「レッドシーサー」(岡村賢二先生)などが連載されるそうです。 そして、詳しくはリイド社のホームページ(特にこちらの画像)を見て頂きたいのですが、とにかく乱れ飛ぶ宣伝文句が只事ではありません。 ●熱く激しく燃える「新リイドコミック」にご期待ください!! ●戦え、男たち!! ●漫画は戦いだ!! ●男たちよ、すべての本能を呼び覚ませ!! ●トレードマークは”爆”です。 リイド社のホームページには「時代をリードするリイド社ホームページへようこそ!」と書いてありますが、「時代を逆走するリイド社ホームページへようこそ!」あるいは「時代を置き去りに容赦なく全力疾走するリイド社ホームページへようこそ! 果たして君は我々について来れるかな」の方がマッチする気がします。 ネットアイドルちゆは、そんなリイド社を応援しています。 |
平成13年4月24日 | 荒木飛呂彦がタイ・カッブを描く |
ニコラ・テスラをご存知でしょうか。 発明王エジソンのライバルと言われた、ユーゴスラビア生まれの発明家です。 交流電力の原理の発明者ですから、現代の生活における電力の重要性を考えれば、ライト兄弟やフォン・ブラウン以上に人類に貢献した人物だとさえ言えます。 交流電力の研究の後は、無線による電力送信と情報伝達を核とした「世界システム」の実現を夢見るも挫折。 晩年は「無限エネルギー装置」「粒子破壊兵器」などの空想的な発明アイデアに取り組みました。 また、「膨張・収縮の周期に合わせて爆破すれば、まるでリンゴを割るように地球を真っ二つにできる」という、地球二分割破壊法も一部で有名です。 日本ではオカルト系の方々に好まれ、マッドサイエンティストの代名詞のように扱われるケースが多いです。 そういえばオウム真理教も、阪神大震災の時に「テスラが発明した地震兵器による攻撃だ」と言っていました。 テスラ関連の漫画としては、大塚英志&大野安之の「超鉄大帝テスラ」が熱狂的なファンを獲得していますが、次に挙げる作品も有名です。 「―変人偏屈列伝― NIKOLA TESLA」 原作・構成:荒木飛呂彦、作画:鬼窪浩久・藤井伸幸 荒木先生&鬼窪先生は、アシやってた関係です。 平成元年の「スーパージャンプ」6号に掲載された読切ですが、残念ながら単行本には未収録です。 嫉妬にかられたエジソンが、「球」恐怖症のテスラにビリヤードの球をグリグリ押し付けながら、「きさまはクビだ! テスラァァァーーー! もうおれの前に二度とそのツラ見せるんじゃあねーぜこの変態がッ!」となじる場面がやばすぎます。 子供たちの憧れの発明王に、こんなドス黒い一面が。 実際、直流電力を推進するエジソンは、テスラの交流電力を潰すためにあんなことやこんなことをしましたが、そんな黒いエピソードはよい子の伝記には間違っても出てきませんし。 もしかして、コレのせいで単行本化できないとか。 さて。 いつものように前置きが長くなってしまいましたが、この変人偏屈列伝の第二弾が、なんと12年ぶりに発表されます。もちろん原作は荒木飛呂彦先生、作画は鬼窪浩久先生です。 5月2日発売の「オールマン」No.10から、2号連続で掲載されます。 その名も、「変人偏屈列伝エピソード2 タイ・カッブ」。 生涯通算打率3割6分7厘、4191安打。メジャーリーグで数え切れない大記録を打ち立て、球聖と呼ばれた男。 あのベーブ・ルースを上回るファンの投票を得て、大リーグ史上最初の殿堂入りの栄誉を獲得した男。 自他共に認める史上最高の打者、それがタイ・カッブです。 しかし、彼は差別者です。 遠征先のホテルで黒人のドアマンを刺しました。罵声を飛ばされた片腕の身体障害者に殴りかかったこともあります。鼻が黒人のように丸かったベーブ・ルースのことをネグロと呼びました。 日本に来たとき、自分の持ち物がホテルからなくなったため、「日本人ほど野蛮な人種はいない」とあちこちで言いふらしました。 また、一番になることへの執念は異常なほどで、試合後のシャワーも、自分が一番に浴びなければ気がすまなかったといいます。 まさに天才と狂気。 この奇人を、日本が誇る変態漫画家(褒め言葉)・荒木飛呂彦先生がどう料理するのか。 ニコラ・テスラと同様、なかなか単行本に収録されないと思われます。この機会に雑誌でチェックしなければ、必ず後悔するでしょう。 ≪平成17年2月14日・追記≫ 「変人偏屈列伝」は、平成16年の3月にめでたく単行本化され、ニコラ・テスラやタイ・カッブのエピソードも収録されました。 |
平成13年5月22日 | 変人偏屈列伝エピソード1が読める! |
「コミックバンチ」で、10年ぶりに山下たろーが蘇りました。 少年ジャンプで連載していた前作は、百年にひとりの大鈍才が甲子園を戦い抜き、ついに史上最高の野球部員と呼ばれる物語。 その続編にあたる今作では、山下たろーは両肩を故障。野球ができない体になり、高卒で入った小さな会社も解雇。再就職しようにも27社連続不採用。雇用保険も切れて、近所の子供に給食の残り物を恵んでもらって食いつなぐダメ人間になっていました。 「おでほんとに野球でーすきなんだどー。うそじゃねーんだどーほんとだどー」と目を輝かせていた山下たろーが、ひとりポツンと川原の草野球を眺める哀愁の背中。 「新きまぐれオレンジロード」でひかるちゃんが処女じゃなくなっていたのと同じくらいショックでした。 ところで野球漫画といえば、一部でエイケンのライバルと言われているジャンプの新連載「ミスターフルスイング」もアレです。作中の台詞を適当に抜粋しますと… >「デビルリバースよりすごい筋肉してますよ!!」 >「オレの名前を言ってみろ」「ジャギ!?」 >「予定じゃイスカンダルまでかっ飛ばすハズだったんすけど…」 >「正解はスクラップ三太夫でした〜 ゆで先生サイコ〜」 >「無駄無駄無駄無駄無駄ーっ!!」 もう少し、主読者層(小学生)に分かるギャグを考えた方が、10週打ち切りから少しでも遠ざかれる気がします。 こみパの南さん似のヒロインは賛否あるようですが、個人的には「山下たろーくん」の秘書室の和山さんの方が可愛いかなと思ったり。 さて。 4月24日のニュースでお伝えしました通り、原作・構成:荒木飛呂彦、作画:鬼窪浩久の「変人偏屈列伝エピソード2 タイ・カッブ」が、「オールマン」に掲載されました。 特にタイ・カッブが身障者に殴りかかる場面は荒木節全開。「殴ったあああーーッ メッタ打ちですーーッ!! 車イスの観客をですッ! 車イスがスタジアム階段を落ちて行くうううううーーッ 車イスに座っているのを知っていながら暴行を働いているウウウーーッ」 これは、荒木先生&鬼窪先生が描く「変人偏屈列伝」の二作目にあたります。 一作目は平成元年の「スーパージャンプ」6号に掲載されましたが、いまだ単行本未収録で、荒木ファンでも未読の人が多い幻の作品となっていました。 その「変人偏屈列伝エピソード1 ニコラ・テスラ」が、ファンの熱い要望に答えて12年ぶりに再録されます。 「無限エネルギー装置」や「粒子破壊兵器」で知られる発明超人ニコラ・テスラを、鬼才・荒木飛呂彦が料理する伝説の読み切り。 嫉妬にかられた発明王エジソンが、「球」恐怖症のテスラにビリヤードの球をグリグリ押し付けながら、「きさまはクビだ! テスラァァァーーー! もうおれの前に二度とそのツラ見せるんじゃあねーぜこの変態がッ!」となじる場面はもう最高です(すみません、これ先日も書きましたね)。 是非、6月6日発売の「オールマン」No.12で確認しましょう。 以上、今週のコアミックスVS集英社・オールドファン獲得バトル情報でした。 |
平成13年5月23日 | 「金田一少年」の作者が新連載 |
あの「金田一少年の事件簿」を作った黄金コンビ(少年マガジン編集部談)、さとうふみや&天樹征丸による新連載が、ついに始まりました。 「金田一少年」は、ドラマ化・アニメ化された超人気ミステリー漫画。 金田一耕助の孫という設定を無断で使用したり、島田荘司先生の「占星術殺人事件」を筆頭に有名推理小説からトリックをそのまんま盗用したり(特に初期)、ディズニーも真っ青のパクリっぷりでも有名です。 しかし、パクりパクられながら進歩するのが世の定め。 金田一の大ヒットに我も続けと、「探偵ボーズ21休さん」(中略)「椎名くんのリーズニング・ファイル」などなど、数多くの推理漫画が作られました。結局、金田一クラスの利潤を産み出したのは「名探偵コナン」くらいですけど。 一方、この時勢に完全に乗り遅れたのは「少年ジャンプ」です。 そもそも作者の才能まかせに試しに10週連載させてダメなら首切り、ベテラン作家でも才能が枯れたらサヨウナラのアンケート至上主義で資本主義経済の頂点にのし上がった雑誌。「MMR」や「沈黙の艦隊」のような編集部主導の企画ものは、非常に苦手です。 95年:当時から企画用作家として絵だけ描かされていた「ヒカ碁」の小畑先生が手がけた「人形草紙あやつり左近」(30週)。 96年:酒鬼薔薇聖斗の事件の際、的中率があまりに低くて驚かれたプロファイリングがまだブームだった頃に便乗しようとした「心理捜査官草薙葵」(23週)。 98年:モテモテの人気子役タレントにして推理力も抜群という感情移入できそうにない主人公の「少年探偵Q」(15週)。 単行本を並べてみると、4冊・3冊・2冊と着実に短命になっていく様子がよく分かります。いずれも原作・作画が分かれていますが、ジャンプ編集部には推理漫画は二人以上で作らなければならないという固定観念でもあるのでしょうか。 なお、ガモウ先生の「ぼくは少年探偵ダン」は無視させて頂きました。 さて。話を戻しまして、さとう&天樹先生の新連載です。 タイトルは「探偵学園Q」。 あれ、どこかで聞いたような名前です。「魔界学園」じゃなくて…。ああ、先ほどご紹介した「少年ジャンプ」の15週打ち切り単行本全2巻漫画、「少年探偵Q」に似ているのですね。 なお、さすがにさんざんマンネリ・ワンパターン・マンネリ・ワンパターンと言われ続けた「金田一少年」と同じものを作るのは気が引けたのか、今回は”本格推理漫画”ではなく”冒険ミステリー漫画”というコンセプト。 第1話を読む限りでは、天才的な推理能力や記憶能力やプログラミング能力を有した少年少女たちが力を合わせて事件を解決する「チームもの」らしく、いきなりハンター試験みたいなのが始まっていました。 果たして、金田一とは異なるミステリー漫画の新境地を開拓できるのでしょうか、それとも単なる一発屋だったことの証明に終わるのでしょうか。 |
平成13年6月12日 | BOSSを飲んで漫画を読もう |
いま話題の幽霊が映っているアダルト裏ビデオを見てみました。確かに人間の顔らしき不気味物体が映っていますね。 ちゆなりに、いくつか仮説を考えてみました。 (1)この部屋でAVの撮影中に腹上死した売れない女優さんの幽霊 (2)たまたま置いてあった、植木鉢に植わった女神さまの生首 (3)地球人の生態(主に生殖)を観察に来ている宇宙人さん 「何かの事情でAVを撮影している部屋のスミッコに不自然な姿勢で潜んでいる、ちょっと青白い顔の人ではないのか」というツッコミは置いておいて、ちゆとしては(3)がイチオシです。 ちょっと不気味なものが映っているという以上のことは分かりませんので、幽霊や宇宙人といった根拠なし説明は言ったもの勝ちですね。 さて。 缶コーヒー業界では、販促キャンペーンが盛んです。 元祖は、飯島直子をCMに起用した業界トップのジョージア。「やすらぎパーカー」は応募総数3400万通、「がんばってコート」は応募総数4400万通。「あれだけ応募したのに当たらないハズはない」という苦情が殺到する史上最大の販促となりました。 一方、同じ中年サラリーマン層をターゲットにしながら、飯島直子の癒し系CMの対極を行く矢沢永吉のぼやき系CMを展開したのはBOSS。 やすらぎパーカーに対抗したボスジャンキャンペーンは応募総数1000万通。成功の目安は応募総数200万通程度だと言われますから、こちらも上々です。飯島直子には勝てませんけれど。 そんな缶コーヒー販促の定番アイテムはジャケット類ですが、BOSSの今回のキャンペーンは一味違います。 その名も、ボス漫。 詳細はBOSSホームページにありますが、BOSSについているシールを5枚集めて応募すると、以下の3つの賞品を各5000名・合計15000名にプレゼントしてくれるそうです。 ●ゴルゴ13(特選20巻)+ボス・オリジナル本 ●あしたのジョー(愛蔵版全20巻)+ボス・オリジナル本 ●俺の空(愛蔵版全7巻)+ボス・オリジナル本 中年男性以外の消費者のことは微塵も考慮していないセレクトが、実に漢らしいです。個人的には「俺の空」より「男一匹ガキ大将」が良かったのですが、本宮先生を入れてくださっただけでも感涙です。 いずれも、特製のBOSSケースに収められた文庫版の漫画本セット。本のカバーもBOSS特製で、裏表紙にはボスジャンを羽織った矢吹ジョーやBOSSを飲む安田一平が描かれています。 さらに、「あしたのジョー」の表紙は真っ白に燃え尽きたジョーなのですが、燃え尽きたジョーの背後のコーナーにBOSSの文字が。 そして付属のボス・オリジナル本の内容は、特別描き下ろし漫画や作家へのインタビュー、力石徹の葬儀/告別式の全てなどなど。 キャンペーン期間は6月5日〜8月10日なので、ちゆは2ヶ月ほどBOSSを飲み続けることが決定しました。 ボスジャンと同じくらいの応募があるとすれば倍率は300〜700倍。保証はできませんが、1日100本くらいBOSSを飲めばほぼ確実かなと思います。 あと、「ゴルゴ13」「あしたのジョー」に比べて「俺の空」は若干応募数が少ない気がしますので、ちょっと狙い目かも知れません。 以上、「やすらぎ」からどんどん離れて我が道を突き進むBOSSの話題でした。シェアナンバーワンは遠そうですが、その漢らしさには脱帽です。 ネットアイドルちゆはBOSSを応援しています。 |
