平成13年9月20日 | 新種の凶悪ウイルス、「ニムダ」 | ||||||||||||||
「漂流教室」をご存知でしょうか。 30年ほど前の「週刊少年サンデー」に連載していた漫画で、小学校の校舎が核戦争で地球全体が砂漠になった未来にタイムスリップする物語です。 その異常な現実に耐え切れなかった教師たちは、自殺したり発狂したりで全員死亡。大人は人格が腐れた給食のおっさんだけになり、残された小学生たちの苛酷なサバイバルが始まります。
未来植物の試食、鉛筆けずりで盲腸手術、飢えた子ども同士の殺し合い、人肉食い。小学校にいた862人は、最終回には300人ちょっとになっていました。 そんな「漂流教室」の中に、ペストの流行で数百人が死ぬエピソードがあります。 ペストの恐ろしい点として、「最初は自覚症状がない」「すごい感染力」「致死性の高さ」などが挙げられます。 「自覚症状がない」ということは、知らない間に他人に伝染させてしまうということを意味します。 「漂流教室」でも、最初の患者が出たとき、医者の息子の柳瀬くんは「肝臓が悪いだけ」と勘違い。患者を隔離しなかったため、学校中にペスト菌が広まることになります。
「すごい感染力」というのは、患者に触るだけで伝染する可能性があるということです。 だから、自分が感染した可能性があると思った高松くんは、みずから「みんな近よるなっ! きけんだっ!!」と叫びました。
そして、「致死性の高さ」。 医者の息子の柳瀬くん曰く、「ペスト菌がうつると、約一日で発病するんだ」「それからひどい熱がでて…、リンパ線がはれたり、下痢をしたりして……」
そんな凶悪なペストですが、今の日本ならば薬もありますし、それほど恐い病気ではありません。
ところが、つい先日、そんなペストと同じように凶悪な特徴を持ったコンピュータ・ウイルスが登場しました。名前はNimda(ニムダ)。 このウイルスには、ホームページを改ざんする能力があります。そして、改ざんされたホームページをインターネットエクスプローラで読んだだけで、その人のパソコンにもウイルスが感染する可能性があります。 ウイルスに感染されたパソコンは、アドレス帳にあるメールアドレスにウイルスメールを送りつけまくります。 もしも、そのメールを受け取った人がアウトルックやアウトルックエクスプレスを使っていた場合は、そのメールを読むだけで感染する可能性があります。 また、会社や学校でパソコンを何台もつなげて利用している場合は、1台が感染すればつながっているマシンすべてに広がります。 そうして感染したパソコンが、さらに「改ざんできるホームページはいねーがー?」と手当たり次第にアクセスをかけまくるため、それだけで大きな負荷がかかり、改ざんされなくても回線が異常に重くなります。 その影響を受けて、当「ちゆ12歳」も18日深夜から19日昼までアクセス不能に近い状態になりました。 さて。 今は自覚症状がなくてもすでに感染している方、あるいは、今は大丈夫でもこれから感染する可能性のある方もおられると思います。 知らずにウイルスを広めてしまえば、後でエンガチョ扱いされても文句は言えません。ウイルスに感染したままネットをするのは、エイズに感染したままテレクラでヤリまくるのと同じくらい最低の行為です。
Windowsを使っておられる方は、まず自分が感染していないか確かめて、もしも手遅れならば駆除しなければなりません。 トレンドマイクロさんのホームページに、感染しているか確認する方法が書かれています。それを読んで、もしも感染していた場合には修復ツールなどを用いて駆除してください。
また、今は感染していなくても、今後も感染しないための対策が必要です。 今回のウイルスは、インターネットエクスプローラの弱点を利用して感染します。ですから、IE5.01を使っておられる方はこちらのサービスパックを、IE5.5を利用しておられる方はこちらのサービスパックをインストールして弱点を塞いでください。 また、IE6.0にバージョンアップする方法もあります。ただしマイクロソフトの最新ソフトは概ね地雷ですので、あまりお勧めはできません。 ともあれ、これでホームページやメールを見るだけで感染する事態だけは防げます。 しかし、上記の対策をされた方や、IE以外のブラウザを使っておられる方でも、手動で怪しいファイルを実行すれば一発で感染します。 当たり前のことですが、ウイルス被害に対しては、利用者の1人1人が危機意識を持って対応していくしかありません。
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