昔のちゆニュース


平成16年

02月14日:超星神グランセイザー
02月18日:「美メン」は普及できるのか
02月20日:「覇王」単行本第1巻が発売
02月23日:さわらずフントール
12月12日:デリバリーダッチワイフ
12月16日:テニスの王子様、中国に輸出
12月25日:ヤングガンガン創刊
12月28日:毎日新聞は男子大学生がキライ?
12月31日:2004年3大ニュース


平成16年2月14日 超星神グランセイザー

 円谷と言えば、ウルトラマン。東映と言えば、戦隊や仮面ライダー。しかし、東宝には、これと言った特撮シリーズはありません。
 その東宝が平成8年に作った単発ヒーローが、「七星闘神ガイファード」でした。

 「ガイファード」には、主人公を助ける存在として、博士・女子高生の麗ちゃん・小学生の優くんの3人家族が登場します。一見、戦闘シーンには絡まない、ほのぼのシーン専用の一家です。しかし、ガイファードが敵の怪人に捕まって、絶体絶命の大ピンチ!という場面……。
 博士が叫びます。「麗、優、行ってこい!」 すると、小学生の弟を踏み台にして、女子高生が怪人に飛び蹴り! 見事ガイファードを助けるのでした。

 そんな女子高生役を演じた妙にアクションが達者な女の子が、当時18歳の清水あすかさん。一部で有名な清水伯鳳の娘です。

 清水伯鳳とは、著書や雑誌連載で語った体験談があまりにもゆんゆんだったことで知られる格闘家。
 本人の主張を信じるなら、その経歴は……

 ●一子相伝の秘技「鳳龍院心拳」の伝承者
 ●「闇部隊・ブラック」と呼ばれる世界的なボディーガード集団に所属
 ●ボディーガードの訓練でジャングルに落とされてサバイバル生活をした
 ●「笑いを知らないと一流になれない」と言われて欽ちゃんの弟子になる
 ●サンタクロースの公認補佐官を務める

 そのお人柄も狂っており、たとえば、大槻ケンヂさんの本「猫を背負って町を出ろ!」のインタビューを読むと……。

 大槻ケンヂ「元プロボディーガードとして、不意な攻撃に対する心構えを教えてください」
 清水伯鳳「一番の秘訣は気持ちよくきちんとマナーをもって謝りなさいと、二にその後で逃げろと、三に土下座して泣いてでもいいから謝れと、それでもだめなときはポッと一突きに殺せと」

 そんなわけで、「忠誠心のためには息子や娘も殺さなきゃならない」と言う人物の娘として育てられた清水あすかさん。
 今でもプロフィールに堂々と鳳龍院心拳第17代宗師と載せており、まるで隠す気がないのがスゴイです。

 さて、そんな「ガイファード」から7年ぶりに、東宝が新しい特撮テレビ番組を作りました。その名は「超星神グランセイザー」です。

 清水あすかさんも、「セイザーミトラス」役として出演。やはりアクションは見事ですが、若い頃よりもさらにゴツく精悍になり、いちおう女子大生役なのに女自衛官にしか見えないのが難点です。
 一方、そんな彼女と対極の存在が、「セイザービジュエル」役の磯山さやかさん。アクションはダメだけど巨乳なので良しというタイプです。

 最近の特撮では、せっかくパンチラだと思っても、ビデオを止めてよく見ると、スカートの下がスパッツだったりします。しかも黄色
 少し前の「超力戦隊オーレンジャー」なら、レオタードだかブルマだか知りませんが、まだしもパンツ状のものを見せてくれて、色も白か黒だったのですが……。10年足らずで特撮も退化しました。

 ところが、「グランセイザー」の磯山さやかさんは、パンツを見せるかわりに乳を強調。「パンチラがダメなら乳を揺らせばいいじゃないか」と、私たちに教えてくれました。
 これを教訓に、巨乳ヒロインが増えて「特撮=乳揺れが見れる番組」という路線で定着すればいいなと思います。

 ともあれ、グランセイザーの見所は、時間をブッ飛ばしたかのようにスピーディーな展開です。

 たとえば、第4話。本編開始直後、主人公がバイクで走っていると、誰かが歩道橋から飛び降りてきます。それは、初登場の新キャラ「セイザータウロン」でした。そして、初対面の主人公に対して、開口一番「最も強いのは誰か、教えてやるぜ。ついてこい!」
 いきなりの変な人の出現に、「何?」と聞き返す主人公ですが……。

