昔のちゆニュース
平成13年04月18日:いま、北斗神拳がよみがえる! 平成13年04月28日:こせきこうじ、にわのまこともバンチに 平成13年05月15日:コミックバンチ創刊号が発売 平成13年07月03日:韓国漫画「熱血江湖」早くもピンチ? 平成13年08月08日:池沢さとし先生、コミックバンチに降臨 平成13年09月03日:バンチコミックス、まもなく登場 平成13年12月01日:バンチで原哲夫先生インタビュー 平成13年12月13日:「バンチ」打ち切り第一号は韓国漫画 平成14年01月18日:バンチ、池沢&にわの打ち切り 平成14年04月19日:賞金総額1億円の漫画賞 |
平成13年4月18日 | いま、北斗神拳がよみがえる! |
情報元はCB maniaxさんとsawadaspecial.comさんで、そちらで詳しく取り上げられているのですが、せっかくだからこちらでも紹介させて頂きます。 5月15日に新潮社が新たに創刊する「週刊コミックバンチ」にて、原哲夫先生が連載されます。 その名も、「蒼天の拳」。 1930年代の上海の巨大黒社会を舞台に、北斗神拳二千年の歴史上、最も奔放苛烈と呼ばれた男・霞 拳志郎が活躍する物語だそうです。 シチュエーションだけ聞くとジャンプに連載して一瞬で打ち切られた「猛き龍星」みたいですが、監修は武論尊先生です。北斗神拳です。拳志郎です。 「巨匠・原哲夫が自ら『北斗神拳』の封印を解き、渾身の筆致で描き込んでいく待望の感動巨編!! 」とのことで、期待は高まります。 さらに、原哲夫先生の公式ホームページにも、「5月から始まる新連載はかなり気合を入れていますね。すでに1話目と2話目のネームを書き上げているんですが、いい出来になりそうです」という原哲夫先生直々のメッセージが! 霞拳志郎というのも懐かしいネーミングですが、その調子で阿弥婆(あみば)とか油駄(ゆだ)とか邪偽(じゃぎ)とか覇亜闘(はーと)とか出演させて欲しいところです。 ついでに、この調子で「ケンシロウ以外の伝承者」の物語をたくさん描いて頂きたいです。 戦国時代、信長に仕えて天下を動かした北斗神拳二千年の歴史上、最も奇天烈な技を持つ男・拳四郎之助とか。 平安時代、藤原道長に仕えて役小角と戦った北斗神拳二千年の歴史上、最も精力絶倫と呼ばれた男・拳皇子とか。 氷河期に人類史上初めてマンモスを倒した男・ケンシーロとか。 さて。 色々な意味で期待される「蒼天の拳」ですが、「コミックバンチ」の他の連載陣にも注目です。 原哲夫以外にも、北条司、今泉伸ニ、次原隆二の名前が並び、なんだか80年代の少年ジャンプみたいです。 思えば、当時のメンバーで少年誌に残っている方も少なくなってしまいましたが、ここで、この方々の少年ジャンプにおける軌跡を振り返ってみたいと思います。 まずは、次原隆二先生。 ためしに「次原隆二」で幸せ検索してみたところ3件しかヒットしませんでしたが、ジャンプにおける連載本数は上の四人の中でも最多です。それだけ短期集中連載が多いということですね。 「暴走ハンター」(80年)で初連載、次いで「よろしくメカドック」(82年)で早くもヒットを飛ばします。 しかし、メカドックに続く”車もの”として勝負した「ロードランナー」(85年)と「特別交通機動隊SUPER PATROL」(87年)はあっけなく打ち切り。特に後者は第1話は全ページカラーの掲載という、編集部の期待度が高そうなものだったのですが、天晴れな玉砕でした。 時代的にも”車もの”に限界を感じたのか、次はスポーツ漫画に挑戦。 ゴルフを描いた「隼人18番勝負」(89年)、野球漫画「ドン・ボルカン」(91年)と続けて速攻で打ち切られます。特に「隼人」は18番勝負なのに17話で打ち切りという屈辱の結果に終わってしまいました。 その後、少年マガジンもどきの「科学者ドキュメンタリーもの」の絵を描かされたり、いじめをテーマにした漫画「元気やでっ」(95年)の話を作らされたり、編集部主導の企画もので便利屋のようにコキ使われますが、あまりパッとしませんでした。 ご自身で絵を描かれた連載としては、タイトルからして10週打ち切りの予感を漂わせて事実その通りになった「東京犯罪物語―菩薩と不動―」(94年)を最後に、少年ジャンプから姿を消すことになりました。 続いて、今泉伸二先生です。 ためしに「今泉伸二」で幸せ検索してみたところ2件しかヒットしませんでしたが、体操をモチーフにした「空のキャンパス」(86年)、ボクシングを舞台にした「神様はサウスポー」(88年)はそれなりに人気を博しました。 