昔のちゆニュース
平成13年04月04日:純情パイィィィィィン 平成13年04月18日:いま、北斗神拳がよみがえる! 平成13年04月28日:こせきこうじ、にわのまこともバンチに 平成13年05月23日:「金田一少年」の作者が新連載 平成13年06月04日:「ジハードIX」発売 平成13年06月05日:キユ先生、再びジャンプに登場!! 平成13年06月29日:チャンピオン、今度は画太郎を起用 平成13年07月03日:韓国漫画「熱血江湖」早くもピンチ? 平成13年07月11日:「スサノオ」最終回 平成13年08月30日:「るろうに剣心」の和月先生、打ち切り 平成13年08月02日:岡野剛先生、新連載 平成13年09月06日:コロコロコミック「ゾイド」打ち切りの事情 平成13年09月18日:「ブレーメン」打ち切り 平成13年09月29日:エニックスお家騒動 平成13年11月14日:タカラがベイブレードで大儲け 平成13年12月01日:バンチで原哲夫先生インタビュー 平成13年12月13日:「バンチ」打ち切り第一号は韓国漫画 平成13年12月20日:オタク向け情報誌「バグナード」創刊 平成14年01月18日:バンチ、池沢&にわの打ち切り 平成14年02月19日:「ライパク」2度目の打ち切り 平成14年08月14日:「スパイラル」がアニメ化 平成17年03月12日:COOLドライブ |
平成13年4月4日 | 純情パイィィィィィン |
砥石を使って南海電車のドアガラスに英文字や絵を描いた18歳の男子大学生三人組が、器物破損容疑で逮捕されました。 曰く、「自分の絵を人にほめてもらいたかった」。 単に絵を見て欲しいのでしたら、せっかくインターネットという素晴らしい落書きフリーの便所がありますのに。それとも、電車にでかでかとイラストを描いてあずまんが電車やシスプリ電車に仕立てようという魂胆だったのでしょうか。だとしたら漢です。 南海電鉄さんはこれを「悪質」だとして数百万円の賠償を求めるそうですが、自己責任能力もない餓鬼相手にムキになるのもどうかなという気がします。 また、たまらないのは実際に支払わされる親ですが、貴重な子宝を授かりながら馬鹿に育ててしまった罰金だとでも思うことにしましょう。 それにしても、自分の絵を褒めてほしいから電車に落書きするなんて、純情な若者たちです。 …と、かなり強引な展開で引きずり出した今日の話題は、祝!「純情パイン」単行本発売です。 純情パイン。 週刊少年ジャンプ誌上に鮮烈にデビュー、一部で絶大な支持を受けるも、あえなく13週で打ち切られた伝説の怪作。それが満を持しての単行本化です。 さっそく購入。まずは表紙をめくると、慣例通りに作者様の写真とコメントが載っています。 作者様の写真が薄笑いを浮かべたおさげの女なのはマジで恐いですが、それ以上に作者様のコメントの第一行・第一声に注目です。 この漫画は打ち切り漫画です この本を買って、一番最初に目にする文章がこれです。作者様の怨念の強さが伺えます。 しかし、「純情パイン」をこのままよくある10週打ち切り漫画の一つで終わらせない可能性は、まだあります。 そう。古くは「アウターゾーン」、最近では「ライジングインパクト」のように、連載終了後でも圧倒的なラブコールが届けば連載再開が有り得るのです。 さあ、今すぐ書店に走って「純情パイン」を10冊買いましょう。たぶん10冊も入荷している本屋さんは近所にないでしょうけど。というか、まっとうな商売をしている本屋さんでしたら1冊も入荷していなくても何の不思議もありません。 そして、集英社に呪いのようにひたすら「純情パイン、純情パイン、純情パイン」と書いた手紙を送り続けましょう。自分で文章を考えるのが面倒な方は、最後に例文を挙げておきますので参考にしてください。 〜〜〜〜〜以下、例文〜〜〜〜〜 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 先日は「ヒカルの碁」のキャラクター人気投票、明らかに一人で何百票も投じている奴がいましたね。一時の勢いも何処へやら、他誌との競争に神経をかきむしりたくなるような毎日だとは思いますが、いかがお過ごしでしょうか。 さて、貴社の単行本「純情パイン」を拝見させて頂きました。幽玄で既知街な神秘の物語、恥ずかしながら我を忘れて感動にむせび泣いてしまいました。この漫画は人類が滅亡する2015年ギリギリまで語り継がれるべき、日本国の至宝だと思います。是非、どうか、再び連載させてください。あなたもご家族が大事でしたら、何が賢い選択かお分かりでしょう。 よろしくご検討くださいますようお願い申し上げます。これから暑くなって参りますが、くれぐれもご自愛ください。 敬具 追伸 夜道を歩くときはお気をつけになるよう、娘さんにもお伝えください。 |
平成13年4月18日 | いま、北斗神拳がよみがえる! |
情報元はCB maniaxさんとsawadaspecial.comさんで、そちらで詳しく取り上げられているのですが、せっかくだからこちらでも紹介させて頂きます。 5月15日に新潮社が新たに創刊する「週刊コミックバンチ」にて、原哲夫先生が連載されます。 その名も、「蒼天の拳」。 1930年代の上海の巨大黒社会を舞台に、北斗神拳二千年の歴史上、最も奔放苛烈と呼ばれた男・霞 拳志郎が活躍する物語だそうです。 シチュエーションだけ聞くとジャンプに連載して一瞬で打ち切られた「猛き龍星」みたいですが、監修は武論尊先生です。北斗神拳です。拳志郎です。 「巨匠・原哲夫が自ら『北斗神拳』の封印を解き、渾身の筆致で描き込んでいく待望の感動巨編!! 」とのことで、期待は高まります。 さらに、原哲夫先生の公式ホームページにも、「5月から始まる新連載はかなり気合を入れていますね。すでに1話目と2話目のネームを書き上げているんですが、いい出来になりそうです」という原哲夫先生直々のメッセージが! 霞拳志郎というのも懐かしいネーミングですが、その調子で阿弥婆(あみば)とか油駄(ゆだ)とか邪偽(じゃぎ)とか覇亜闘(はーと)とか出演させて欲しいところです。 ついでに、この調子で「ケンシロウ以外の伝承者」の物語をたくさん描いて頂きたいです。 戦国時代、信長に仕えて天下を動かした北斗神拳二千年の歴史上、最も奇天烈な技を持つ男・拳四郎之助とか。 平安時代、藤原道長に仕えて役小角と戦った北斗神拳二千年の歴史上、最も精力絶倫と呼ばれた男・拳皇子とか。 氷河期に人類史上初めてマンモスを倒した男・ケンシーロとか。 さて。 色々な意味で期待される「蒼天の拳」ですが、「コミックバンチ」の他の連載陣にも注目です。 原哲夫以外にも、北条司、今泉伸ニ、次原隆二の名前が並び、なんだか80年代の少年ジャンプみたいです。 思えば、当時のメンバーで少年誌に残っている方も少なくなってしまいましたが、ここで、この方々の少年ジャンプにおける軌跡を振り返ってみたいと思います。 まずは、次原隆二先生。 ためしに「次原隆二」で幸せ検索してみたところ3件しかヒットしませんでしたが、ジャンプにおける連載本数は上の四人の中でも最多です。それだけ短期集中連載が多いということですね。 「暴走ハンター」(80年)で初連載、次いで「よろしくメカドック」(82年)で早くもヒットを飛ばします。 しかし、メカドックに続く”車もの”として勝負した「ロードランナー」(85年)と「特別交通機動隊SUPER PATROL」(87年)はあっけなく打ち切り。特に後者は第1話は全ページカラーの掲載という、編集部の期待度が高そうなものだったのですが、天晴れな玉砕でした。 時代的にも”車もの”に限界を感じたのか、次はスポーツ漫画に挑戦。 ゴルフを描いた「隼人18番勝負」(89年)、野球漫画「ドン・ボルカン」(91年)と続けて速攻で打ち切られます。特に「隼人」は18番勝負なのに17話で打ち切りという屈辱の結果に終わってしまいました。 その後、少年マガジンもどきの「科学者ドキュメンタリーもの」の絵を描かされたり、いじめをテーマにした漫画「元気やでっ」(95年)の話を作らされたり、編集部主導の企画もので便利屋のようにコキ使われますが、あまりパッとしませんでした。 ご自身で絵を描かれた連載としては、タイトルからして10週打ち切りの予感を漂わせて事実その通りになった「東京犯罪物語―菩薩と不動―」(94年)を最後に、少年ジャンプから姿を消すことになりました。 続いて、今泉伸二先生です。 ためしに「今泉伸二」で幸せ検索してみたところ2件しかヒットしませんでしたが、体操をモチーフにした「空のキャンパス」(86年)、ボクシングを舞台にした「神様はサウスポー」(88年)はそれなりに人気を博しました。 しかし、その後の「チェンジUP!!」(92年)と「暗闇をぶっとばせ!」(94年)はごく短期間で打ち切り、少年ジャンプから姿を消しました。 北条司先生は、今さら説明の必要もありませんが、「CAT'S EYE」(81年)と「CITY HUNTER」(85年)の二大ヒット作を飛ばした大人気作家です。 しかし、ロリコンを狙った「こもれ陽の下で…」(93年)、筋肉女をフィーチャーした「RASH!!」(94年)がいずれも長続きせず、ジャンプ誌上からは姿を消しました。 もちろん、その後も少年ジャンプ以外の場で活躍中なのはご存知の通りです。 最後に、人気・不人気の波が激しい原哲夫先生です。 「鉄のドンキホーテ」(82年)で初連載後、「北斗の拳」(83年)で大ヒット。 その後、圧倒的な期待の中ではじまった「サイバーブルー」(88年)で派手に転びましたが、「花の慶次―雲のかなたに―」(90年)がまたまたヒット。 「影武者 徳川家康」(94年)で局所的な人気を得た後、「猛き龍星」(95年)が瞬速で打ち切られ、週刊からいなくなりました。 …そんな感じのメンバーでおくる「週刊コミックバンチ」。 「北斗の拳」前後の少年ジャンプで育った方には、なかなか楽しめる雑誌になるかも知れません。 そうそう。眠狂四郎の漫画版も要チェックです。 |
平成13年4月28日 | こせきこうじ、にわのまこともバンチに |