平成13年6月13日 | 「ボブ&キース」単行本発売! |
かつて、「別冊DOS/V magazine CUSTOM」という雑誌がありました。 数年前のパソコン自作ブームらしきものに便乗して定期刊行化。「当面は隔月刊で、調子が良ければ早期月刊化もあり得る」とアナウンスしたものの、たった5冊で休刊になってしまった美人薄命な雑誌です。 いちおうWebマガジンへ移行するための戦略的休刊だという説明もありましたが、同種のパソコン自作専門誌「PC-DIY」が月刊から隔月刊に撤退したのもほぼ同時期。やはり売れなかったようです。 それでも、たった2冊で終わってしまったメガストア増刊「メガヴィーナス」よりはマシかと思いますけど。 さて、その「CUSTOM」に連載していた人気漫画が「PC COMMAND BOB & KEITH」。 近藤一夫(32歳、自称「キース(幻の傭兵)」)と山田栄作(30歳、自称「キラー・ボブ」)というミリタリー・マニアの2人組が、「PC自作は闘いだ!」をモットーにオーバークロックやCPUの交換に挑んでいく物語です。 アメコミ調に描かれる脳まで筋肉が詰まった漢たちがパソコン自作をするというギャップ、清々しいまでに突き抜けた馬鹿らしさが人気を集め、休刊後も媒体をWebコミックに移して連載が継続されました。 「アストロ球団」「魁!!男塾」「MMR」などのテイストがお好きな方ならば、存分に楽しめると思います。 そこで本日のニュースです。すでにTentative Name.さん等も報じておられますが、この「ボブ&キース」の単行本が発売されました。 ちゆもさっそく小学生には大金の1200円を握りしめて近所の書店に向かったのですが、「純情パイン」を大量入荷&平積みしてくれた本屋さんでさえ、入荷しておられませんでした。 確実に入手されたい方はネット通販を利用された方がいいかも知れません。 ところで、「CUSTOM」にはもう1つ、「ボブ&キース」に少しも劣らない漫画が連載していました。 タイトルは「自作王」。作者は数々の素晴らしいエロ漫画で知られるZERRY藤尾(山田X)さんです。 主人公は私立秋葉高校自作同好会のメンバー、外神田くん、日本橋くん、そして大須メモリちゃん。 ある場面で日本橋くんが大須くんと呼ばれているような気もしますが、軽く流しておきましょう。 物語は、この3人が「古くはワンボードマイコンの時代からの伝統を持つ」という全国高等学校パソコン自作選手権大会(通称自作甲子園)に挑むというもの。 白い学生服の美形ライバル、トーナメント序盤の敵は不良校、「私はお前の父だっ!!」などなど、コロコロコミック連載の怪しいホビー漫画のようなノリが最高です。 また、メモリちゃんはおさげ・眼鏡・貧乳の三拍子そろった萌えキャラクター。もちろん眼鏡を外すと美人に変身します。 連載がエロ漫画誌ではなかったことが悔やまれます。 この漫画は残念ながら、「CUSTOM」の休刊と同時に連載終了。4頁×5話の合計20頁で終わってしまい、そのまま幻の名作になってしまう恐れもありました。 しかし、なんと作者のZERRY藤尾さんが、ご自身のホームページ「WEB胡乱堂」で全話公開してくださっています。 この20世紀最高の自作漫画を無料で読ませて頂けるのですから、ZERRY藤尾さんのおられる方角には足を向けて寝られません。 人生の損失にもなりかねませんので、未読の方は是非この機会にいかがでしょうか。 ただ、あまり一般受けする内容ではないかも知れませんけど。 ネットアイドルちゆはZERRY藤尾さんを応援しています! |
平成13年6月16日 | 「はだしのゲン」ロシア語版が完成 |
ネットでお金を儲ける方法に関しては、まだ多くの企業が模索している段階です。 ロリコン画像の販売やネズミ講は論外として、ポリゴン製バーチャルガールの動画が見たければ100円払ってねといった有料コンテンツも、元をとるのは大変そうです。 また、何か。(仮)のように、企業の有料サービスよりも個人が趣味でやっていることの方が上というケースもあります。 何より、「ネットのものはタダ」というイメージが浸透してしまっていますので、お金を稼ぐのはなかなか難しいようです。 そんな中で一応の成功をおさめてきたのは、ユーザには無料でコンテンツを提供して広告で稼ぐ方式でしたが、最近はそれも低迷。ネット広告に依存してきたヤフーも、株価が暴落したりリストラしたりと大騒ぎになりました。 そんなわけでオークションの有料化やサイト登録審査の有料サービスに踏み切ってきたヤフーが、また新しいビジネスを開始しました。 今度は、ヤフーで検索に利用された単語の集計データを販売するそうです。 ●利用頻度が高い単語・月間ベスト100のデータ:25万円 ●利用頻度が高い単語・月間&日間ベスト100のデータ:50万円 誰でも思いつくような単語が100個並んだだけのデータを25万〜50万で企業さんに買い取って頂いて、商品開発や営業活動に活用してくださいということだそうです。 個人的には無料のinfoseekのキーワードランキングやLYCOSのトップ50キーワードをチェックすれば十分だと思ってしまいますが、やはり天下のヤフー様のデータは他とは重みが違うのでしょうか。 さて。 無駄に長い前置きが終わりましたところで、今日の話題はPTA推薦の怨念漫画「はだしのゲン」です。 国内では「はだしのゲン」のペイントが全面に入った飛行機(広島行き)を見かけるほど有名なこの漫画ですが、外国にはあまり知られていません。 そこで、 たとえば、金松伊さん(54)は「はだしのゲン」を朝鮮語に訳して韓国で出版しておられます(日本が敗戦したとたんに威張り出す朝鮮人の描写がどうなっているのか気になります)。 他にもフランス語・ドイツ語など8ヶ国語に翻訳されていますが、英訳版が全10巻中の4巻で中断しているなど、全編が翻訳されたことはこれまでありませんでした。 ところがこのたび、金沢の主婦のグループが、ロシア語版全10巻の翻訳作業を完了されました。 ロシア語版第1巻の出版は平成7年。第3巻まではモスクワで出版したものの、200万円の赤字を出して中断。拠点を金沢に移して経費を圧縮、ついに7年がかりでの全訳に成功したとのことです。 まさに「はだしのゲン」にふさわしい怨念のこもりっぷりです。最後の第10巻は7月上旬に印刷され、全巻セットのお値段は1万5000円。 購入方法はこちらのホームページで紹介されておりましたので、「ギギギギギ」がロシア語にどう翻訳されたのか気になる方は、是非ご自分の目でお確かめください。 それにしても、画家を目指して東京に向かったゲンのその後が描かれる予定だという続編の発表が、本当に楽しみです。 すでに還暦を過ぎられた作者の中沢先生。どうか描く前に亡くなられるようなことだけはないことを、切に願います。 ネットアイドルちゆは中沢啓治先生を応援しています。 |
平成13年6月20日 | 2号で休刊したコミックリベル編集者の消息 | |
「コミックリベル」という雑誌をご存知でしょうか。 出版元は日正堂。 「ヌード写真修正の墨塗り部分が小さすぎる」と警視庁に警告されて墨塗りを大きくしたら売り上げが急減して返本率80%をマーク。あわてて下半身の形状がよく分かるモザイク修正方式に変更したところ、昨年2月、わいせつ本を作ったかどで社長が逮捕されてしまった会社です。 そんなエロ本出版社が今年の3月、何を思い立ったか唐突に漫画雑誌を作りました。それが「コミックリベル」です。 これがどういった雑誌だったのか、当時の2chでの評価を適当に引用してみます。 >なんか無茶するなあ・・・・ >広告とラインナップにかなり食い違いあり。創刊号から落としたバカがいる? >今時こんな80年代B〜D級アンソロの亡霊みたいな本が出るなんて…… >2号でつぶれたナゾの雑誌「鉄輪純情派」をおもいだしてしまいまった >ド素人がなんにもわかんないのにエロ本並の激安制作費で適当に漫画家集めて無理矢理でっちあげるとこうなる >手当たり次第にゲスト依頼したら予想以上に下手な原稿が集まっちゃったんだけど、頼んだ手前掲載が断れなかった同人誌みたいだったよ >現在発行されてる商業誌でワースト1かも >返品八割!? コンビニも切られるだろう >100%半年以内に廃刊しますね また、関係者を名乗る方によると「製作費があまりに安くて、編集もひとりでこなすしかないから」「厳密には編プロじゃなく、フリーの編集の個人雑誌と言っていいです」「あぅ〜気の毒」とのこと。 さらに、連載している漫画家を名乗る方の、こんなご発言も。「2号目出るのか? うちまだ編集から電話ないので描いてないよ」。 結局、コミックリベルは当然のように創刊2号で休刊。歴史の片隅に消えていこうとしていました。 ところが。 ちゆは全く気がついていなかったのですが、そのコミックリベルの公式ホームページに次のような告知が出ているのを、最後通牒さんが発見されました。
逃げる編集さんって、現実におられるのですね。 そんなわけで、行方不明のコミックリベルの編集さんをご存知の方は、ご連絡さしあげてください。 |
平成13年6月23日 | 「野望の王国」復活! | ||||
6月15日にご紹介させて頂いた「電脳警察サイバーコップ」オフィシャル本ですが、ファンの方々の熱意と作者様のご厚意によって、無事に出版されることになったそうです。 単行本化されなかった漫画版「サイバーコップ」が、10年以上の時を経て再びよみがえる。素晴らしい出来事だと思います。 さて。 読みたいのに単行本が出版されていない、あるいはとてつもなく入手困難だという漫画はたくさんあります。 ちゆにとって、その1つが「野望の王国」でした。 「野望の王国」は、20年ほど昔に「週刊漫画ゴラク」に連載されていた狂気的な迫力を誇る悶絶バイオレンス劇画。 作画(当時風に言うと劇画)担当は由起賢二先生。ストーリー担当は雁屋哲先生、今は「美味しんぼ」の原作をしておられる方です。 「美味しんぼ」の雁屋先生とバイオレンス劇画が結びつかない方がおられるかも知れませんが、そもそも雁屋先生は「男組」をはじめとする暴力満載・反権力劇画の原作を数多く手がけたお方です。 「奴隷としてしか使い道のない劣等生に学問を教えるなどムダなこと。このような二流、三流校はいったん破壊して、劣等生に対する職業訓練所に建て直すのだ」(男組より) そう、雁屋漫画としては、実は「美味しんぼ」の方が異色なのです。権力者と友だちのように馴れ合う山岡は雁屋漫画の主人公失格だと思われます。 そんなこんなで、「野望の王国」という「漂流教室」や「愛と誠」に匹敵する物凄い劇画があり、「サルでも描けるまんが教室」の元ネタにもなっているという噂を聞いてはいたのですが、単行本はとうの昔に絶版。 古本屋での巡り会いに期待する以外ありませんが、その価格相場も全28巻セットで17000〜18000円と小学生には厳しく、なかなか縁がありませんでした。 ところが、NINETEEN!@さんに紹介されていた変ドラさんのコンテンツ「あらかじめ雑記その4」に、その狂った世界が猛烈に面白そうに紹介されていました。 そのあまりの凄まじさに脳髄を打たれて、ちゆは「野望の王国、読みたい、読みたい、でも何処を探しても売ってない」状態に陥ってしまいました。 ちょうどそんな時、コンビニで売っている昔の漫画の廉価版みたいなやつで、「野望の王国」が再び出版されるとの朗報が。 日本文芸社最高! そして心待ちにした発売日。「ザ・シェフ」と「ジ・ゴ・ロ」はどこにでも置いてあるのに「野望の王国」は全く置かれていなく、コンビニ5軒まわってようやく手に入れました。