しかし、その後の「チェンジUP!!」(92年)と「暗闇をぶっとばせ!」(94年)はごく短期間で打ち切り、少年ジャンプから姿を消しました。 北条司先生は、今さら説明の必要もありませんが、「CAT'S EYE」(81年)と「CITY HUNTER」(85年)の二大ヒット作を飛ばした大人気作家です。 しかし、ロリコンを狙った「こもれ陽の下で…」(93年)、筋肉女をフィーチャーした「RASH!!」(94年)がいずれも長続きせず、ジャンプ誌上からは姿を消しました。 もちろん、その後も少年ジャンプ以外の場で活躍中なのはご存知の通りです。 最後に、人気・不人気の波が激しい原哲夫先生です。 「鉄のドンキホーテ」(82年)で初連載後、「北斗の拳」(83年)で大ヒット。 その後、圧倒的な期待の中ではじまった「サイバーブルー」(88年)で派手に転びましたが、「花の慶次―雲のかなたに―」(90年)がまたまたヒット。 「影武者 徳川家康」(94年)で局所的な人気を得た後、「猛き龍星」(95年)が瞬速で打ち切られ、週刊からいなくなりました。 …そんな感じのメンバーでおくる「週刊コミックバンチ」。 「北斗の拳」前後の少年ジャンプで育った方には、なかなか楽しめる雑誌になるかも知れません。 そうそう。眠狂四郎の漫画版も要チェックです。 |
平成13年4月28日 | こせきこうじ、にわのまこともバンチに |
4月18日に、新創刊の週刊漫画誌「コミックバンチ」について、「蒼天の拳」を中心に取り上げました。 そのバンチの創刊0号(要するに本屋さんで無料配布のパンフレット)なるものが出ていましたので、一冊もらってきました。 バンチは発売・発行を新潮社、編集をコアミックスが担当しています。 コアミックスの代表取締役は週刊少年ジャンプの前編集長・堀江信彦さん。それに月刊少年ジャンプの前編集長・根岸忠さん、漫画家の原哲夫・北条司・次原隆二が取締役となり、昨年6月に設立された株式会社です。 堀江さんは「北斗の拳」連載時の編集で、北斗神拳のアイデアや「お前はすでに死んでいる」という台詞を考えた人物でもあります。原哲夫先生も「堀江さんがいなければ北斗の拳はなかった」と仰っておられます。 週刊少年ジャンプが伝説の635万部に到達した時に編集長でしたが、社内の派閥争いから2年で更迭。ちなみに後任の編集長は小泉総理に似ているDr.マシリト。 その後は「メンズ・ノンノ」や「BART」の編集長に左遷されていましたが、その「BART」にも休刊通告が出て、ついに 現在の活動を始めたところ、「花の慶次」以来のコネがあった新潮社、堀江氏と仲が良くてすでにジャンプからホサれていた大御所作家などが呼応。現在に至るそうです。 ちなみに資本金は8200万円ですが、堀江さん・原先生・北条先生がそれぞれ1000万、新潮社が2800万の出資。 ジャンプ側は「円満退社ですし、これからもお互いに頑張りましょう」などと広報していますが、内心ハラワタ煮えくりかえっていると思われます。 さて。 コミックバンチの方向性は、一言で申しますと週刊少年ジャンプのアンケート至上主義の対極です。 漫画家任せでとりあえず描かせてたまたま結果が出れば良し、駄目ならポイして「アンタ無職ね」というのがジャンプ流です。そうではなく、ネームのチェックをはじめ、編集者が全力のプロ意識で漫画家をサポート。二人三脚で最高に面白い漫画を作ろうというのがコアミックスのスタイルです。 また、漫画製作の環境作りも充実。堀江さん自ら「連載するときの原稿料はページ2万円以下にはならない」と明言。 アシスタントもコアミックスが集めて漫画家に提供すると至れり尽せりです。 ところで、その生い立ちから必然的に、バンチ連載陣は「元ジャンプ作家」が多くなります。 原哲夫、北条司、次原隆二、今泉伸二については、すでに4月18日に述べた通りです。 それと、「眠狂四郎」の漫画版を描く柳川喜弘先生。 ペンネームが微妙に変わっていたので前回は見落としていましたが、週刊少年ジャンプで「VICE -ヴァイス-」「DIAMOND(ダイヤモンド)」を連載していた柳川よしひろ先生です。 どちらも疾風のように打ち切られた漫画として知られ、黒岩よしひろ先生と並んで「よしひろと名のつく漫画家は10週打ち切り」という伝説を産みました(高橋よしひろ先生などの例外もあります。「甲冑の戦士雅夢」は置いておいて)。 