 タウロン「恐いのか?」
 主人公「ふざけんな!」
 タウロン「ぶっ潰してやる!」(飛び蹴り)

 小気味よい言葉のキャッチボールで、敵か味方か分からない新戦士が初登場してから、主人公と戦闘になるまでわずか29秒という超脚本です。

 ちなみに、タウロンがいきなりケンカを売ってきた理由は、「俺より強い奴に会いに行く」という性格だったから
 その後、悪い人にだまされて主人公と敵対したタウロンが、色々あって「やっぱり主人公の方がいい側だったんだ」と気付くまでのストーリーが、サクッと30分でまとめられます。

 そんな感じで、誤解や葛藤が生まれてはジェットコースターのように解決していくのがこの番組の特徴。ストレスなく見れますが、欠点は登場人物が全員バカに見えてしまうことでしょうか。

 ネットアイドルちゆは、グランセイザーを応援しています。


平成16年2月18日 「美メン」は普及できるのか

 香代乃先生という漫画家さんがいます。
 嫁姑バトル漫画「羅刹の家」で有名なレディコミ作家・井出智香恵先生の娘にして、数々のパクリ疑惑の持ち主という、話題の多い方です。

 そんな香代乃先生、言語感覚やキャラクター造形のワンダーっぷりには定評があり、「美メン」と書いて「ビーメン」と読ませたりします。
 そもそも「イケメン」という言葉からして、いかにも死語っぽいのにテレビや雑誌での使用頻度は高い流行語に見せかけたオバサン言葉みたいな単語。なにもそんなものをヒネらなくてもと思います。

 ともあれ、先日スタートした先生の連載は、その「美メン」という造語をなぜか強烈にプッシュしている漫画「美メン華族」
 優秀な男性と子作りするために人間界にやってきた巨乳の魔女・めるもが、華族荘という建物で4人の美メンたちと同居する物語です。

 要するにひなた荘に美形男がいっぱいの「ラブひな」みたいなものですが、その「美メンたち」の内訳は……。

 (1)星くん
 名前は「星」と書いて「キラリ」と読む。戦隊モノでデビューした役者で、「美しさは罪」が口癖のナルシスト(最近の少女漫画では、特撮俳優も憧れの男性の一種らしい)。

 (2)ヤン先生
 現代日本が舞台の物語なのに、この人だけ顔が平安貴族。もちろん、眉毛も全部剃り落としてからポツンと描き直す平安メイクです。

 (3)ウエンツ丹波くん
 米国人とのハーフ。スネ夫が武装錬金したような髪型が特徴。

 (4)力丸くん
 初対面の相手に向かって「天才なのでアインシュタインと呼んでください」と自己紹介するスゴイ奴。「天才なのでアインシュタイン〜」という理屈もよく分かりませんが、本名より遥かに長いアダ名は純粋に呼びにくそう。その後も「天才」とは設定だけのアホ言動を連発します。

『美メン華族』 第01巻 36頁・39頁
これが美メンだ!

 さあ、この中から1人選んで子作りしろと言われても……。全員ツラは整っているのに常識がないのがキツイです。

 ネットアイドルちゆは「美メン華族」を応援しています。


平成16年2月20日 「覇王」単行本第1巻が発売

 「少女コミック」に、「覇王愛人」(ハオウアイレン)という少女漫画が連載しています。あらすじを簡単にご紹介しますと……。

≪出会い≫
 主人公は、女子高生の来実ちゃん。バイトの帰り道、いきなり謎の男にキスされます。謎の男は来実ちゃんの服を破き、「騒いだらこの場でお前を犯る」と脅しますが、なんだかひどいケガを負っていました。やさしい来実ちゃんは、彼を家に連れて帰って手当てしてあげます

≪再会≫
 数日後、来実ちゃんは下校中いきなり黒塗りの外車に拉致されます。クロロホルムをかがされ、目が覚めるとそこは香港。実は、謎の男の正体は香港マフィアのボス・黒龍さん(18歳)でした。彼は、来実ちゃんが欲しくなって拉致ったのです。そして、来実ちゃんも黒龍さんのことを好きになってしまうのでした

≪初エッチ≫
 色々あって、やっぱり黒龍さんのことが信じられなくなる来実ちゃん。しかし、「二度と俺から離れられなくしてやる」と、黒龍さんは来実ちゃんをレイプ監禁調教を始めます。どうにか逃げ出す来実ちゃんですが、すでに調教完了していたので、黒龍さんの体が欲しくて我慢できず帰るのでした。

