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平成13年3月19日 継父を焼殺しようとした14歳少女

 自宅アパートに放火して継父(29)を殺そうとした疑いで、中学三年生の少女(14)が逮捕されました。
 継父が寝ている隙を見計らって、母親を出かけさせてから灯油をまいて火を放ったそうですが、継父は2階の窓から飛び降りて無事でした。

 気になる家族関係は、平成6年に母親が前夫と離婚し、平成7年に今の夫と再婚。平成10年ごろから、継父が自分のいうことを聞かない少女に対し、頭を殴る・髪を引っ張るなどの暴力をふるうようになったということです。

 捜査関係者曰く、「隠れて持っていた携帯電話を壊された腹いせの意味があったのではないか」。
 少女曰く、「日ごろから父が、母や自分たちをなぐったりして、うっぷんがたまっていた。家族を守るには殺すしかないと思った」。

 この報道を聞いて、ちゆが真っ先に連想したものは「完全自殺マニュアル」です。
 今さら説明する必要もないかも知れませんが、平成5年に出版されてベストセラーになった極めて実用的な自殺の解説書です。最近でいうと「バトル・ロワイアル」のようなもので、中学生くらいの餓鬼がダークな雰囲気にあてられて興奮して読みふける一方で左翼精神バリバリのPTAのオバサンが血管ブチ切れそうなほど怒り狂う感じの本です。

 …なんでそれが今でてくるんだと思われるかも知れませんが、自殺マニュアル第9章、焼身自殺の項によく似た事件が出ているからです。以下、引用(「完全自殺マニュアル」167頁より)。


 ケーススタディ25
 近親相姦を苦に怨念の焼身自殺を遂げた女子中学生

 ある12歳の女子中学生が、おじの家の庭で焼身自殺をした。
 彼女は生後間もなく両親の離婚によって母親を失い、(中略)、彼女の育った家庭環境は非常に複雑で、両親の離婚の原因は母親とおじに性的関係があったことだった。
 しかし彼女の自殺の原因になったさらに複雑な関係は、彼女自身も祖父と父親との性関係があったことだった。


 ちなみに、自殺マニュアルでは「彼女のおじに対する怨みも相当なものだったのだろうが、わざわざそのおじの家で火だるまになるというのも、復讐の念をアピールするには非常に効果的である。12歳にして祖父と父親というふたりの肉親と性関係を持ってしまったというのも凄い。凄すぎる」とコメントがつき、焼身自殺の特性を最大限に生かした成功例として賞賛されています。

 さて。ここで、このように思いませんか? この12歳の少女は、自分が死ぬくらいなら相手を殺した方がよかったのではと。
 「自殺する児童は、なぜ死ぬ気でイジメてくる奴らを殺そうとしないのだろうか。中国で、ダイナマイトを自分の腹に巻きつけ、いじめっ子に抱きつき、ともに爆死した事件があったが、その天晴れな根性は大いに見習うべきであろう。弱き者よ。死ぬなら殺せ!」とケンペーくんも述べておられますが(「ケンペーくんの鬼畜天誅記」84頁)、まったくその通りです
 その意味、今回の事件の14歳の少女はたいした行動力です。

 ところで、「女子中生、20代継父への殺意爆発」と報じたZAKZAKさんなど、このニュースは「最近のコは恐いですね論調」で紹介されることが多いのですが、そのような報道姿勢には問題を感じます。

 わずかな報道からは、詳しい家庭環境が分かりません。ですから、殺人に至ったのは少女個人が元々有していた性格が原因なのか、少女の家庭が「自分が死ぬか相手を殺すかしかない」と誰もが思うほどの極限環境だったのか、私たちには判断がつきません。
 浄土真宗の親鸞だって「もしもそのような縁があるならば、この親鸞、人殺しでも強姦でも何でもするだろう」(現代語意訳)と述べています。もしかしたら、少女は継父に緊縛調教SM浣腸プレイを毎晩強要されていたのかも知れません。それだったら殺しますよね

 そういえば、俺の成功は俺の性格や努力のおかげ、俺の失敗は周りが悪かったから、他人の成功はたまたま運がよかっただけ、他人の失敗は努力不足と考えるのがごく普通の人間のすがたですが、これを認知心理学の専門用語で基本的帰属錯誤というらしいです。
 そんな画数が多いだけで直感的に通じない日本語を使わずに、素直にジャイアニズムとか表現すればいいのに。

 上の12歳と14歳の少女がともに殺しの手段として「火」を選択している点も非常に興味深いです。「焼く」という行為の哲学的な意味に思いを馳せつつ、今日はなんだかうまくオチませんでした、ごめんなさい。

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