たぶん打ち切り理由は子どもがアンケートにマルをつけなかったからですが、青年誌なら案外いけるかも知れません。 いつもは頭の悪い主人公がウリの方だけに、眠狂四郎をどう描くか注目です。 そして、創刊2号から「山下たろーくん」「やまだたいちの奇跡」のこせきこうじ先生、「THE MOMOTAROH」「リベロの武田」のにわのまこと先生の参入も決定しています。 にわの先生は、格闘ものかスポーツものを描くのでしょうか? ジャンプ時代のリベンジで「ボンバーガール」みたいな漫画をやりたがるかも知れませんが、それは堀江さんが止めるような気がします。 こせき先生がどんな漫画を描くかは、読まなくても分かりますね。 ともあれ、いよいよジャンプを読んで育った子どもが移行する青年誌というコンセプトで固まってきた感じです。 …ということは、「スーパージャンプ」や「オールマン」と真っ向対決になります。 車田正美先生の「リングにかけろ2」、徳弘正也先生の「狂四郎2030」、平松伸二先生の「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルス」、ついでになにわ小吉先生の「くぴっと一杯」。 これに宮下あきら先生の「暁!!男塾」を加えた、集英社のバンチ包囲網。 対するは、年収2000万を捨てて会社づとめに決別し、漫画への熱い夢を語る堀江さん率いるコミックバンチ。 この挑戦が日本漫画界に新たな歴史を刻むのか、壮大な理想論で企画倒れするのか。 堀江氏に賛同したにわのまことやこせきこうじは既に集英社から見限られていたのか。彼らにバンチ以外の執筆の場は残されているのか。徳弘正也は「狂四郎」が終わったらバンチに寝返ったりしないのか。 今後の動向に注目です。 |
平成13年5月15日 | コミックバンチ創刊号が発売 |
「週刊コミックバンチ」の創刊号が、ついに発売されました。 4月18日、4月28日にご紹介した通り、「バンチ」は元・少年ジャンプ編集長が作った新漫画誌。原先生&北条先生も1000万円ほど出資しておられます。 執筆陣は、原哲夫、北条司、次原隆二、今泉伸二、柳川よしひろ、こせきこうじ、にわのまこと。 車田正美、徳弘正也、平松伸二、なにわ小吉、樹崎聖、宮下あきら、本宮ひろ志、江川達也、高橋よしひろ、甲斐谷忍を擁する「スーパージャンプ」&「オールマン」と、夢のジャンプOBオールスター対決となる構えです。 さっそく、表紙からチェック。 「新世紀新人青年誌」というキャッチコピーは嘘つきだと思います。 そして最大のキラーコンテンツは、「蒼天の拳」。ご存知「北斗の拳」のリュウケンの兄・拳志郎が主人公の作品で、もちろん北斗神拳も健在。 「あああ〜 入ってる入ってる入ってるよーっ ゆ 指 指 ゆびィが」 ついでにリュウケンの本名は霞羅門などの情報も判明し、原テイスト全開の仕上がりです。 しかし、フタを開けると原先生よりはるかに話題になっているのが北條司先生の「Angel Heart」。実は、あの名作「CITY HUNTER」の続編でした。「See you again」のメッセージから10年弱、ついにリョウが帰って来たのです。 そんな重大事が事前にまったくアナウンスされなかったのは、続編だと期待して読まれると非常にマズイからでしょう(ネタバレ上等の方だけ、こちらの2chのスレッドを参照してください)。 詳細は書けませんが、「CITY HUNTER」が大好きな人にはとてもオススメできない導入です。ある意味「ふしぎの海のナディア」の劇場版以上のインパクトがあります。 一方、今後の展望を考えて賞金総額一億円の漫画賞も開かれています。創刊号からいきなり新人を大募集している点は本家ジャンプと同じですが、こちらは連載を前提にした募集。 「読み切り完成原稿31〜45ページと、その設定による3話分の連載用絵コンテ(ネーム)」を応募しろとのことで、グランプリ賞金は5000万円。 じっくり育てる新人ではなく、十分な実力を持った即戦力を求めているようです。 ところで、来週号から始まる新連載の概要も発表されました。 にわのまこと先生は、プロレスを舞台にした格闘&ギャグ漫画。 こせきこうじ先生は「現在大無職 再就職活動中 山下たろーくん」。もちろん「県立海空高校野球部員 山下たろーくん」の続編です。「あの史上最高の野球部員が社会人になって帰ってきた!!」……なんだかショックです。 最後に、読者アンケートに注目してみましょう。 