4月18日に、新創刊の週刊漫画誌「コミックバンチ」について、「蒼天の拳」を中心に取り上げました。 そのバンチの創刊0号(要するに本屋さんで無料配布のパンフレット)なるものが出ていましたので、一冊もらってきました。 バンチは発売・発行を新潮社、編集をコアミックスが担当しています。 コアミックスの代表取締役は週刊少年ジャンプの前編集長・堀江信彦さん。それに月刊少年ジャンプの前編集長・根岸忠さん、漫画家の原哲夫・北条司・次原隆二が取締役となり、昨年6月に設立された株式会社です。 堀江さんは「北斗の拳」連載時の編集で、北斗神拳のアイデアや「お前はすでに死んでいる」という台詞を考えた人物でもあります。原哲夫先生も「堀江さんがいなければ北斗の拳はなかった」と仰っておられます。 週刊少年ジャンプが伝説の635万部に到達した時に編集長でしたが、社内の派閥争いから2年で更迭。ちなみに後任の編集長は小泉総理に似ているDr.マシリト。 その後は「メンズ・ノンノ」や「BART」の編集長に左遷されていましたが、その「BART」にも休刊通告が出て、ついに 現在の活動を始めたところ、「花の慶次」以来のコネがあった新潮社、堀江氏と仲が良くてすでにジャンプからホサれていた大御所作家などが呼応。現在に至るそうです。 ちなみに資本金は8200万円ですが、堀江さん・原先生・北条先生がそれぞれ1000万、新潮社が2800万の出資。 ジャンプ側は「円満退社ですし、これからもお互いに頑張りましょう」などと広報していますが、内心ハラワタ煮えくりかえっていると思われます。 さて。 コミックバンチの方向性は、一言で申しますと週刊少年ジャンプのアンケート至上主義の対極です。 漫画家任せでとりあえず描かせてたまたま結果が出れば良し、駄目ならポイして「アンタ無職ね」というのがジャンプ流です。そうではなく、ネームのチェックをはじめ、編集者が全力のプロ意識で漫画家をサポート。二人三脚で最高に面白い漫画を作ろうというのがコアミックスのスタイルです。 また、漫画製作の環境作りも充実。堀江さん自ら「連載するときの原稿料はページ2万円以下にはならない」と明言。 アシスタントもコアミックスが集めて漫画家に提供すると至れり尽せりです。 ところで、その生い立ちから必然的に、バンチ連載陣は「元ジャンプ作家」が多くなります。 原哲夫、北条司、次原隆二、今泉伸二については、すでに4月18日に述べた通りです。 それと、「眠狂四郎」の漫画版を描く柳川喜弘先生。 ペンネームが微妙に変わっていたので前回は見落としていましたが、週刊少年ジャンプで「VICE -ヴァイス-」「DIAMOND(ダイヤモンド)」を連載していた柳川よしひろ先生です。 どちらも疾風のように打ち切られた漫画として知られ、黒岩よしひろ先生と並んで「よしひろと名のつく漫画家は10週打ち切り」という伝説を産みました(高橋よしひろ先生などの例外もあります。「甲冑の戦士雅夢」は置いておいて)。 たぶん打ち切り理由は子どもがアンケートにマルをつけなかったからですが、青年誌なら案外いけるかも知れません。 いつもは頭の悪い主人公がウリの方だけに、眠狂四郎をどう描くか注目です。 そして、創刊2号から「山下たろーくん」「やまだたいちの奇跡」のこせきこうじ先生、「THE MOMOTAROH」「リベロの武田」のにわのまこと先生の参入も決定しています。 にわの先生は、格闘ものかスポーツものを描くのでしょうか? ジャンプ時代のリベンジで「ボンバーガール」みたいな漫画をやりたがるかも知れませんが、それは堀江さんが止めるような気がします。 こせき先生がどんな漫画を描くかは、読まなくても分かりますね。 ともあれ、いよいよジャンプを読んで育った子どもが移行する青年誌というコンセプトで固まってきた感じです。 …ということは、「スーパージャンプ」や「オールマン」と真っ向対決になります。 車田正美先生の「リングにかけろ2」、徳弘正也先生の「狂四郎2030」、平松伸二先生の「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルス」、ついでになにわ小吉先生の「くぴっと一杯」。 これに宮下あきら先生の「暁!!男塾」を加えた、集英社のバンチ包囲網。 対するは、年収2000万を捨てて会社づとめに決別し、漫画への熱い夢を語る堀江さん率いるコミックバンチ。 この挑戦が日本漫画界に新たな歴史を刻むのか、壮大な理想論で企画倒れするのか。 堀江氏に賛同したにわのまことやこせきこうじは既に集英社から見限られていたのか。彼らにバンチ以外の執筆の場は残されているのか。徳弘正也は「狂四郎」が終わったらバンチに寝返ったりしないのか。 今後の動向に注目です。 |
平成13年5月23日 | 「金田一少年」の作者が新連載 |
あの「金田一少年の事件簿」を作った黄金コンビ(少年マガジン編集部談)、さとうふみや&天樹征丸による新連載が、ついに始まりました。 「金田一少年」は、ドラマ化・アニメ化された超人気ミステリー漫画。 金田一耕助の孫という設定を無断で使用したり、島田荘司先生の「占星術殺人事件」を筆頭に有名推理小説からトリックをそのまんま盗用したり(特に初期)、ディズニーも真っ青のパクリっぷりでも有名です。 しかし、パクりパクられながら進歩するのが世の定め。 金田一の大ヒットに我も続けと、「探偵ボーズ21休さん」(中略)「椎名くんのリーズニング・ファイル」などなど、数多くの推理漫画が作られました。結局、金田一クラスの利潤を産み出したのは「名探偵コナン」くらいですけど。 一方、この時勢に完全に乗り遅れたのは「少年ジャンプ」です。 そもそも作者の才能まかせに試しに10週連載させてダメなら首切り、ベテラン作家でも才能が枯れたらサヨウナラのアンケート至上主義で資本主義経済の頂点にのし上がった雑誌。「MMR」や「沈黙の艦隊」のような編集部主導の企画ものは、非常に苦手です。 95年:当時から企画用作家として絵だけ描かされていた「ヒカ碁」の小畑先生が手がけた「人形草紙あやつり左近」(30週)。 96年:酒鬼薔薇聖斗の事件の際、的中率があまりに低くて驚かれたプロファイリングがまだブームだった頃に便乗しようとした「心理捜査官草薙葵」(23週)。 98年:モテモテの人気子役タレントにして推理力も抜群という感情移入できそうにない主人公の「少年探偵Q」(15週)。 単行本を並べてみると、4冊・3冊・2冊と着実に短命になっていく様子がよく分かります。いずれも原作・作画が分かれていますが、ジャンプ編集部には推理漫画は二人以上で作らなければならないという固定観念でもあるのでしょうか。 なお、ガモウ先生の「ぼくは少年探偵ダン」は無視させて頂きました。 さて。話を戻しまして、さとう&天樹先生の新連載です。 タイトルは「探偵学園Q」。 あれ、どこかで聞いたような名前です。「魔界学園」じゃなくて…。ああ、先ほどご紹介した「少年ジャンプ」の15週打ち切り単行本全2巻漫画、「少年探偵Q」に似ているのですね。 なお、さすがにさんざんマンネリ・ワンパターン・マンネリ・ワンパターンと言われ続けた「金田一少年」と同じものを作るのは気が引けたのか、今回は”本格推理漫画”ではなく”冒険ミステリー漫画”というコンセプト。 第1話を読む限りでは、天才的な推理能力や記憶能力やプログラミング能力を有した少年少女たちが力を合わせて事件を解決する「チームもの」らしく、いきなりハンター試験みたいなのが始まっていました。 果たして、金田一とは異なるミステリー漫画の新境地を開拓できるのでしょうか、それとも単なる一発屋だったことの証明に終わるのでしょうか。 |
平成13年6月4日 | 「ジハードIX」発売 | |||||||||||
定金伸治先生の小説「ジハード」の最新刊が発売されました。 これは、十字軍の遠征を「三国志」以上「西遊記」未満の架空度で描く歴史もの。同時代の英雄ロビン・フッドや源義経も、史実から逸脱して活躍します。 普通の人間だったはずの登場人物がいつのまにか後ろ向きで馬より速く走る能力を身に付けていたり、話が進むうちに主人公がキリスト化していったりする物語ですが、実は一番の見どころは挿し絵です。 この小説のヒロインは、エルシード姫。
といった描写があるように、エルシード姫は自他ともに認める幼児体型で、外見は少年のようだという設定。 ところが、少年ジャンプで14週で打ち切られた「超弩級戦士ジャスティス」の作者・山根和俊先生が描く挿し絵では、エルシード姫は次のように描かれます。 …彼女が幼児体型なら、ちゆは胎児未満になってしまいます。 作中の設定を全て無視して「俺はナイスバディの姉ちゃんが好きなんだ」という趣味を貫き通した、挿し絵描きの山根先生は漢です。 しかし、作者の定金先生は、エルシード姫に「恋愛感情と言える」ほどの愛着を感じているとまで表明しておられます。こんな絵をつけられて内心ハラワタ煮えくりかえっているのではないかと、読んでいる方が心配してしまいます。 ですが、あとがきでは「山根さーん、毎回素晴らしいイラスト付けてくださって、どうもありがとーございまーす(感謝の程を表すために、大声で言っているのだ)!」などと発言。挿し絵を嫌がっているような素振りは、まったく見せませんでした。 時は流れ、山根先生が少年ジャンプでの新連載「JOKER」を始めるため、挿し絵を続けることができなってしまいました。そこで、イラストレーター交代です。 (結局「JOKER」は15週で打ち切られたので、その気になれば山根先生の続投も可能だったはずですが)。 白羽の矢が立ったのは坂本眞一先生。同じく少年ジャンプで12週で打ち切られた「モートゥル・コマンドーGUY」の作者です。打ち切り漫画家ばかり起用されるのは、「ジャンプノベル」の編集方針なので仕方のないところ。 ですが、この坂本先生も1回だけで降板が決定します。理由は不明ですが、ちょっとそれまでのイメージとかけ離れた絵を描いてしまったのが原因ではないかと思います。
上の二人は同一人物です。坂本先生、自分の世界に入り過ぎ。 そんなわけで二人の挿し絵描きが降板してしまいましたが、そこに救世主が現われます。 作者の定金先生がネットサーフィンしていたところ、偶然出会ったファンのアニメーターが描いたジハードのイラストに一目惚れ。そのまま定金先生自らが集英社に推薦して、あっさりOK。新・挿し絵描きが誕生したのです。 かくて、それまでの「超弩級戦士ジャスティス」「モートゥル・コマンドーGUY」のような雄度の高い絵柄から一転、挿し絵はお耽美系女性向け同人風イラストへと路線変更を遂げました。
