平成21年4月24日 「チャンバ」とは何か、「キャプテン翼 GOLDEN-23」の追加情報を踏まえて改めて考える

 キャプテン翼の主題歌「燃えてヒーロー」は、「アイツの噂でチャンバも走る」という謎の歌詞で有名です(試聴)。

 「チャンバ」の解釈には諸説ありますが、なんといってもキャプテン翼の歌ですので、現実世界の作詞家の意図を考えるよりも、キャプテン翼ワールドの言語法則から意味を決定すべきだと思います。

 さて、最近作「キャプテン翼 GOLDEN-23」にて、そんなチャンバ学における極めて重大な事件が起きました。

 そう、ギロッポンです。

『キャプテン翼 GOLDEN-23』 2巻130頁、3巻100・130頁、4巻16・101・102頁

 なぜデンマークのサッカー選手が「ギロッポン」を連呼するのか
 理由はまったく分かりませんが、とにかく、「キャプテン翼」というのは「六本木」を「ギロッポン」に変換するようなブラックボックスであるらしいのです。

 すなわち、
ギロッポン [キャプテン翼] 六本木
チャンバ [キャプテン翼] バアちゃん

 美しい業界用語の流れが、ここにあります

 そもそも、「チャンバ=バアちゃん」説は、古来より有力な仮説のひとつでしたが、

 強み:「アイツの噂を聞いたら、よぼよぼのババアだって走り出すぜ」と意味が自然に通る
 弱み:いきなり業界用語が出てくるのはおかしい

 ……という感じだったところ、「キャプテン翼」の世界では、デンマーク人でもギロッポンだと判明したのです。
 バアちゃん説の弱点は、ギロッポンによって克服されたと言えるでしょう。

 ネットアイドルちゆは、「チャンバ=バアちゃん」説を応援しています。



◇蛇足◇
・まともな説としては、深沢七郎先生の小説の中に、1959年ごろの若者が「ババア」的な意味合いで「チャンバー」と言っている箇所があるそうで、それが現実に使われていた言葉なら、作詞の吉岡治さん(1959年に25歳くらい)が知っていても不思議はなさそうです。
・古い若者言葉か、ヘンな業界用語か、単なるフィーリングか、いずれにしても、「サンバ」や「3羽」に音が似た言葉を超いいかげんに決めたら「チャンバ」になったという感じだとは思います。
※ポルトガル語で「記者」を意味する言葉だという説については、少なくともその辺の辞書には載っておらず、そういうスラングの存在を確認できる資料も出ていないので、いまのところ信憑性が低いです。



◇追記◇

 上の文章を更新した翌日、4月25日発売の『Sportiva』が「キャプテン翼特集」でした。

 そして、その中の「作詞家に電話インタビュー」というコーナーで、作詞者の吉岡治さんご本人に「チャンバ」の意図を質問していました。

──ずっと「蝶々サンバ」の意味を知りたかったのですが。

「当時人気だったモハメド・アリの言葉、<蝶のように舞い〜>から蝶々。それとサッカーといえばブラジル、ブラジルといえばサンバ。それを合わせた造語なんですよ」

──なるほど! それでは「チャンバ」の意味は?

バーチャンを業界用語風に言うと、チャンバ。つまり、噂を聞いたらバーチャンも元気になって走ってしまう、そういうことですね(笑)」

(中略)

「そもそもアニメの楽曲自体、あまりやったことがなかったもので。知人からの依頼だから引き受けたものの、企画書とアニメの写真を渡されただけ。あとは、このころラグビーをやっていたから、そのイメージを膨らませて書いたんですよ

(『Sportiva』 2009年6月号69頁)

 ……大方の予想通り超いいかげんですが、ともあれ、少なくとも本来の作詞意図としては、「チャンバ=バーチャン」が正解だったようです。

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