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平成13年9月18日 「ブレーメン」打ち切り

 「コミックバンチ」創刊3号に、漫画家の梅澤春人先生のインタビューが掲載されていました。

 それによると、梅澤先生はデザイン専門学校を卒業した後、まっとうに就職。しかし、仕事は面白くないわ、遅刻はするわで行き詰まってしまったそうです。
 ご本人曰く、「その時ですよ。俺を救ってくれるのは漫画しかないって、思いついたのは」。

 そして脱サラして漫画を描き、出版社に持ち込み。新人賞に入選して、読み切りを経てついに連載が決定します。
 ところが、初連載「酒天☆ドージ」は17週で打ち切り。その後、2本目の連載「ハレルヤ」を始めますが、わずか数週で打ち切りが決定して10週で終了しました。

 しかし、三度目の正直で「BOY」は単行本全33巻のヒットに。そうして人気作家の仲間入りを果たした先生が、満を持して送り出した4度目の連載が「無頼男(ブレーメン)」という漫画です。


デストロ――――――イ!!!


 梅澤先生も「ブーメラン」と間違えられると嘆いておられましたが、「ブレーメン」のモチーフは「ブレーメンの音楽隊」。と言っても、「ドラゴンボール」に対する「西遊記」程度の元ネタ度ですが。

 主人公は、「ロックの神」を目指す4人の若者。彼らが不良と硫酸デスマッチをしたり、アナコンダと戦ったりしながら、スターへの階段を駆け上っていく物語です。
 第1話を読んだだけで、主役4人の中に「魁!!男塾」の卍丸を貧弱にしたようなモヒカン君がいる事実にクラクラッときます

 そういえば、超絶打ち切り漫画「ロケットでつきぬけろ!」の単行本にも、「この本はロックだ。そしてこの本を手にした君たちもロックだ」という作者コメントが掲載されていました。
 これが少年ジャンプ的に正しい「ロック」という語の使用法らしく、「ブレーメン」でも厚底ブーツはロックだということになっています。

 特筆すべきは、作中に登場したスタンガンダンス。女性に四方八方からスタンガンをバチバチ近づけて強制的に踊らせるという、少年誌らしからぬロックなレイプ描写です。
 少女が9年間監禁されていた新潟の事件の「スタンガンの刑」も連想させ、なにげにやばいと思います。

 また、主人公バンドのマネージャーは元アイドルの巨乳姉ちゃん
 何かあるたびに拉致られたり乳もまれたりレイプされそうになったりしており、特にパンツずり下げられて宙吊りにされたのはロックでした

 そうして、たとえ偏差値75のお坊ちゃん学校が舞台になろうと、不良学生が女教師を襲っているこの漫画。
 ロックとケンカとレイプが延々とループする基本フォーマットは前作「BOY」とほとんど変わらず、水戸黄門のように安心して読めました。


デストロ――――――イ!!!


 そして、連載の終盤。主人公バンドに対抗する、最強のライバルバンドが登場しました。名前はサイクロプス
 観客を含めて全員片目をふさいでいるというロックなこだわりを持ったバンドですが、とりわけそのロックな歌詞は、日本中のファンを違う意味で熱狂させました。


 殴(や)れ! 刺(や)れ!
 犯(や)れ! 殺(や)れ!
 壊(や)っちまえ――――!!!

 愛? 平和? 正義? 自由?
 そんなもの…クソ喰らえだ!
 そんなものは見えやしね―――――!!
 「PSYCLOPS」の目にうつるものはただ一つ!!

 破壊――――――(デストロ――――――イ)!!!



 ちなみに、主人公バンドのボーカルはすべてバーコードで表現され、歌詞は分かりません。
 作中の台詞では「家出した不良(クソガキ)が本当の”自由”をつかむまでの闘争(たたかい)の楽曲(うた)」と解説されていましたが、曲名は「KILL YOU」だったりします。

 ともあれ、そんな「ブレーメン」は82週で打ち切り。

 クライマックスは人類の命運がかかった悪の組織とのバトルになる方向で話が進んでいたのですが、打ち切りの都合で悪の組織は勝手に壊滅していたことにされてしまいます。
 1人だけ残った組織の残党との対決シーンでは、主人公は撃たれた銃弾を10円玉で弾き返して勝利しました。

 そうして最後は宇宙に飛び立ちスペースシャトルの中でロックしている場面で連載は終了。
 そのラストページには「EDITOR」「Special Thanks」といったクレジットが入っているのですが、そこに「STUFF」という文字があります。

 どうやら「STAFF」のスペルミスのようです。

 しかし、「STUFF」を辞書で調べると「駄作」という意味があります。なるほど、こんなところでさりげなく自己批判を行なうとは、さすが梅澤先生はロックです

 ネットアイドルちゆは梅澤春人先生を応援しています。

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