作者の定金先生は大満足。あとがきで、こうコメントされています。
嬉しい気持ちはよく伝わってきますが、喜びのあまり、前のイラストレーターへの配慮は絶無です。やっぱり、山根先生が描くボディコンな姫には、「こんなのぼくの姫さまじゃない!」という気分だったようです。 ちゆは山根先生のイラストを懐かしんで嘆いているのですが、本来は絶対いないはずの変わり者だということでしょうか。 …以上、8年間も挿し絵を描き続け、漫画版まで手がけた山根先生の扱いがあまりにもあまりだと感じましたので、思わず弁護に回ってしまったちゆでした。 ネットアイドルちゆは山根和俊先生を応援しています。 |
平成13年6月5日 | キユ先生、再びジャンプに登場!! | ||||||||||||||||
打ち切り漫画界に燦然と輝く明星、「ロケットでつきぬけろ!」をご存知でしょうか。 作者はキユ先生。「週刊少年ジャンプ」平成12年34号に始まって、わずか10週の連載を文字通りロケットのようにつきぬけていった作品です。 特異なコマ枠の描き方。サブリミナル映像の「コカ・コーラを飲もう!」のように、物語の合い間に必然性もなく挿入される謎のフレーズ「Live Like Rocket!」。打ち切り決定の関係でロケットのようにつきぬけていくストーリー。
そして、それまで影も形もなかったはずなのに、まったく何の説明もなくある回から唐突に存在していた主人公の恋人。彼女はさも昔からいたレギュラー・キャラのように自然に振舞い、多くの読者を「先週、読み飛ばしたっけ?」という不安に陥らせました。 しかし、この作品を打ち切り漫画界のスーパースターたらしめている理由は、雑誌の最後に掲載される作者のコメントにあります。
普通このスペースには、作者の近況などが書かれます(半分以上は担当が適当に作っているという噂ですが)。 しかし、キユ先生に限っては毎週、なぜか次回予告でした。
ところが途中で飽きてしまったのか、突然、キユ先生は方向転換。今度は他の漫画家の先生たちに話しかけ始めます。
いきなり話をふられて先生方もさぞ困られたことだと思いますが、結局、ほとんどの先生は無視しておられました。
ところが、そこで事態は急展開。衝撃の告白が読者に襲いかかります。
これまでのはボツられなかった穏便なコメントに過ぎなかったというのです。お倉入りになったコメント、お願いですから誰か読ませてください。
そして、ついに最終回。 最後のコメントと言えば「短い間でしたが、ご愛読ありがとうございました」「次回作でお会いしましょう」などと適当なことを書くのが普通ですが、もちろんキユ先生は普通ではありません。
今や伝説となったこのフレーズを残して、キユ先生はジャンプ誌上から姿を消しました。
この「バイバイ」から9ヶ月。永遠に帰って来る事はないだろうと思われたキユ先生の読み切りが、6月12日発売の「少年ジャンプ」28号に掲載されます。 次号予告によると、タイトルは「STRIPE(ストライプ)」。 >メジャー級、久々の登板 >久々登場のキユ先生が描くクールな行商稼業とは…!? 果たして来週、キユ先生はどんな巻末コメントをつけてくださるのでしょうか。今から楽しみです。
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平成13年6月29日 | チャンピオン、今度は画太郎を起用 | |||
3日前のニュースで、野球漫画について述べさせて頂いたところ、メールや掲示板で「なんで山下たろーが入ってないんですか」「燃えよクロパンが出てこなかったのが心のこりです」などのツッコミを頂きました。 申し訳ありません。それら全て盛り込むとちゆニュースが電話帳のように分厚くなってしまうため、泣く泣くカットさせて頂きました。 ところでそんな中、特に名前が挙げられたのは「逆境ナイン」と「地獄甲子園」でした。 でも、この二作が持つ強烈な個性を考えると、野球漫画というよりむしろ島本漫画・画太郎漫画と分類するのが妥当かと思います。 そんなわけで、今日は漫☆画太郎先生の話題です。 画太郎先生は、ウンコがパカっと割れたら札束が入っていて見かけに騙されるなウヒヒヒヒって感じの漫画で「少年ジャンプ」の新人賞を受賞された方です。 最初の連載は、64週続いた「珍遊記―太郎とゆかいな仲間たち―」。 行き当たりばったりに作られていることが小学生の目にも明らかなストーリー展開、芸術の域まで昇華されたコピーの多用、そしてへたくそな絵。 それら要素の曼荼羅的融合によって展開される、リビドー溢れる生々しい画太郎ワールドは、少年ジャンプの中で圧倒的な異彩を放っていました。 さて。 ちゆが画太郎先生の作品の中で一番好きなのは「まんゆうき〜ばばあとあわれなげぼくたち〜」です。 「ちんゆうき」の次回作が「まんゆうき」というのもあんまりですが、主要登場人物の名前が「まんまん」だったりするのは本気でヤバいと思いました。 しかし、登場する女性キャラの8割はババア、たとえババアでなくても確実に小汚い醜女である画太郎漫画において、まんゆうきの主人公は萌えなのです。 名前は娘々(にゃんにゃん)ちゃん。
「萌え」という言葉すら普及していなかった時代に、ドジで健気で丁寧語でしゃべるお子さま。丈の短い服、棒のようにまっすぐの足、犬耳のようなヘアスタイル。…ツボ押さえてます。 私たちのいる場所はすでに…画太郎が6年前に通過した場所なのです! さらに、画太郎漫画なので当然、娘々ちゃんは小便かけられたり粘液まみれになったり妖怪に押し倒されたりします。 そう、グロやバイオが”萌え”を高める効能を持つことは「しゅーまっは」による偉大なる発見だと思われていましたが、実は「しゅーまっは」のいる場所もすでに…画太郎が6年前に通過した場所なのです! 残念ながら、「まんゆうき」は21週で打ち切られてしまいました。 しかし、これは日本の萌えの歴史を考える上で絶対に外せないキャラクターの一人だと思います。 なお、娘々ちゃんはとても画太郎世界の住人だとは思えない萌え的絵柄で描かれているため、アシスタントが描いていた説も根強く噂されています。 なんでも、主人公をアシに描かせて背景及び脇役を画太郎先生が描かれていたとか、実は娘々だけ野口賢先生が描いていたとか。 おそらく事実ではありませんが、妙に納得してしまう話ではあります。 さて。そこで、チャンピオンです。 かつては血と汗と男の味しかしなかった雑誌が、ここ半年で急転換。でじこを巻末読者ページに使ったり、萌え漫画を連載したり、サンライズと組んでメディアミックス企画を始めたりと大騒ぎです。 そこに今度は、画太郎先生の新連載です。 秋田書店の暴走は、もう誰にも止められません。 期待の新連載のタイトルは「樹海少年ZOO1」。作画が画太郎先生、原作は電気GROOVEのピエール瀧さんです。 ピエール瀧と画太郎先生のつながりは、電気GROOVEがやっていたオールナイトニッポンのコーナーの中で「珍遊記」を平成3年の漫画の年間MVPに選んだのがきっかけ。 以来、「珍遊記」の中にピエール瀧が出演するなど、両者の生暖かい交流が始まったようです。 そういえば、漢系燃え漫画とオタク系萌え漫画の二本柱で迷走する少年チャンピオンについて、処方箋さんがこんなツッコミを入れておられました。
ここにさらに画太郎をブレンドすることで、一体どんな強烈な化学反応が起こるのでしょうか。 21世紀の萌えを目指すチャンピオン誌上において、画太郎先生が再び萌えを手がけることを期待しながら… ネットアイドルちゆはチャンピオンと画太郎先生を応援しています。 |
平成13年7月3日 | 韓国漫画「熱血江湖」早くもピンチ? | |||
米国の雑誌「ニューズウィーク」の特集で、圧政に苦しむ国・ワースト10が発表されたそうです。 10位イラク、9位ハイチ、8位アルバニア、7位コンゴ、6位タジキスタン、5位アンゴラ、4位スーダン、3位シエラレオネ、2位アフガニスタン…。 そして栄えある第1位は、もちろん北朝鮮でした。 曰く、「市民が自分たちをハエのように死なせている『偉大な指導者』を崇拝するよう強制されている巨大な収容所」。 そんな北朝鮮と20世紀半ばまで歴史を共にしながら、ほんの少しの緯度の違いでわれらが資本主義陣営の一員となった韓国。 日本同様オタク国家へと発展してきていますが、気色悪い生首と愛し合って地球を救うゲームだの、チョコボールでダイエットして新興宗教な漫画だの、いまだその道では後進国です。 そんな韓国で単行本累計250万部を記録して、超ベストセラーと呼ばれている漫画が「熱血江湖」。 ふたりエッチの単行本が累計1000万部近いことを考えるとそれほどでもなさそうですが、韓国の漫画界では史上最高部数記録を更新中の大ヒット作になります。 少年ジャンプの元編集長と元売れっ子漫画家が作った週刊誌「コミックバンチ」は、これに目をつけました。
こんな盛大なアオリ文句が「コミックバンチ」第4号の表紙を飾り、「熱血江湖」日本語版の連載が始まったのです。
