◇「教科書には載らない1chの歴史」の補足です◇
補足(8) | あめぞうさんと2ちゃんねる | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2001年10月、2chに自分の悪口を書き込まれたことに激怒した西和彦さんが、「1ch」という掲示板を作りました(詳細な経緯はこちら)。 その際、1chのBBSシステムを構築するスタッフとして招かれたのが、あめぞうさんでした。 あめぞうさんは、かつて「あめぞう」という掲示板を制作・運営していた人です。バトルウォッチャーの哭きの竜さんが物語風に語ったところによると……。
……2ちゃんねるの語源については、たとえば、ひろゆきさんを取材した「ホームページ繁盛の法則」という本にも、「『2ちゃんねる』というタイトルには、いわば兄貴的サイトである『あめぞう』の2ch、という意味も含まれる」という記述があります。 そのあめぞうさんが、「1ch」のスタッフになって戻ってきたわけです。哭きの竜さんの語りでは、
しかし、「2ch」に対抗して「1ch」というネーミングは、まるで「2ch」の二番煎じのようです。 それについて、当時の報道では……。
つまり、元々「2ch」は「あめぞう掲示板」の二番煎じなので、あめぞうさんがいる「1ch」の方がオリジナルで正統種というわけです。 なお、この辺りの掲示板の歴史については、掲示板コミュニティ研究さんの11月1日&11月9日の更新、ばるぼらさんの掲示板考察、「内外電網情勢の回顧と展望2000」のあめぞうの項&2ちゃんねるの項などが詳しいです。 あめぞうさんと西和彦さんのつながり さて、1ch運営陣の主要なメンバーは、西和彦さん、あめぞうさん、そして1ch.tv発行人さんです。 1ch.tv発行人さんは、かつて「年金」というハンドルネームであめぞう掲示板のスタッフをしていました。 ゲームラボの記事などによると、「1ch」の立ち上げに際して、あめぞうさんと西和彦さんの接点になったのは年金さんだそうで、たとえばバトルウォッチャーの哭きの竜さんが勝手に想像した経緯は、次のような感じでした。
あめぞうさんの謝罪文 ところで、1999年に「あめぞう掲示板」が崩壊し、あめぞうさんがネットをやめた後、「あめぞう(仮)」「あめざーねっとII」といった掲示板が作られ、本家「あめぞう」のユーザーが散らばっていました。 1chのスタート直前、その「あめざーねっとII」に年金さんが現れます。1chのビジネスモデルを説明する年金さんに、「あめざーねっとII」の人たちが質問をしますが……。
なぜか普通の質問にキレてしまう年金さんに対して、周囲の反応は……。
また、ざっと読んだ印象としては、そもそも「あめぞうさんを担いでアンチ2chの商業掲示板を作る」という1chのコンセプト自体、「あめぞう掲示板」の利用者だった人達にあまり支持されていないようです。 (年金さんの行動が「あめぞう掲示板」の人たちにどう見られたかについては、2ch研究さんの10月20日・23日・24日の更新に対する「あめぞう2000」の反応や、それを受けた哭きの竜さんの更新などを参照) その後、「あめぞう(仮)」にもスレッドが作られて、1chのスタッフ・富士見いおたさんが、1chへの協力を呼びかけました。
これに対して、次のような声があがります。
こういった意見を受けて、「旧あめぞう掲示板運営についてお詫び」が公開されます。
ちなみに、当時の2chの管理人・ひろゆきさんの感想は……。
1chの開設前、「あめぞう(仮)」や「あめざーねっとII」に現れて発言したのは、年金さんや富士見いおたさんだけで、あめぞうさん本人の書き込みはありませんでした。 そういった理由もあって、この時点で、あめぞうさんは年金さんに利用されているだけではないかという声が出ていました。 あめぞうさんのメッセージ 1chの開始前日、INTERNET Watchの報道で、あめぞうさんのメッセージが紹介されました。
そして、10月5日、ついに始まった「1ch」では、「利用規則」や「使い方」と並んで「あめぞう宣言」が掲げられていました。
しかし、その後の「1ch」の様子は、「教科書には載らない1chの歴史」の中でご紹介した通り……。 ・10月5日、開設と同時に荒らされ、なぜか書き込みができなくなる。 ・10月6日、書き込みができないのは、2ちゃんねらーの荒らし行為の酷さを晒し上げるためにあえて荒らされた状態のままで止めているのだと説明。それから14日まで、何のアナウンスもなく閲覧専用モードが続く。 ・10月24日、「何故不正な書きこみがあっても早急に削除しないのだ?」という質問に、年金さんが「私共は、貴殿の奴隷でも部下でもありません」と返答。 ・10月29日、なぜメニューのリンク切れを放置しているのかという質問に、年金さんが「勤務先企業は、業務時間中に延々と私的書込みを認められておられるのですか」と返答。 ・11月2日、運営側への批判発言を削除し過ぎだという声に、富士見いおたさんが、1chは電子雑誌だから書き込みの削除基準に公平さは必要ないと発言。同時に「反2ちゃんねるキャンペーン」として、2chが悪いことをしたという情報に賞金を出すと宣言。 さて、バトルウォッチャーの哭きの竜さんによると、当時の評判は……。
実際、「あめざーねっとII」の1chスレッドには、(掲示板参加者の総意というほどではありませんが)次のような声があり……。
富士見いおたさんが呼びかけていた「あめぞう(仮)」のスレッドにも、次のような発言がありました。
あめぞうさんの真意 さて、12月になると、1chのスタッフが打ち合わせをしていた掲示板が見つかりました(詳細な経緯はこちら)。 それを見ると、たとえば、「1ch」開始の2週間前に、富士見いおたさん(=たかおんさん)が次のように発言しており、やはり2ちゃんねるへの強い反発があったことが分かります。
そして、その掲示板のあめぞうさんの発言を見ると……。
また、1chの立ち上げを発表したオフ会の後の感想でも、
どうやら、あめぞうさんも2ちゃんねるを憎んでいたようです。
また、あめぞうさんは、1chの運営についても色々と意見を出していました。
1chのスタートが数日後に迫った時には……。
あめぞうさんは、1chで「あめぞう」という名前で発言していませんでしたが、どうやら別の名前(10こくらい?)を使って書き込んでいたようです。
あと、年金さんの「奴隷」発言や「勤務先企業」発言で、1chへの評価がいっそう厳しくなった頃には、富士見いおたさんとのこんな会話もありました。
そして、ちゆの知る限りでは、これがインターネット上に残されたあめぞうさんの最後の言葉です。 この後、1chが失敗に終わり、あめぞうさんは再びネットから姿を消してしまいました。 なお、これらを見た2ちゃんねるの管理人・ひろゆきさんは、次のように感想を述べました。
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