 ……と、毎回そんな感じ。
 最近のエピソードでも、黒龍さんが来実ちゃんに銃口をくわえさせて「死にたくなければ誰よりも俺を愛すと今スグ誓え!!」と脅すなど、とにかく黒龍さんの逝っちゃった人っぷりが素敵です。

 ちなみに、「少女コミック」の読者層は小〜中学生で、表紙には「読まなきゃヤバいっす!! おしゃれGirlsごよーたしっ!!」などと書いてあります。中身はエロゲーと紙一重なのに。



 ところで、先日、「覇王」という漫画の単行本第1巻が発売されました。
 これもイカれた漫画で、ちゆは「覇王愛人」と合わせて二大「覇王」バカ漫画と呼んでいます。

 ただし、「覇王」は竹書房の「近代麻雀」に連載している麻雀漫画なので、「覇王愛人」のように誰にでも分かる明快なバカっぷりではありません。
 とりあえず、「若い女性に人気のタッキー」と聞いて、タッキー&翼の滝沢秀明くんよりも先に“越後の奇跡”滝沢和典くん(麻雀プロ)を思い出すような人なら面白く読めます。

 さて、「覇王」は、実在の有名麻雀プロを集めて武道館で麻雀大会をしたらどうなるか……というのを、特に取材もせずに想像でデッチ上げた漫画。
 たとえば、一回戦Bグループのメンバーは、次の4人です。

 (1)二階堂亜樹
 “卓上の舞姫”というこっ恥ずかしいアダ名の人気女性プロ(姉の二階堂瑠美さんも麻雀プロで、麻雀界で二階堂姉妹と言えば、オタク界のはじるす姉妹のような存在です)。
 本人は普通の人ですが、漫画ではムチムチ爆乳で目つきギンギンのヤクザの愛人みたいな女にアレンジされていました(本人に無断で)。

 (2)井川洋平
 他のプロは実名で登場しているのに、なぜか井出洋介さんだけファミスタの「くろまて」方式の変名で出演。竹書房との対立が原因なのでしょうか。

 (3)安藤満
 わざと無茶苦茶な牌を鳴くことで流れを変えるという技「亜空間殺法」の使い手。漫画では、「ならばもう一度……亜空間! 亜空間に総てを賭ける!!」などと叫んでは亜空間殺法を仕掛ける渋い中年オヤジに。

 (4)哭きの竜
 実在の麻雀プロに混じって、なぜか昔の漫画の主人公が出演。自分が遅刻しても「時の刻みは――俺にはない」とか言って謝らないくせに、他人の打牌が遅いと「早く打ちなよ。時の刻みは あんただけのものじゃない」と急がせる自分勝手な人。
 客席ではなぜか死んだハズのヤクザたちが応援しており、竜がアガるたびに「竜ーッ!! うおおおおおおお」と熱い声援を送ります。

 そして、試合開始。まず、なぜか漫画内での扱いが異常に悪い井川プロ(非実名)が哭きの竜に振り込み、「あんた 背中が煤けてるぜ」と言われて精神崩壊。……井出プロと竹書房の今後の関係が心配です。
 その後、亜空間殺法VS哭きの竜という夢の鳴き対決が繰り広げられました。

 また、「覇王」には“雀鬼”桜井章一さんも出演。

 雀鬼様と言えば、20年間麻雀で負けていないという無茶なプロフィールで知られ、伏せてある牌が何かめくらなくても分かる超能力を持ち、一部で教祖様のように崇められている人物。
 雀鬼様の偉業は何度も漫画化・映像化され、たとえばVシネマでは、麻雀を教義に使っているカルト宗教団体の教祖と5日間不眠不休で麻雀を打ったりしていました。

 「覇王」に登場した雀鬼様は青スジ立てまくった痩せゴリラのようなデザインで、なぜか全身が発光しています。
 そして、一回戦の最初からダブルリーチをかけ、あっさり倍満ツモ。さらに見ないで裏ドラを当てて、不思議がる対戦相手に「お前ら 裏すら…読めないのか」と言いがかりをつけるインチキな強さで楽勝でした。

 今後、哭きの竜と雀鬼様という竹書房的に絶対負けさせられないキャラ同士の対決をどう決着させるのか、とても楽しみです。
 哭きの竜が試合前に射殺されて会場に現れないとか、いよいよ決勝戦だ!というところで最終回とか……。

