『ムー』読者ページの“前世少女”年表

平成19年3月7日のちゆニュースの補足です

 80年代、オカルト雑誌「ムー」の文通相手募集欄を見ると、

 「戦士、巫女、天使、妖精、金星人、竜族の民の方、ぜひお手紙ください」
 「前生アトランティスの戦士だった方、石の塔の戦いを覚えている方、最終戦士の方、エリア・ジェイ・マイナ・ライジャ・カルラの名を知っている方などと」

 といったお手紙がたくさん掲載されていましたが、この発生時期について諸説あったので、簡単な年表を作ってみました。

1979年

・「ムー」創刊。

・創刊号から「自分が地球以外の宇宙人だと思う人と文通がしたいので〜す」という14歳の女の子はいますが、まだ前世少女からの投稿はありません。

1980年

・まだ前世少女はいません。

「あたし‥‥実は異星人なんだ‥‥」「異星人の仲間どこかにいない‥‥?」(3月号)という15歳の女の子はいますが、本気度は不明。

『ムー』 1980年3月号 114頁
1981年

・まだ前世少女はいません。

・この時期、「超人ロックが好きで、ロックのようなESPERになりたいとがんばっています」(5月号)という14歳の女の子など、エスパー志望者がやや目立ちます。

1982年

・まだ前世少女はいません。

・「転生、超能力、SFに興味がある女子」との文通を希望する18歳(4月号)や、「転生について異常なほど興味があり、明るすぎるほどのぼくにお手紙ください」という16歳(10月号)など、転生に関する投稿は少し増えました。

※前世少女とは関係ありませんが、82年には、「わたしは4年生ですが、ミステリーにきょうみをもちました。おにいちゃんかおねえちゃん、お手紙ください」(11月号)と、ひらがな交じりに文通相手を募集する女子小学生がいて、ちょっと心配になります。 『ムー』 1982年3月号 156頁
1983年

・この頃、「人類救済を目的とするサークル」のメンバー募集(5月号)など、終末を意識した投稿が増加。

・9月号では、「自分が宇宙とかかわる“光の戦士”か“救世主”だと思う方、連絡してください」という中3の女の子が登場。

・10月号には、「前世の記憶がもどり、超常現象の体験がありま〜す」という中3の女の子。

・11月号では、「自分の前世を知っている方、エスパーの方、超古代に関する夢などをよく見る方、何かの使命を持ち、ひそかに生まれたと思っている方など、お手紙ください」という中3の女の子。

1984年

・「不思議な夢をよく見ます。私には何かの使命があるような…」という高2の少女(3月号)。

・「この風景に見覚えのある方おまちしてます」と、イラストを投稿する18歳の女の子(7月号)。

『ムー』 1984年7月号 149頁

・「古代ギリシアの地中海にいたころの過去世の記憶がある方で、自分の魂、もしくは守護神がギリシア神話に出てくる神々である方と。私の守護神はアポロンですが、同じ系列の仲間を捜しています」という23歳の男性(12月号)。

1985年

・「前世の記憶が“平家一門”だったのではと思われる方…そして“葵”という名の源氏方の若い武将にお心当たりの方」からの連絡を待つ17歳の女性(3月号)。

・「あたしは幽体離脱、幽体分裂、時間をもどしたり、遅くすすめたり、タイムリープができます。100年に1度の天使のハネを持つ妖霊です」という18歳の女の子が、「マヤ出身の人(白い魂の子)」との文通を希望(3月号)。

『ムー』 1985年3月号 157頁『ムー』 1985年3月号 158頁
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・「弥生時代か飛鳥時代に生きた記憶のある方、ご連絡ください」という高校3年生や、「毛利元就の2男・吉川氏の家系の前生をもたれる方、おききしたい事があります」という17歳(5月号)など、この頃までは、前世が異星や異次元なのは少数派でした。

・6月号で、「私の前世は戦士です(名前はわかりません)」という18歳の女の子が登場。

・7月号では、「自分がミヤリア一族だと思われる方、または、ソディラ、セカ、スィール、ミヤ、セヤ、ジィン、マラ、リヤ、トルファン、オルキムの名に心あたりがあるか、自分の魂の名がこのいずれかの方」を探す15歳の女の子が登場。これ以降、カッコイイ名前の尋ね人が増えます。

・9月号では、「自分がライラス、ディア=カルラルという名で、私ラディナルスを知っていると思う方」を探す17歳の女の子。

・10月号では、「シーガル、またはアルジェリオンの名前の前世を持つ方」を探す20歳の女性。

※前世少女とは関係ありませんが、10月号の投稿によると、17歳の女の子が「ムー」の文通コーナーで超能力者の女の子と知り合ったと思ったら、実は相手の正体は超能力少女のフリをした中年男性で、「私が告訴したら、あなたは15年の罪になる」「家に遊びにきてくださいね。泊まりにきてくださいね」などと言われたそうです。
1986年