質問(4)が購読している他の漫画誌を聞くもの。その選択肢は、次のようになっていました。 「1.モーニング/2.BCスピリッツ/3.ヤングジャンプ/4.ヤングマガジン/5.週刊少年ジャンプ/6.週刊少年マガジン/7.週刊少年サンデー/8.週刊少年チャンピオン/9.漫画ゴラク/10.漫画サンデー/11.週刊漫画Times/12.ビジネスジャンプ/13.オールマン/14.スーパージャンプ/15.ビッグコミックオリジナル/16.BCスペリオール/17.その他」。 最も読者層がバッティングするライバル誌が妙に下の方に配置されていますが、意識していると思われたくないのでしょうか。それでいて最後尾ではないあたりが、また神経を使っているように感じられます。 …などと、勝手な邪推を失礼しました。 なお、萌え要素は皆無ですので、そちらの属性の方は間違って買ってしまわれないよう、ご注意ください。 |
平成13年7月3日 | 韓国漫画「熱血江湖」早くもピンチ? | |||
米国の雑誌「ニューズウィーク」の特集で、圧政に苦しむ国・ワースト10が発表されたそうです。 10位イラク、9位ハイチ、8位アルバニア、7位コンゴ、6位タジキスタン、5位アンゴラ、4位スーダン、3位シエラレオネ、2位アフガニスタン…。 そして栄えある第1位は、もちろん北朝鮮でした。 曰く、「市民が自分たちをハエのように死なせている『偉大な指導者』を崇拝するよう強制されている巨大な収容所」。 そんな北朝鮮と20世紀半ばまで歴史を共にしながら、ほんの少しの緯度の違いでわれらが資本主義陣営の一員となった韓国。 日本同様オタク国家へと発展してきていますが、気色悪い生首と愛し合って地球を救うゲームだの、チョコボールでダイエットして新興宗教な漫画だの、いまだその道では後進国です。 そんな韓国で単行本累計250万部を記録して、超ベストセラーと呼ばれている漫画が「熱血江湖」。 ふたりエッチの単行本が累計1000万部近いことを考えるとそれほどでもなさそうですが、韓国の漫画界では史上最高部数記録を更新中の大ヒット作になります。 少年ジャンプの元編集長と元売れっ子漫画家が作った週刊誌「コミックバンチ」は、これに目をつけました。
こんな盛大なアオリ文句が「コミックバンチ」第4号の表紙を飾り、「熱血江湖」日本語版の連載が始まったのです。
朝日新聞の記事によると、「熱血江湖」の作者・梁先生はソウルに住む31歳。 17歳の頃、海賊版「シティーハンター」を読んで漫画の道に進んだというアレな方で、「作品が日本でどう評価されるか、どきどきしている」 とコメントしておられます。 さて。 ではその「熱血江湖」、日本でどのように評価されているのでしょうか。 てんてんdwpさんは、当サイトの掲示板で次のようにコメントしてくださいました。 「コピー本を作ってコミケにサークル参加応募するも二回に一回は落選するような北条司ファンが何をとち狂ったかサムライスピリッツの影響を受けてオリジナルと称する作品を書いて出版社に持ち込んだら一発で落選して、しょうがないのでオフセット本にしてインターネット上で販売してみました的作品」。 また、電脳御殿さん(70000アクセスおめでとうございます)は、6月5日の日記で「復刊したMSX系雑誌の読者ページに投稿されそうな古臭い絵」と仰られています。 その他、「読む気しません」「絵がヘボい」「内容如何よりも訳の不味さを見せつけられているようだ」などの評価を見かけました。 しかし、ストーリーに関しては、今はアレでも段々と盛り上がってくるのかも知れません。 第5話までを読んだ限りでは回を追うごとにつまらなくなっていく気もしますが、なにしろ少年ジャンプ黄金時代を築いた堀江さんが面白いと認めた作品。きっと、話が進めば凄くなっていくのでしょう。 しかし、ここで異変が起こりました。 連載当初は第1話と第2話を一挙に掲載するなど大々的にプッシュされてきた「熱血江湖」が、今週号から突然、2号に1度しか掲載されない隔週連載に格下げされてしまったのです。 ですが、先週号のどこを見てもそんなことは書いてありませんでした。「次号、伏魔花霊剣を狙う!『陣尚必との死闘!』の巻」などとアオっているだけです。 また、すでに韓国で何年も連載している作品ですので、翻訳さえ間に合えば原稿が落ちることはないはずです。 改めて「コミックバンチ」における「熱血江湖」の歩みを振り返ってみますと…。 第4号:連載開始、一挙2話掲載。