「これはまさに、”究極のド迫力劇画”だッ!!」「権力への野望に取り憑かれた男達の、壮絶なる暗闘!!」。言葉の意味はよく分かりませんが、とにかくすごい気合いです。 それでは、簡単に「野望の王国」の内容を紹介させて頂きます。 主人公はフットボールの大スターにして東大法学部主席を争う二人の超エリート、橘征五郎と片岡仁。 コイツらが、第1話の冒頭で教授に進路を尋ねられて、いきなりこんな台詞を吐いてくれます。
なぜそんな表情でそんな台詞なのか、なぜ発光しているのかまるで分かりませんが、すかさず周囲の人間がツッコミを入れます。 教授「き、君たち気でも狂ったのか……」 学生「勉強しすぎて頭がおかしくなったんだ……」 しかし、微塵もひるまずあらぬ方角を向いて叫ぶ二人。 橘「誇大妄想と思うなら思って下さい。我々は自分たちの知力と体力を信じているんです!」 片岡「この世は荒野だ!唯一野望を実行に移す者のみが、この荒野を制することができるのだ!!」 以降、この二人の学生が権力への野望の道を突っ走る物語が展開されます。 上の1コマだけでこの漫画の凄さはお分かり頂けたことと思いますが、以下要約しますと。 橘「片岡、おれたちは互いの野望のために身も心も捧げると誓い合ったな!」 片岡「いかにも……」 片岡「この世を支配するのは暴力だ。それ以外の何ものでもない」 橘「それが政治というものです!大衆に必要なのは絶対的真実ではない。彼らの下衆な期待を満たしてやるということなのです!!」 橘「東大法学部の先輩はみんな大きな力をふるえる場所にいる。どいつもこいつもこの社会を汚している張本人だが、利用する分には便利だぜ」 片岡「全くだ。連中をうまく使いこなすと仲々役に立つ。ただそれだけの価値しかない連中だが……」 この台詞をコイツらがどんなツラで喋っているのか、ぜひ実際の漫画でお確かめになるといいと思います。すぐにまた入手困難になる可能性も高いので、コンビニで手軽に買える今の機会に入手されることが野望への第一歩でしょう。 ネットアイドルちゆは野望を応援しています。 ≪平成17年2月14日・追記≫ このコンビニ本のリリースは途中で止まりましたが、そのかわりに、平成14年の9月から「野望の王国 完全版」が発売され、誰でも「野望の王国」を全話読めるようになりました。 |
平成13年6月26日 | 高校球児に人気の野球漫画 | ||||||||||||||||||||
「あこがれの野球漫画とその理由」を大阪府内の188校の野球部員にアンケートした結果が、今朝の朝日新聞に掲載されていました。
これが中年層なら「あぶさん」「野球狂の詩」「球道くん」等々が上位独占しそうなところですが、今の高校球児は水島野球漫画の洗礼を受けていない模様です。 朝日新聞の分析では、「タッチ」「H2」にあこがれて野球を始めた部員が多いとのこと。今時、女が目当てでスポーツするならバスケかサッカーで決まりだと思いますけど。 また、記事によると、東海大仰星のマネージャーさんは「南にあこがれてマネージャーになった」そうで、南が達也を「タッちゃん」と呼ぶように部員全員「ちゃん」づけで呼んでくれるらしいです。 さらに、教大付天王寺のキャプテンさんは「自分も高校生になれば、と期待したけれど、H2のヒロインのような人とは出会えずに終わりそうです」とのコメント。…当たり前ですね。 それにしても、「タッチ」と「第三野球部」を同じ”野球漫画”でひとまとめにするのは、ちょっと無理があるような気がします。 たとえるならば、「美少女戦士セーラームーン」と「バオー来訪者」を”変身もの”だと同一視したり、「きまぐれオレンジロード」と「漂流教室」を”学園もの”だから同ジャンルとみなすようなものでしょうか。 ここで、日本の野球漫画の歴史を簡単に振り返ってみましょう。 戦後、最初に人気を得た野球漫画は、井上一雄先生の「バット君」(昭和23年)でした。 主人公のバット君は、中学校の野球部の単なる補欠。宿命のライバルも魔球も登場せず、ただ戦時中は禁止されていた野球ができるだけで幸せだと、友だちと明るく遊ぶ素朴な物語でした。 それから昭和30年ごろまでは巨匠・手塚治虫先生の勢力が圧倒的で、元気で明るいよい子の漫画が主流でした。 そんな中、「W3」のスパイ&盗作疑惑で手塚治虫先生にキラわれてしまった「少年マガジン」は、「少年サンデー」に発行部数で大敗。 起死回生の策としてマガジンは、編集部主導による劇画攻勢に出ました。リアルな絵柄で描かれるドラマティックな物語で、子どもよりも都市若年労働者層をメインターゲットにしたのです。 その路線の代表作が、梶原一騎先生&川崎のぼる先生の「巨人の星」(昭和41年)です。号泣しながら抱き合う男たち、血がにじむような猛特訓、悲劇の十字架を背負い立ち去っていく主人公…。 新幹線が走って東京オリンピックが開催された高度経済成長期、モーレツサラリーマンが流行して連合赤軍はよど号をハイジャックするわ、三島由紀夫先生は割腹自殺するわの熱い時代のことです。「熱血スポ根性路線」は大人気を得ました。 ところが昭和40年代半ばを過ぎると、「シラケ」世代がやって来ます。アンケート至上主義の「少年ジャンプ」が勢力を伸ばし、劇画・スポ根の人気はみるみる沈んでいきました。 巨人の星のような求道者たちが繰り広げる猛烈野球は廃れ、その反動で、等身大の少年が現実的な部活動として野球をする「キャプテン」(昭和47年)がヒットしました。 それでも、主人公が人間の限界を超えて魔球を投げつづけたためにマウンド上で絶命してしまう「侍ジャイアンツ」(昭和46年)など、スポ根もかろうじて生き残っていました。 その息の根を完全に止めたのは、7人の野手が同時にランナーに向かって飛び蹴りをかます「人間ナイアガラ」などの狂った技が次から次へと炸裂して野球の試合中に死人が出る「アストロ球団」(昭和47年)だったという説があります。 そのリアリティなど微塵も考慮しない大ボラ全開の破天荒ぶりが、「スポ根の究極の到達点はギャグである」という真実を天下に知らしめてしまったというわけです。 その後、「翔んだカップル」(昭和53年)をきっかけにラブコメブームが起こります。 それに便乗して、可愛いアニメタッチで描かれる、うまくいきそうでいかない微妙な思春期恋模様が野球をネタに展開される「タッチ」(昭和56年)が登場。大人気になります。 以上、野球漫画を大別すると、次の三つの路線になります。 ●等身大もの(努力や情熱):バットくん、キャプテン、第三野球部 ●熱血スポ根(常人が真似すると死ぬ):巨人の星、アストロ球団 ●ラブコメ(別に野球じゃなくても良かったりする):タッチ、H2 大リーグボール養成ギプスやアストロ殺人野球にあこがれる高校球児は多くないと思われますので、質問が「あこがれの野球漫画」ならば、熱血スポ根の回答は減ると思われます。 「好きな野球漫画」と聞けば結果は違っていたのかも知れませんが、「巨人の星」「アストロ球団」が選外なのが残念です。 朝日新聞によると、「第三野球部」の人気は「ひ弱な主人公や弱小チームに感情移入しやすく、その成長物語に自分たちの願望を託せるから」との分析。 でも、無茶な熱血スポ根の選択肢を削られた以上、ラブコメか等身大かのどちらかしか種類がないので、等身大路線の人気漫画のいずれかが上位に入ってくるのはそんな分析をするまでもなく自然な流れかなと思います。 なお、アンケートの「登場を期待する野球漫画は?」という質問に対する回答は、以下のような感じでした。 ●弱小校が努力を積み重ねて力をつけ、甲子園出場を果たす ●無名校にある選手が入ってきて、ほかの部員たちを引っ張っていく ●弱小チームに名監督が入ってきて(以下略) その辺りは登場を期待するよりも古本屋を探すほうが手っ取り早いと思います。 |
平成13年7月9日 | 「ケンペーくん」復活! |
5月17日のニュースで、「アイドル声優 僕の童貞喪失」というポルノ小説をご紹介させて頂きました。 体重90キロの無職童貞25歳で、理想の異性はアニメの中にしかいないという主人公。 そんな彼が、「人間の女の子でオナニーするなんて、いったい何年ぶりだろう」と一目惚れした14歳の美少女をストーキングしていた途中、ある事故がきっかけでモテモテに。 大好きな声優さんに、アニメキャラのコスプレ姿で自分の顔に放尿してもらいながら、「こんな体験のできる幸せ者は、この宇宙に僕一人だけなんだ……!」とご満悦になったりするハーレム入院生活を送るという物語でした。 この素敵ストーリーの作者は、睦月影郎先生。マドンナメイト文庫やグリーンドア文庫で100冊以上も書いておられる、人気官能小説家です。 そして、その睦月先生がならやたかし名義で執筆された伝説の過激軍国漫画が「ケンペーくん」。 毛唐、珍走団、サーファー、夜中に遊びまわる未成年、結婚前にセックスをする女学生、週に一冊も活字の本を読まないノータリンといった馬鹿どもを、現代に蘇った憲兵大尉であるケンペーくんが軍刀で斬り殺し、南部十四年式拳銃で撃ち殺し、戦車でひき殺すという作品です。 たとえば、車の外に漏れる大音量でロックを聴いている低脳四人組を発見したケンペーくん。「他人に迷惑をかけるバカは日本に要らぬ。一刻も早く役に立つ家畜に生まれ変われ」と言い放ちます。 そして、「お前の来世はブタだ!!」と、一人の頭部を軍刀で切断。続いて、「お前は馬だ!!」「お前は牛だ!!」と、一人を串刺しに、もう一人を打ち首にします。 恐れをなした最後の一人は「たすけてください。こころをいれかえます」と命乞いしますが、もちろんケンペーくんは許しません。 「お前はイカだ」と、ロードローラーでひき殺してめでたしめでたし。 当初はエロ漫画誌に連載。あまりのヤバさに出版社がみんなビビッたため、自費出版で単行本化されたのが平成3年。 その後、コミケや防衛大学の購買で2000部を完売。ジャパンミックス社から正式に出版されました。 そして、梶原一騎の漫画原作以外の著作や団鬼六のSM小説シリーズといった妙にマニアックなセレクトで知られる幻冬舎アウトロー文庫に収録。 唐沢俊一さんの布教活動の甲斐あって、入手しやすくなりました。 さて。 睦月先生のホームページに掲載されている日記に、こんな記述がありました。 「S社の新雑誌『天誅』の編集二人来訪。ケンペーくんの依頼。いよいよ9月よりケンペー復活!毎月7ページ」 なんと、ケンペーくんの新連載です。 この依頼があったのが、6月14日。すでに絵コンテなどの作業に取りかかっておられるそうで、「今世紀の初頭、成人式で騒いだ奴らからケンペーくんがブッ殺す!」とのこと。 さらに、担当さんからコマの削除や台詞の書き替えを指示されても、「毎回多くの指図をされての連載なら降りる」「ケンペーの内容だけは譲れぬのだ」との力強いお言葉を返されたそうです。 そして、「良い作品を書いて、多くの読者の支持を得ることで答を出したいと思う」という頼もしい宣言! 睦月先生、最高です。 また、読者プレゼントとしてケンペーTシャツも作られるとの情報。 茶髪にピアスのチャラチャラした毛唐ファッションなど歯牙にもかけぬ格好よさ。猛烈に欲しいですが、それを着るに値する人間が現代日本に何人いるかは疑問です。 そんなこんなで、ネットアイドルちゆは睦月先生を応援しています。 |
平成13年11月3日 | 「ラブひな」が最終回 | |
