平成20年3月30日 | 「巨人の星」の左門の妹は年をとらない | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
マガジン先週号の「新約 巨人の星」に、左門が初登場しました。 そこで、花形・飛雄馬・左門の「新解釈」を比較してみると……。
……左門だけはほぼ昭和のまま登場。 そういえば、原作者自身が作ったニセモノである「新 巨人の星」でも、
花形と飛雄馬は明らかに別人なのに、左門は据え置きでした。 やはり左門の時代を超えたイケメンっぷりには、手の施しようがないのでしょう。 ところで、そんな左門は5人の弟妹を養っています。 その中でも長女・ちよは比較的しっかり者で、弟たちの世話や家事をしていました。
「新約 巨人の星」では、この設定を踏襲しながら、外見を現代風にアレンジ。
さらに、「ふえっ」「照れちゃうよぉ…」「エヘヘ」「モゴモゴ」といった言動に、「病気」というオプションも追加され、左門がエロゲーの主人公のようです。 さて、そんな左門ファミリーですが、原作では長女よりも二女・みちの方がミステリーでした。 というのも、「巨人の星」から「新 巨人の星」にかけて約18年間の彼女の成長の記録を見てみると……。
つまり、彼女は中学生くらいになっても幼児語でしゃべり、大学生くらいになっても椅子に座ると足が浮くのです。 本来なら働いたり嫁いだりする年齢なのに、いつまでたっても兄に扶養されている妹。 その成長速度は、兄や姉と比較してみても……。
たぶん、彼女はニートをこじらせて成長が止まったと思われるので、左門は早くこの20代の幼女を路上に放り出すべきでしょう。 とはいえ、「巨人の星」ワールドの時空が歪んでいるのは、左門家だけの現象ではありません。 たとえば花形の場合、昭和43年にプロ入りした事実から逆算すると、例の車を運転していた昭和33年には小学3年生だったことになります。
しかし、花形はこの時点でテニス歴10年だったり、六年生の頭をナデナデしたり……。 作者の認識としては「中学生以上」という設定で描いているように見えます。 また、「巨人の星」の世界では飛雄馬が昭和41年から一年過ごしたら昭和43年になっていたりするため、どう計算しても絶対に矛盾します。 そこで、どうせ何かは矛盾するのなら、「オッス、オラ梶原一騎。花形は昭和33年の時点で13歳以上だけど、昭和43年に19歳なんだ。文句あっか!」という説を採るのが一般的です。 同様に考えるなら、左門の妹も「外見が異様に幼い20代」ではなく「実年齢自体が幼女」だということになります。 つまり、作者の認識としては、犬が一生四本足で歩くような感じで左門は一生妹を扶養し続ける存在なのでしょう。
ネットアイドルちゆは左門を応援しています。 |
平成20年3月30日 | おまけ:左門に関するメモ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
あと、左門について書いてみたけど特に笑いどころのない話がいくつかあるので、いちおう置いておきます。 「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」という本
しかし、実は甲子園の時点で、左門の目玉は描かれています。
この本の筆者の方も熱心な「巨人の星」ファンなのですが、こんな重要なシーンをなぜか忘れ去られてしまう左門がかわいそうです。 Wikipediaの「左門」の項には、次のようにあります。
一方、「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」には、(「新・〜」は含めず)登場人物が泣いた回数について、こうあります。
まあ、どちらも「泣いた回数」そのものが主眼ではないのですが、「新 巨人の星」を除くと、左門は「一度も涙を流していない説」と「一度だけ泣いた説」があるようなので、いちおうそれっぽいシーンを並べてみました。
ええと、左端の回想シーン2つを除外すれば、おおむね主観や日本語の問題という感じで、別にどちらの説も間違いではないようです。 ちなみに、「花形が6回」とありますが、本編中で花形は少なくとも9回は泣いています。
ところで、「巨人の星」のストーリーの流れは次のような感じで、左門は最終回でわりと唐突に結婚します。
さて、飛雄馬にとって最大のライバルは花形であり、最高の親友は伴宙太ですが、かれらは金持ちのボンボンでした。 飛雄馬は、「力のないものが協力し どん底からはい上がろうとする努力に おれめちゃめちゃに弱いんだ! おれととうちゃんも同じだもんな‥‥」と、花形や伴宙太には持ち得ない共感を、左門にだけ感じています。 最終回は、普通に花形の結婚式にすれば、それほど唐突な挙式には見えなかったでしょう。 しかし、同じ貧乏出身のダサ男なのにデブか否かの差で明暗の分かれた親友の幸福を心から祝福しながら姿を消す……という原作の展開の方が、ずっとすごいと思います。 そんなわけで、左門は物語上とても重要な登場人物だと思うのですが、「新約 巨人の星」のように花形を主人公にしてしまうと、左門はいなくても良くなります。 そういう意味で、今回の「新約 巨人の星」で、左門の妹が花形に淡い恋心を抱く展開っぽくなっているのは、それなりに興味深いと思います。 まあ、そもそも主役を花形にして舞台を現代にした時点で、なんで「巨人の星」を原作にしているのかサッパリ分からない漫画になってしまっているのですけど。 |