 ネットアイドルちゆは「覇王」と「覇王愛人」を応援しています。


平成16年2月23日 さわらずフントール

 先日、北海道の発明家のおじいちゃんが「さわらずフントール」という犬のフン処理器を開発したそうです。
 そう言えば、ちゆのお友だちにも、ずっと前に「ワンタッチクソステール」というアイテムを作った人がいました。少なくともネーミングセンスでは勝っていると思います。

 そんなわけで、小学生の発明も侮れません。そこで今日は、ちゆの小学校の「発明クラブ」に入っていた6年生のお友だちが作った発明品の数々をご紹介させて頂きたいと思います。

 まず、Y君の発明「Wえんぴつ削り」


 「2本以上の鉛筆を削るとき、1本1本削っていると面倒なので2本一度にけずれる鉛筆けずりが、あるといいなと思いました」という画期的な発明です。そんなに回すのがイヤなら自動で削るやつを使ってください

 同じようなアイデアでは、M君の発明「両方マッチ」も素敵でした。


 「ラスト一本の時に失敗し、さがさなければいけない時などに、反対側も使えたら便利だと思い、これを考えました」というアイテム。……たぶん、普通に2本あった方が便利です。

 比較的使えそうだったのは、M君の発明「自転車のタイヤ洗い機」


 「これにはさんで、回すだけで、簡単にタイヤが洗えます」とのこと。ただし、自転車の後輪には邪魔なスタンドが付いているため、前輪しか洗えないのが難点です。

 ビジュアルイメージだけなら、T君の発明「海底散歩器」も魅力的でした。


 こんなもので海に潜ったら死にます

 ネットアイドルちゆは、全国の自称エジソンを応援しています。


平成16年12月12日 デリバリーダッチワイフ

 最近、ダッチワイフのデリバリーヘルスなる商売を始めた人がいるそうです。

 ダッチワイフと言えば、昔は妖怪人間ベラの顔が付いた肌色の風船みたいなのばかりでしたが、近ごろは、ろう人形のようにリアルなのも買えるようになりました。
 しかし、その値段は高級全自動雀卓なみに高く、よほどアレな人でなければ買う気になれません。このお店では、それが1万円そこらでレンタルできるそうです。

 そんなわけで、お電話してみました。

 宅配裏ビデオを頼むと露骨な犯罪者ヅラの兄貴が届けに来ることも多いですが、このお店では秋葉原にいそうなお兄ちゃんがお人形を持って来てくれました。
 ただし、お部屋に運ばれてきた時点では、人形は首なし死体状態。お店には愛ちゃんアリスちゃんティナちゃんの3人の女の子がいるのですが、どうも身体は共通で、指名によって首をすげかえているようです。

 最初に、細かい注意を受けます。ゲームや漫画では、人形とかアンドロイド少女は引っこ抜いた手足を股間に突っ込むのが基本ですが、そういうプレイで人形を壊すと100万円弁償しなければならないそうです。
 また、ホームページの案内には「歯でかじる」がNGとありますが、聞いてみたところ、乳首甘噛みはギリギリセーフだそうです。あと、「指定外の道具を使用すること」も禁止ですが、手錠プレイはOKとのこと。

 そうして、愛ちゃんと2人きりになります。表情が変わらないので少し寂しいですが、さすが非生物の強みで、顔は文句なく可愛いです。
 ……とりあえず、適当に着せ替えして遊んでみます。

月並みですが、スクール水着(左)とブルマ(右)

 リカちゃん人形を着替えさせる時には奇妙な背徳感がありますが、この子は異様に重いので、そんな余裕はありません。
 抱き枕がわりになると思っていたのですが、こんなもの抱っこしていたら支えるだけで必死で、ヘタに寝返りをうつと、人形に潰されて「アウターゾーン」ばりの変死を遂げそうです。

 チチは胸板のような硬度で、正直、洗濯のりで作ったスライムでも揉んでいた方がまだ気持ちいいと思います。人形に寄り添って寝てみても、感触だけなら小柄だけど逞しい兄貴みたいです。
 また、指先は手足が伸びるキン肉マン人形をガキが遊びすぎた状態に近くなっていました。服を着せ替えるたびに指がもげないか心配になります。

 そして、股間は単なるオナホールです。


 人形全体は見た目重視の作りなのに、ここだけ100パーセント実用性重視です。まあ、あまり見た目を追求すると法に触れますけど
 あと、足は押さえていないと自然にガニ股になりますが、これもヤるとき優先の仕様なのでしょうか。