手塚治虫、永井豪、大友克洋、水木しげる…。有名な先生が並ぶ講談社漫画賞の受賞者リストに、最近、1人の漫画家さんが加わりました。 名前は赤松健先生。「ラブひな」の作者です。 「ラブひな」は、東大二浪中のヘタレ主人公が女子寮の管理人になって、美少女たちに囲まれながら生活する漫画。 読むと、お風呂・パンチラ・妹などなど、ベッタベッタなギャルゲー的お約束のオラオララッシュを叩き込まれます。 漫画の内容よりファンの生態を観察する方が面白いという方も多いようですが、これで多くのオタクさんが萌えたこともまた事実。 それでも、本来日陰にしか生息できないハズのオタク専用にチューニングされた駄目漫画に「講談社漫画賞」はどうかと思いますが、最終候補に残った他の作品が「テニスの王子様」では仕方ありません。 ちなみに、各審査員さんの選評は…。 ●庄司陽子さん:登場人物の多さ、アニメに近い絵、描き分け等、気になる所はありました。 ●弘兼憲史さん:受賞は実力と運とタイミングだということをつくづく感じさせられる。 ●内館牧子さん:私は「テニスの王子様」を推した。 ●鈴木由美子さん:私的には「テニスの王子様」も捨てがたいものがありました。 …もう少し女性審査員の比率が高ければ、「テニスの王子様」が受賞していたかも知れません。 ともあれ、面白いのは七三太朗さんの選評。
つまり、シラフでは読めたものじゃないけど、酔っ払ったら面白かったとのこと。…そんな審査で良いのでしょうか講談社漫画賞。 さて。 アニメ化もされ、まるで高倉健を主演にした実写版「ゴルゴ13」のように「原作と違う」と叩かれたりした「ラブひな」。 ヒロインの方から主人公に舌を入れるわ、ラブホに連れ込むわ…。ギャルゲー・少年漫画の寸止めルールを破壊する最近の展開から予感されていた通り、ついに最終回を迎えました。 …それを言ったら今週の「エイケン」なんて、寸止めどころか明らかに入っちゃっていますが。 ところで、主人公が東大を受験する漫画「東大快進撃」は、合格後に東大を崩壊させて終わりました。「ラブひな」も合格したら最終回だと思われていましたが、合格後も主人公が東大生として連載が続きました。 連載終了特別企画の座談会で、作者の赤松先生は当時の心境を次のように語っておられます。 赤松「いやぁ〜、ホントにやることなかったです。どうしようかと思っちゃいました」 …この何も考えてないいきあたりばったり加減。さすがです。 なお、座談会の参加者は、赤松先生、アニメ版を作った岩崎監督、アニメ版の主人公の声を演じた上田祐司さんの3人。 上田さんは、「機動戦艦ナデシコ」の主人公(アニメに依存しまくりの駄目オタ野郎)役をはじめ、「ときめきメモリアル」や「愛天使伝説ウェディングピーチ」などで活躍しておられる声優さんです。 ちなみに、上田さんがLaOX Homepageの「声優さんのページ」で語っておられる内容を要約しますと…。 ■第1回:童顔巨乳の美少女が出てくるような気持ち悪いアニメを子供の頃から見続けたら、架空と現実の区別がつかなくなって、性犯罪者に成長してしまう気がする。 ■第2回:オタクは臭い。醜い。気持ちが悪い。 そんなわけで、オタク嫌いで有名な上田さん。赤松先生と岩崎監督という二大オタクに囲まれて、どんな心境だったのでしょうか。 赤松「ラブひなの世界に住んでみたいと思いませんか? 私だったら、完全に引きこもっちゃいます」 岩崎「あこがれますね。アニメも、私自身のあこがれを描いたといえなくもないですから」 上田「僕は、う〜ん…」 困ってます困ってます。本当はここで「オタク死ねよオラァ!」と叫んで二人を撲殺したいところでしょうに、適当に誤魔化しておられるのは大人です。 単に編集にカットされただけかも知れませんけれど。 そんなこんなで漫画は終わりましたが、来年にはオリジナルビデオアニメも発売予定。 ネットアイドルちゆは「ラブひな」を応援しています。 |
平成14年2月26日 | 「AVない奴ら」出荷停止の理由 | ||||
10年ほど前、「有害な漫画を取り締まろう」という動きが活発になったことがありました。 運動の発端になったのは、某新興宗教団体。「コミックによって日本人は性の奴隷になり亡国の道をたどる!」という、少々独特の思考をお持ちの方々でした。 しかし、うまいこと市民運動の体裁をとってPTAを味方につけた活動は成功。一部の府や県の条例で、漫画が有害図書に指定されるようになりました。 たとえば、シリーズ3冊で200万部も売れた遊人先生の漫画「ANGEL」は、10都道府県で有害図書に指定。 少年漫画でも、桂正和先生の「電影少女」が1県で有害図書に。それと関係するのか、「電影少女」は単行本の初版と後の版でさりげなく修正が入ったりしました。
……と、何となく思い出したので書いてしまいましたが、10年前に問題になったのは「青少年の健全な育成」云々。最近話題の「児童ポルノ法案」の、「子どもの人権」「児童売春」といった話とは少し別物です。 そうそう、余談ついでに、東京都で有害図書に指定された雑誌等は、東京都公式ホームページの報道発表資料・審議会等の動きで報告されています。 ここで、たとえば「メガストア」の3月号が指定されたといったどうでもいい情報がチェックできます(その3月号の表紙)。 さて。 そんなこんなで、今日はみやすのんき先生の話題です。 先生の代表作は、「月刊少年ジャンプ」に連載していた「やるっきゃ騎士(ナイト)」。 いわゆる「スカートめくりより進むけど本番には行かない」エロ主体の少年漫画。当時の「OH!透明人間」などがパンツをおろしてもお尻しか見えなかったのに対し、ノーパン状態で正面からのアングルがある挑戦的な漫画でした。 20年前の少年漫画の中でケタ外れのエロさは、絵柄や物語の荒さを補って余りあり、読んでいると作者の怨念的なリビドーをビシバシ叩き込まれるようです。 これが、性への興味は芽生えたけれど「レモンピープル」を買うのは恥ずかしいという微妙なお年頃の小学生のバイブルになりました。 その後も、みやすのんき先生は「冒険してもいい頃」「厄災仔寵」などの人気作を執筆。最近は、「ヤングジャンプ」に「AVない奴ら」という漫画を連載しておられました。 ところが先日、その「AVない奴ら」の単行本が出荷停止に。書店に注文しても手に入らなくなってしまいます。 公式ホームページによると、再販の話はあったものの、結局無期延期になってしまったそうです。 何でも、集英社側が都条例を意識して、「一番最初に指定されたら目立つから」自主規制したとのこと。それはちょっとヘタレ過ぎじゃないかと思いますが…。 ともあれ、先生は現在、自費出版の方向で動いておられるそうで、頑張って欲しいです。 ネットアイドルちゆは、みやすのんき先生を応援しています。 |
平成14年5月10日 | 「全日本妹選手権!!」第2巻 | |||
「ザ・いもうと!!! 『癒し系』は数あれど、やはり身内の温かさに勝るものはありません!! ここ東京ドームには、『妹』に対する異常な憧憬と執着を見せる癒されない野郎どもが、例によって5万人も集結しました。ブサイクやコギャル、彼氏持ちなどは戸籍が認めても我々は認めません!!」 ……そんなナレーションで始まる、「ヤングマガジン アッパーズ」連載の漫画「全日本妹選手権!!」。その最新刊・第2巻が発売されました。 そっちの人の間では非常に有名ですが、「漫画といえばスラムダンクとドラゴンボール」といった方には一生知る機会がないと思いますので、簡単にご紹介させて頂きます。 タイトルと表紙は、あざとい「妹萌え〜」な漫画に見えます。そして、メインキャラクターの3人(&最近登場した新キャラ)は「お兄ちゃんが大好きな妹キャラ」です。 でも、妹萌えなのは最初の方だけで、後はオタク女としてのキャラ立てが強調されていく彼女たち。「妹選手権」というより、「同人やおい女選手権」に近いです。 内容は、あえて言うなら「あずまんが大王」や「ももいろシスターズ」に近いイメージの4コマ。しかし、マニア向けの要素が色濃く、オタクのオタクによるオタクのための漫画という感じです。 人を選びますが、この表紙の本を抵抗なく購入して電車の中でニヤニヤしながら読めるような方なら、生々しい共感が楽しめるかも知れません。 ……いくら登場人物のセリフに過ぎないとはいえ、講談社もなかなか。 ちなみに、「アッパーズ」編集部は、この漫画のカレンダーを発売したいそうです。妹選手権カレンダー化計画によると……。
……結局、4月24日になっても1000通に届かず。しかし、あきらめない編集部は締め切りを5月21日に延長し、まだ募集を続けています。「妹カレンダー欲しい!」という方は、ぜひメールを送りましょう。 そうそう。別に妹の話題ではありませんが、最近、「ふたりエッチ」にもリボンを付けたロリっ娘が登場しました。 しかし、児童ポルノ対策なのか設定年齢は24歳。ロリコンエロゲーの「当ゲームの登場人物はすべて18歳以上です」よろしく、性交シーンでは「庄子さんは24歳です」「庄子さんは24歳です」と繰り返されます。さすが克・亜樹先生。 ネットアイドルちゆは「ふたりエッチ」を応援しています。 |
平成14年10月21日 | 「ホーリーランド」重刷&巻頭カラー |
「ヤングアニマル」をご存知でしょうか。 最近アニメ化された「藍より青し」や「ふたりエッチ」で大衆人気を確保しつつ、「覚悟のススメ」の山口先生による漢漫画など佳作・良作も載っており、現行の青年誌の中では見所が多いのですがTVコマーシャルのセンスはどうかなぁと思う雑誌です。 そんな「ヤングアニマル」連載陣の中で、個人的に注目しているのが、森恒二先生の「ホーリーランド」という漫画です。 いじめられっ子で引きこもりの少年が、自室で現実逃避に何十万回もパンチの素振りをしているうちに本当に強くなってしまい、夜の街でヤンキーを狩るという物語。 要するに、ヒッキーが主役のストリートファイト漫画ですが、特筆すべきは、格闘場面の間に挿入される解説の森先生独特の語り口です。 (1)自問自答の多用 普通:TVやマンガでよく見られるボクシングのガードのような状態は、路上では有効ではない。森先生:TVやマンガでよく見られるこのボクシングのガードのような状態――果して路上では有効なのか? 否!!! (2)恥ずかしい言葉選び 普通:伊沢マサキは、路上用にアレンジしたボクシングの技術を持つ。森先生:ボクシングを路上(ストリート)用に特化(カスタマイズ)した究極の技術を持つ男――それが路上のカリスマ・伊沢マサキなのだ!! (3)作者の実体験を挿入 普通:よく護身術の本などで目にする「刃物の奪い方」は危険だ。森先生:よく護身術の本などで、時々刃物の奪い方を目にするが、あれはどうだろうか? 僕(作者)自身が不器用なのもあると思うが、刃物を奪おうとして手にケガを負った事がある。 (4)話の飛躍 普通:人は許容以上の精神的負荷を負うと、それを逃がす為に逃避的行動をとる。森先生:人は許容以上の精神的負荷を負うと、それを逃がす為に逃避的行動をとる。僕(作者)にも十代の不安定な時期、そういう経験がある。規則的に並んでいるモノや音など無意識に数えてしまうというものだ。ひどい時には新宿の地下道のタイルを端から端まで数えたりもした。確か4000以上あったはずである。 ……作者自身が新宿地下道のタイルを数えた話を何の脈絡もなく聞かされる漫画を、ちゆは他に知りません。 なお、森先生が語る格闘理論の信憑性については漫画だと思っておいた方が無難です。 作中でも、「この漫画はボクシングの教本ではないので厳密にフォームを解説はしていません。もっとくわしく知りたい方はジムへ行こう!」と読者に配慮されていました。 ところで、「ホーリーランド」では、1人で多人数を相手にするときは、弱い奴から確実に倒すべきだと解説されています。 格闘漫画の巨星「プロレス スーパースター列伝」では、ブッチャーに地獄突きを伝授したシンガポールの空手家が「一番強い奴から倒せ」と教えていましたが、どちらが正しいのでしょうか。 そんなこんなで、累計1300万部突破の「ふたりエッチ」と比べると、非常に謙虚な発行部数の「ホーリーランド」。 本屋さんで見かけることも滅多になかったのですが、最近、ちょっと多めに増刷されたみたいです。これを機会に、一度読んでみてはどうでしょうか。 ネットアイドルちゆは森恒二先生を応援しています。 |