カラー有り。 第5号:普通に掲載。 第6号:普通に掲載。 第7号:普通に掲載。予告の扱いが小さくなる。 第8号:唐突に隔週連載化。掲載されず。 いちおう「世に出る機会が少なかった名作をたくさん紹介するため」みたいな変な言い訳をしていますが、それでしたら7号で何の予告もせず8号で唐突に変化するのは妙です。 あまりの評判の悪さに戦慄して、あわててクサいものにフタをしたと考える方が自然なように思いますが、7号と8号の間でいったい編集部に何があったのか気になります。 それにしても、日韓漫画友好宣言とまで叫んだ立場がありません。 教科書問題で対日感情が悪化しているこの時期、韓国で大人気の漫画が日本で不遇な扱いを受けているとか言ってコミックバンチの修正要求でも出されたら思うと愉快すぎて夜も眠れません。 このまま月イチ連載・季刊連載とズルズルランクダウンしていって気がつけば打ち切られているのでしょうか、あるいはそれより早く「コミックバンチ」が休刊してしまうのでしょうか。 ネットアイドルちゆは、とりあえず「ワイルドリーガー」を応援しています。 ≪追記≫ 「熱血江湖」を25巻まで読破されたという知らなくてもいいPCゲームの世界のpusaiさんから、「これからどんどん面白くなってくんですよ!」という熱いメッセージを頂きました。 現在の隔週連載ペースが続くなら、3年ほど待てば面白くなるそうです。 その真偽をこの目で確かめることができるまで、どうか打ち切られませんように。 |
平成13年8月8日 | 池沢さとし先生、コミックバンチに降臨 |
「サーキットの狼」。 昭和50年から4年半ほど、「少年ジャンプ」に連載された人気漫画です。 一匹狼の暴走族がF1レーサーへと成長する青春ロマンで、スーパーカーブームの火付け役になりました。 その中身は、当時の流行だった破天荒な物語。 たとえば、日本中の街道レーサーが集まる暴走族の競演・公道グランプリの展開は、次のようなものでした。 主人公が乗るロータスは2位。しかし、ゴール直前でガケに激突して、さかさまになって屋根で滑り出してしまいます。一方、トップを走るフェラーリのドライバーは持病の結核の発作で車内で絶命。 失速したフェラーリを屋根で滑るロータスが抜き去って、主人公の逆転優勝となりました。 そんな男らしい漫画の作者が、池沢さとし先生です。 岡田斗司夫さんによると、池沢先生の自宅は豪邸。1階が全部コンクリート敷きの駐車場になっていて、趣味で集めたスーパーカーばかり置いてあったそうです。 ただし、車のコレクションはゴルフの会員券に変わって、バブル崩壊とともに紙くず同然になってしまったとのことですが。 さて。 その池沢先生は「サーキットの狼」の後、「週刊プレイボーイ」で活躍。 平成元年から5年ほど連載した「サーキットの狼 II モデナの剣」などでアンケート1位を取り続けて、原稿料は1ページ6万円だったそうです。 しかし、軟派路線に移行していく「プレイボーイ」にダサい作風が合わなくなったのか、いつしか先生の作品は消えてしまいました。 そして昨年、どういう経緯をたどったのか、池沢先生は講談社の「週刊モーニング」に現われます。 その際の2ちゃんねるの反応は、次のようなものでした。 >ここまでどうでもいいと思った漫画は初めてだった >まるで永井豪みたいだ >プレイボーイに戻ってくれ! >大御所たる者、これくらい馬鹿で恥知らずであるべきだ そして、そんな池沢先生が今度は、少年ジャンプでホされた編集者・漫画家が作った漫画誌「コミックバンチ」に移り住んでこられました。 新連載のタイトルは「痛快!!マイホーム」。 同じように2ちゃんねるでの評判を見てみますと、 >すいません。勘弁して下さい。 >なんで俺は金を払ってこんな漫画を読まなければならないんだろう >中卒脳内漫画 >あの原稿を編集はどういう気持ちで受け取ったのかを知りたい >画がむごすぎて読めませんでした >どう考えても池沢さとしは過去の人です。こんな将来性のない年寄り連載させても、将来のバンチのためになんにもならないじゃないですか。 …そこまで言わなくても。 そういえば、隔週連載に格下げされたばかりの韓国漫画「熱血江湖」が、なぜか今週は掲載されませんでした。 休載理由の説明はビタ一文なく、編集部は最初からなかったものとして処理するつもりなのかとさえ危惧されます。 ともあれ、創刊から3ヶ月。最終兵器・池沢先生の投入は伸び悩む発行部数にどう影響するのでしょうか。 ネットアイドルちゆはコミックバンチを応援しています。 |