 ともあれ、すごいマグロ娘なので、「女の子が感じてくれないとイケない」という人には厳しいと思います。
 レイプ好きの方なら「薬や催眠術で身体の自由を奪った」という脳内設定で楽めないこともないですが、重量や肌触りが妙な存在感を出していて、むしろ何もないところでゼロから妄想する方がラクな気がします。

 そんなこんなで、「人間のかわりに」という気持ちだとどうしても物体に見えてしまってキツイと思いますが、「人形だから興奮する」という阿羅漢の悟りを開いた本物の変態さんには自信を持ってオススメできます。

 ネットアイドルちゆはラブドールデリバリーを応援しています。



 ところで、「2時間14800円」という料金は、本物の人間と比べて安いのでしょうか。

 デリバリーされるダッチワイフのグラビアとかが載っていた風俗情報サイトに登録されている人間のデリバリーヘルス39店舗から大雑把に計算してみたところ、2時間料金の平均は3万2000円。最低は1万8000円で、最高は6万円一流の女性だけの高級店(自称))でした。
 全体の半分は3万円〜3万4600円の間だったので、2時間1万4800円は人間の相場の半分より少し下くらいの価格設定みたいです。

 ついでに、女の子の若さで料金が変わるのかも調べてましたが、相関関係はほとんどありませんでした(散布図はこんな感じで、相関係数は−0.33くらい)。
 ……と、この辺は別に面白くも何ともない話なのですが、しょーもない割に長々と計算したのがもったいなかったので何となく


平成16年12月16日 テニスの王子様、中国に輸出

 「アストロ球団」をご存知でしょうか。

 一球入魂しすぎて一瞬で老化したり、試合中に負傷したときの解決法が「そうだ バカになりゃいいんだ!! 腕のいたみを まるっきり感じねえほど鈍感なバカに!!」だったりする変態野球漫画。
 「も…もういやじゃ〜っ こんなきちがいじみた野球地獄は〜っ!!」「汗は男の香水だ」「足なんざ一本もありゃじゅうぶんよ」という感じで死闘を繰り広げ、最終回ではマサイ族の野球チームと戦うためにアフリカに旅立ちました。

 そんなアストロ球団が誇る「最大にして最強の守備陣形」がアストロシフト。内野手が何十人にも分身することで、一二塁間・二三塁間をビッシリ隙間なく埋めてしまうという恐るべき守備です。
 これくらい物理法則を突き抜けた技になると、「アストロ球団」以外の野球漫画では、なかなかお目にかかれません。

 ところが最近、ある漫画に、これとよく似た陣形が登場しました。

 それは、「テニスの王子様」の大石先輩&菊丸先輩が見せた大石の領域(テリトリー)。大石先輩がネット際に立ち、分身した菊丸先輩が後ろ全部をカバーするフォーメーションです。
 アニメ版では、ジャンプ中に空中で方向転換することにより、1回のジャンプで2度ボールを打つという絶技まで披露した菊丸先輩。その超人的な身体能力があって、はじめて可能な技だと言えます。

 ところが、そんな菊丸先輩の分身をはじめて見た後輩の感想は、「ほーんと 猫(みたい)っスね」の一言だけでした。
 そう、菊丸先輩ほどの身体能力を持ってしても、王子様ワールドではただの負け役。人間を超越した技の数々も、単に「アクロバティック」の一言で片付けられてしまうのです。

 このように、アストロテニスで読者を笑わせてくれるのが「テニスの王子様」です。

 たとえば、「アストロ球団」のビクトリーナインは6キロの腕輪を付けて野球をしていましたが、「テニスの王子様」の乾先輩も、試合後にジャージをたくし上げたら12キロのジャケットを着込んでいました。
 また、アストロ球団の一人はメクラなのに心眼でボールを打ったり投げたりしていましたが、「テニスの王子様」の不二先輩も、試合中に視力を失ったのに「…感じる。自分が思ってた限界なんて無いんだね」の一言で済ませて、普通に勝っていました。

 さらに、アストロ球団にはない要素として、「こんなくだらないことで特大の大ゴマを使っている!」とか、「せっかくの見開きページなのに何が起こっているのか読者にはまったく伝わらない!」とか、「1話分19ページ使って何ひとつ内容がない!」とか、従来の漫画の常識を逆手に取った高度なギャグが盛り込まれています。