平成14年10月28日 | 強い奴から倒すか、弱い奴から倒すか | ||
10月21日のちゆニュースの中で、「1人で大勢と戦うとき、強い奴から倒すべきか、弱い奴から倒すべきか」に関するご意見を集めさせて頂きました。 募集時点ではたぶん企画倒れになると思っていたのですが、思いがけずたくさんのご投稿を頂き、後に引けなってしまいました。ご意見を寄せて頂いた方、本当にありがとうございます。 さて、数を比べてみますと、思ったより差がありませんでしたが、「強い奴から倒す」派の方が少し多かったです。
「強い方から倒す」という方の意見は、次のような感じでした。 ●一番強い奴を、周りが引くような倒し方すると残りをやらなくてもすむから。コンクリートに頭から突っ込む背負い投げなんか素敵。(KNGさん) ●強い奴の方が、倒したときに飯をおごってくれる(ことが多い)。(文福茶釜さん) ●負けても「2〜3人倒したけど、そのあと集団でやられちまった…」と多少カッコ良く言い訳ができます。(藤丸さん) ●極端な話、敵がラオウ様と勉三さんの混成部隊であった場合。勉三さんなどにかまっている余裕は無いかと。(たきょまるさん) また、「弱い方から倒す」という方の意見は……。 ●弱い奴にとどめを刺されると何となく悔しいから。(MKRさん) ●負けると仮定して弱いヤツから屠り、「こんなに頑張ったんだぜ」という爪跡を残していくべきです。(れっつらさん) ●一番弱い敵を倒し、ジャイアントスイングで残りの敵をなぎ倒す事こそが喧嘩の必勝法です。(すしさん) ●とりあえず人を殴るとテンションが上がるので、弱そうな奴から殴る方が良いと思います。一度殴りだすとドーパミンが出て痛みを感じにくくなります。(モラレスさん) 漫画やアニメの例を引き合いに出してくれた方も多かったです。 強い方から倒すべきだという根拠としては、「特攻の拓」「ジーザス」「天使な小生意気」「ジャイアント台風」「炎の転校生」「グラップラー刃牙」「空手バカ一代」「バガボンド」「スラムダンク」「最強の弟子ケンイチ」「キン肉マン」「十兵衛ちゃん」「るろうに剣心」「寄生獣」「ARMS」などが挙げられました。 一方、「弱い方から倒す」派から漫画の名前が出ることはほとんどなく、かろうじて藤子不二雄先生の「少年時代」などが挙げられた程度でした。 漫画の世界で1対多で戦う場合、強い奴から倒すのが常識と言えそうです。 (DOTEさん、かすさん、爺さんはいい塩梅さん、piさん、OH!さん、ニシバさん、未熟者さん、三味線屋勇次さん、ジャック・範馬さん、diodioさん、Rダニールすみけんさん、dondokoさん、JJJさん、パチコロさん、West@Eastさん、selal_mさん、丸大2さん、ゆっきーさん、ありがとうございます) なお、「仮面ライダーだって、最初に倒すのは戦闘員の方」(W-1さん)、「5人組の正義の味方も弱いヤツから倒してる」(猫ろんださん)といった意見も多く寄せられました。 特撮の世界で1対多で戦う場合、弱い奴から倒すのが常識とも言えそうです。 また、「ドラクエをはじめとするRPGにおいては、定石として雑魚モンスターを一掃してからボスを集中攻撃します」(2lさん)という具合に、「ドラゴンクエスト」「スーパーロボット大戦」「シェンムー」「ソードワールドSFC」「GNO」など、多くのゲームの名前が「弱い奴から倒すべき」根拠として挙げられました。 (もんちさん、DQ8はネットゲームでさん、王蛇さん、子龍さん、せんどうさん、胡乱さん、なんばんほくてきさん、ありがとうございます) しかし、「ドラクエ的には大抵、強いやつから倒したほうが総ダメージ量が小さい」(wue)という方もおられ、同じ「ドラクエ」でもカンダタから倒す派とカンダタ子分から倒す派に分かれてしまいました。 あと、「ラグナロク」「ファイナルファイト」「タクティクス・オウガ」など、「強い奴から倒すのが定石」のゲームの名前も挙げられました。 (羽柴壱郎さん、zeroさん、へきらさん、ありがとうございます) このアンケートの募集時に、梶原一騎先生原作の漫画「プロレス スーパースター列伝」の中で、ブッチャーに地獄突きを伝授したシンガポールの空手家が「一番強い奴から倒せ」と教えていた話をご紹介しました。 そこで、梶原一騎先生の暗黒面を信頼する方の意見も多く寄せられました。 ●「ほとんど…というかもろにやくざさん」な梶原一騎と「新宿の地下道のタイルを数えて現実逃避する」ような謎の漫画家では、発言の説得力が違います。(スーパーストロング平田さん) ●へなちょこ漫画家と昔からその暴力性・凶暴性で知られてきた人間の言ってる事と、どっちに真実味があるでしょうか?(ろくはちさん) また、「シンガポールの空手家を出す時点で間違っていると思います。どう考えたって『空手バカ一代』で空手ダンス呼ばわりされて、大山倍達にぼこぼこにされる役じゃないですか」(ドッペルゲンガーさん)という意見も頂きました。 しかし、その空手家、漫画の中で「少林拳、香港拳法、カラテの達人といわれるガマ・オテナは日本のカラテ王である大山倍達とも20年来の親友であり――門下生には、レスラーやコンフー映画スターも多く3千人をこえる」と紹介されています。 梶原一騎ワールドで「大山倍達と親友」と言えば、超大物の証明。しかも、ガマ・オテナ先生の外見は『空手バカ一代』のマス大山そっくりです。「大山倍達にぼこぼこにされる役」どころか、梶原一騎ワールド最強キャラの1人だと思われます。 「プロレス スーパースター列伝」では、「アンドレ・ザ・ジャイアントはプロレスラーになる前は木こりだった」などの ちゆニュースには「ガマ・オテナ先生」の名前も書かなかったのですが、ガマ・オテナ先生のファンの方からの意見を数多く頂きました。 ●ガマ・オテナ先生は偉大です。(DCさん) ●ガマ・オテナが言ったから。(いぬーさん) ●ガマ・オテナ先生に間違いがあるはずがないから。(カブキも弟子の一人さん) ●ガマ・オテナ先生の言う通りです! 焼けた石に抜き手連打しても火傷しません! 指の第一関節を相手に曲げるポーズは拳法の達人しかできません! メキシコには蛇の穴があって、ジャンプして火の輪くぐりをさせられます! 梶原センセーマンセー!(hogeさん) 漫画以外にも、各界の有名人の発言などを元にした意見も頂きました。 ●ボクシング選手で大阪が誇る世界のヤンキーである辰吉丈一郎が、けんかをするときは強いやつからといっておりますた。(ゆさん) ●10年ほど前、僕のお友達がお友達を引き連れて辰吉君にケンカを売りに行ったそうです、辰吉君は雑魚を無視して、こちらの一番強い人に馬乗りになって延々殴り続けてたそうです。辰吉君はその後ボクサーになりましたとさ。(ねこさん) その他、塩田剛三さん(「グラップラー刃牙」の渋川先生のモデル)、安岡力也さん、イリューヒン・ミーシャさん、宮本武蔵さんなどのお名前が「強い方から倒す」派から出ました。 一方、「弱い奴から倒す」派からも、平直行さん(「グラップラー刃牙」のバキのモデル)、常松勝さんなどのお名前が挙げられました。 (k.mさん、辻 霧男さん、爪ン!衿舗閃さん、イリューヒン・ミーシャさん、ryuさん、メッコールは一日一本さん、がんたろーさん、ありがとうございます) また、有名人以外に、「高校時代の武闘派の倫理の先生(柔道二段)」「空手の先生」「師匠」「父」「じいちゃん」など、知り合いから「強い奴から倒すべきだ」と聞いた経験のある方は多かったです。 「弱い奴から倒す」派では、そういった知り合いから聞いたという経験は、ほとんどありませんでした。 (ryoさん、28goさん、396さん、つるさんさん、くま(ソ)さん、ありがとうございます) 本格的な格闘技経験のある方の意見では、「強い奴から倒す」派が圧倒的に多かったです。 ●一応当方四回戦下っ端プロボクサーです。森先生が言うとおり、囲まれる前に弱い相手から消していくのがベストだと思います。素人は「(腕を上げたりして)構える」という事を知らないゆえ簡単にパンチがアゴに入るので、格闘技経験者なら一撃で倒せます。ちなみに弱い相手から倒す事の精神的けん制効果はどうかと思います。「強い奴」と言うのは大抵自分が一番強いと思っているので、弱い奴がやられるのを見ても「使えねぇ」と思うだけです。(右さん) ●ボクシング・柔道と古流武術をやっていた者です。多人数相手では動きが止まれば即危険な状況に陥るため、その頻度を下げる意味でも弱い順に。僕の師匠は「どんなに強い奴でも三対一では絶対に勝てない。それを何とかして二対一にして最後に一対一にする。それが出来ない時は走れ」と言われていました。(左ミドルさん) ●自分はブラジリアン柔術をやっていますが、実際に寝技に引き込んでのろのろやってると怖い目にあってしまいます。ですから弱い奴に対し出来る限りのことをして(指の骨を折るなど)キチガイキャラを植え付けたほうが有効だと思われます。(JIU-JITSU-KAさん) その他、「弱いやつからというよりも、『一番近くにいて、準備が出来てないやつから潰す』と言うのが鉄則です」(総合野朗さん)という意見のほか、「とりあえず手前にいるのが弱い奴だから」という声も多くありました。 一方、「特に格闘技経験はないけど、ケンカの実体験から」という立場の意見では、「強い方から倒す」派が圧倒的に多かったです。 ●中学の抗争で20対1という喧嘩をしたことがありますが、リーダーらしき3人をかたずけたところ、残りはかかってきませんでした。なんか、謝ってきたし…(あんでぃさん) ●中学生のころ、ゲームセンターで12〜13人のヤンキーに囲まれたとき、一番強い人(口上を述べてから一番後ろに引っ込む人)をやっつけたら残りの人たちは逃げたから。(rx178さん) ●3対1のけんかで、リーダーっぽいのをそこらの石でなぐったら血を出して倒れたんですが、他の奴らが血見てびびって逃げちゃったのでやっぱり強い奴から倒すべきだと思います。(宮さん) また、同様の立場で「弱い方から倒す」派の意見もありました。 ●弱そうな奴から倒して、そいつを盾にしつつ次に弱そうな奴へ…そんな感じで5対1の場面を乗り切った実体験より(DDEさん) ●広島の新天地というところで数人に恐喝にあいまして、乱暴されそうになったので無我夢中になってとりあえず一番弱そうな人を拾った石でめちゃくちゃに殴ったらみんな逃げていきました。(puraさん) 誰から倒すかに関わらず、石で殴ったら勝っちゃったという体験談が妙に多かったので、もしかしたら有効な手段なのかも知れません。 その他、次のような意見もたくさん頂きました。 ●というより、誰が強いかを見分けるすべを教えてください(味?さん) ●正直、実戦で相手を選ぶってのはほぼ不可能です(sawaraさん) また、「僕は中学時代に不良十数人に囲まれた経験があるのですが、多対一って時点でもう何をやっても無駄です」(まぐさん)という類の意見も多かったです。 ●例えば相手が4人だった場合。下手すりゃ小学生×4が相手でも負けます。多勢に無勢とは、それほどに圧倒的な不利です。(せっかくだからマジレス@通りすがりさん) ●剣道界の雄、中村勇作(故人)という二刀流の達人がいましたが、この人でも二人を相手に出来るのは中学生までと言ってたそうです。(ワラ分解王さん) ●実際は漫画みたいに余程の実力差がない限り、1対多になったら、囲まれた時点でほぼ負けなので深く考える必要なし。(名無しサソさん) ●路上で3人以上を相手にしようなんてのはタダのバカです。自分だったらまず間違いなく逃げます。腕の数以上の攻撃なんて、さばけるわけありません。(井上裄尋さん) そう言えば、「ワンピース」という漫画に、三刀流で戦うキャラクターがいました。その辺を極めれば腕の数以上の攻撃をさばけるかとも思いましたが、探偵ファイルさんの「ワンピースの三刀流って、どうよ? 」という記事によると、実際に三刀流を試したところ、「口に刀をくわえること自体無理があります」「歯をくいしばれないので手に力がはいりません」「チョコッと当たっただけで、メチャメチャ歯に衝撃が!!」という感じだったそうです。 そんなこんなで、長文にお付き合い頂きありがとうございました。 頂いたご意見をすべてご紹介させて頂けず、ごめんなさい。また、紹介させて頂いたご意見も、ほとんどが部分的な抜粋で申し訳ありません。 最後に、ご意見を寄せて頂いた方々、本当にありがとうございました。 |