朝日新聞の記事によると、「熱血江湖」の作者・梁先生はソウルに住む31歳。 17歳の頃、海賊版「シティーハンター」を読んで漫画の道に進んだというアレな方で、「作品が日本でどう評価されるか、どきどきしている」 とコメントしておられます。 さて。 ではその「熱血江湖」、日本でどのように評価されているのでしょうか。 てんてんdwpさんは、当サイトの掲示板で次のようにコメントしてくださいました。 「コピー本を作ってコミケにサークル参加応募するも二回に一回は落選するような北条司ファンが何をとち狂ったかサムライスピリッツの影響を受けてオリジナルと称する作品を書いて出版社に持ち込んだら一発で落選して、しょうがないのでオフセット本にしてインターネット上で販売してみました的作品」。 また、電脳御殿さん(70000アクセスおめでとうございます)は、6月5日の日記で「復刊したMSX系雑誌の読者ページに投稿されそうな古臭い絵」と仰られています。 その他、「読む気しません」「絵がヘボい」「内容如何よりも訳の不味さを見せつけられているようだ」などの評価を見かけました。 しかし、ストーリーに関しては、今はアレでも段々と盛り上がってくるのかも知れません。 第5話までを読んだ限りでは回を追うごとにつまらなくなっていく気もしますが、なにしろ少年ジャンプ黄金時代を築いた堀江さんが面白いと認めた作品。きっと、話が進めば凄くなっていくのでしょう。 しかし、ここで異変が起こりました。 連載当初は第1話と第2話を一挙に掲載するなど大々的にプッシュされてきた「熱血江湖」が、今週号から突然、2号に1度しか掲載されない隔週連載に格下げされてしまったのです。 ですが、先週号のどこを見てもそんなことは書いてありませんでした。「次号、伏魔花霊剣を狙う!『陣尚必との死闘!』の巻」などとアオっているだけです。 また、すでに韓国で何年も連載している作品ですので、翻訳さえ間に合えば原稿が落ちることはないはずです。 改めて「コミックバンチ」における「熱血江湖」の歩みを振り返ってみますと…。 第4号:連載開始、一挙2話掲載。カラー有り。 第5号:普通に掲載。 第6号:普通に掲載。 第7号:普通に掲載。予告の扱いが小さくなる。 第8号:唐突に隔週連載化。掲載されず。 いちおう「世に出る機会が少なかった名作をたくさん紹介するため」みたいな変な言い訳をしていますが、それでしたら7号で何の予告もせず8号で唐突に変化するのは妙です。 あまりの評判の悪さに戦慄して、あわててクサいものにフタをしたと考える方が自然なように思いますが、7号と8号の間でいったい編集部に何があったのか気になります。 それにしても、日韓漫画友好宣言とまで叫んだ立場がありません。 教科書問題で対日感情が悪化しているこの時期、韓国で大人気の漫画が日本で不遇な扱いを受けているとか言ってコミックバンチの修正要求でも出されたら思うと愉快すぎて夜も眠れません。 このまま月イチ連載・季刊連載とズルズルランクダウンしていって気がつけば打ち切られているのでしょうか、あるいはそれより早く「コミックバンチ」が休刊してしまうのでしょうか。 ネットアイドルちゆは、とりあえず「ワイルドリーガー」を応援しています。 ≪追記≫ 「熱血江湖」を25巻まで読破されたという知らなくてもいいPCゲームの世界のpusaiさんから、「これからどんどん面白くなってくんですよ!」という熱いメッセージを頂きました。 現在の隔週連載ペースが続くなら、3年ほど待てば面白くなるそうです。 その真偽をこの目で確かめることができるまで、どうか打ち切られませんように。 |
平成13年7月11日 | 「スサノオ」最終回 | ||
商業漫画は「打ち切り」と切っても切れない関係にあります。 「打ち切り」は漫画家の都合など全く関係なく唐突に訪れます。 ですから、あまりにも壮大な伏線を張ると、いざ打ち切られた時に収集がつかなくなって、漫画家の自我が崩壊したりします。 たとえば車田正美先生の「サイレントナイト翔」は、「聖闘士聖矢」クラスの長期連載を想定した巨大な伏線が張りめぐらされたにも関わらず、一切解決しないまま10週で打ち切られました。 逆に、荒木飛呂彦先生の「バオー来訪者」は、最初から短期集中連載の予定だったとしか思えないほど完成された打ち切り漫画です。 さて。 「月刊少年ガンガン」創刊号から連載していた漫画に、「ハーメルンのバイオリン弾き」と「輝竜戦鬼ナーガス」があります。「ハーメルン」には4人の魔界軍王、「ナーガス」には炎魔六将軍という伏線が張られました。 長期連載になった「ハーメル」では、初期の4人だけでは敵が足りなくなってしまい、後から強すぎて封印されていた奴などが登場しました。 一方、「ナーガス」は六将軍の1人目を倒した時点で打ち切りが決定。強引にラスボスを倒すところまで話を進めるために、残りの5人は雑魚扱いで瞬殺されていきました。 そんな「ナーガス」を描いておられた増田晴彦先生、次回作「風の騎士団」の連載途中で本誌「ガンガン」を追い出されて「Gファンタジー」に移籍。結局、大量の伏線を残したままで「第1部完」と打ち切られました。 その次の連載は増刊の「ガンガンWING」に左遷。これも速攻で打ち切られ、ジャンプ10週連載にありがちな「さあ行くぞ!」式で幕を降ろしました。 そんな増田先生が、久しぶりに「ガンガン」本誌に返り咲き。昨年の11月号から始めた新連載が「スサノオ」という漫画です。 ところで、増田先生は「寄生工房通信」というホームページをお持ちです。 作品一覧でむかし別ペンネームで描いていたエロ漫画をカミングアウトしてたりとなにげに素敵サイトですが、連載中の裏事情を色々と書いてくださるのも面白いです。 たとえば、掲示板に書き込まれた読者の意見。「主な読者層は同人オタク女性とか言われる現在のガンガンに、美形キャラも萌えキャラも登場せず、モンスターが延々とバトルを繰り広げる漫画は合わないのではないでしょうか」。 先生、答えて曰く。
てっきり増田先生がモンスターフェチな趣味全開で暴走したのかと思っていたのですが、むしろ編集部主導企画だったのですね。 さりげなく打ち切り寸前の不人気を愚痴ってるのも好感度アップです。 そんなわけで、第7話でテコ入れが入ります。異形の化け物しか出てこないバトル漫画という方針を曲げて、半裸で幼女なヒロイン・クシナダさんの登場です。 この際、増田先生はホームページでこう語ってくださいました。
すでに宣告が出ているようです。まさに打ち切り崖っぷち。単に雑誌を読んでいるだけでは分からないこの臨場感。打ち切られるのか、ギリギリで盛り返すのか、読者もハラハラドキドキです。 結局、1ヵ月後にはアンケート結果が出て10話打ち切りが決定。ついに今月号に最終回が掲載されました。 「世界最強神話昇天(ごあいどくありがとう)!!!」とか書いてあるのがヤケなのか気合いなのかよく分かりません。 最終回では、あらゆる未消化の伏線や倒していない敵の数々は完全無視。 これで終わりだということをまったく気にせず平常通りに展開して、最後のコマに「第1部完」と書いてあるのを除けば最終回らしさは微塵もありませんでした。ナイス開き直り。 なお、今月号には誤植があって、「P764とP770が入れ違いになっています。前後の展開を見るとおかしく感じられると思います」とのこと。 申し訳ありません、何の疑問も感じず読み切ってしまったちゆはダメでしょうか。 そんなこんなで色々書きましたが、ネットアイドルちゆは増田晴彦先生を応援しています! |
平成13年7月30日 | 「るろうに剣心」の和月先生、打ち切り | ||
「少年ジャンプ」に連載されていた漫画「GUN BLAZE WEST」が打ち切られました。享年28週。 …この話題に関しましては、すでにFrom dusk till dawnさんが面白ツッコミを入れまくっておられます。ネタがかぶってしまい、申し訳ありません。 さて。 結果だけを見ると「GUN BLAZE WEST」はどこにでもある平凡な打ち切り漫画ですが、連載当初の編集部と読者の期待は凄かったです。 といいますのも、これが「るろうに剣心」で大ヒットを飛ばした和月伸宏先生の新連載だったからです。 「るろうに剣心」も連載開始当初は人気が出ずに打ち切り寸前まで追い込まれましたが、少年ジャンプらしい天才美形剣士のバトル漫画として蘇生。 アニメやゲームになって、男同士で絡み絡まれのお耽美妄想が大好きなお姉さんにも大人気。一時は剣心や左之助のあられもない半裸でコミケ会場が埋めつくされたほどでした。 ところで、漫画家さんのアシスタントに対する接し方にも色々あります。 完全にバイトの手伝いと割り切っておられる方、教祖と信者の関係を築いてしまわれる方(少女漫画家にありがち)、デビューまでの指導を懇切丁寧に行って新人賞応募用のストーリーまで作ってあげる方、などなど。 和月先生は、アシスタントさんの育成に熱心なタイプのようです。 先生の元アシスタントで「少年ジャンプ」連載経験者を並べただけで、次のようなメンツになります。 ●「ワンピース」の尾田栄一郎先生 ●「シャーマンキング」「仏ゾーン」の武井宏之先生 ●「Mr.FULLSWING」の鈴木信也先生 ●「ノルマンディーひみつ倶楽部」のいとうみきお先生 ●「鬼が来たりて」「少年探偵Q」のしんがきん先生 もう少し頑張れば、「週刊少年ワツキ」が創刊できそうです。 ご自身でヒット作を生み出し、さらに若手の育成もしておられるのですから、和月先生は漫画業界そのものに大きく貢献しておられると言えます。 しかし、その大先生の新作「GUN BLAZE WEST」は惨敗。 ジャンプで人気があるバトル漫画の多くは、はじめから天才で無敵超人の主人公が強力なライバルたちと超人バトルを繰り広げる物語か、最初は弱い主人公が実は天才で特訓して無敵超人になって強力なライバルたちと超人バトルを繰り広げる物語です。 特に、主人公やライバルの超人ぶりを見せるには、スタンド能力を身に付けさせることが有効な手段のようです。 その点、「GUN BLAZE WEST」に人気が出なかった最大の原因は主人公の天才性のアピールが弱かったことかなと、勝手に思っています。 あと、基本プロットが「ワンピース」とそっくりなことも、チビッコにひかれる要因だったかも知れません。 しかし、巻末に掲載された作者コメントは謙虚です。
ちゆも数多くの打ち切り巻末コメントを見てきましたが、一度はヒットを飛ばした大物の先生がここまで言われるのは珍しいと思います。素直に感動しました。 同じように、前作「聖闘士聖矢」が大ヒットしながら次回作「サイレントナイト翔」がわずか13週で打ち切られた車田正美先生は、
とだけ巻末コメントに書き残して、二度と「週刊少年ジャンプ」に戻ってくることはありませんでした。 和月先生がこの二の舞になられないか、非常に心配です。 ネットアイドルちゆは和月先生を応援しています。 |
平成13年8月2日 | 岡野剛先生、新連載 |