平成13年9月3日 | バンチコミックス、まもなく登場 |
「週刊コミックバンチ」の創刊から、3ヶ月が過ぎました。 当「ちゆニュース」でも過去に5回ほど取り上げてきましたが、ここで改めて、その歴史を振り返ってみたいと思います。 4月18日「いま、北斗神拳がよみがえる!」 創刊1ヶ月前。「北斗の拳」の姉妹作「蒼天の拳」が連載される予定だと明らかにされて、期待が高まります。 なお、この日の「ちゆニュース」では、「バンチ」連載予定作家陣の「週刊少年ジャンプ」時代の経歴についても記述。 「暴走ハンター」「ロードランナー」「SUPER PATROL」「隼人18番勝負」「ドン・ボルカン」「東京犯罪物語」と6つも打ち切り漫画を連載した次原隆二先生などに関して、ご紹介しました。 4月28日「こせきこうじ、にわのまこともバンチに」 創刊2週間前。連載作家陣の情報が出揃い、 (1)「少年ジャンプ」の絶頂期に編集長を務めた堀江信彦さんが、社内の派閥争いから更迭。「メンズノンノ」などの男性向け月刊誌に移されてしまいます。 (2)そこでも北条先生や次原先生の漫画を連載させる堀江さんですが、もちろん雑誌の売り上げは低迷。堀江さんは面白い漫画誌が作りたい一心で、集英社に辞表を叩きつけて飛び出します。 (3)そこに原先生・北条先生・次原先生が共鳴。それぞれ1000万円くらい出資して取締役になり、「バンチ」を作る会社・コアミックスが誕生しました。 5月15日「コミックバンチ創刊号が発売」 ついに創刊。第1号は72万部を配本して、品切れが続出しました。バンチ編集部は青年誌最高部数だと言い張って、100万部以上のヤンジャンやBCオリジナルの存在は無視。 なお、北条司先生の連載が「シティーハンター」の続編で、しかも前作のヒロインは死んだという設定だったため、一部のファンが激怒。北条先生公式サイトの掲示板に怒り狂った方々が押し寄せました。 7月3日「韓国漫画『熱血江湖』早くもピンチ?」 鳴り物入りで「バンチ」に連載を開始した韓国の超ベストセラー漫画「熱血江湖」でしたが、この週から突然隔週連載に格下げされます。 なお、”埋もれた名作を発掘する”復刻連載の第一弾「公権力横領捜査官・中坊林太郎」は、かつて堀江さんが編集長を務めた男性向け月刊誌「BART3230」に連載されていたもの。 8月8日「池沢さとし先生、コミックバンチに降臨」 往年の大ヒット漫画「サーキットの狼」の作者、池沢さとし先生も「バンチ」に連載開始。そのタイトルは「痛快!マイホーム」。 …色々な意味で対応に困る出来事ですが、いざ読んでみるとなんだか微妙に面白かったり。 さて。 書店員のたわごとさんによると、その「コミックバンチ」に連載している漫画の単行本が、10月9日から刊行されていく予定だそうです。 何が単行本化されるか分かりませんが、ちゆとしては「ワイルドリーガー」「リプレイJ」「男たちの好日」あたりがオススメです。 また、あまり売り上げが期待できそうにない次原”取締役”の漫画「251」、編集部としても扱いに困っていそうな「熱血江湖」など、果たして単行本化されるのか気になるところ。 ともあれ、ネットアイドルちゆは「コミックバンチ」を応援しています。 |
平成13年12月1日 | バンチで原哲夫先生インタビュー | |||||
「週刊コミックバンチ」に、有名漫画家さんにインタビューするコーナーがあります。 何だかつまらなそうな企画に聞こえますが、インタビューされる先生の多くは「週刊少年ジャンプ」出身。初連載を10週で打ち切られた時の気持ちなど、興味深いお話が飛び出します。 たとえば、「ボーイ」「ブレーメン」の梅澤春人先生が、初連載「酒呑☆ドージ」を17週で打ち切られた時の心境は…。
あるいは、「スラムダンク」「バガボンド」の井上雄彦先生が、初連載「カメレオン・ジェイル」を12週で打ち切られた際は…。
さて。そんなコーナーに、今週号では「北斗の拳」「花の慶次」の原哲夫先生が登場。初連載「鉄のドンキホーテ」を10週で打ち切られた時の気持ちを語ってくださいました。
原先生、落ち込みながらも過去の事例に照らし合わせて分析したりして格好いいです。 ちなみに、この説に従うと、最近「I'm A Faker!」を11週で打ち切られて「最初の作品がすぐに打ち切りになった作家さん」の仲間入りを果たしたやまもとかずや先生は、二度と「ジャンプ」に戻って来れない可能性が高いことになります。 また、この打ち切り話の中で原先生は、次のような貴重な証言もしてくださいました。