平成17年1月24日 | 漫画雑誌の発行部数 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出版業界には、発行部数は水増しして発表するという習慣があります。 「公称10万部で実際は5万部」などは当たり前で、日本雑誌協会の発行部数リストにも、そんな自己申告の部数がそのまま載っていました。 ところが、昨年11月、その日本雑誌協会が印刷所の協力を得て、多くの雑誌の印刷証明付の発行部数を発表。 あくまで「印刷された数」であって「実際に売れた数」とは違うのですが、とにかく、これまでよりは現実に近いデータが分かるようになりました。 そんなわけで、「マガジンデータ 2004」を購入。 「2003年9月〜2004年8月の1年間に発売された雑誌1号あたりの『平均印刷部数』」が載っているそうで、たとえば少年漫画誌なら、ジャンプが299万部、マガジンが272万部、サンデーが116万部でした。 ちなみに、載っていた中で一番部数が少なかったのは、「せりふの時代」の8475部。 「劇場では消えてしまう言葉を後世に残すという使命を帯びた戯曲雑誌」だそうで、s-book.comの雑誌紹介を見ると、「人間オルゴールがいると噂されるイタコ病院」とか「背中の肉を使って靴を作らせる」とか「酔いどれの小学生の見た酔夢」とか、なんとなく面白そうでした。 さて。 平成13年の夏、創刊されたばかりの「コミックバンチ」が表紙に「青年コミック週刊誌最高部数70万部突破」と書いて、多くの読者に100万部以上売れている「ヤンジャン」の存在はどうしたと不思議がられました(いちおう「ヤンジャン、ヤンマガを『ヤング誌』とカウントしているのではないか」説が有力)。 もちろん、70万部を超えたのは創刊直後だけで、平成14年の1月には40万部以下に落ち込んだわけですが、(自称)青年コミック週刊誌日本一だった雑誌の現在の部数はどうなのでしょうか。 週刊の「男性向けコミック誌」で、印刷部数の分かるものを比べると……。
……見事、ヤングサンデーに勝利! 「ヤングジャンプ」と「ヤングマガジン」は青年誌ではないと言い張れば、いまでも青年コミック週刊誌ナンバー3を名乗れそうです。 また、「少女コミック」は、平成15年10月に表紙で「月2回刊少女まんが誌No.1奪還」を宣言しました。 こちらは、「マガジンデータ2004」のデータ(平成15年9月〜平成16年8月)で確認してみたところ……。
……確かに、狙ったような微差で「No.1」でした。 ちなみに、以前「ショタ狩り」という本でコラムを書かせて頂いたとき、「女子高生が小学生の男の子と付き合う少女漫画」を思いつくだけ挙げてみたら、ほとんどが「花とゆめ」の作品でした(「ディア マイン」「オトナになる方法」「ぼくの地球を守って」など)。 たぶん、それが「花とゆめ」編集長の言うところの「半歩進んだ少女マンガ」なのだと思います。 一方、女児向けの少女漫画誌はこんな感じ。
80年代半ばから10年ほど公称200万部以上をマークし続けた「りぼん」ですが、とうとう「ちゃお」に抜かれたことになります。 まあ、毎日新聞の学校読書調査では、平成13年には小学校高学年女子の「よく読む雑誌」の1位は「りぼん」から「ちゃお」に入れ代わっており、今さらという気もしますけど。 また、男児向けのコミック&情報誌では……。
今まで当たり前のように「ボンボン最弱」を信じて生きてきたのですが、どうやら今の「Vジャンプ」は「ボンボン」より発行部数が少ないようです。 「Vジャンプ」が最近突然売れなくなったのか、単にギリギリまで水増しをやめられなかっただけなのかは、よく分かりません。 ところで、「マガジンデータ」には、発行部数の他に「編集長からのメッセージ」が載っています。 たとえば、小学館の少女漫画誌「Cheese!」(17万部)の場合は、「女子中学生、高校生に向けて作ったコミック誌。理想的な男の子とのおしゃれな恋愛を描いたまんがを満載!」でした。 ……えっと、小学館の考える「理想的な男の子」とは、寝ている女生徒の体を勝手にいじくりながら「いけ」「いけ」とつぶやく保健の先生とか、デート中に突然「アスパラガスってさぁ… 硬いし…長いし 少し苦くてくせがあるのに それでも何故かしゃぶらずにはいられない… なんだか○○○に似てないか?」と言い出す奴とかのことでしょうか。 あと、「おもしろい所に連れてってやっから」と言われてついて行ったらAVの撮影現場だったとか、女の子を「ヤリマン」呼ばわりしてレイプしちゃったけど「嬉しい… 大好きっ」と応えられてハッピーエンドとかは、女子中学生に読ませたい「おしゃれな恋愛」だったのですね。 そんなこんなで、興味深いデータが多い「マガジンデータ」。ネットアイドルちゆは日本雑誌協会を応援しています。 |
平成17年6月20日 | さよなら絶望先生と板垣恵介先生のルーツ | ||||||||
先日、少年マガジンで、久米田康治先生の新連載「さよなら絶望先生」がスタートしました。 漫画で「さよなら○○先生」といえば、思い出されるのは、むかし少年チャンピオンで連載していた「さよなら!!岸壁先生」です。 原作は小池一夫先生で、少年誌なのに小池一夫テイストが全開で発揮された怪作でした。 主人公の岸壁先生は、とある財団に作られた教師用サイボーグ。彼の存在によって生じる混乱を恐れた文部省は、岸壁先生を抹殺するために総理大臣付きのSPを派遣します。 そのSPは、初登場シーンからベンチプレスの真っ最中という、腹筋の割れまくった女でした。
初対面の岸壁先生が思わず「キミはすごいガタイしてるねえ!」と言ってしまうくらい別の意味でナイスバディな彼女ですが、その次の日には岸壁先生の男らしさに惚れて、結婚の約束までしてしまいます。 ……そう、実は彼女が、この物語のヒロインだったのです。 さて、文部省の刺客に対して、岸壁先生は「満足のいく成果をおさめて学校を去るとき、ボクは生徒たちに自分の身体がロボットであると告白しよう」と宣言します。生徒たちとの信頼関係を築けば、文部省の恐れる混乱など起こらないことを、証明しようというのです。 そんなわけで、卒業までの間、正体を隠したロボット教師と生徒たちの青春ドラマが展開されるのかと思いきや、その次の話で、岸壁先生は新任の挨拶中に突っ込んできたクレーン車を素手でキャッチ。速攻で全校生徒に正体がバレてしまい、学校を去るとき云々の話は以降出てきません。 ……万事がその調子で展開するのが、この漫画というか小池一夫先生の恐ろしいところ。 ついでに岸壁先生の教育理念も小池流マッチョ思想に染まっており、たとえば、校長先生に向かって次のように説教します。 「なにかと言えば生徒たちのためによかれと思いすることだと!! そういうものの考え方がダメなんですよッ たとえばですね! 女生徒のスカートをパッとめくってみる!! ああ! キミのパンティは今日は真ッ白で眼にしみるようにあざやかですねえてなことをやるわけです その女生徒は怒るでしょ! 泣くかもしれません でも心の中ではぐッと親近感を持つはずです あの先生は私に気があるんだわと思うわけですハハハハハハ 大事なことは親近感なのです」
……そんなの単なる変態教師だと思いますけど、それが小池ワールドでは素晴らしい教師なのです。 また、文部省から派遣されたSP(正体は戦闘用サイボーグ)に襲われると、岸壁先生は「教育でお前と勝負がしたいッ おれの授業を受けておもしろくなかったら おれの負けだッ おとなしく殺されてやろう」と提案。 そして、水と空気でロケットを飛ばす授業を行なうと、戦闘用サイボーグは感動して泣き崩れ、SPを辞めて高校生に戻る決心をするのでした。……そんな感じで、岸壁先生はあらゆる問題を授業と説教で解決していきます。 さて、「さよなら絶望先生」のタイトルはこの漫画から来ていると思われますが、それ以外にも、小池一夫細胞は漫画界の様々なところに侵食しています。 たとえば、最近では、小池一夫公式サイトのインタビューによって、「グラップラー刃牙」の作者・板垣恵介先生のペンネームの由来が、小池一夫先生の漫画「傷追い人」の主人公・茨城圭介だったと判明しました。 茨城圭介といえば、白髪鬼(ホワイト・ヘアード・デビル)というあだ名の持ち主。 小池漫画の主人公らしく、知力・体力・気力を兼ね備えた完璧超人で、ことあるごとに「くわッ」と目を見開いたり、意味もなく服を脱いだりするのが得意。もちろん女にもモテまくりのヤリまくりです。
以下、白髪鬼がいかにスゴい男か、状況別に見ていくと……。 ■ケース(1)戦闘中、顔に血が付いて前が見えなくなった場合 仲間の女性に「血で眼が見えン!! 小便をひっかけてくれ!!」と要求。女性が躊躇していると、「早くしろ――ッ!! 小便だ――ッ!!」と怒鳴ります。 そして、放尿を顔面で受け止めると、なぜか妙にサッパリした表情を見せてから、巨大な倒木を抱えて敵にタックル。見事に敵をぶッ殺しました。 ■ケース(2)ナイフで刺された場合 白髪鬼が力を込めると、腹に刺さったナイフが筋肉に押し返されて「ポン!」と飛び出します。もちろんほぼ無傷でした。
腕を刺された時も、同じように「ポン!」を披露してから、「ガキの力じゃア、男は殺せねえのさ」と言って、「くわッ」をキメていました。 ■ケース(3)すでに恋人がいるのに、別の女に言い寄られた場合 おもむろにズボンを脱ぐと、言い寄ってきた女にフェラチオさせる白髪鬼。しかし、女がいくら頑張っても、まったく勃起(エレクチオン)しません。 「なぜエレクチオンしないのよ――ッ!! 私のような美い女がしてるっていうのに――ッ」 絶叫する女に、白髪鬼は斜め45度の角度で「愛してないからさ」と告げるのでした。 ちなみに、男がエレクチオンせずに女が怒るのは小池ワールドでは非常にありふれた光景で、小池一夫ファンサイト・道中陣さんでは「どうしてエレクチオンしないの〜ッ!一覧表」を作っておられます。 ……そんなこんなで、板垣恵介先生をして、「『傷追い人』という作品の中に“茨城圭介”という主人公が登場するんですが、カッコよかったんだ〜これが」と言わしめ、ペンネームの由来にまでさせてしまった白髪鬼。 もちろん、「スラムダンク」の安西先生の若い頃のあだ名が白髪鬼(ホワイト・ヘアード・デビル)だったのも、小池一夫リスペクトに違いありません。 絶望先生、板垣先生、安西先生……。その他、言い出したらキリがないほど漫画界のあちこちで尊敬されまくっている小池一夫先生。 70歳近い今なお現役で、齢を重ねてますますイカした小池漫画を作り続けている、偉大なお方です。 ネットアイドルちゆは小池一夫先生を応援しています。 |
平成18年3月29日 | 「MMR」の石垣ゆうき先生のマジック漫画が完結 | ||||||||||
漫画でマジックを扱うのは難しいです。 トランプで敵を切り刻んだり燃やしたりする『魁!!男塾』の男爵ディーノのように、手品というか殺人奥義を繰り出すだけなら大丈夫ですが、本格路線のマジック漫画を目指すと、いわゆる「タネあかし問題」に突き当たります。 たとえば、少年ガンガンの「マジック・マスター」は、啓蒙のためのタネ明かしは必要という立場のマジシャンを監修に据え、漫画の中で本格的な手品のタネを紹介しましたが、反対の立場の人たちがこれに反発。 大阪奇術愛好会の方は、「マジック・マスター」のトレーディングカードについて次のように述べました。
これに対して、カードを作った側のマジシャンは、「(ブースターパックは)友達と交換して集めるという『トレード』のために存在するのです」「ホームページの中には、間違った情報、浅い考察のみで根拠のない結論に帰着しているものが見受けられます」「間違っても単なる誹謗中傷記事だけを鵜呑みにすることなきようお気を付けください」と一言多い反論。 この辺の場外乱闘は、漫画の内容よりも面白かったです。 ……さて、そんな前置きとほとんど関係がなくて恐縮ですが、最近話題のマジック漫画といえば、ボンボンに連載された「マジシャン探偵A」です。 児童誌の制約の中で推理とマジックのドッキングという時点でダメそうな気がしますが、作者は「MMR」の石垣ゆうき先生。 「MMR」とは、キレる若者や不眠症について調べていくうちに、「市販のクッキーには目に見えない文字で『SEX』『SEX』と刻印されている」「平成の米騒動はヒトラーの末裔の仕業」といった衝撃の事実をデッチあげていき、最後は「1999年に人類は宇宙人に憑依されて異形の新人類と化すんだよ!」などと断言してしまう凄い漫画ですが、石垣ゆうき先生のナイスな画力のおかげで、当時の子供たちはけっこう本気で信じていました。 そんな石垣ゆうき先生が描いたマジック漫画はどうなったのか、「MMR」と比べてみると……。