 しかし、「アストロ球団」が一目でスパークした漫画だと分かるのに対し、「テニスの王子様」は絵柄も演出も微妙で、少し読んだだけでは普通のスポーツ漫画だと誤解してしまいそうです。
 実際、ちゆもこれがギャグ漫画だと気が付くまでは、この漫画でどうして作者が年に4億円も稼げるのか理解できませんでした。

 そんなわけで、「テニスの王子様」を読み解くのは少し難しいです。
 たとえば、見開きで新必殺技を披露する主人公の指が6本だったのも、普通の漫画なら100%単なる描き間違いですが、この漫画に限ってはひょっとしてワザとやってるのかと悩まされます。

 さて。そんな「テニスの王子様」が今度、中国に輸出されるそうです。

 このハイセンスな漫画が外人に理解できるとは思えませんが、集英社の鳥嶋編集は「面白いものに国境はない」と自信マンマンです。
 ちゆには想像もつきませんが、おそらく、時代の先端を走る方々には地球人全員が「テニスの王子様」で笑い転げている未来が見えるのでしょう。

 ネットアイドルちゆは「テニスの王子様」を応援しています。


平成16年12月25日 ヤングガンガン創刊

 だいぶ前にお引っ越しをしたのですが、大阪でも東京でも、この時期道端のゲロが増えるのは変わらないんですね。どこに行っても大人って汚いです。

 さて、「少年ガンガン」などの漫画雑誌を出しているエニックスが、以前「バウンド」という青年誌を作ったことがあります。

 ●表紙:水着のグラビアアイドル
 ●キャッチコピー:「バカに目覚めるオトコのコミック」
 ●目玉の漫画:漫☆画太郎「虐殺!ハートフルカンパニー」

 ……一体どっちに向かって弾んでんだという感じで、わずか5号(2ヶ月)で潰れました

 それから4年、エニックスが再び青年誌に挑戦しています。

 「バウンド」で懲りたのか、まず3ヶ月に1度「ガンガンYG」という雑誌を出して様子を見てから、改めて月2回の「ヤングガンガン」がスタート。
 表紙はドラクエかFFで、グラビアページも全部二次元美少女。目玉は、かつて「少年ガンガン」の人気連載だった「ロトの紋章」の続編。子供のころ「ガンガン」を読んでいた層やゲーム大好きのアダルトなチルドレンを狙っているようです。

 とりあえず、「少年ガンガン」に比べると乳首が出まくるあたりがヤング
 あと、読むとインクで手が真っ黒になるという「ガンガン」の特徴を忠実に引き継ぎました

 ところで、ちゆにとって「ガンガン」が一番面白かったのは、創刊まもないころ。
 矢追純一監修の宇宙人漫画とか、盲目っ娘萌えの格闘漫画(4つの鈴を集める話だったがもちろん全部集まる前に打ち切り)とか、雑誌の方向性が定まらずに油っこい漫画が乱立していました。

 そんなガンガン黎明期を支えた作品の1つが「激闘!!一番」です。

 教室にリングのある高校に入学した主人公が、いろいろな格闘家と戦っていくお話。上級生のシゴキでタイヤのトンカツを食べさせられたりします。

『激闘!一番』 第2巻164頁

 第1話の敵が青銅会館(たぶん正道会館がモデル)を名乗るなど、いちおうマジメな格闘漫画っぽいのですが、マーシャルアーツ使いがベトナムホイップを出したり、中国拳法家が秘孔をついてきたり、どこまでマジなのかよく分かりません。

 ちなみに、当時「ダッダーン! ボヨヨンボヨヨン」というCMが流行っていましたが、この漫画のヒロインは、保健のダッダン先生

『激闘!一番』 第2巻140頁

 そして、この漫画で最もイカれていたのは大玄寺くんです。

『激闘!一番』 第3巻188頁

 初登場シーンからヤンキーに絡まれていますが、その理由は、「てめえ俺のダチ公に何をしたっ。てめえがやってるなんとかセミナーに行きだしてから、タバコはやめるわ 酒はやめるわ すっかりマジメになっちまったぜっ

 そんなわけで、学校中に超神秘力発掘セミナーを布教している大玄寺くん。
 「正しい心!」と念じるほどパワーアップするので、試合中も、彼のクラスメート(セミナーの会員)たちが、「正しい心!正しい心!」と応援していました。

 しかし、主人公の必殺技・胴首閃斬(要するにキン肉ドライバー)で倒され、大玄寺くんは忘れていた記憶を取り戻します。
 彼は、苦労して買ったドラクエを自室で今まさにやらんとしている時、突然窓から入ってきた謎の男たちに誘拐され、改造手術を受けさせられたのです。