新人の人生は3週で決まるという噂は、本当だった模様です。 「新ゴーマニズム宣言」での小林よしのり先生の証言も踏まえて妄想すると、「ジャンプ」で新人が打ち切られるまでの流れは次のような感じになります。 (1)持ち込みや新人賞で認められ、担当がつく (2)突然編集長が自宅を訪れ、「連載するよ」と言う (3)専属契約料(20万〜50万円?)をもらう (4)3週で打ち切りが決定、無職になる (5)専属契約料のため1年間は他誌でも書けず、集英社で飼い殺し この「10週試してダメならポイ」の読者アンケート至上主義システムが、バブル期の「ジャンプ」の発行部数600万部を支えました。 ともあれ、そうして打ち切りが決定した後も、次回作のアイデアを与えるなど、担当さんが原先生を元気づけてくれたそうです。
そうして立ち直った原先生は、1年後に「北斗の拳」を連載開始。大ヒットを飛ばすことになります。 そして、インタビューでは触れられていませんが、たぶんこの時の先生の担当が堀江信彦さん。後に集英社にホサれ、独立して会社を作って「コミックバンチ」の編集長になる人物です。 その「バンチ」に1000万円を出資し、みずからも「蒼天の拳」を連載する原先生。もしかしたら、若かりし頃の恩を返そうという想いなのかも知れません。 …という感じで締めるとちょっといい話なので、堀江編集長に関するどす黒い噂には触れないことにして。 ネットアイドルちゆは原哲夫先生を応援しています。 |
平成13年12月13日 | 「バンチ」打ち切り第一号は韓国漫画 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
週刊少年ジャンプの元・編集長と元・人気漫画家が「コミックバンチ」を創刊して、7ヶ月。 「連載を10週で打ち切るような真似はせず、最低でも半年は続けさせる」との方針でしたが、ついに初の打ち切り漫画が出ました。 その記念すべき作品の名は、「熱血江湖」。 日韓漫画友好宣言の名の下に、「大韓民国がこの作品に熱狂」「韓国の史上最高部数を更新中」という触れ込みで輸入された韓国漫画です。 連載開始1ヶ月の時点で危ないとは思っていたのですが、しっかりジャスト半年で打ち切られました。 「熱血江湖」の歩み
…じわじわ掲載頻度を減らされていった末の計画的打ち切り。「つづきの単行本」とやらも、本当に出るのでしょうか。 かつて朝日新聞にサッカーW杯の共同開催に向けて、日韓の大衆文化の交流が深まっている例として紹介されたことも、いい笑い話になってしまいました。 まあ、そんな終わった韓国漫画など早く忘れることにしましょう。 それより気になるのは、月イチ連載「せんせい」を終えて、春から新連載を始められるという岸大武郎先生です。 岸先生は10数年前、「週刊少年ジャンプ」で「恐竜大紀行」と「てんぎゃん」を連載。どちらも12週で打ち切られました。 しかし、それらは駄作だったわけではなく、「ジャンプでなかったら」「少年誌でなかったら」という声も多数あります。 屋根裏さんに「不遇の天才漫画家」と評されている程で、何だか死後に評価されそうなタイプにも見えますが、新連載に期待したいところです。 さて。 そんなこんなの「バンチ」で現在最も注目されているのは、「ガウガウわー太」の新キャラ・委員長です。 彼女が登場したとたん、2chの「ガウガウわー太」スレッドは狂ったように盛り上がりました。
ちなみに話題の委員長は、次のようなキャラ。
一時は作家と編集者の不和から打ち切り候補の最右翼と思われた「ガウガウわー太」ですが、どうやら最初の危機も乗り越え、いま新たな萌えファンを増殖させています。 果たして「バンチ」初の打ち切り日本漫画は、何になるのでしょうか。 一度として肯定的な評価を聞いたことがない「ハードボイルドRAN」か、ジャンプで6回も打ち切られた伝説を持つ次原取締役の「251」か…。 ネットアイドルちゆは「コミックバンチ」を応援しています。 |
平成14年1月18日 | バンチ、池沢&にわの打ち切り | ||
「週刊少年ジャンプ」元編集長が作った雑誌、「コミックバンチ」。 その新年号の表紙は、連載漫画の主人公がガッツポーズで全員集合という、80年代の「少年ジャンプ」そのままのノリでした。 しかし、笑顔で右手を突き上げている主人公のうち、2人は次号で打ち切られる運命だったのです。