なんだってー!! ……いえ、本当はたまに「なんだってー!!」と叫んだり、ちょっとヒトラーが出てきたりするだけで、それほど「MMR」に似た漫画ではないのですが、もはや石垣ゆうき先生の絵で「なんだってー!!」と叫ぶだけでギャグとして成立するということは、ご本人も自覚してやっておられるようです。 そして、最初の方は子供向け手品を絡めた「金田一少年の事件簿」みたいな話だったのが、気がつくと「くらえ!! 鳳凰の舞!!」「フン キサマの太刀すじは すでに見切っている!」というバトルを繰り広げているのもこの漫画の熱いところ。 マジシャンのハズなのに原理はまったく不明だけど電撃が出せる古代エジプトの杖を使って敵を攻撃したりする辺り、手品とか推理よりバトルの方が面白いという真理に辿り着いてしまったようです。 クライマックスでは、強敵の正体が実は親父だったとか、かするだけで絶命する猛毒を塗ったカードを投げつけて攻撃とか、「私にかまわず仕留めるんだ!!」とかで盛り上がった末に、主人公が空を飛び、仲間たちの生霊を背負いながら竜を出して攻撃していました。 さて、そんな「マジシャン探偵A」と「MMR」の最大の違いはエロです。 男5人がひたすら世紀末を語り合う男濃度全開の「MMR」と違って、「マジシャン探偵A」には、勝ち気でメガネの生徒会長っ娘や、自分の血を舐めながら「イイ‥‥たまらない‥‥ゾクゾクしちゃう‥‥」と笑うゴスロリ美少女14歳が登場。 ちなみに、ゴスロリキチガイ娘は2話ほどしか出演していないのに読者投票では大人気で、わざわざコロコロではなくボンボンを買うような子供はやっぱりどこかおかしいと思いました。 ともあれ、主人公がエロガキなので、女性キャラの多くがスカートめくり・女湯のぞき・おっぱいポヨポヨといったセクハラを受けているのですが、そんな中、やたらとガードが堅くて何のサービスもなかったのが、主人公の仲間の「キュラリーン」の効果音で変身する巫女さんでした。 第30話「巫女危機一髪!!」は、そんな巫女さんにエロいことをするためだけに描かれたと思われるエピソードです。 まずは冒頭、主人公が巫女さんにスカート(ハカマ)めくりを敢行しますが、巫女さんは古代エジプトの杖からバリアを放出してガード。その鉄壁ぷりを改めて見せつけて、読者をガッカリさせます。 そこで、今回の敵が登場。物語の本筋は、十二星座の名前を冠した番人の部屋を順番に突破していくというちょっぴり聖闘士星矢な展開の真っ最中ということで、今回の敵はカニ座の番人です。 目に見えない糸を使ったちょっぴり男塾な仕掛けで、巫女さんは捕まってしまいます。 すると、カニ座の番人、「少し楽しませてもらおうガニ!!」と言い出して、いきなり巫女さんのハカマをめくります。 「おお〜〜!! なんと美しいおみ足!! 赤いハカマからのぞく真っ白い足!!! 何とも言えずビューティフルだガニ!!」と、カニ大喜び。 かの「聖闘士星矢」では、美形の猛者が多い黄金聖闘士の中にあって、カニ座のデスマスクは「まきぞえになったガキが結構いたかもしれんが これも悪をこらしめるためのささいなことだ! 戦争でもいちいち女子供をよけて爆弾をおとしているわけでもあるまい。それとおなじだクククク」などの名言を残したクソ野郎でした。 この「マジシャン探偵A」でも、カニ座の番人はロリコンで足フェチの変態コスプレ親父ということで、カニ座は人間の最下層という少年漫画の伝統に忠実に従っています。 ちなみに「聖闘士星矢」で最悪の発言は、乙女座のシャカの「きみがたすかるすべが、ただひとつだけある。大地に頭をすりつけ、このわたしをおがめ! それによって万にひとつきみはすくわれるかもしれん!」だと思いますが、こちらは美形で強いので、単に人間が卑しいカニ座よりはマシです。 ともあれ、カニ座=変態の暴走は止まりません。「次は違うシチュエーションで楽しませてもらうガニ」と言いつつ、巫女さんのハカマを脱がせます。
脱がされる場面はけっこう危ない絵ヅラですが、小さいコマでサッと流すことで事なきを得ています。もちろんハカマを脱がす必然性など微塵もなく、とにかくどうしても着物姿にさせたかったんだという石垣ゆうき先生の強い意志が感じられます。 「ハカマ姿もよかったけど白衣だけというのもシンプルイズベスト!! コ──フンするガニ!! まさにジャパニーズ着物超セクシーガニ!!」とハッスルするカニ親父が、なんだか石垣ゆうき先生の分身のように見えてきました。 そして、ついに着物をめくりにかかる石垣ゆうき先生。 男の子のスカートめくりは単なるイタズラですが、真性変態のオッサンが小学6年生を拘束した上でめくるのは、シャレで済まない絵ヅラです。 さすがにこの辺が限界なのか、ここで主人公が助けに入り、わざと大量に出血して、見えない糸に血のりをこびりつけて見えるようにするという、マジシャンらしいんだか何だかよく分からない作戦でカニ親父を撃破。 ついに巫女さんの下着は見えませんでした。 ……と思ったら、最後の1ページで、主人公が大量出血で巫女さんを油断させた不意をついてスカートめくりを敢行。 見えそうで見えないの連続で引っ張りまくって実は見えない方がエロいということを強くアピールした上で、でもそれはそれとして見たいという要求にもしっかり応えてくれるさすが石垣ゆうき先生! 終わってみれば、このエピソード全体が最後のパンツを効果的に見せるためだけに練り上げられたようにも思える、見事な構成でした。 ちなみに、「マジシャン探偵A」は先月のボンボンで大団円を迎えましたが、その最終回記念企画で、この「巫女危機一髪!!」が石垣ゆうき先生ご自身が選ぶ「マジシャン探偵A」Best1エピソードを受賞。添えられたコメントは、「描いていて楽しかった回です」という男らしすぎる告白でした。 ネットアイドルちゆは石垣ゆうき先生を応援しています。 |
平成20年3月4日 | 「なんだってー!」と「なんですってー!」の使い分け | ||||||||
昔、マガジンに「MMR」という漫画がありました。 「イースター島に超古代文明を築いた超古代人は日本人の祖先だったんだよ!!」 「な 何だって───!?」 ……といった内容から、「MMR」といえば「なんだってー!」というイメージですが、実は、たまに「なんですってー!」と叫ぶこともあります。 そう、「MMR」の隊員は講談社の社員。 当然、ビジネスマナーは完璧なので、たとえ破滅の危機に驚愕していても取材先では敬語を忘れないのです。 また、リーダーであるキバヤシへの口のきき方は、
……という序列なので、キバヤシの台詞に対しては、ナワヤ以外の隊員は「なんですってー!」と叫ぶのが本来の形ですが、 叫び声がバラバラだと決まらないので、4人の時はナワヤの「なんだってー!」に揃えているようです。 もちろん、ナワヤが参加しない時は、 ちゃんと敬語になります。 つまり、下っ端の隊員たちは、人類滅亡の恐怖におののきながらも、いちいちナワヤの存在によって「なんだってー!」と「なんですってー!」を使い分けているのです。 ……と、ここで終わればキレイにまとまったのですが、実は1回だけ、ナワヤがいるのに「なんですってー!」と叫んだ例外があります。
えっと、これについては、「実はこのときのナワヤには地球外生命体が憑依していたんだよ!」とか、「ナワヤとタナカを入れ替えるとカタワになる!」とか、いろいろ考えてみたのですけど、あまり面白い説明にならなかったのでやめておきます。 まあ、普通に「タナカが間違えた」とかでいいんじゃないでしょうか(ネギを振り回しながら)。 そんなこんなで、社会人たるもの敬語は大事というお話でした。 そういえば、最近の「問題提起コミック」シリーズでは、リーダーのスズキが、4人の部下のうちナワヤにだけ「さん」付けなのですが……。 副編集長のスズキが、いまだにヒラ編集のナワヤに敬語を使う理由は、年上の部下というやつかと推測されます。 この辺、読者のチビッコが混乱しそうな気もしますけど、正しい敬語のためなら読者への配慮など要らぬ!という判断なのでしょう。 ネットアイドルちゆはナワヤさんを応援しています。 |
平成20年3月30日 | 「巨人の星」の左門の妹は年をとらない | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
マガジン先週号の「新約 巨人の星」に、左門が初登場しました。 そこで、花形・飛雄馬・左門の「新解釈」を比較してみると……。
……左門だけはほぼ昭和のまま登場。 そういえば、原作者自身が作ったニセモノである「新 巨人の星」でも、
花形と飛雄馬は明らかに別人なのに、左門は据え置きでした。 やはり左門の時代を超えたイケメンっぷりには、手の施しようがないのでしょう。 ところで、そんな左門は5人の弟妹を養っています。 その中でも長女・ちよは比較的しっかり者で、弟たちの世話や家事をしていました。
「新約 巨人の星」では、この設定を踏襲しながら、外見を現代風にアレンジ。
さらに、「ふえっ」「照れちゃうよぉ…」「エヘヘ」「モゴモゴ」といった言動に、「病気」というオプションも追加され、左門がエロゲーの主人公のようです。 さて、そんな左門ファミリーですが、原作では長女よりも二女・みちの方がミステリーでした。 というのも、「巨人の星」から「新 巨人の星」にかけて約18年間の彼女の成長の記録を見てみると……。
つまり、彼女は中学生くらいになっても幼児語でしゃべり、大学生くらいになっても椅子に座ると足が浮くのです。 本来なら働いたり嫁いだりする年齢なのに、いつまでたっても兄に扶養されている妹。 その成長速度は、兄や姉と比較してみても……。
たぶん、彼女はニートをこじらせて成長が止まったと思われるので、左門は早くこの20代の幼女を路上に放り出すべきでしょう。 とはいえ、「巨人の星」ワールドの時空が歪んでいるのは、左門家だけの現象ではありません。 たとえば花形の場合、昭和43年にプロ入りした事実から逆算すると、例の車を運転していた昭和33年には小学3年生だったことになります。
しかし、花形はこの時点でテニス歴10年だったり、六年生の頭をナデナデしたり……。 作者の認識としては「中学生以上」という設定で描いているように見えます。 また、「巨人の星」の世界では飛雄馬が昭和41年から一年過ごしたら昭和43年になっていたりするため、どう計算しても絶対に矛盾します。 そこで、どうせ何かは矛盾するのなら、「オッス、オラ梶原一騎。花形は昭和33年の時点で13歳以上だけど、昭和43年に19歳なんだ。文句あっか!」という説を採るのが一般的です。 同様に考えるなら、左門の妹も「外見が異様に幼い20代」ではなく「実年齢自体が幼女」だということになります。 つまり、作者の認識としては、犬が一生四本足で歩くような感じで左門は一生妹を扶養し続ける存在なのでしょう。
ネットアイドルちゆは左門を応援しています。 |
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ふろく:花形が泣いたシーン一覧とか |
平成20年4月13日 | 講談社漫画賞をドラゴンボールが受賞できなかった理由 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
講談社漫画賞とは、「漫画界の質的向上」のために、毎年「最も優れた作品を発表した漫画作家」に与えられる賞です。 ただし、これまでに選ばれた「最も優れた作品」の8割は講談社の漫画になります。
また、講談社に次いで「最も優れた作品」を多く輩出しているのは集英社ですが、実は「少年ジャンプ」の漫画は一度も選ばれていません。 たとえば、「ドラゴンボール」は、「候補作」にノミネートされたことが2回あります。 しかし、厳正な選考の結果、最終的に受賞したのは「鉄拳チンミ」と「はじめの一歩」でした。 どうして「ドラゴンボール」が選ばれなかったのか、選考委員の「選評」によると、
