平成13年8月17日 | リーフ公式サイトの掲示板が閉鎖(中編) | |
昨日のニュース(前編)で、「雫」「痕」「To Heart」を作った関西のブランド・リーフが、人気ソフトハウスになったことをお話しました。 そのリーフ黄金時代の3作品は、高橋龍也さんが話を作って、水無月徹さんが絵を描いたものです。 リーフの成功は、その高橋&水無月コンビの力によるところが大きいとされ、両者は一部ファンの間でカリスマ的な支持を得ています。 ところで、ソフトウェア業界では当たり前ですが、リーフは人の出入りが激しいことで有名です。 早い時期に退社したのは、「雫」の音楽を作った折戸伸治さん。もしかすると高橋&水無月コンビ以上に、リーフ躍進に貢献された方です。 下川専務(現・社長)との不仲で解雇されたという噂もありますが、いちおうは「一身上の都合で」とのこと。 折戸さんは退社後、「ONE」「Kanon」に参加。「泣きゲー音楽界にこの人あり」という名声を獲得しました。 その後、プログラムの生波夢さん、背景の鳥のさんなどなど、黄金期を支えた主要メンバーは次々と退社していくことになります。 一方の新規入社組は、「ハーレムブレイド」の音楽などで知られる米村高広(CHEMOOL)さん、同人で有名だった原田宇陀児さんなど。 さらに、かつてヒット作「Piaキャロットへようこそ!2」の原画を手がけたみつみ美里さん・甘露樹さん・鷲見努(CHARM)さん等を、 「ビ・ヨンド」のシナリオライター・む〜む〜さんも加えて、関西とは別に新しく東京開発室を設立しました。 そうして平成10年、リーフは「WHITE ALBUM」を発表。 主人公は最初からアイドルの恋人がいるという設定で、浮気を前提にして、裏切りの痛みにカタルシスを感じるゲームでした。 これは高橋&水無月コンビではなく、原田宇陀児さんが脚本、古参の河田優(らーYOU)さんが原画を手がけたもの。 平成11年には、「こみっくパーティー」が登場。 同人誌即売会でオタク活動をしながら女の子をゲットするというファンタジーもので、製作は同人作家が多い東京開発室。CD−ROMドライブが2つ以上あるパソコンでは起動できないといった豊富なバグでも有名です。 平成12年は、「まじかる☆アンティーク」。 さらに新しく入社した椎原旬さん&はぎやまさかげさんを中心に作られ、発売後まもなくしてお2人は退社されました。 こうして見ると、優秀なスタッフをかき集めて、グッズ販売で商魂たくましく資金を稼いだ割に、ゲームの新作は年に1本ペース。 特に水無月&高橋の黄金コンビの新作が何年も作られていないことに、不満を漏らすファンもいました。 ここで、少し話を脱線。挙げればきりがありませんが、リーフに関しては次のような話題もあることもご紹介しておきます。 ●コミケ事務局との確執 平成9年の夏からコミケに参加するようになったリーフですが、そのファンの数に比べて整理人員が少なく、他のブースに迷惑との苦情が。 そんなこんなでコミケスタッフと揉めたりして、平成11年の冬でリーフはコミケから撤退しました。 ●「こみっくパーティー」開催 コミケ撤退後、ゲーム「こみっくパーティー」の中に登場した同名の即売会を、現実世界で本当に開こうと企画。 ボランティアでスタッフ参加されたファンの方をして、「所詮…リーフにとって俺達は捨て駒なんですよね…」と言わしめるイベントでした。 ●同人誌の締め付け かつてはクチコミや同人誌を中心にファンが盛り上げたリーフですが、段々とテキストや画像の利用規制を強化。 最終的にはリーフ同人誌の書店売りを禁止しました。 ●「痕」おまけシナリオ問題 「痕」のゲーム本編をクリアした後に遊べる「おまけシナリオ」が、講談社の「ショートショートの広場(1)」に収録されている「できすぎ」に「酷似」(リーフ公式見解)。 発売直後から言われていたことですが、最近になって講談社から抗議を受けたらしく、正式に謝罪文を出しました。 ※ 関連する話題として、「雫」も大槻ケンヂさんの小説「新興宗教オモイデ教」を「下敷き」にしたことも付記しておきます。 ●コナミが「ビジュアルノベル」を商標に出願 「雫」や「痕」は「ビジュアルノベル」と銘打たれていますが、なぜかその言葉をコナミが商標に出願。弁理士の方に「弊所ならば、このような出願はお勧めしないのですが」と不思議がられています。 そんなこんなの出来事と前後して、平成13年2月9日。リーフの最新作「誰彼(たそがれ)」が発売されました。 ちゆは未プレイですが、話に聞く限りでは「駄作ではないが、リーフの最新作として『雫』『痕』『To Heart』クラスのものを期待しておられた方々は失望した」という感じだそうです。 そしてその直後、いわゆる葉鍵板2・14事件が起こります。 ちょうど「ちゆ12歳」の開設日にあたる2月14日、ネット上に552文書と呼ばれる怪文書が出回ったのです。 その中身は、平成12年の春から夏にかけて、一部のリーフ関係者が内輪でこっそり愚痴をこぼしていた掲示板のログ。 それを信じるならば、高橋&水無月の黄金コンビはすでに平成12年夏の時点で退社。また、「WHITE ALBUM」の脚本を担当した原田宇陀児さんも12年5月で退職しておられました。 さらに、そのログの中には、原田さんが辞表提出前後の心情を吐露しておられた部分もあり、リーフ社内の寒い人間関係やボロボロのチームワークが明らかになりました。 たとえば退社の10日ほど前、原田さんは「書きたくねえー。脅されて書いてるからね、いま」「『ウチで出せば何でも売れるから』的発言をされてがんばろうかって気になるやつもいねえんじゃないか」と発言。 そして、医者に言われた神経衰弱を理由に辞表を提出したとき、下川専務(現・社長)に次のように言われたそうです。 「医者の電話番号おしえろ」「他の大きいメーカーから質問がきたら、プロジェクト放棄と答えるぞ」「プライドがあったらコミケには出られんよなあ」 その翌日の原田さんの書き込みは、「悔しいよ、めちゃくちゃに」「大罪は、ああ、判ってる、いざとなったら部下を切れる上司の言葉に振り回されたってことだ。くそっ。悔しい。悔しい 悔しい悔しい!」……。 他にも、「新入社員のモデラーが一人消えました・・・急に来なくなったそうです。電話連絡があり、退職したいとのこと」というのは日常茶飯事。 仮入社の段階で「なんか会社の空気悪いし、辞めよかぁ? 今のうちやで」と言っていたのに続けてしまったことが最大のミスだった、という発言もありました。 また、高橋&水無月コンビが退社した際には、「(送別会もなくて)自分も、軽く会釈しただけ。2年半同じ場所で仕事した人間なのに。ああ、この寒さがリーフだね・・・」というコメントも。 余談ですが、下川専務、高橋さん、水無月さんなどあらゆる人間が2chをチェックしているという発言もありました。 2chに関しては「情報洩れ早すぎ。しかもなんか尾ひれついてるし」とのコメントもあって、誤報を交えながらも内部の人間が呆れるほどの速報性だったようです。 ともあれ、多くのファンが本気で吐き気を覚えたという事件でした。 切望された高橋&水無月コンビの新作がリーフから出ることは永久にあり得ず、「雫」「痕」「To Heart」の主力スタッフはすでにバラバラ。 そういえば、誰かが書いた、こんな仮想小説がありました。
後編へ続く。 |