そんなわけで、2つの連載が打ち切られました。 にわのまこと先生の「ターキージャンキー」 池沢さとし先生の「痛快!!マイホーム」 「痛快!!マイホーム」に関しては、連載開始時にちゆニュースでもご紹介しました。あらぬ方向性で異次元の面白さをかもし出しており、ちゆも毎週楽しみにしていたので残念です。 韓国漫画を除けば初の打ち切り、加えて巨匠でも容赦なく切り捨てたということで、いよいよ「ジャンプ」らしくなってきました。 日経B20の記事によると、「バンチ」は創刊号で70万部を超えたものの、現在は40万部前後で安定。 編集サイドでは、伸び悩む原因を連載作品の固定によるマンネリ化と見ているそうです。 そこで年末、2つの新連載を開始。入れかわりに「読者投票で人気の低い2作品を打ち切ることにした」とのこと。 つまり、「痛快!!マイホーム」などは、作者の都合や新しい企画のためではなく、純粋なアンケートの不人気による打ち切りだったようです。 ついでに、以前から述べていた「10週で打ち切ったりせず、最低でも半年は連載させる」という方針も変更。今後は最短4ヶ月で切ることになったそうです。 この調子でジャンプ化が進めば、「バンチ」で10週打ち切りが見られる日も遠くないかも知れません。 さて。 現在の「バンチ」で注目の漫画と聞かれれば、「男たちの好日」を挙げたいと思います。またの名を「かじめ焼き」と呼ばれる、バンチ屈指の超ド級漫画です。 以下、ご存知ない方のために、延々と「男たちの好日」について紹介させて頂きます。 ネタバレ多数で画像も多いため、別ページに分けてみました。こんな文章ではなくちゃんと漫画で「かじめ焼き」を初体験したいという方は、読まれないようお願いします。 続き(ネタバレOKの方だけ) ネットアイドルちゆは「屈辱er大河原上」も応援しています。 |
平成14年4月19日 | 賞金総額1億円の漫画賞 |
週刊少年ジャンプの元・編集者が元・人気漫画家を引き連れて創刊した雑誌「コミックバンチ」。 主力は、「北斗の拳」「シティーハンター」といった往年の人気作の再生漫画。漫画の出来とは無関係に単行本数百万冊の売り上げが約束されています。 しかし、編集者の昔のコネだけで漫画家を集めるのは大変です。そこで「バンチ」は、前代未聞の賞金総額1億円の漫画賞を開催しました。 グランプリの賞金は5000万円。週刊少年ジャンプの「手塚賞」「赤塚賞」の賞金は100万円ですから、常軌を逸した賞金額だと言えます。 選考方法も変わっています。全応募作の中から審査員が選んだ10本を「バンチ」に掲載し、読者からの人気投票で最終的なグランプリを決定するのです。 そして、グランプリに輝けば5000万円もらえるだけでなく、1年間の連載が保証されます。成長性のある新人を育てると言うよりは、連載経験を持つような即戦力が欲しいみたいです。 さて、そんな感じの 確かに、連載してもおかしくないレベルの方々が揃っているのですが……。「何年ものアシスタント経験で技術は身に付けているけど、何となくパッとしないというか売れなさそうな人たち」が集まったイメージでしょうか。 とりあえず気になったのは、暴力団の息子の高校生プロ棋士が主人公の漫画「飛将の駒」。 驚くべきことに、主人公の髪型が何の変哲もないハゲ。「北斗の拳」で瞬殺される雑魚というか、頑張っても「男塾」の月光止まりの脇役ヅラです。 また、重要なライバルキャラの名前が鋼鉄・示威愚(ロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」の暴走族的な当て字)の漫画「逃げるな!!!駿平」も注目です。 物語は、体の大きなイジメっ子から逃げ出した経験がコンプレックスになった主人公が少林寺拳法を学び、卑怯者という呪縛から逃れるためにデカい相手に立ち向かうというもの。 そんな主人公の戦法は、金的狙い。後ろに回りこんで金的。正面から金的。とにかく金的。逃げるよりは前向きですが、やっぱり卑怯者です。 その他、せんずりに使ったティッシュの山を見開き2ページで描いた「灰色の街」など、「バンチ」らしい漫画が盛りだくさん。 懲りずに第2回の募集も始まっているようですから、我こそはという方は応募されてみてはいかがでしょうか。他の漫画賞と比べても、賞金が高いだけで応募作のレベルが高いわけではありません。 ネットアイドルちゆは「コミックバンチ」を応援しています。 |