岡野剛先生。 昔のペンネームはのむら剛。第28回赤塚賞に入選。 平成元年から、週刊少年ジャンプで「AT Lady!(オートマティックレディ)」の連載をスタート。7万馬力で童顔微乳のロボット婦警さんが活躍するお色気ギャグ漫画でした。 可愛い絵柄と萌えるキャラクターが一部のオタクさんに愛されたものの、健闘むなしく10週で打ち切られました。 真倉翔先生。 昔のペンネームは真倉まいなで、当時はエロ漫画家(未確認情報)。 平成3年から、週刊少年ジャンプで「天外君の華麗なる悩み」の連載をスタート。内容は、フェロモンをバリバリ放出しまくる特異体質の持ち主が活躍するお色気ギャグ漫画でした。 少女が吊るされて硫酸で制服をじわじわ溶かされる場面が一部読者に喜ばれたものの、絵柄がアレだったせいか16週で打ち切られました。 その後、個人的に接点があったのか編集部の陰謀か分かりませんが、この2人がコンビを結成。 平成5年、ストーリー:真倉先生、作画:岡野先生の読み切り「地獄先生ぬ〜ぼ〜」が、少年ジャンプに掲載されました。 その読み切りはアンケート結果が良かったらしく、3ヵ月後には「地獄先生ぬ〜べ〜」の連載が開始。 読み切りの「ぬ〜ぼ〜」が連載では「ぬ〜べ〜」に変更された理由は謎ですが、「ぬ〜ぼ〜」が黄色く太った間抜けヅラの生き物を連想させるためだったのかも知れません。 ともあれ、「ぬ〜べ〜」は大人気。アニメ化もされて、276週の長期連載となりました。 また、登場するやたらと巨乳な小学生たちのお色気シーンは一部のロリオタさんにも愛されました。 まるで怪しい粉と水を混ぜたら「ねるねるねるね」ができたように、打ち切り漫画家を2人混ぜたらヒット漫画家が誕生したわけです。 当然、編集部は両先生の次回作にも期待します。「ぬ〜べ〜」最終話から1年と空けず、2匹目のドジョウをねらった岡野&真倉コンビの新連載「ツリッキーズ・ピン太郎」が始まりました。 しかし、19週で打ち切り。 「ぬ〜べ〜」は、一度きりの偶然が起こした奇跡の化学反応だったのでしょうか。連載第1話から死兆星が見えていた「ツリッキーズ」は下馬評通りにズルズルと後退していき、はじけて消えてしまいました。 それから1年。 岡野先生だけが、少年ジャンプ誌上に帰ってきました。 新連載のタイトルは「魔術師2(マジシャン・スクウェア)」。 まだ第1話だけですが、どうやら男どうしで愛し合っている手品師コンビが、毎週華麗なやおいマジックを演じて男どうしの愛を深めていく漫画の模様(一部誇張)。 コンビを解消して作った新作が主人公がコンビで活躍する漫画なのは、なんともイヤな皮肉です。 それにしても、真倉先生は何処へ行ってしまわれたのでしょうか。 別の作画パートナーを探しておられるのか、またご自分で筆をとられるのか、あるいは漫画界から消えていなくなってしまわれるのか…。 もしもひっそりと「ジャンボ」あたりでエロ漫画を描いておられる真倉先生を見かけたら、ちゆに教えて頂けると嬉しいです。 ネットアイドルちゆは真倉先生を応援しています。 |
平成13年9月6日 | コロコロコミック「ゾイド」打ち切りの事情 | ||||
先日、「週刊少年ジャンプ」に連載していた漫画「鴉MAN」が16週で打ち切られました。 アンケートの順位が悪かったことが原因なのは間違いなく、巻末の作者コメントも「充電してきますので、又次回作でお会いしましょう」という感じでした。 「人気がなくて打ち切り」は非常によくある出来事で、漫画家の先生としても、まだ納得できることのようです。 ところで、インターネットの普及に伴って、ホームページをお持ちの漫画家さんも増えました。 漫画家と読者が身近に交流できて素晴らしいことのようですが、一歩間違えるとネット上で総スカンをくらった久保帯人先生のようになる危険性もはらんでいます。 ともあれ、編集者に検閲された数行の巻末作者コメントだけでは分からなかった裏事情が、漫画家さんのホームページで世界に向けて発信されるケースが増えています。 たとえば、先日も話題にさせて頂いた「コミックバンチ」に「ガウガウわー太」を連載しておられる梅川和実先生のホームページ。 9月4日の「今日のボヤキ」というコーナーで、「まる二日仕事が手につかない上、お月さんは途中で止まるし、やっとの事で仕事しだせばジンマシンが出る」という近況が告白されました。 そんな状態になってしまった理由は、
梅川先生、こんなことを書いてしまって大丈夫なのでしょうか。 アシスタントは会社で雇用、原稿料は新人でも相場の倍のページ2万円等々、漫画家が投資していることによる執筆環境の良さを自慢にしていた「バンチ」なのですが…。 さて。 掲示板で今江久志さんに教えて頂いたのですが、「コロコロコミック」で「機獣新世紀ゾイド」を連載中の上山道郎先生のホームページにて、9月5日、さらに生々しい打ち切り事情がブチまけられていました。 まず、漫画版と同様にメディアミックス展開の一貫として放送されていた「ゾイド」テレビアニメ版が6月で終了した理由について、次のように述べられています。
そうしてアニメが終わると、ゾイドの玩具も売れなくなってしまいます。しかし、おもちゃ会社のTOMYとしては今の売り上げを維持したいわけです。 そこで、アニメが続行できない以上は「コロコロ」の漫画に頑張ってもらうしかないということになります。 ところが、「ベイブレード」人気で低年齢層の新規読者が増えた割に、上山先生が描いておられる「ゾイド」の漫画は、やや対象年齢が高めの内容。
つまり、アンケート順位は本来ならば打ち切りをくらうほど低迷してはいなかったけれども、諸々の事情から「ゾイド」の漫画版には普通の連載作品よりも高い人気が求められるようになったため、打ち切りが決定したということだそうです。
以上、あくまで漫画家さん側の言い分ということで、編集側には編集側なりの言い分があるだろうこともご承知ください。 まあ、新しく始まるゾイド漫画が上山先生の「機獣新世紀ゾイド」よりも人気が出なかったら笑いますけれど。 …と、ここまで書いてから万屋RIO’sさんの9月5日の日記、最後通牒さんの9月6日の近況とネタがかぶっていることに気づいてしまいましたが、ネットアイドルちゆは漫画家の先生方を応援しています。 |
平成13年9月18日 | 「ブレーメン」打ち切り | |
「コミックバンチ」創刊3号に、漫画家の梅澤春人先生のインタビューが掲載されていました。 それによると、梅澤先生はデザイン専門学校を卒業した後、まっとうに就職。しかし、仕事は面白くないわ、遅刻はするわで行き詰まってしまったそうです。 ご本人曰く、「その時ですよ。俺を救ってくれるのは漫画しかないって、思いついたのは」。 そして脱サラして漫画を描き、出版社に持ち込み。新人賞に入選して、読み切りを経てついに連載が決定します。 ところが、初連載「酒天☆ドージ」は17週で打ち切り。その後、2本目の連載「ハレルヤ」を始めますが、わずか数週で打ち切りが決定して10週で終了しました。 しかし、三度目の正直で「BOY」は単行本全33巻のヒットに。そうして人気作家の仲間入りを果たした先生が、満を持して送り出した4度目の連載が「無頼男(ブレーメン)」という漫画です。 デストロ――――――イ!!! 梅澤先生も「ブーメラン」と間違えられると嘆いておられましたが、「ブレーメン」のモチーフは「ブレーメンの音楽隊」。と言っても、「ドラゴンボール」に対する「西遊記」程度の元ネタ度ですが。 主人公は、「ロックの神」を目指す4人の若者。彼らが不良と硫酸デスマッチをしたり、アナコンダと戦ったりしながら、スターへの階段を駆け上っていく物語です。 第1話を読んだだけで、主役4人の中に「魁!!男塾」の卍丸を貧弱にしたようなモヒカン君がいる事実にクラクラッときます。 そういえば、超絶打ち切り漫画「ロケットでつきぬけろ!」の単行本にも、「この本はロックだ。そしてこの本を手にした君たちもロックだ」という作者コメントが掲載されていました。 これが少年ジャンプ的に正しい「ロック」という語の使用法らしく、「ブレーメン」でも厚底ブーツはロックだということになっています。 特筆すべきは、作中に登場したスタンガンダンス。女性に四方八方からスタンガンをバチバチ近づけて強制的に踊らせるという、少年誌らしからぬロックなレイプ描写です。 少女が9年間監禁されていた新潟の事件の「スタンガンの刑」も連想させ、なにげにやばいと思います。 また、主人公バンドのマネージャーは元アイドルの巨乳姉ちゃん。 何かあるたびに拉致られたり乳もまれたりレイプされそうになったりしており、特にパンツずり下げられて宙吊りにされたのはロックでした。 そうして、たとえ偏差値75のお坊ちゃん学校が舞台になろうと、不良学生が女教師を襲っているこの漫画。 ロックとケンカとレイプが延々とループする基本フォーマットは前作「BOY」とほとんど変わらず、水戸黄門のように安心して読めました。 デストロ――――――イ!!! そして、連載の終盤。主人公バンドに対抗する、最強のライバルバンドが登場しました。名前はサイクロプス。 観客を含めて全員片目をふさいでいるというロックなこだわりを持ったバンドですが、とりわけそのロックな歌詞は、日本中のファンを違う意味で熱狂させました。
ちなみに、主人公バンドのボーカルはすべてバーコードで表現され、歌詞は分かりません。 作中の台詞では「家出した不良(クソガキ)が本当の”自由”をつかむまでの闘争(たたかい)の楽曲(うた)」と解説されていましたが、曲名は「KILL YOU」だったりします。 ともあれ、そんな「ブレーメン」は82週で打ち切り。 クライマックスは人類の命運がかかった悪の組織とのバトルになる方向で話が進んでいたのですが、打ち切りの都合で悪の組織は勝手に壊滅していたことにされてしまいます。 1人だけ残った組織の残党との対決シーンでは、主人公は撃たれた銃弾を10円玉で弾き返して勝利しました。 そうして最後は宇宙に飛び立ち、スペースシャトルの中でロックしている場面で連載は終了。 そのラストページには「EDITOR」「Special Thanks」といったクレジットが入っているのですが、そこに「STUFF」という文字があります。 どうやら「STAFF」のスペルミスのようです。 しかし、「STUFF」を辞書で調べると「駄作」という意味があります。なるほど、こんなところでさりげなく自己批判を行なうとは、さすが梅澤先生はロックです。 ネットアイドルちゆは梅澤春人先生を応援しています。 |
平成13年9月29日 | エニックスお家騒動 | |
