平成22年3月8日 | 『YOH〜光の抄〜』 概要 | ||||
1993年当時の菊池としを先生は、デビューから2本の連載を成功させた人気漫画家でした。
「明王伝レイ」など、途中から作者が信仰している「幸福の科学」を布教するための漫画と化していたのに人気は高く、雑誌の看板であり続けました。 その終了後のスケジュールも、
と、1号の休みもなく新連載に突入しています。 そうして始まった期待の新連載が、「YOH〜光の抄〜」でした。 特徴は、それまでのように悪霊を「破邪──ッ!!」と倒す世界観ではなく、高校の剣道部を舞台にしたスポーツ漫画だったことです。 その辺、人気はあるけどそろそろ宗教じゃない漫画も……という編集部の意向もあったのでしょうか。 ただ、連載準備期間の短さ、開始1か月前に載った予告と実際の内容が違うこと[*]などから、わりと見切り発車だったように見えます。 また、題材に「剣道」を選んだ理由としては、「幸福の科学」の大川隆法が高校時代に剣道部だったことが大きいでしょう。 加えて、当時の「幸福の科学」では大川隆法に並ぶ偉大な存在だと思われていたエル・ランティ様(12月29日の更新を参照)も、次のように語っていました。
菊池としを先生もこれを読んで、主人公が剣道で心身の浄化を計る漫画を模索したと思われます。 さて、そんな「YOH〜光の抄〜」の主人公の名前は、曜くんといいます。 小学二年生のときに、「病気 貧困 飢え 戦争‥‥毎日地球のいたる所で自分と同じ子供が死んでる」と考えるといたたまれなくなり、胃潰瘍になってしまったというほどの そんな彼が、高校生になって剣道を始めた動機は、「昔の剣の達人たちはみなそれぞれ何らかの悟りに達していたそうだ‥‥!!」「人はどうして死ぬのか‥? なぜ世の中に幸 不幸があるのか‥‥」「もし剣道でその悟りがえられるならば‥‥やる意義はあるッ!!」とのことでした。 そうして、曜くんが剣道部に入部して、先輩と出会い、まずは高校総体の東京予選に出場……というところで人気が出なくて、全10話で打ち切り。 その後、菊池としを先生が講談社で連載することは二度となかった、というのがこの漫画のすべてです。 |
平成22年3月8日 | ラス前 | ||||
「YOH〜光の抄〜」は宗教も控えめで、中身はそこそこ普通の剣道漫画ですが、しいて見どころを挙げるなら、打ち切りが決まってからの開き直ったラスト2話でしょう。 第5話から始まった高校総体の東京予選で、曜くんの高校はおおむね普通に勝ち進んできました。 そして、第9話、準決勝の対戦相手は……。
試合中に全員で真言を唱える剣道部でした。 そして、 剣道部の真言で鬼が出現。 しかし、われらが曜くんは、おばあちゃんの教え(という設定の大川隆法の教え)を思い出すことで、これに反撃。 見事に鬼を祓って、曜くんの高校が勝利しました。 |
平成22年3月8日 | 最終回 | |||||
そして最終回。曜くんの決勝戦の対戦相手は、万里谷(まりや)くんといいます。 万里谷くんは曜くんに匹敵する電波で、試合が始まると、「さあ見せてくれ!! 君の剣神をッ!!」と叫びます。 すると、曜くんの背後に、 剣神が出現! そのとき、 竹刀が次元の壁を飛び越えました。 意味は分からないけどスゴイ現象ですが、これについて、曜くんは「ちがうッ!!」とコメント。 そして、「ぼくのもとめるものはこんな超常現象なんかじゃないッ!!」と叫ぶと、 剣神を破邪! 曜くん「超能力を得るために自己の魂を磨いてきたわけじゃない‥‥大調和だ‥‥」 万里谷くん「ま‥‥満月だと‥‥君は大宇宙の大調和の姿を‥‥太陽の光を受けて満月のように光り輝くおのれの実相心を映し出したというのか‥‥!!」 と、事態を把握して会話が成り立つだけ万里谷くんもスゴイです。 しかし、万里谷くんと曜くんでは、電波の方向性が違うらしく、 まるでビッグバンのように菩薩が出現! これにはさすがの万里谷くんも、「光は斬れん‥‥。当流は自分に危害を加える者には無敵だが‥‥光は決して人を害さないからな‥‥。か‥‥完敗だ‥‥」と敗北を認めます。 そして、審判が固まっているのを無視して、2人は試合終了の礼。 高校総体の東京予選の出来事でした。 |
平成22年3月8日 | まるでビッグバンのように‥‥ | |||
「YOH〜光の抄〜」は、「明王伝レイ」のように露骨に布教しませんでしたが、もちろん、基本的には「幸福の科学」です。 たとえば、菩薩が降臨する前フリの「ビッグバン」という言葉が浮いている気がしますが、 実は、このとき「幸福の科学」はビッグ・バン計画の最中で、当時の大川隆法先生はこう演説していました。
この演説が1993年12月23日のイベントで、「YOH〜光の抄〜」の「まるでビッグバンのように‥‥」は1994年1月21日に発売された雑誌の掲載でした。 執筆時の菊池としを先生の頭の中では、大川隆法の声で「ビッグ・バン」がエコーしていたと見て間違いないでしょう。 |
平成22年3月8日 | 資料 | |
最初に触れた、「開始1か月前に載った予告と実際の内容が違うこと」について。 タイトルが「YOH〜光の抄〜」ではなく「JIKEN」。 実際の連載では完全な初心者だった曜くんですが、予告時には「殺し合いの中で磨かれた剣を受け継ぐ少年」という設定で、当時人気だった「修羅の門」の剣道バージョンみたいな構想だったのかも知れません。 |