 「私は……私は……」

『激闘!一番』 第4巻77〜78頁

 「ドラクエをやりたかったんだあ――――っ!!」 魂の叫びをあげると、大玄寺くんの姿が……。

『激闘!一番』 第4巻80頁.psd

 「な なんだあ あれは――っ!?」
 「だ 大玄寺が変身した――っ」

 ドラクエやりたさのあまり虎に変身したのかと思いきや、校長先生が叫びます。「しまった 奴に埋め込んだ虎の強化細胞が暴走しおったか――っ」 ……犯人はお前か。
 その後、ダッダン先生の正体は警視庁の秘密特捜刑事だったとか、校長が動く便器に乗って逃亡とか、死ぬほどどうでもいい話が続いた後、主人公がライオンになって大玄寺くんを倒して終わるのでした。

 そんなわけで、「ヤングガンガン」にも、もっとこういう昔の「ガンガン」を彷彿とさせるような漫画があると個人的には嬉しいです。

 ネットアイドルちゆは「ヤングガンガン」を応援しています。


平成16年12月28日 毎日新聞は男子大学生がキライ?

 ちゆの知人に、「UFOロボグレンダイザー」に憧れて日本に留学してきた伊太利亜人がいました。
 彼女は、なぜか大学の卒論としてライトノベルを執筆。別に小説が卒論になるような学部ではありませんでしたが、彼女のネイティブばなれした日本語表現には独特のファンキーな味があり、それを担当教授が面白がって無事に卒業できました。

 そんなこんなで、教授次第でとてもファジーに通ってしまう大学の卒論。
 しかし、世の中には、天下の朝日新聞や毎日新聞に記事として取り上げられるほど素晴らしい卒論も存在するようです。

 たとえば、平成13年2月24日のちゆニュースでご紹介しました、神戸大学の新田まやさんの卒論「テレビゲームは忍耐力を奪う」。報道を聞く限りでは意味の薄い調査でしたが、結論が気に入ったのか朝日新聞に取り上げられました。
 ちなみにまったくの余談ですが、この卒論を書いた新田さんは、その後朝日新聞に就職したようです。

 さて、1週間ほど前の毎日新聞にも、今時の男子は「幼児的、バカ、無責任」という記事が載りました。
 大阪国際大学の学生12人共同の卒論を紹介した記事です。

 卒論の内容は、関西の女子大生300人に聞いたアンケートをまとめたもの。

 調査の結果、男子学生の印象トップ3は「幼児的」「優しい」「バカ」
 具体的には、「意思が弱い」「マナーが悪い」「見えっ張り」「下心が見え見え」「未熟」「うそをつく」などと思っている女子大生が多かったそうです。マイナス回答の総計は8702で、プラス回答の7659を「大きく引き離した」とのこと。

 もちろん、あくまで「女子学生から見た男子学生のイメージ」。そのまま鵜呑みにするわけにもいきません。
 ところが、このアンケート結果を受けた担当教授の「分析」を読むと、


男子学生は幼いという印象を持っていたが、やはりそうか。他人を理解しない、主体性がないなど、大人になりきれていない。


 ……自分と女子大生の印象が一致したので大満足の様子。とにかくすごい鵜呑みです

 そもそも、これは何を目的に行なった調査なのでしょうか。
 記事から受ける印象では、「男子大学生の実態」が知りたかったようですが、それなら調査方法が女子大生に聞くだけというのは奇妙です。

 方法に「女子大生へのアンケート」を選ぶのは、むしろ女子学生の意識を調べたいときだと思います。
 しかし、記事を読むと、「責任感がある」などの好意的な印象も多かった件は「女子学生の『期待値』も入っている」と一蹴して、男子学生の「幼児的、バカ、無責任」を強調していました。研究者は、女子学生の意識なら調査していないことまで知り尽くしているようです。

 正直、担当教授の「分析」がトンチキすぎて、統計についてマトモな指導があったのか不安になります。
 もしも他大の知り合いに片っ端から質問用紙を配っただけでしたら、単に研究者の交友範囲にバカ学生が多かっただけという可能性すらありそうです。

 まあ、しょせん卒論ですから、単なるアンケートに適当な感想文を付けただけでも仕方ありません
 それより、このスッゲェ頑張った小学生の壁新聞レベルの卒論を、どうして毎日新聞が取り上げたのか不思議です。朝日新聞がテレビゲームを害悪扱いしたがるのなら分かりますが、毎日新聞が男子大学生をバカ扱いしたがる理由なんてあるのでしょうか。