・「古代大地(ヤマト)一族、またはゼル、セラの名を知っている方、お手紙を」という17歳(1月号)。

・「“サーシェ”“エスター”の名におぼえのある人」を探す中3女子(2月号)。

・「自分は前世で西ドイツに生きていたんじゃないかと思っています。ベートーベンにも会ったような気がしますし…。友だちには『光の天使ではないか』といわれます」という中2女子(2月号)。

・「前世が古代エジプト王の人」を探す高校1年生(4月号)。

・「前世が宮本武蔵だったと思われる方、お通という女性を知っている方、お手紙ください」という18歳の女の子(4月号)。

・「前世(前生)でヴィシュヌ神、シバ神、インドラ神、ミカエル大天使、アポロンなどと一緒に行動していたと思われる方」を探す高2男子(4月号)。

・「私は3歳の時に運命を告げられ着実に超能力を伸ばしてきた戦士の一人です」「同じ戦士の方、かなり強いエスパーの方、一緒に最終戦争に備えませんか?」という18歳の女の子(7月号)。

『ムー』 1986年7月号 157頁
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・「九燿、霊能者、超能力者、妖姫、闘竜、戦士の過去を持つみなさん! 歌巫女の私に連絡をください」という14歳の女の子(9月号)。

・「前世が忍者だったと思う方、お手紙ください」という16歳の女の子(9月号)。

・「山都(やまと)という人を知っている方、天輪王、剣皇子、七大天使に会った方、東京に出てこられる天界人の方、急ぎますので、即、お手紙ください」という16歳の女の子(10月号)。

・「水の中でも息ができる人、自分の前世は水棲人ではないかと思われる方、おたよりください」という高3の女の子(11月号)。

・「“零”という男の人を捜しています。私は“咲風”です」という高2の女の子(12月号)。

・「戦士の方、ESPERの方、『7人の戦士』を知っている方、『クニヤス』『タカシ』という中学3年の大阪の男の子を知っている方など、60円切手同封のお手紙をください。私も“使命がある”といわれています」という中3の女の子(12月号)。

1986年末から、『花とゆめ』で「ぼくの地球を守って」という漫画の連載がスタート。
作中で、前世の夢を見た主人公たちが、『ブー』という雑誌に「柊・秋海棠・紫苑・繻子蘭 心あたりあれば連絡下さい。こちら玉蘭・木蓮・槐です」と投稿。
それを見た柊と繻子蘭から連絡があり、無事に前世の仲間と再会を果たす……という場面が、10月出版の単行本2巻に収録されました。
『ぼくの地球を守って』 第2巻 92頁
1987年

「人類史はじまって以来の重要な使命をもつ私です」という21歳の主婦(1月号)。

『ムー』 1987年1月号 143頁

・「建、一馬、ちゆ、魔魅という名に憶えがある方、または何か知っている方、いましたらご報告下さい」という14歳の女の子(2月号)。

・「覚醒した竜族の民を探しております(かくいう私も一応ナーガです)」という17歳の女子高生(2月号)。

『ムー』 1987年2月号 142頁

・「自分は超古代人類の生まれ変わりではないかと信じている方。それと“アナ”“アナク”“アクナ”(3つの名前は同一人物です)と言う名前に聞き覚えのある方! どうかお手紙ください」という高3の女の子(4月号)。

・「霧風、涼風、時風、白羽の名におぼえのある方か、私を仲間と感じる方、助けてください! 私はひとりぼっちです」という中3の女の子(6月号)。

『ムー』 1987年6月号 140頁
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・「ラリファー、レファーナ、ファーリィ、エルナード、マリー=ベット、アースリーナ、翔(金髪でBlue eyeです)、セドリック、高見幸一という名前に何かを感じる方、戦士の方、宇宙人の方、異次元の方、お手紙ください」という人(7月号)。

85年7月号でミヤリア一族を探していた15歳の女の子が、17歳になって再登場。「自分がミヤリア一族に関係あると思う方、ソディラ、セカ、スィール、ミヤ、セヤ、ジィン、マラ、リヤ、トルファン、オルキムの名に心あたりのある方と。最終戦争について情報交換しませう」とのことで、2年前と同じ仲間を探し続けている様子でした(7月号)。