最後通牒さんが詳しく取り上げておられますので激しく今さらですが、エニックスの漫画出版関係が面白くなっています。 現在、エニックスが出している漫画雑誌は4誌です。 「少年ガンガン」…日本一のオタク向け同人漫画誌 「ガンガンWING」…高年齢層寄り(たぶん)のガンガン 「Gファンタジー」…女性層寄り(たぶん)のガンガン 「ステンシル」…何をトチ狂ったか創刊された少女漫画誌 この他、5年ほど頑張って廃刊になった「ギャグ王」、わずか2ヶ月半で廃刊になったエニックス初のヤング誌「コミックバウンド」などもありました。 それでは、今月号の「ガンガンWING」をチェックしてみましょう。 ●「陽炎ノスタルジア」 なぜかペン入れ前の下書きを掲載(「H×H」がよくやってるアレです)。登場人物の1人が死亡。「水…貴…あとを…頼みます」。第一部・完。 ●「ジンキ」 敵を追っ払い、主人公の独白。「ただ、これだけははっきりしています。まだ…すべてが終わっていないということを…。これから起きる何かが…すべての始まりだということを!」。第一部・完。 ●「ワールドエンド・フェアリーテイル」 「このままじゃ終われない。ケリはきちんとつけねーと」「…分かったわ。では行きましょう。…この学園にかけられた、呪いを解くために」。彌勒編・完。 ●「パンゲア」 主人公、仲間と再会。敵が「また会おう」と言って去っていく。謎の人物、登場。セリフ「お目覚めかね」。第2部にご期待ください。 そう、4作品同時途中打ち切りです。ちなみに、打ち切られた各先生の巻末コメントは…。
浅野先生がやばいです。 ともあれ、実は先々月号でも「悪魔狩り」と「ひなぎく見参!」が、先月号でも「タクティクスオウガ」が、同じようにジャンプの10週漫画よろしく中途半端に打ち切られています。 さらに円満終了(?)した作品も多数あり、ここ4ヶ月で終了した漫画の数は12本。…ちなみに「ガンガンWING」の連載本数は常時14本くらいです。 問題は、「それを読むために雑誌を買う人も多い」ようなエース級の漫画が大量に打ち切られた点です。そのことで、「ガンガンWING」はひどく魅力のない雑誌になってしまいました。 「少年ジャンプ」にたとえると、「H×H」「ヒカルの碁」「ワンピース」「遊戯王」「シャーマンキング」「テニスの王子様」「こち亀」「ナルト」「ボーボボ」「ジョジョ」がいきなり全部打ち切られたようなものです。 この惨状にMOON PHASEさんも、「今月号の『ガンガンWING』! 何がどうなってるんだよ、これ」とコメントしておられます。 しかし、話はこれだけでは終わりません。その数日後に発売されたエニックスの少女漫画誌「ステンシル」でも、人気連載が3つほど唐突に打ち切られていました。 2chの噂などによると、元編集長が漫画家を引き連れてエニックスを離反。新会社を立ち上げ新雑誌を創刊するからだそうです。 ともあれ、今月の「ガンガンWING」は第一部完の嵐だけでも見る価値があると思います。 ネットアイドルちゆは、残った「まほらば」の小島あきら先生を応援しています。 |
平成13年11月14日 | タカラがベイブレードで大儲け |
ちゆの近所のマクドナルドに、ハキハキ元気でいつも笑顔の明るい店員のお姉さんがいます。ところが最近、そのお姉さんが急に鬱になってしまい、全身から自殺しますオーラを発しながら顔面神経痛みたいな営業スマイルをしてくれます。 いったい何が起こったら人間はあれほど変わってしまえるのでしょうか。本気で恐いので早くクビにしてください店長さん。 それはともかく、今日のニュースです。 先ごろ発表された中間決算によると、おもちゃ会社タカラの売上高が昨年の1.6倍になったそうです。その原動力はベイブレード。昔なつかしいベーゴマが今風に進化したという触れ込みの玩具です。 ヨーヨーに対するハイパーヨーヨー、ファーストガンダムに対するGガンダムのような位置付けでしょうか。 そういえば、昨年は「遊戯王」一色だった夜店のくじ引きや碁石投げの景品も、今年の夏祭りからは見事にベイブレードに入れ替わっていました。 ヤクザ屋さんも子どもたちの流行に敏感です。 ただ、ベイブレードの人気は大きなお友達にはピンと来ないらしく、先日もネット上で、「ベイブレード・アニメ打ち切り」のデマが流れました。 この時期にベイブレードが終わるなんて、マジュニアを倒したところで「ドラゴンボール」が終わるのと同じくらい有り得ない話なのですが…。 そうそう。sawadaspecial.comさんも紹介しておられましたが、「小学三年生」「小学四年生」で連載されているベイブレードの販促漫画を、なぜか黒岩よしひろ先生が描いておられます。 黒岩先生は、「週刊少年ジャンプ」で「サスケ忍伝」「魔神竜バリオン」「変幻戦忍アスカ」「不思議ハンター」という4本の漫画を連載。 その全てを速攻で打ち切られて、作者自身は「月刊少年ジャンプ」に左遷されるという伝説を作った漫画家さんです。 ちなみに各連載の期間は10週・11週・17週・17週。4作品合わせてようやく連載1周年という芸術的な短さです。 打ち切られた本数では次原取締役に及びませんが、いかにも話の途中だぜ!という中途半端この上ない最終回、消化し切れなかった伏線の異常な分量、打ち切られた後の未練がましい作者コメントなど、「打ち切り王」と呼ばれるに相応しい御仁だと思います。 なお、「月刊少年ジャンプ」に左遷された後、何かの間違いで「鬼神童子ZENKI」がヒット。このまま人気作家になってしまうのかとファンを心配させましたが、その後は無事に打ち切り作家に逆戻りしました。 そうして「月刊」でも2本ほど快調に打ち切られたところで、突然「小学四年生」に「メイクミラクル 松井秀喜物語」を掲載。 読者が困惑しているところに、続けてオタク化が進む秋田書店の「月刊少年チャンピオン」に読み切りを描いたかと思ったら、今回のベイブレードの連載です。 先生はとうとう集英社に見限られてしまったのでしょうか。 なお、「小学三年生」と「小学四年生」では登場人物や展開が微妙に違う黒岩ベイブレード漫画が掲載されています。パンチラが出てくるのは「小学三年生」の方ですので、間違って購入されないようご注意ください。 ネットアイドルちゆは黒岩よしひろ先生を応援しています。 |
平成13年12月1日 | バンチで原哲夫先生インタビュー | |||||
「週刊コミックバンチ」に、有名漫画家さんにインタビューするコーナーがあります。 何だかつまらなそうな企画に聞こえますが、インタビューされる先生の多くは「週刊少年ジャンプ」出身。初連載を10週で打ち切られた時の気持ちなど、興味深いお話が飛び出します。 たとえば、「ボーイ」「ブレーメン」の梅澤春人先生が、初連載「酒呑☆ドージ」を17週で打ち切られた時の心境は…。
あるいは、「スラムダンク」「バガボンド」の井上雄彦先生が、初連載「カメレオン・ジェイル」を12週で打ち切られた際は…。
さて。そんなコーナーに、今週号では「北斗の拳」「花の慶次」の原哲夫先生が登場。初連載「鉄のドンキホーテ」を10週で打ち切られた時の気持ちを語ってくださいました。
原先生、落ち込みながらも過去の事例に照らし合わせて分析したりして格好いいです。 ちなみに、この説に従うと、最近「I'm A Faker!」を11週で打ち切られて「最初の作品がすぐに打ち切りになった作家さん」の仲間入りを果たしたやまもとかずや先生は、二度と「ジャンプ」に戻って来れない可能性が高いことになります。 また、この打ち切り話の中で原先生は、次のような貴重な証言もしてくださいました。
新人の人生は3週で決まるという噂は、本当だった模様です。 「新ゴーマニズム宣言」での小林よしのり先生の証言も踏まえて妄想すると、「ジャンプ」で新人が打ち切られるまでの流れは次のような感じになります。 (1)持ち込みや新人賞で認められ、担当がつく (2)突然編集長が自宅を訪れ、「連載するよ」と言う (3)専属契約料(20万〜50万円?)をもらう (4)3週で打ち切りが決定、無職になる (5)専属契約料のため1年間は他誌でも書けず、集英社で飼い殺し この「10週試してダメならポイ」の読者アンケート至上主義システムが、バブル期の「ジャンプ」の発行部数600万部を支えました。 ともあれ、そうして打ち切りが決定した後も、次回作のアイデアを与えるなど、担当さんが原先生を元気づけてくれたそうです。
そうして立ち直った原先生は、1年後に「北斗の拳」を連載開始。大ヒットを飛ばすことになります。 そして、インタビューでは触れられていませんが、たぶんこの時の先生の担当が堀江信彦さん。後に集英社にホサれ、独立して会社を作って「コミックバンチ」の編集長になる人物です。 その「バンチ」に1000万円を出資し、みずからも「蒼天の拳」を連載する原先生。もしかしたら、若かりし頃の恩を返そうという想いなのかも知れません。 …という感じで締めるとちょっといい話なので、堀江編集長に関するどす黒い噂には触れないことにして。 ネットアイドルちゆは原哲夫先生を応援しています。 |
平成13年12月13日 | 「バンチ」打ち切り第一号は韓国漫画 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
週刊少年ジャンプの元・編集長と元・人気漫画家が「コミックバンチ」を創刊して、7ヶ月。 「連載を10週で打ち切るような真似はせず、最低でも半年は続けさせる」との方針でしたが、ついに初の打ち切り漫画が出ました。 その記念すべき作品の名は、「熱血江湖」。 日韓漫画友好宣言の名の下に、「大韓民国がこの作品に熱狂」「韓国の史上最高部数を更新中」という触れ込みで輸入された韓国漫画です。 連載開始1ヶ月の時点で危ないとは思っていたのですが、しっかりジャスト半年で打ち切られました。 「熱血江湖」の歩み