……という感じで、どうやらあえて「最も優れた作品」を選ばなかったようです。 また、「スラムダンク」が候補作に挙がったことも2回ありますが、その年は結局「シュート!」と「風光る」が受賞しました。 「スラムダンク」を選ばなかった理由は、
ちなみに、「スラムダンク」の連載終了後、同じ作者が講談社で「バガボンド」を描き始めたところ、そちらは速攻で受賞。
……などと選考委員も大絶賛で、「スラムダンク」で指摘された欠点は「モーニング」で連載することによって克服されたと思われます。 あと、「ワンピース」がノミネートされた1999年には、恐ろしいことに「カメレオン」が受賞。 旬まっさかりだった「ワンピース」を押しのけて、連載9年目でマンネリ感あふれる「カメレオン」になぜ今さらという印象でしたが……。
つまり、ジャンプの漫画は完成度が高くても「既に評価が定まっている」「旬をのがした」でスルーされますが、マガジンの漫画なら、新人の鼓舞奨励やベテランの功労で受賞できるのです。 たぶん、その辺が「漫画界の質的向上」につながっていくのでしょう。 とはいえ、「選考委員」の先生たちが、わざと講談社をひいきしているのかはよく分かりません。 たとえば、石森章太郎先生は80年代以降のジャンプ漫画があまり理解できなかったようです。 「ドラゴンボール」がノミネートされた年の石森先生の選評は、
「ジョジョの奇妙な冒険」が候補作になったときは、
「スラムダンク」の年には、
そして、石森先生が褒めたのは「名門!第三野球部」や「岳人列伝」でした。 ちなみに「岳人列伝」は、一言でいえば山に登って死ぬ話。 危険な天候で下山命令が出ているのに、「おれたちはみんな高山病で冷静な判断ってやつができないのさ!」と登り続けるエピソードでは、結局 雪崩に襲われて、
……と、全員雪崩に飲み込まれて終わりでした。 この「岳人列伝」が、ラブコメブームの1982年に「タッチ」を押しのけて講談社漫画賞を受賞。 石森先生の選評は、次のようなものでした。
講談社のラブコメ漫画「胸さわぎの放課後」も候補作だったのに、あえて小学館の登山漫画「岳人列伝」を選ぶのは、それなりにマガジンらしいと言えます。 そんな感じで、選考委員には講談社で活躍した漫画家が多いため、自然とマガジン的な漫画が選ばれやすくなったということもあるようです。 ただし、2001年に「テニスの王子様」がノミネートされたのを最後に、「週刊少年ジャンプ」の漫画は最初から「候補作」にすら挙がらないようになりました。 具体的には、最近6年間の少年部門の候補作は、次のような感じです。
つまり、最近6年間で集英社からノミネートされたのは、「ハンター」「ナルト」「ヒカ碁」「アイシールド」「デスノート」などを差し置いて月刊ジャンプ連載の「アイル」のみ。 講談社以外の有力な対抗馬がノミネートされることが少なくなり、以前のような選評の不自然さは解消されたと言えます。 ちなみに、小学館漫画賞のほうでは、「サンデー」や「ジャンプ」の漫画の受賞が多く、「マガジン」の漫画が選ばれたことは過去に一度もありませんでした。 (小学館・集英社・白泉社の系列グループ内だけで十分受賞作が出せるからでしょう) ところが、今年、はじめて「マガジン」の漫画が小学館漫画賞を受賞。 すわ何事かと思いましたが、まもなく「マガジン」「サンデー」共同キャンペーンなどが発表されて納得しました。 そんなわけで、今年も5月10日ごろに講談社漫画賞の選考委員会があるハズですが、今回はお返しに「サンデー」から選ばれる可能性が高いと思われます。 たぶん、いちおうの本命は「ハヤテのごとく!」と「絶対可憐チルドレン」。 ただ、講談社漫画賞だと「ハヤテ」のような絵柄の漫画は不利で、「チルドレン」のセンスの古さ(褒め言葉)に好感度が高いと思われます。 あとは候補作の挙げられ方しだいですが、「コナン」「クロスゲーム」「メジャー」「あお高」「ケンイチ」あたり。 さすがに「犬夜叉」「結界師」は無理で、「金剛番長」「月光条例」は連載回数が少なすぎるので対象外。大穴は「ロストブレイン」という感じでしょうか。 ネットアイドルちゆは「金剛番長」を応援しています。 |
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おまけ:「その他の興味深い選評」「講談社漫画賞の候補作一覧」など |
平成22年2月14日 | 菊池としを先生の「蓮華伝説アスラ」 | ||||
80年代に「週刊少年マガジン」で連載していた漫画家が、菊池としを先生です。
漫画家のコピーといえば、「みる夢は、すべてオールカラーの鳥山明」「執筆中はいつも卍解!!久保帯人」などが有名ですが、この「死んだはずの菊池としを」には衝撃を受けました。 ……すみません。本当はこういう見開きだったのですが、 雑誌で見ると1ページずつ目に入りますし、「死んだはずの」と「菊池としを」の距離が近くて自然な並びなので、まるで菊池としを先生が死者蘇生したように見えました。 ちゆだけではなく、つれづれの館さんも、「本来なら覚えるべくもなかったこの漫画の作者名が、『死んだはずの』のフレーズとともに頭に焼き付いてしまった」と当時を振り返っておられます。 さて、そんな菊池としを先生は、大川隆法さんが率いる「幸福の科学」の会員としても有名です。 「フライデー」の記事によると、
今日は、この菊池としを先生が「幸福の科学」に染まる以前にスタートした初連載「蓮華伝説アスラ」を再確認してみたいと思います。 |
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平成22年3月6日 | マガジン誌上で「幸福の科学」を布教した漫画 「明王伝レイ」 | |||||
1988年、「週刊少年マガジン」で、菊池としを先生の「明王伝レイ」の連載が始まりました。 序盤は、当時「ヤングジャンプ」で人気だった「孔雀王」みたいな話です。 たとえば、連載第1話。 とりあえず1ページ目は読者を釣って、 13ページ後には、 こうした超常事件を、高校生の拝み屋・レイくんが「破邪──ッ!!」と解決していきます。 そんな感じで、エロとグロと破邪──ッ!!が無限ループする一話完結ものだった「明王伝レイ」ですが、途中から、巨大な敵と戦う連続ストーリーになります。 第20話、戦いで忙しくなったレイが高校を自主退学する場面は……。 イケメンです。 そして、第40話。 レイが宿敵・ルシフェルを倒して、異次元から帰ってくると……。
日本は、「北斗の拳」のような世界になっていました(新展開)。 |
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平成22年3月8日 | 菊池としを先生の打ち切り漫画『YOH〜光の抄〜』 |
「蓮華伝説アスラ」「明王伝レイ」と、デビューから2本の連載を成功させた菊池としを先生。 その3作目「YOH〜光の抄〜」は、それまでのように悪霊を「破邪──ッ!!」と倒す世界観ではなく、高校の剣道部を舞台にしたスポーツ漫画でした。 主人公の名前は、曜くん。 小学二年生のときに、「病気 貧困 飢え 戦争‥‥毎日地球のいたる所で自分と同じ子供が死んでる」と考えるといたたまれなくなり、胃潰瘍になってしまったというほどの そんな彼が、高校生になって剣道を始めた動機は、「昔の剣の達人たちはみなそれぞれ何らかの悟りに達していたそうだ‥‥!!」「人はどうして死ぬのか‥? なぜ世の中に幸 不幸があるのか‥‥」「もし剣道でその悟りがえられるならば‥‥やる意義はあるッ!!」とのことでした。 そうして、曜くんが剣道部に入部して、先輩と出会い、まずは高校総体の東京予選に出場……というところで人気が出なくて、全10話で打ち切り。 その後、菊池としを先生が講談社で連載することは二度となかった、というのがこの漫画のすべてです。 |
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平成22年3月12日 | ビジネスジャンプ誌上で「幸福の科学」を布教した漫画 | ||||||||
「幸福の科学」の会員である漫画家・菊池としを先生が、集英社の「ビジネスジャンプ」に連載した漫画が「天空の門」です。 その連載当時、現実では橋本総理だったのですが、漫画の中には畠本総理という人が登場します。
総理が言うには、「さまざまな事件・事故・凶悪犯罪…(中略)これらの混迷の共通点は ごく普通に日本の教育を受けたはずの人々に『善悪とは何かが分からない』という事実ではないかッ!! これは日本が正しき宗教教育をして来なかったことに起因する!!」とのことで、 つまり、 「世相の乱れ → 道徳・倫理観の喪失が原因 → 学校で正しい宗教を教えれば解決 → まず政教分離やめる」 という話です。 まあ、「正しい宗教」が存在すると仮定すれば、総理の言うことにも一理ある気がしますが……。 既存の宗教は古すぎるから、この現代に説かれた新しい教えが必要とのことです。 さすがに「ビジネスジャンプ」誌上ではそれ以上言えなかったようですが、もちろん、作者の考える現代に適応した正しい宗教とは「幸福の科学」のことです。 当時、「幸福の科学」の総裁・大川隆法さんが講演していたところによると……。
ちなみに、この講演が1997年7月1日で、「天空の門」の引用部分は1997年9月13日に発売された「ビジネスジャンプ」の掲載でした。 この辺、「幸福の科学」の動向がリアルタイムで「ビジネスジャンプ」に反映されています。 |
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平成22年3月13日 | 菊池としを先生の近況 | ||||||||||||
「幸福の科学」の雑誌「ザ・リバティ」の4月号が、2月27日に発売されました。 表紙の上部には「マイケル・ジャクソンは『天使』だった!」とあります。 「幸福の科学」の総裁・大川隆法先生の霊査によると、天上界のマイケルの近況は、
とのことで、モーツァルトたちと同格ですから、マイケルは7次元菩薩界という設定に決まったようです。 (「7次元」とかに関しては幸福の科学の霊界ランキングを参照) また、「大川隆法総裁 公開収録レポート」という記事によると、ついに悪魔の実在が証明されたそうです。
ということで、大川隆法総裁と、その妻・大川きょう子先生(前世はアフロディーテ)が登場して、
右手から何か出ているのですね、わかります。 そして……。
あえて言いますが、いい歳して夫婦で何やってるんですか。 それから、この雑誌には2010年最新の宇宙人情報が載っており、
……このタコも現在地球に来ているそうです。 そして、今月号の目玉は、かつて「週刊少年マガジン」や「ビジネスジャンプ」で連載した漫画家・菊池としを先生の新作です。 タイトルは「リアル・パニック〜UFOと宇宙人編〜」という6ページの作品で、「この漫画は、一部現実にあった話と大川隆法著『「宇宙の法」入門』をもとに構成したものです」とのこと。 さっそく読んでみると、漫画の中の201X年の首相官邸に、「総理大臣」と「党幹事長」が登場します。 現実では、2009年に「幸福の科学」は「幸福実現党」を作って与党を目指しましたが選挙では1議席も取れず、その選挙で圧勝して与党になったのは鳩山民主党でした。 この漫画も現実に準拠しているので、そのまんまの総理が出てくるのですが……。 どうやら、鳩山由紀夫と小沢一郎の正体は悪い宇宙人だったようです。 小沢一郎はレプタリアンという種類の宇宙人で、漫画の中では、「レプタリアンは好戦的で地球人を家畜としかみなしていません。しかもわれわれ人間を食料としています!」と説明されています。 鳩山由紀夫はグレイという種類で、これはレプタリアンの手下のアンドロイドなのだそうです。 漫画では、この2人が、なにやら日本を宇宙人に侵略させる相談をしているようでした。 こんな民主党に任せていたらヤバイので、はやく幸福実現党が政権を取らなければならない、ということがよくわかりますね。 ネットアイドルちゆは菊池としを先生を応援しています。 |