 そこで、とりあえず担当教授の名前で幸せ検索してみたところ、教授は元毎日新聞編集委員だそうで謎はすべて解けました。犯人はお前です


平成16年12月31日 2004年3大ニュース

 年末手抜き特別企画〜。今年ちゆがビックリしたニュースのトップ3です。


 【第3位】 3年9ヶ月ぶりに「星界シリーズ」の新刊が発売


 小説「星界の戦旗」の3巻が発売されたとき、当時のちゆニュースに、次のように書きました。


 発行日を順に見てみますと…

 ●「星界の紋章I」平成8年4月15日
 ●「星界の紋章II」平成8年5月15日(前作から1ヶ月後)
 ●「星界の紋章III」平成8年6月15日(前作から1ヶ月後)
 ●「星界の戦旗I」平成8年12月10日(前作から半年後
 ●「星界の戦旗II」平成10年8月20日(前作から1年半後
 ●「星界の戦旗III」平成13年3月10日(前作から2年半後

 順調にいけば次巻は3年半後、平成16年の夏あたりの発売でしょうか。


 実際の発売は、平成16年の冬でした。
 予想よりも3ヶ月しか遅れていないということで、もはやスピード発売と言って良いでしょう。

 これについては、完結前に作者が死ぬ可能性もそんなに高くありませんし、じっくり納得いくものを書いてほしいです。


 【第2位】 6年ぶりに「ガラスの仮面」の新刊が発売


 一方、いずれ作者が死んで未完になると思われるのが「ガラスの仮面」。作者が存命のうちにあと何歩進むのか見守る漫画と化しています。
 以前、41巻発売から3年後くらいのちゆニュースで、「たぶんあと数年待てば42巻も出ると思います」と書きましたが、結局、それから3年ちょっとで無事に発売されました。予想可能な範囲内ということで、「ガラスの仮面」にしては良心的です。

 さて、雑誌に載った原稿が、単行本収録の際に手直されることは多いです。
 たとえば、「HUNTER×HUNTER」の「唯一無二の青で輝く宝石」の絵は、少年ジャンプ掲載時にはなんだかグジュグジュしたマルでしたが、単行本ではちゃんとスクリーントーンが貼ってあります

『週刊少年ジャンプ』 2003年28号200頁
『HUNTER×HUNTER』 第18巻152頁

 しかし、「ガラスの仮面」の修正はこの比ではなく、蛇のように執念深く、何から何まで全部描き直します

 平均余命通りなら、美内すずえ先生が亡くなるまであと30年ちょっと。生涯現役で6年に1冊続刊を出し続けると仮定しても、あと5冊(47巻まで)しか発売されません。
 おおざっぱに計算したところ、現在の進行ペースを維持すると、すでに存在する雑誌連載8年分に追いつくだけで132歳まで生きなければなりません。もちろん、万が一そこまで描けてもなお未完。先は長いです。


 【第1位】 7年ぶりに「メガブレイド」の新刊が発売


 「メガブレイド」は、女性キャラが登場するたびに必ず何カップなのか言及する小説です。
 挿し絵は「勇者王ガオガイガー」の木村貴宏先生。ガオガイガーが流行った頃は、日本中のダメな人が「プログラムどりゃーぶ」と叫びながら「メガブレイド」を買いました。

 さて、平成9年の秋に出た4巻の「あとがき」では、5巻の発売時期を次のように告知しています。


 今回も断言しちゃうぞっ!? 発売は! ズバリ!
 来年の夏ごろ
 ……なんか、めちゃくちゃ弱気になってるオレ。でもがんばるっス。


 結局、5巻が実際に発売されたのは、その「来年の夏」が過ぎて、その次の夏も過ぎ、そのまた次の夏も過ぎて、さらにその次の夏も過ぎて、もひとつ次の夏も過ぎて、ついでにその次の夏も過ぎて、さらにその次の夏を過ぎた秋でした。

 ちなみに、4巻の最後の場面は、誘拐された女の子が全裸で吊るされたところ。それから彼女が7年間全裸で吊るされ続けていたと思うと、なんかもう感慨深いです。



 そんなこんなで、今年10月からオリンピックよりも珍しい新刊が立て続けに発売されて、正直この世の終わりかと思ったちゆでした。



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