…じわじわ掲載頻度を減らされていった末の計画的打ち切り。「つづきの単行本」とやらも、本当に出るのでしょうか。 かつて朝日新聞にサッカーW杯の共同開催に向けて、日韓の大衆文化の交流が深まっている例として紹介されたことも、いい笑い話になってしまいました。 まあ、そんな終わった韓国漫画など早く忘れることにしましょう。 それより気になるのは、月イチ連載「せんせい」を終えて、春から新連載を始められるという岸大武郎先生です。 岸先生は10数年前、「週刊少年ジャンプ」で「恐竜大紀行」と「てんぎゃん」を連載。どちらも12週で打ち切られました。 しかし、それらは駄作だったわけではなく、「ジャンプでなかったら」「少年誌でなかったら」という声も多数あります。 屋根裏さんに「不遇の天才漫画家」と評されている程で、何だか死後に評価されそうなタイプにも見えますが、新連載に期待したいところです。 さて。 そんなこんなの「バンチ」で現在最も注目されているのは、「ガウガウわー太」の新キャラ・委員長です。 彼女が登場したとたん、2chの「ガウガウわー太」スレッドは狂ったように盛り上がりました。
ちなみに話題の委員長は、次のようなキャラ。
一時は作家と編集者の不和から打ち切り候補の最右翼と思われた「ガウガウわー太」ですが、どうやら最初の危機も乗り越え、いま新たな萌えファンを増殖させています。 果たして「バンチ」初の打ち切り日本漫画は、何になるのでしょうか。 一度として肯定的な評価を聞いたことがない「ハードボイルドRAN」か、ジャンプで6回も打ち切られた伝説を持つ次原取締役の「251」か…。 ネットアイドルちゆは「コミックバンチ」を応援しています。 |
平成13年12月20日 | オタク向け情報誌「バグナード」創刊 | |||
「バグナード」という雑誌が創刊されました。 コンセプトは「ネットで話題のニュースを追うオタ系情報誌」だそうで、以下のような記事が載っています。 ●奇形萌え漫画「エイケン」の作者・松山せいじ先生インタビュー ●「やっちゅ〜 げっちゅ〜」の馬鹿ソングで知られるヨゴレ声優・長崎みなみさんの人生相談 ●あらゆる美少女雑誌の投稿欄に出没する投稿イラストの鬼才・三峯徹さんインタビュー ●ゴルゴ吉野屋で有名なポエ山さんのフラッシュ講座 ●声優を夢見るロシア人少女・Itsukiちゃんからの祝辞 けっこう面白そうなネタが並び、最後通牒さんも「創刊号でこれだけ飛ばすと2号目以降で息切れするんじゃないか」と言っておられました。 まあ、この雑誌は創刊号が売れなかったら2号目は出ない“お試し創刊”で、最初から明日を捨てた男・ジャックハンマー状態で作られているのですが。 ともあれ、それが数日前に発売されたので、読んでみました。 …えっと、ちゆのコスプレ写真(実写)を表紙に使って頂いたりであまり悪口は書きたくないのですが、1chに関する記事でいきなり読者にケンカを売っているのはどうかと思いました。 地蔵さんに抗議されたり、Lちゃんのところで「厨丸出し文章」「薄い取材と裏取りの無さ」と書かれたり…。これだけで2号目が遠くなった気がします。 あと、「エイケン」の作者・松山せいじ先生のインタビューも少し期待はずれでした。 「エイケン」は、作者自身はまっとうな萌えを目指しながら、やばい感じにバランスの狂った女体やバスト111cmの小学生によって、あらぬ具合に読者に受けてしまった漫画。 私たちが一番知りたかった、その目的と結果の不一致に関する先生の認識について、ほとんど突っ込まれなかったのが残念です。 ところで、表紙のちゆコスプレ写真(実写)は、元々リアル12歳の子にコスプレして頂くという企画でした。 しかし、12歳だけに撮影も母親同伴。ブルマやスクール水着を着せられないということで、結局、モデルさんは14歳の方に落ち着きました。 表紙のほか、巻頭に3ページほどおねんねちゆちゃん・スクール水着ちゆちゃん・ブルマーちゆちゃんなどを模したカラーグラビアを載せて頂きました。 「野望の王国」を読んでいたり、部屋にキバヤシの写真が飾ってあったり、細かいネタがいい感じです。 ネットでの評判は、だいたい次のような感じでした。 えんにゅ〜すさん「3次元ちゆさんのパンツ拝めた」 Tentative Name.さん「へそ出しブルマな実写ちゆはやや反則気味」 kawakawa-19 旬さん「ていうか誰? アレちゆちゃんと言っていいのか?」 某氏「なんかブ●●クなような気が…」 ……。 さて。そんな「バグナード」に、「週刊少年ジャンプ打ち切り漫画ベスト10」というコラムを書かせて頂きました。 ちゆが好きな打ち切り漫画を適当に10コ挙げたのですが、そこに書き切れなかった大傑作がありますので、少しそれについてフォローさせて頂こうと思います。 その名は「男坂」。週刊少年ジャンプ昭和59年40号〜昭和60年12号、全22週の連載でした。 作者は車田正美先生。「聖闘士星矢」を描かれる前ですが、「風魔の小次郎」「リングにかけろ」などの成功で、当時すでに人気作家になっておられます。 そして、この漫画に車田先生は、並々ならぬ情熱をかけておられました。単行本第1巻の帯には、次のようにあります。
「ガキの頃からかきたかった」というだけあって、この作品はものすごい壮大な構想の下に書かれています。 「ドラゴンボール」に例えるならば、第1話からいつか戦う宿命の敵としてフリーザとの因縁話が登場。 桃白白・天津飯・ピッコロ・ベジータ・人造人間・セル・魔人ブウといった強敵たちに関しても、最初のボール集めの段階で全員に伏線が張られるような感じです。 そして、そこまで大量の伏線をバリバリに張り巡らせておきながら、最初の天下一武闘会の時点で打ち切り。そんな悲劇の物語が「男坂」です。 結局、顔見せだけで出番が終わった強敵たちや宿命のライバルは立場なし。なまじ人気作家であるばかりに、恥ずかしさも100万倍でした。 単行本第3巻(最終巻)の帯には、次のようにあります。
ちなみに、最終回のラストカットは次の見開きでした。 「オレはようやく、のぼりはじめたばかりだからな。この、はてしなく遠い男坂をよ…」。 そして左下に輝く「未完」の文字。打ち切りの悲痛と無念が、ひしひしと伝わってきます。 そんなこんなで、「キン肉マンII世」「暁!!男塾」「蒼天の拳」など、続編漫画ブームの昨今。 車田先生も「リングにかけろ2」なんかさっさと打ち切られて、「バンチ」あたりで「男坂2」を描いて欲しいです。 ネットアイドルちゆは車田正美先生を応援しています。 |
平成14年1月18日 | バンチ、池沢&にわの打ち切り | ||
「週刊少年ジャンプ」元編集長が作った雑誌、「コミックバンチ」。 その新年号の表紙は、連載漫画の主人公がガッツポーズで全員集合という、80年代の「少年ジャンプ」そのままのノリでした。 しかし、笑顔で右手を突き上げている主人公のうち、2人は次号で打ち切られる運命だったのです。
そんなわけで、2つの連載が打ち切られました。 にわのまこと先生の「ターキージャンキー」 池沢さとし先生の「痛快!!マイホーム」 「痛快!!マイホーム」に関しては、連載開始時にちゆニュースでもご紹介しました。あらぬ方向性で異次元の面白さをかもし出しており、ちゆも毎週楽しみにしていたので残念です。 韓国漫画を除けば初の打ち切り、加えて巨匠でも容赦なく切り捨てたということで、いよいよ「ジャンプ」らしくなってきました。 日経B20の記事によると、「バンチ」は創刊号で70万部を超えたものの、現在は40万部前後で安定。 編集サイドでは、伸び悩む原因を連載作品の固定によるマンネリ化と見ているそうです。 そこで年末、2つの新連載を開始。入れかわりに「読者投票で人気の低い2作品を打ち切ることにした」とのこと。 つまり、「痛快!!マイホーム」などは、作者の都合や新しい企画のためではなく、純粋なアンケートの不人気による打ち切りだったようです。 ついでに、以前から述べていた「10週で打ち切ったりせず、最低でも半年は連載させる」という方針も変更。今後は最短4ヶ月で切ることになったそうです。 この調子でジャンプ化が進めば、「バンチ」で10週打ち切りが見られる日も遠くないかも知れません。 さて。 現在の「バンチ」で注目の漫画と聞かれれば、「男たちの好日」を挙げたいと思います。またの名を「かじめ焼き」と呼ばれる、バンチ屈指の超ド級漫画です。 以下、ご存知ない方のために、延々と「男たちの好日」について紹介させて頂きます。 ネタバレ多数で画像も多いため、別ページに分けてみました。こんな文章ではなくちゃんと漫画で「かじめ焼き」を初体験したいという方は、読まれないようお願いします。 続き(ネタバレOKの方だけ) ネットアイドルちゆは「屈辱er大河原上」も応援しています。 |
平成14年2月19日 | 「ライパク」2度目の打ち切り |
人気がなければ10週で切られ、人気があれば宇宙に行ったり超サイヤ人になったりして延々と続く…。 映画や小説と違って、連載漫画の多くは作者自身が終了時期を決められません。 とんでもない長期連載を想定して伏線をビシバシ張りまくりながら、「さあ行こう!」で終わったり、長期連載に嫌気がさした漫画家が夜逃げしたり、秋田書店の安い原稿料にキレた作家が小学館に引き抜かれたり…。 そうしたハラハラドキドキなスリリングさも、漫画を読む醍醐味の1つです。 さて、アンケート至上主義で、人気がなければ情け容赦なく打ち切る「週刊少年ジャンプ」。 ところが、ごく稀に、一度打ち切られてもゾンビのように蘇る漫画があります。 たとえば、梅澤春人先生の「HARELUYA」。 わずか数週間で打ち切りが決定したのに、連載末期に人気が上昇。キャラクター設定の一部など引き継いだ新作「HARELUYA II BOY」として復活し、読者がうんざりするほど延々と続きました。 似たような例では、いったん10週で終了した後で「第2部」として再開した「アウターゾーン」も有名です。 こちらは、タモリが色っぽいお姉さんになった「世にも奇妙な物語」のような漫画で、透明人間になって女子更衣室を覗いたり、超能力で服を脱がせたり、 ただし、「アウターゾーン」の場合は最初から10週だけの短期集中連載の予定だったそうで、“打ち切りからの復活”とは少し違うみたいです。 さて、今日の話題は鈴木央先生の「ライジングインパクト」。開始数週で打ち切りが決定してから人気が急上昇し、数ヵ月後に連載が再開された漫画です。 「HARELUYA」は設定を焼き直した“似ているけど別の漫画”として復活しましたが、「ライジングインパクト」は打ち切られた話の完全な続編。 「アウターゾーン」のような短期連載からの昇格とも違って、「ジャンプ」30年の歴史で唯一の打ち切りからの完全復活です。 しかし、そんな奇跡の復活劇を遂げた「ライジングインパクト」も、結局、今週号で2回目の打ち切り。 しかも、ものすごく中途半端なところで唐突にエンディングを迎え、改めてジャンプ編集部の鬼っぷりを見せつけられた気分です。 1回目の打ち切りは物語の序盤で、「面白そうになってきたところで終わった」という印象でしたが、今度は2年以上連載が続いてから。後味の悪さは前回の比ではありません。 そういえば、「電撃大王」の人気4コマ漫画「あずまんが大王」は、当初の予定通りに高校3年間を描いて、卒業と同時に最終回を迎えるそうです。 4月からテレビアニメも始まり、人気絶頂のところでの終了。出版社としても入るハズのお金が入らなくなりそうで、よく認められたものだと思います。 ともあれ、「ライジングインパクト」にはそんな幸せは訪れなかったようです。打ち切りの女神様にでも好かれているのでしょうか。1度目の時とは編集長も違いますし、2回目の復活はないと思います。 でも、天才主人公のインフレ成長ぶりに置いていかれる凡人ヤムチャの心境にスポットを当てるなど、ジャンプ作家陣では希少な「感情を描写できる」漫画家さん。次回作が楽しみです。 ネットアイドルちゆは鈴木央先生を応援しています。 |