・「前世名が神夢、在月、星音という3人の男性を捜しています。早く目覚めて連絡を!!」という高3の女の子(7月号)。

・「戦士、巫女、天使、妖精、金星人、竜族の民の方、ぜひお手紙ください。戦士でありながら巫女でもある私です」という23歳の女性(9月号)。

・「“結城”という名の永遠なるパートナーを捜しております。私の名は“倭(やまと)”で、北の血を引くものです」という19歳の女性(9月号)。

・「さがしています!! “文殊”の穴に入った3月生まれの男性! 私は“普賢の穴”に入った4月30日生まれの者です。手によく金粉が出ます」という17歳の女の子(11月号)。

・この頃、前世少女以外にも「戦士」に関する投稿は多く、「私は5歳のとき、神から戦士として生きることを命ぜられ、力を与えられました。私の叫びが聞こえた方、お手紙を」という高3の女の子(4月号)や、「戦士の方」に超能力の出し方を質問する女性もいました(10月号)。

『ムー』 1987年10月号 141頁
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・12月号の投稿欄には、「戦士といっている方へ一言。本当に戦士ですか?(略)私はちがうと思います」という、14歳のツッコミが掲載されました。しかし、彼らが本当の戦士ではないと思う理由は、「真の戦士ならばこんなところに名乗りでないと思うからです。戦士は“時(真の戦い)”がくれば、集結するのです」とのことでした。

1988年

・「『青竜』『アル・タイス』に聞き覚えのある方!! 竜族の民も!!」という専門学校生の女の子(1月号)。

・「戦士の方で、姫に心当たりのある方と。私は龍神さまと自然をこよなく愛する魚座で金星の陽の者です」という高3の女の子(2月号)。

・「“時”についての啓示あり。ESP戦士の方々は連絡を。戦士としての名前と生年月日を書いてください。60円切手同封だと助かる」という人(2月号)。

・「エーデル星で選ばれた聖なる月、星、緑、影の戦士の方、お手紙を」という13歳の女の子(2月号)。

・「太陽を神とあがめる戦士か巫女の方、ロミーという名を知っている方、お手紙を!」という高1の女の子(4月号)。

・「前生アトランティスの戦士だった方、石の塔の戦いを覚えている方、最終戦士の方、エリア・ジェイ・マイナ・ライジャ・カルラの名を知っている方」を捜す高校2年生(4月号)。

・「私はエルミオンという青年(少年)を捜しています。前世で私と関係のあった方、ロザリオを知っている方、お手紙ください」という15歳(5月号)。

・5月号の投稿欄では、自分が戦士だという人は「戦士症候群」に陥っているのだと批判する意見が載りました。曰く、「“夢想”と“思い込み”が混然となって、症状として現れているのだと思います」「そうした“甘く安易な考え”は、世の中の流れを冷静に見つめ判断する目をふさいでしまう」「『戦士症候群』がこのままじわじわと広がっていったら……」「もしかすると、そういった症状こそが、ハルマゲドンの起爆剤になり得るのではないか

・この時期以降、「ムー」は前世少女の投稿を載せなくなったので、前世少女たちは、別のオカルト雑誌に投稿するようになっていきました。

※1989年の夏、自分たちが古代のお姫様「エリナ」「ミルシャー」の生まれ変わりだと思った徳島の女の子たちが、意識不明になれば前世が見られると考えて、解熱剤を飲んで倒れました。

※徳島の事件の影響か、1989年12月出版の「ぼくの地球を守って」の第8巻では、作者の日渡先生が、「『ぼくの地球を守って』というマンガは、始めから最後まで、間違いなくバリバリの日渡の頭の中だけで組み立てられているフィクションです」というコメントを出しました。

『ぼくの地球を守って』 第8巻 59頁

 さて、前世少女の投稿の元祖は、「ぼくの地球を守って」の「柊・秋海棠・紫苑・繻子蘭 心あたりあれば連絡下さい」だという説があります(2ちゃんねる少女漫画用語辞典など)。

 でも、『ムー』の投稿欄では、1982年ごろから「転生」に関する投稿が出てきて、83年には「光の戦士」「前世の記憶がもどった」という女の子が出現。
 85年の中ごろには、「私の前世は戦士です」という少女や、「自分がライラス、ディア=カルラルという名で、私ラディナルスを知っていると思う方」を探す女の子が登場していました。

 少なくとも「ぼくの地球を守って」の連載が始まる1年以上前には、『ムー』に「ソディラ、セカ、スィール、ミヤ、セヤ、ジィン、マラ、リヤ、トルファン、オルキムの名に心あたりがある方」を探す投稿が載っていたわけで、“オカルト雑誌でカッコイイ名前の前世の仲間を探す行為”自体は、「ぼくの地球を守って」が起源というわけではないと思います。

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