平成14年8月14日 | 「スパイラル」がアニメ化 | |
昨年8月のニュースで、「少年ジャンプ」連載の漫画・「魔術師2(マジシャン・スクウェア)」について触れました。 マジシャンを目指す2人の やはり「少年ジャンプ」でマジック漫画をするなら、「魁!!男塾」の男爵ディーノみたいなキャラを主人公にしたマジシャン暗黒武術会でもやった方がいいのかも知れません。 ちなみに、普通、漫画の打ち切り情報は雑誌の発売日まで分かりませんが、この時、監修の北見マキさんのホームページには打ち切り数週間前の段階で次の告知が掲載されていました。
自分の漫画のタイトルを間違えているのは単なるケアレスミスでしょうが、しばらくすると、なぜかこの告知はホームページから消されてしまいます。 そして、その後の更新で、「残念ながら休載となりました(大きい声では云えませんが、詳しい内容は集英社から口止めされています)」と書かれていたのがちょっぴりアレでした。 ところで、マジックをネタにした漫画と言えば、「少年ガンガン」に「マジック・マスター」という漫画が連載しています。 こちらは、マジシャンを目指して勉強する子供たちが、先生に教わったり発表会をしたりしながら、「超能力を研究している科学者の所に超能力者のフリをして潜り込め!」「手品を利用して信者を集める新興宗教に乗り込んでトリックを暴け!」といった漫画的なミッションを地味に淡々とこなすお話です。 さて、その種の「企画っぽい漫画」として、ミステリ漫画があります。 「金田一少年の事件簿」のヒット以降、「少年ジャンプ」も2匹めのドジョウを狙い、多くのミステリ漫画を企画しました。 しかし、「人形草紙あやつり左近」は30週、「心理捜査官草薙葵」は23週、「少年探偵Q」は15週、「ぼくは少年探偵ダン!!」は19週と、いずれも短命で打ち切られています。 一方、「少年ガンガン」も、同じように「スパイラル〜推理の絆〜」というミステリ漫画を連載させました。 微妙なミステリ作家の城平京先生がストーリーを担当、同人テイスト全開の水野英多先生が作画を担当ということで、無理に例えると「ラブひな」の絵でストーリーは「金田一少年」という感じの混ぜちゃいけない洗剤を混ぜちゃったような第一印象を受けました。 連載開始当初は、学園で殺人事件に巻き込まれた天才少年の主人公が数名の犯人候補からズバリ真相を言い当てるエピソードが続きます。 しかし、そういった「犯人当て」から、段々と「敵と推理力で対決する漫画」に路線変更。限定されたルール内での知略戦という意味では、「金田一少年」よりも「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンドバトルに近いかも知れません(注:本当に「ジョジョ」のつもりで読むと「だまされた!」と思うこと間違い無しです。全然違います)。 主人公も、最初は「謎はすべて解けた」の要領で「これが真実の旋律か…」などと言っていましたが、話が進むにつれて鬱になっていきます。 自分のことを「無能で無力で自分を信じられない臆病な負け犬だ」と思っている主人公を、いかに立ち直らせて事件に向かわせるかに敵も味方も一所懸命です。 最近の連載では、学校内でサブマシンガンを乱射する美少年が、めった刺し殺人犯のヘタレ眼鏡・陸上の天才のお姉さん・爆弾作りが趣味の爆裂ロリータさんのズッコケ3人組と銃撃戦をしています。 ……ちょっぴりバトル・ロワイアル入ってますが、その間、主人公はサブマシンガン美少年に人質にされて囚われのお姫様のように事態を傍観しているだけ。最後は女の子に励まされてやる気の出た主人公が推理でサブマシンガンに勝つような展開になるのかも知れませんが。 そんなこんなで従来のミステリ漫画の概念からは少々逸脱していますが、原作者によると「ハートはミステリ」だそうです。 その奇形ミステリ漫画が、10月からテレビアニメになります。正直あまり期待していませんが、ネットアイドルちゆは「スパイラル」を応援しています。 |
平成17年3月12日 | COOLドライブ | |||||||||||||
昔、少年ジャンプに「COOL」という漫画が連載していました。そのウリは、とにかく主人公がCOOLなことです。 まず、主人公の名前が「クールさん」なのがCOOL。それから、主人公のうずまき状のアホ毛が付いた髪型もCOOL。あと、主人公が肉声で喋らずにラジカセを使って会話するのもCOOLです。 ついでに、主人公のお友だちも、暴走するトラックをパンチ一発で止めてしまうCOOLな奴でした。 そして、最大の見せ場は、COOLな主人公が「COOL」「COOL」「COOL」「COOL」と叫びながらバイクをカッ飛ばす場面。
……この漫画は18週で打ち切られました。 さて、その作者・許斐剛先生の次回作が「テニスの王子様」。 COOLな中学生たちがCOOLなテニスを繰り広げる超COOLな漫画で、何の因果か大ヒットしました。 特に、最近登場した沖縄の中学生たちのCOOLさは只事ではありません。 倒した相手チームの選手に応援団が「負け犬」コールの大合唱を浴びせたり、相手チームの監督にアドバイスさせないためにスマッシュで監督を狙い撃ちにして病院送りにしたり、「かってんぐゎー」「んかいんじらりーん」などの方言が多すぎて何を喋っているのか理解不能だったり、「沖縄は日本じゃねえ」と言わんばかりの危険表現の連発です。 そんな「テニスの王子様」では、テニスを超越した変態的にCOOLな必殺技の数々が登場。表向きはスポーツでもハートは格闘技です。
……別にパクリとかそういう話ではなくて、技のネーミングその他がバトル漫画と平気でカブるのがCOOLだなと。 あと、桃城先輩は「修羅の門」で言うと飛田さんのポジションということで、主人公が世界に進出した時には解説席に座っているに違いありません。
……こちらは刀をラケットにかえただけでまんま牙突に見えますが、たぶん何らかのCOOLなギャグなのだと思います。 そんな感じで、ボールが消えたり増えたり光ったりは当たり前の世界観。 主人公の特技はスーパーサイヤ人化で、「土煙を巻きあげながら全身を発光させてパワーアップする」という謎の現象ですが、作中人物たちは「試合中に無我の境地に至った」という説明だけで納得していました。かってんぐゎー。 そして、主人公はこう言います。「このままではアイツには勝てない」「なら――COOLドライブ…アレを完成させてやる!」 ……COOLドライブて! やっぱり「COOL」「COOL」「COOL」「COOL」絶叫しながらテニスボールをカッ飛ばすのでしょうか。 しかし、大ゴマや見開きが異様に多い「テニスの王子様」は、ジャンプで最も そのため、非常に そして1年後。ようやく登場した「COOLドライブ」は、ボールがバウンドせずに地面を転がっていくだけというものでした。 ……この漫画に単行本4巻から登場している技と大して変わらない動きで、「テニス」ワールドでは平凡な部類。正直ガッカリしました。 ところが、数週間前のジャンプで、そんなCOOLドライブの新たな効果が発現しました。 今回の敵は、連載6年目にして初めて登場したデブキャラ(通称「テニスのハート様」)。前の相手がカスることもできなかったCOOLドライブを、見事ラケットに当ててみせます。 すると、ボールがラケットから腕へと転がっていってそのまま顔面を直撃! COOLドライブの正体は、「アストロ球団」の殺人L字投法と同じ原理で、対戦相手の殺害を目的とした技だったのです。
まあ、殺人L字投法のテニスへの応用は20年前の10週打ち切り漫画「ジャストACE」でもやっていたことですけど。 ところで、「テニスの王子様」の劇場版では、テニスをしながら宇宙に行ったり恐竜が出てきたり空を飛んだりといった怪現象を、高いクオリティでド派手に描写してくれました。 しかし、そのバカ演出の方向性自体はむしろ伝統的なもので、たとえば「爆転シュート ベイブレード」だって、ベイブレードをしながら宇宙に行ったり恐竜が出てきたり空を飛んだりします。 そういう意味で、劇場版は「他のスタッフでも作れるもの」です。しかし、原作漫画は、もっとあらぬ方向にトンがった感性が爆裂しており、作者本人以外には絶対に真似できないシロモノです。 以前のちゆニュースで、「テニスの王子様」をギャグ漫画と括りましたが、より厳密に言えば、ギャグ漫画のような楽しみ方もできるCOOL漫画という新ジャンルなのだと思います。 ですから本当は、「アストロ球団」などの過去の文脈と結びつけて考えるのも無理があって、私たちにできるのは、いったい次にどんなCOOLが提供されるのか呆然と見守ることだけだと思います。 ただ、個人的には、連載終了までに1度くらいテニスコートで人が死ぬところが見たいです。 ネットアイドルちゆは「テニスの王子様」を応援しています。 ※オマケ→ベイブレードで宇宙に行ったり恐竜が出てきたり空を飛んだりについて |